BUGY CRAXONE×関めぐみ アラフォーの変化の受け入れ方を学ぶ

今年で結成20周年を迎え、ベストアルバム『ミラクル』で2度目のメジャーデビューを果たしたBUGY CRAXONE。今作にはバンドの代表曲のほか新曲も収録されており、ゴキゲンなロックサウンドの中から、明るい未来を生きていくためのしなやかなメッセージがフレッシュに響いてくる。

今回、CINRA.NETでは、ボーカル・すずきゆきこと、彼女がデビュー当時から信頼を寄せているカメラマンの関めぐみとの対談を実施。この20年、時代や女性としての人生が変化していく中、ジャンルは違えどもの作りと表現に携わってきた二人。互いの職人気質といい感じのゆるさに満ちたトークを披露してくれた。

ゆきちゃんと初めて会った時、「これは来たな」と思ったのを覚えています。(関)

―お二人が最初に会ったのは1998年、約20年前なんですね。

:まだデビュー前、BUGY CRAXONEが上京もしてなかった頃にゆきちゃんだけ撮影することになって。たしか関係者用に配るプレスキット用の撮影だったんだけど、それが初対面だったね。

すずき:そうそう。私、家出してきたみたいな雰囲気だったでしょ。2回目がデビューシングル『ピストルと天使』(1999年)の撮影で、トランポリンを飛びながら撮影したのとか覚えてる。

左から:関めぐみ、すずきゆきこ
左から:関めぐみ、すずきゆきこ

当時関が撮影したBUGY CRAXONEのプレスキット
当時関が撮影したBUGY CRAXONEのプレスキット

:ヤンキーみたいだったよね(笑)。当時の音楽シーンって、名前からして個性的な感じの女性シンガーが多くデビューしていて。そんな中でゆきちゃんは、それまでの流れとは全然違うタイプの女性だなと思った。奇をてらった感じがなかったし、「ディーバ」とかっていう感じでもなかったんです。初めて会った時、見た目がタイプだったのもあったし、「これは来たな」と思ったのを覚えています。

―すずきさんは当時10代で、これまでの取材(BUGY CRAXONEと語る、女のロック精神は歳と共にどう変わる?)でも話してくれていたように、誰とでも打ち解けるようなタイプではなかったと思うのですが、関さんには心を開いた感じだったんでしょうか。

すずき:そうですね。当時のレコード会社の人たちがすごく親切にしてくれていて、その人たちが一生懸命考えて集めたビジュアルチームだから、やっぱりいい人たちばかりだったんですよね。特に関さんは、内弁慶なBUGYのメンバーが気軽にからかえた人というか(笑)。

すずきゆきこ

:目上の人に向かってひどいんですよ(笑)。

―最初から打ち解けやすかったんですね。

:最初に会った時はゆきちゃんが19歳で、やっぱりだいぶ肩の力が入っていたと思うんですよね。でも、その肩の力も今はものすごく抜けていて。今のBUGY CRAXONEもまた良くて、遠くから見ていても嬉しい変化だなと思います。

―私はまさに『ピストルと天使』をジャケ買いしてBUGY CRAXONEを知ったんですけど。このジャケット写真に対する関さんの想い入れはどういうものでしたか?

:それまで写真を大事にしてもらったなと思えたことがあんまりなかったんですけど……。写真の加工とかもあまりせずに、レイアウトも素敵にしてもらったのは、たぶん『ピストルと天使』が初めてでした。だから、「今までやった仕事の中で一番好きかも」と思いましたね。

BUGY CRAXONE『ピストルと天使』ジャケット
BUGY CRAXONE『ピストルと天使』ジャケット

―大事にしてもらえなかったというのは、どういうことでしょう?

:その頃、特にデザインとかに興味がある人にとっては、Macが割と身近になってきたんです。それでMacを使うのが楽しいのか、ぐっしゃぐしゃに写真をいじられてしまうことも結構あったんですね。

最初は撮影するだけで楽しいし、気に入ったものが撮れるだけで満足だったんだけど、だんだん見え方が気になってきて。私は最初からカメラマンとしてプロだったんじゃなくて、「プロ」という肩書きがついてから、そういう心境の変化を経て、だんだんプロに近づいていった感じだったと思います。

関めぐみ

すずき:関さんは、いつ頃からこの仕事をしているんですか?

