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ソニーは何も終わっていない。伊藤弘(groovisions)×田幸宏崇

ソニーは何も終わっていない。伊藤弘(groovisions)×田幸宏崇

ソニー株式会社「Life Space UX」
インタビュー・テキスト
ヤマザキムツミ
撮影:永峰拓也

Appleが、プロダクトデザインの多くを変えてしまったので、デザイナーに課せられたハードルが一気に高まったという感じはありますよね。(伊藤)

―伊藤さんは昔からソニー製品の愛用者だったそうですが、印象的なプロダクトってありますか?

伊藤:小学生のときに親父に買ってもらった「スカイセンサー5500」が好きでしたね。当時としては高価なラジオだった思うのですが、父親がソニー好きだったのもあって、子どもにあげるという体裁でむしろ自分に買っていたんじゃないかと。

スカイセンサー5500
スカイセンサー5500

―1972年の製品ですよね。田幸さんはそこから10歳ほど下の世代になりますが、ソニーのイメージはいかがでしたか?

田幸:僕はあまのじゃくだったので、あまりソニー製品を持ってなかったんですよ(苦笑)。大人になってからもCD・MDウォークマン全盛の時代でしたが、オーディオを買うにも3番手ぐらいのメーカーを買うような感じで。

―そんなあまのじゃくな田幸さんが、なぜソニーに転職を?

田幸:正直、デザイナーとしての腕試しだったんです。当時、ソニーが経験者採用を大々的に募集するというので、デザイン業界は大騒ぎだったんですよ。それで受けてみたら合格してしまったので、転職したという感じで(笑)。

―すごい動機ですね(笑)。

田幸:ただ、ソニーに入社した理由の1つに、新津琢也という大御所デザイナーの存在は大きかったです。彼が手がけた「WEGA KDE-50HX1」という大型テレビのプロダクトデザインは、どうやって作っているのか構造がまったくわからなくて、はじめて家電屋さんまで調べにいった製品なんです。後に大型テレビのデザインを手がけるようになったのも新津さんの影響で、僕のなかではいまだに憧れで、いつか越えたいと思っています。

WEGA KDE-50HX1
WEGA KDE-50HX1

―田幸さんは最近、最薄部がスマートフォンよりも薄い約4.9mmという4K液晶テレビ(BRAVIA X9000Cシリーズ)を手がけられていましたね。実際インダストリアルデザインの世界に入られてみていかがでしたか?

田幸:X9000Cを作れたことで、憧れだった新津さんに少しだけ近づけたかなと思っていますし、結局なんだかんだ言って、インダストリアルデザインは自分に向いていたと思います。大型ショッピングモールをどうやったら活性化させられるかといった空間デザインの勉強や、TOTOでの経験など、デザイナーとしての観点が違っていたのがよかったなと思います。

4K液晶テレビ  BRAVIA『X9000C』シリーズ
4K液晶テレビ BRAVIA『X9000C』シリーズ

―空間デザインを学ばれた経験は、居住空間を活かすプロダクトデザインを追究するソニーの新しいプロジェクト「Life Space UX」でも活かされているように思います。伊藤さんは「Life Space UX」シリーズとして発売されたLED電球スピーカー『LSPX-100E26J』を即購入されて、ご自身のブログでレビューされていらっしゃいましたが。

伊藤:発売日に買いに行ったんですよ(笑)。デザインもコンセプトも、これまでのソニーのイメージと全然違っていたので、こういう商品が出るということに興味があって、逆にソニーじゃなかったら買わなかったと思います。

LED電球スピーカー『LSPX-100E26J』(Life Space UX)
LED電球スピーカー『LSPX-100E26J』(Life Space UX)

―これまでのソニーに対するイメージはどういう感じだったんですか?

伊藤:「スカイセンサー5500」みたいに、業務用機器が薄まることなくコンシューマーに下りてきて、家電と言うよりは「メカ」そのものというか。それが僕の好きなソニーだったので、LED電球スピーカーみたいに、ライフスタイル、インテリア寄りの製品をソニーが出すというのが意外だったんですよね。

田幸:でも、そこが悩みでもあるんですよね。

伊藤:うん、わかります。すごく悩みが伝わってくるプロダクトですよね。ソニーだけじゃなく、世の中全体に通じる悩みだとは思いますけどね。

―世の中全体というのは、つまり……。

伊藤:Appleの存在がやっぱり大きかったですからね(笑)。

田幸:言っちゃいましたね(笑)。でも、おっしゃる通りだと思います。

伊藤:Appleが、プロダクトデザインの多くを変えてしまったので、それ以降、デザイナーに課せられるハードルが一気に高まったという感じはありますよね。

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イベント情報

『Sony Design: MAKING MODERN』

2015年11月27日(金)~11月29日(日)
会場:京都府 京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス 瓜生館
時間:10:00~17:00
料金:無料

プロフィール

伊藤弘(いとう ひろし)

groovisions代表。ピチカート・ファイブのステージビジュアルなどで注目を集め、以降グラフィックやムービー制作を中心に、音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど様々な領域で活動する。また、主に海外ではファインアートの展覧会にも数多く参加、オリジナルキャラクター「chappie」のマネージメントを行うなど、ジャンルにとらわれない活動が注目されている。

田幸宏崇(たこう ひろたか)

ソニー(株)クリエイティブセンター チーフアートディレクター。2004年 ソニーに転職後、2012年にチーフアートディレクターになり、現在はLife Space UX、テレビ、ホームシアター、メディアプレーヤーなどホームカテゴリー製品全般、およびR&D系プロジェクト全般のアートディレクションを担っている。

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