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BUGY CRAXONEと語る、女のロック精神は歳と共にどう変わる?

BUGY CRAXONEと語る、女のロック精神は歳と共にどう変わる?

BUGY CRAXONE
インタビュー・テキスト
上野三樹
撮影:永峰拓也
2015/11/30
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正義感を振りかざせば世の中が正しくなるわけじゃないって、徐々にわかっていくんですよね。

―私、やっぱりBUGY CRAXONEってパンクバンドだと思ってるんです。20歳そこらの女の子がヒリヒリと尖った感情をむき出しにして歌ってた。当時のそうしたパンクスピリッツは、どういう思いから生まれていたものだったんですか?

すずき:それは正義感じゃないかな。決して悪くなりたかったわけじゃないし、なんだかんだ言って世の中を信じてた。すごい正義感の強いものが、パンクミュージックなんじゃないかなと思うんですよ。でも、正義感を振りかざせば世の中が正しくなるわけじゃないし、いろんな人がいるからみんなの話を聞きながらやってかなきゃいけないって、徐々にわかっていくんですよね。その結果が今なんだと思う。ただ、小さい頃から気だけは強くて、「なんで大人は私の言うことを聞いてくれないんだろう」って幼稚園くらいからずっと思ってたから(笑)。

―そんな正義感の強い子どもだったすずきさんがバンドを組んで、1999年にデビューして、当時は金髪のはすっぱな姉ちゃんという印象だったわけですが。

すずき:あははははは! その頃はもう、「生きるって! 死ぬって!」みたいなことばかり考えてました。私、小さい頃から毎晩お祈りしてたんですよ。「自分も家族も、とにかく平和で火事も起きずに明日がきますように」って。19歳ぐらいになると、「生きるも死ぬも危うすぎる」と思って、そんなことばっかり考えてご飯が食べられないこともあった。もういろんなことに対して気が気じゃなかったんだよね。その頃も戦争とかあったし、人の心は美しいのか醜いのかわからなくなっていたけど、それでもなんとか「生きるって美しいんだぜ」って思いたい気持ちがすごく強かった。もう過剰でしたね。

すずきゆきこ

―その頃の歌詞とか読むとすごく重いですもんね。

すずき:そんなに重くしなくてもって思うくらい(苦笑)。

―そういう重さのある歌詞を書かれてる時期って結構長いじゃないですか。24歳の時にも、“NORTHERN ROCK”(2002年に制作。2009年リリースのアルバム『チーズバーガーズ・ダイアリー』収録)で<生命論は窒息死 劣等感で生きてんだ>って歌っていたり。

すずき:その頃までは本当にそう思ってて、伸び伸びとそれを歌ってましたね。怒らなきゃいけない、怒らなきゃロックじゃない、みたいな気持ちになっていったんです。怒り探しみたいなところもあったよね。

―というのは、「BUGY CRAXONEとしてなにを歌っていくべきか?」を考えてのことですか?

すずき:ファーストアルバムを作った時(1999年)は、あんまりロックバンドとして認識されなかったんです。今振り返れば、それはバンドの強さが足りなかったからロックバンドとして見てもらえなかったんだなって思うんですけど、その頃はいろんな曲調があるからなんじゃないかと思っちゃってて。“NORTHEN ROCK”くらいの時は特に音楽性の幅を狭めることに集中してたんだよね。自分の中にある音楽の可能性とか、思いついたアイデアも排除して。笈川くん(ギター)もいろんな音楽を聴いている人だから、アイリッシュの綺麗な音楽の要素とかも持ってたんだろうけど、その頃は封印してた。尖らせてなんぼみたいに思ってた時期だったから。だから歌詞もそういうものになっていましたね。

すずきゆきこ

―そういう枠みたいなものも取っ払えたのは、なにかきっかけがあったんですか?