:1996年くらい。その頃にアシスタントを終えてフリーになって、音楽雑誌で仕事を始めました。お手伝いをさせてもらうカメラマンが何人かいたんですけど、みんな音楽関係の仕事をしていたこともあって、自然な流れで『音楽と人』(1993年創刊の音楽月刊誌)とかでお仕事をさせていただくようになって。

私と同じでゆきちゃんもそういうところがあると思うけど、ちょっとガツガツ度が足りないのかもしれない(笑)。「自分から売り込みにいくのもな~」っていうのもあって。でも2002年に『relax』(マガジンハウス発行のカルチャー雑誌。昨年10年ぶりに特別復刊した)で仕事をさせてもらうようになったあたりからは、音楽業界から離れたところでも撮影することが多くなりました。

すずき:そうだ。それで私、BEAMS BOYのカタログのお手伝いをさせてもらったりしましたよね。

生まれて死ぬまで、少しずつ自分になっていくんだと思う。(すずき)

:そうそう。『relax』が編集するBEAMS BOYのカタログがあって、ゆきちゃんにモデルをお願いしたんです。

―最初はバンドの撮影だったのが、個人的な繋がりでお仕事をするようになったんですね。

:そうですね。ファッションの撮影でも「ゆきちゃんみたいな子がいたらいいのにな」って思って、最後はゆきちゃんに泣きつくんです(笑)。ゆきちゃんはモデルじゃないけど存在感があって、いわゆる普通とはまた違うのがいい。一応、躊躇はするんですよ。モデルじゃないのにそんなこと頼んでいいのかなって。

関がiPhoneで撮影したすずき
関がiPhoneで撮影したすずき

すずき:でも私はすぐ「行きまーす!」って(笑)。関さんに呼ばれると、自分の生活やバンドっていうカテゴリーの中ではあんまり触れることのないものが見られたり、面白いことが絶対あるんです。

現場でも、関さんみたいな柔らかい雰囲気の人がポツンといて、編集の女性とかもおっとりした感じで、「これがいいんじゃない?」なんて言いながら静かにものを作っているところを見られるのがすごく楽しくて。

―結構前からモデルとしてお手伝いされていると思うんですけど、モデルの道もある、とかは考えなかったんですか。

すずき:全然思わないです! 全然!(笑) それはやっぱりプロの人に対して失礼だと思うから。あくまで関さん専属です。関さんが撮ってくれるからこそ伸び伸びやれているところもあるし、言われたとおりにやります(笑)。私はそこに参加することに意義があると思っているので、自分を出そうとかは考えてないんです。

二人で写真を撮り合う
二人で写真を撮り合う

―そうなんですね。

すずき:歳を重ねるごとに、自分はバンドマンだからこれはやりませんとか、これはこうだからやりませんということは、ナシにしようと思うようになったんですよね。どんな仕事でも、自分が必要とされていることはやりにいきたいから、場所は選ばない。

それで自分がやっていることがブレちゃうのであれば、それまでだと思うんですよね。何でもやってみて、最終的にOKにすればいいんじゃない? って思えています。

―職人気質ですよね。モデルもしていますというアナウンスを、バンドのファンにしてこなかったでしょう。

すずき:そうですね。そっか、みんなが知りたいとも思わなかった(笑)。

:そういうところあるよね、ガツガツ前にいかない感じ。

すずきもiPhoneで関を撮影
すずきもiPhoneで関を撮影

すずき:あるかもしれない(笑)。さっき、関さんが少しずつプロになっていったって言っていたけど、それは仕事の話だけじゃなくて、生まれて死ぬまで、みんなも少しずつ自分になっていくというか。少しずつ人生のプロになっていってるんだと思うんです。

だから今、自分より年下の友達と接していても、20歳くらいの時のキツさも、20代後半の時のキツさもわかる。でも、みんなそのキツさを少しずつ、それぞれ経験して乗り越えていくしかないんだなと思うんです。今はそこに変に逆らう気がサラサラない。

―みんな避けて通れない道というか。

すずき:うん。伸び伸びコツコツ生きていくしかないし、自分の表現はそこにのっとった方がいいんじゃないかなって。関さんが時期によって色んな対象を撮ってきたみたいに、それでいいんじゃないかなって思っています。

:ゆきちゃんはそれでいいと思う。さっきも言ったけど、すごくいい感じに力が抜けてきているから。

左から:関めぐみ、すずきゆきこ

すずき:そうですね。でも、関さんに声をかけてもらえるのは、私は絶妙なところを縫っている感じだからなのか。いい話を聞いちゃった(笑)。でもその絶妙なところをバンドでも最近は大事にしています。

いよいよ何バンドなのかわからなくなってくるというか。いわゆるロックバンドというのとは違うような、でもロックだよね、っていうところもあるし。

―確かに。今回のアルバム『ミラクル』の資料に「毎日を前向きに生きていくためのヒントを、ユーモラスな歌詞と一風変わったロックンロールにのせてお届けします」と書かれていて、いい感じに開き直ったなあと(笑)。

すずき:あはは、そうですね(笑)。

私なんて、何だかんだバンドだから守られているなと思う。でもそれじゃいけないと思った。(すずき)

―個人の仕事はその時々で色々と選べたとしても、バンドだとそれが難しかったりもするじゃないですか。だけど、すずきさんは自分が歌いたいことを表現する=それがバンドの表現なんだって考えられるようになったことが、良き変化に繋がったんじゃないですか?

すずき:そうですね。それがアルバム『Joyful Joyful』(2012年)の時で。自分自身が変化していくんだってことに気付いたり、メンバーが変わったりもしたけど、このBUGY CRAXONEというバンド名でこれからも音楽を続けていくって決めたから。

すずきゆきこ

―そういう覚悟ができたというか。

すずき:うん。プロセスも大事だけど、プロセスよりも、自分は何をしたらナイスなのかとか、何をしたらみんなといい仕事ができるかとか、そういうことの方がよっぽど大事だなって。関さんみたいに、ひとりでフリーで仕事をするのって気合いがいるでしょう? 失敗した時でも自分でカバーしなきゃいけないし、ほんとすごいなと思う。私なんて、何だかんだバンドだから守られているなと思うし。でもそれじゃいけないと思ったのが去年なんです。

―最近のことなんですね。

すずき:遅いですよね(笑)。せっかくだから、女の人だからこその気の強さとか、そういうところをもっと私は駆り立てていかなきゃと思って。そうしたら、BUGYが20周年を迎えてもう1回頑張ろうぜっていう時に、自分が力になれるんじゃないかな。

何かそういう気合いの入った仕事をしたいと思った時に、関さんみたいにひとりで頑張っている人のジャッジの仕方とかは参考にしています。それに関さんは人を褒めるのがすごく上手いんですよ。その時の現場で必要なリカバリーやフォローを静かにしてくれる。それがすごく大人だなと思うし……その反面、大人じゃないところもいっぱい知ってるけど(笑)。

左から:すずきゆきこ、関めぐみ

―前回、すずきさんにインタビューさせていただいて、「母性みたいなものが自分の中から出てきた時に感受性が変わった」というお話もありました。関さんはそういう変化はありましたか?

:母性は全然ないです(笑)。でも自分の中に「女性目線」みたいなものはやっぱりあるんですよね。男の人がかっこいい男の人を撮ると、キメキメすぎる時があると思うんですけど、私はそういうのは恥ずかしくなっちゃうんです。

例えばイチローさんを撮影させてもらった時も、かわいく撮りたいなと思ったし、THE YELLOW MONKEYもやっぱりキメキメの写真ばっかりだったから、ちょっとゆるいのが見たいなと思ってそんな風に撮らせてもらったり。だから、決してCDジャケットの撮影には呼ばれないですけどね(笑)。でも、自分がいいと思う写真が撮れたと思っています。そういう、ちょっとゆるめの雰囲気の作風は、やっぱり自分が女性だから変わらないのかなって。

関めぐみ

―ゆるさの中に関さんならではの温かみや被写体の本質みたいなものが滲み出る作品になるんでしょうね。

:いつまで経ってもカメラマンとしての貫禄が出ないのが悩みです(笑)。

デビュー当時よりもたくましく自分の人生を築けている。ナイスな未来を作るのは今の私だ、って思っています。(すずき)

―BUGY CRAXONEとしては、今回の『ミラクル』が再メジャー作になるわけですが。

すずき:20周年だから渋谷CLUB QUATTROでライブがやりたいという話は事務所に伝えていたんですけど、今作は、それをやるにあたって「じゃあメジャーでもう1回リリースできるようにしましょう」って用意してくれた話だったんです。

みんな若くもないし、クアトロにトライしようっていうだけでも結構なパワーがいるけど、ありがたいことに我々の近くにはたくさんの先輩バンドや、バンドという生き物に慣れているスタッフがいる。だから、マンパワーを信じているんですよね。

BUGY CRAXONE『ミラクル』ジャケット
BUGY CRAXONE『ミラクル』ジャケット(Amazonで見る

―心持ちも変わりましたか?