すずき:メジャーとの契約が終わってしまった時、「なにくそ」って気持ちがやっぱり強かったから(笑)、その後はすごいバンド臭さみたいなものが出てたと思う。でも2007年に「Northern Blossom Records」に移って、ドラムのモンチが抜けたくらい(2009年)から、もうなにをどう考えても怒れない感じに私がなって。さっき言ったみたいにありとあらゆるものが可哀想に感じるようになっていったんだよね。

時代もどんどん変わってきて、私も変わってきて。伸び伸びやって、楽しさを優先させるほうが重要かもなと今は思うんです。

―『Joyful Joyful』(2012年リリースのアルバム)以降は、すずきさんがこんな風に生きていきたいんだという方向性も音楽に反映されていって。今作『Lesson』はもうそれが堂々たる自信と確信になっている感じがしたんですけど。

すずき:ある時、マネージャーに「このバンドはゆきちゃんのバンドなんだよ」って言われてハッとしたんです。自分を引っ込めるばかりがチームプレイじゃない、私が自己主張を少し強くすることでよりチームがよくなるのかもと思って。そもそもそれがボーカルの役割なのかもって思えたんです。

―そこで、言葉やメッセージでバンド全体を引っ張っていくような大胆さが生まれた。

すずき:そうですね。時代もどんどん変わってきて、私も変わってきて。伸び伸びやって、楽しさを優先させるほうが重要かもなって今は思うんです。パッと見、やっぱり今作の歌詞とかちょっと変でしょ? すごい恥ずかしいんだよ(笑)。幸いなことに、メンバーが褒めてくれてるからなんとか作れるんだけど。

―1曲目の“ベリナイス”から、かなり思い切りましたよね。

すずき:ユーモアがあるのはいいかなと思って(笑)。

―<朝の空気はやっぱりうれしい>とか<ポテトチップもやっぱりうれしい>とか、生活の中にあるささやかな幸せが歌われていたりして。

すずき:そうそう。私たちの暮らしって、朝の自然な空気と、油で揚げてるポテチを食うみたいな、綺麗なものと俗っぽいものの両立でできてるでしょ? 自給自足で暮らしていくのもいいと思うんだけど、東京での暮らしはまだまだケミカルなものや科学の力に頼りながらだし。それに、化学の力は平和やいいことに使われることもいっぱいあるから。そういう両方あるのが今の私たちの暮らしだよっていうことは言っておきたいというか。

―不安になろうと思えばいくらでも不安になれますもんね。

すずき:特に赤ちゃんがいたりすると食べ物のこととか気を遣うでしょう? でも過敏になりすぎるとお母さんの不安な気持ちが赤ちゃんに伝わったりするじゃない?

―「うちは絶対、市販のパンは食べさせません!」とか言ってるお母さんのことを悪くは思わないけど、「でも絶対将来食べるじゃん?」と思いますよね。

すずき:そうなんだよね。いろんな考え方があるんだけど、どっちがどうっていうのは一概に言えなかったりするよね。

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リリース情報

BUGY CRAXONE『Lesson』
BUGY CRAXONE
『Lesson』(CD)

2015年11月11日(水)発売
価格:2,700円(税込)
BNBR-0009

1. ベリナイス
2. キュートだろ?
3. たいにーたいにー
4. step by step
5. チャンスをねらえ
6. とぼけたおとなにならないで
7. きれい
8. ハネてるビートはクールな生き方
9. いけないベイビー
10. Lesson 1

イベント情報

BUGY CRAXONE
『Lesson 2:ワンマンをしよう!』

2015年12月4日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 十三 Fandango

2015年12月18日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:北海道 札幌 COLONY

2015年12月20日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 新宿 red cloth

料金:各公演 前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)

BUGY CRAXONE
『Lesson 3:SAY! SAY! DO! DO!』

2016年1月29日(金)
会場:愛知県 名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL

2016年1月30日(土)
会場:新潟県 CLUB RIVERST

2016年2月5日(金)
会場:宮城県 仙台 enn 3rd

2016年2月18日(木)
会場:兵庫県 神戸 太陽と虎

2016年2月20日(土)
会場:福岡県 Queblick

2016年2月21日(日)
会場:熊本県 Django

プロフィール

BUGY CRAXONE
BUGY CRAXONE(ぶーじー くらくしょん)

すずきゆきこ(Vo,Gt)、笈川司(Gt)、旭司(Ba)、ヤマダヨウイチ(Dr)による4人組バンド。1997年5月に札幌で結成。1999年3月にビクターエンタテインメントよりデビュー。2003年、レーベルとマネージメントを兼ねたZubRockA RECORDSを設立。2014年6月には、ヤマダ加入後、4人での初アルバム『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』を発売。2015年、3度目の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』への出演を果たすなど、ライブパフォーマンスにも定評がある彼らが「これでいいのだ」と自然体の清く正しいBUGY CRAXONE満載のアルバム『Lesson』を11月11日(水)にリリース。リリースツアーとして、大阪、札幌、東京でのワンマン公演が決定している他、年明けより対バンツアーを開催。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)