すずき:今は、最初のメジャーデビューの時とはまた違う気持ちで、人力でどこまで走れるかやってみてもいいんじゃない? って思っています。だから今はあんまり怖いものはないです。デビュー当時よりも、よりたくましく自分の人生をメンバーそれぞれが築けているから、その力を今BUGY CRAXONEに還元できたらいいなって。ナイスな未来を作るのは今の私だ、って思っています。

左から:関めぐみ、すずきゆきこ

―関さんはその時々のすずきさんの変化を見てこられたと思いますが、先輩として何かアドバイスありますか。

:ちょっと悩む時もあるみたいですけど気にせず、稀有な存在でいてください。誰かが背伸びしたってなれるものじゃない何かを持っている人だと思うし、それってギフトだと思うから。これからもっとゆるくていいと思いますよ(笑)。

すずき:ありがとうございます、いい先輩です!

リリース情報
BUGY CRAXONE
『ミラクル』初回限定盤(CD+DVD)

2017年1月18日(水)発売
価格:3,500円(税込)
TECI-1532

[CD]
1. ブルーでイージー、そんでつよいよ
2. ぶるぶるぶるー
3. いいじゃん
4. Come on
5. FAST
6. dreamer
7. ロマンチスト
8. チーズバーガーズ・ダイアリー
9. ハレルヤ
10. ガーデン
11. いいかげんなBlue
12. NY
13. なんとなく Be happy
14. ナイス・ナイス・ナイス
15. ベリナイス
16. たいにーたいにー
[DVD]
1. NORTHERN ROCK
2. WATCH YOUR STEP
3. Why not?
4. Come on
5. FAST
6. いいじゃん
7. NY
8. ロマンチスト
9. ベリナイス
10. ぶるぶるぶるー
11. なんとなく Be happy
12. チーズバーガーズ・ダイアリー
13. たいにーたいにー
14. No9. Punk Lover
15. Lesson 1
16. ブルーでイージー、そんでつよいよ
17. dreamer
18. 枯れた花
19. I scream(EN)

BUGY CRAXONE
『ミラクル』通常盤(CD)

2017年1月18日(水)発売
価格:2,500円(税込)
TECI-1533

1. ブルーでイージー、そんでつよいよ
2. ぶるぶるぶるー
3. いいじゃん
4. Come on
5. FAST
6. dreamer
7. ロマンチスト
8. チーズバーガーズ・ダイアリー
9. ハレルヤ
10. ガーデン
11. いいかげんなBlue
12. NY
13. なんとなく Be happy
14. ナイス・ナイス・ナイス
15. ベリナイス
16. たいにーたいにー

イベント情報
『BUGY CRAXONE 20周年記念ワンマン“100パーセント ナイス!”』

2017年11月19日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO
出演:BUGY CRAXONE
料金:前売2,900円 当日3,400円(共にドリンク別)

プロフィール
BUGY CRAXONE
BUGY CRAXONE (ぶーじー くらくしょん)

すずきゆきこ(Vo,Gt)、笈川司(Gt)、旭司(Ba)、ヤマダヨウイチ(Dr)による4人組バンド。1997年5月に札幌で結成。1999年3月にビクターエンタテインメントよりデビュー。2003年、レーベルとマネージメントを兼ねたZubRockA RECORDSを設立。2014年6月には、ヤマダ加入後、4人での初アルバム『ナポリタン・レモネード・ウィーアーハッピー』を発売。2015年、3度目の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』への出演を果たすなど、ライブパフォーマンスにも定評がある。結成20周年となる2017年、テイチクエンタテインメントに移籍し1月にベストアルバム『ミラクル』をリリースした。11月19日(日)渋谷クアトロでの結成20周年記念ワンマンも決定している。

関めぐみ (せき めぐみ)

写真家。音楽、スポーツ、カルチャーなどの雑誌や広告、書籍、ファッションブランドのカタログの撮影などを行なう。2010年8月には、葉山の一色海岸に来訪した約150組の一般客を撮影するイベント『8月の写真館』を開催し書籍化。



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