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古田新太と劇団鹿殺しが本気で語る、演劇と「お金」のリアルな話

古田新太と劇団鹿殺しが本気で語る、演劇と「お金」のリアルな話

劇団鹿殺し『キルミーアゲイン』
インタビュー
佐々木鋼平(CINRA.NET編集長)
テキスト:萩原雄太 撮影:田中一人

「こいつらバカなんだ、おもしろいんだ」って、いろんな人に言っていたら、「じゃあ行ってみるか」っていう人がたくさんいたんです。(古田)

―関西で演劇活動をすることは、東京にはない苦労もあるのでしょうか?

古田:俳優はテレビの仕事がほとんどないから、京都で時代劇をやるか、ラジオのパーソナリティーをするしかない。生活していこうと思ったら、東京に出て行かなきゃしょうがないもんね。新感線も最初は大阪でも人気がなかったんですが、オイラは25歳で早々と東京に引っ越して、2年くらい東京と大阪の二重生活をしていました。第三舞台(鴻上尚史が主宰した劇団。2012年解散)とか、夢の遊眠社(野田秀樹が主宰した劇団。1992年解散)とか、東京で人気のある劇団に出演して、そこの客を新感線に持って帰ってくる作戦だった(笑)。

左から:菜月チョビ、古田新太、丸尾丸一郎

菜月:(笑)。そもそも演劇畑で、大阪で俳優として食べてる人ってほとんどいなかったんですよ。鹿殺しには、古田さんみたいに人気劇団に出演できる俳優もいなかったし、つながりもなかった。だから劇団メンバーで一致団結して上京するしかなかったんです。

―東京の外れに一軒家を借りて、劇団員全員で共同生活していたそうですね。

古田:その結束がおもしろかったんだよ。劇団ごと引っ越すなんて無謀にもほどがあるだろうと(笑)。鹿殺しと同世代の関西出身の劇団はいくつかいて、同じように応援していたんだけど、贔屓していると思われるのが嫌だったから、推薦文を頼まれても断っていたんです。でも、この二人に頼まれて、はじめて推薦文を書いた。

菜月:私たちは、それまで本当に演劇界につながりがなかったので、そんな事情もまったく知らず、ライブを観にきてくれた古田さんしか頼れる先輩がいなくて、震える手で必死に電話をかけたんです(笑)。

―シーンから隔絶していたからこそ、そんな大胆な行動もとれたということですね(笑)。どんな内容の推薦文だったんですか?

丸尾:「元気があってよろしい」っていうタイトルで、「賞狙いとかは他のやつに任せておけ。こんな元気のいいやつらはなかなかいないぞ」「自信を持ってオススメできるバカ」って書いてくださったんです(笑)。東京に来て1年目だったんですが、その公演には、古田さんの推薦文を見て、松竹の偉い人や、劇団☆新感線のいのうえひでのりさん、演出家の河原雅彦さん、阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんのような人たちが観にきてくれたんです。

古田:「こいつらバカなんだ、おもしろいんだ」って、いろんな人に言っていたら、「じゃあ行ってみるか」っていう人がたくさんいたんですよ。やっぱり、応援する先輩がいるのといないのとじゃ、周囲の受け取り方も全然違うから。新感線も最初は、東京でお世話になったいろんな先輩たちが「新感線っていうバカな劇団がいるよ」って、演劇界の人たちをいっぱい連れてきてくれるようになって、それを聞いた大阪の人たちが「へー」って観に来るようになったから。

古田さんほど、お客さんをどう呼ぶのか、劇団をどうやって大きくするのかを真剣に考えている人ってなかなかいない。(菜月)

―古田さんは、鹿殺しに変化をもたらした先輩だったんですね。

菜月:私と丸尾の母校は演劇が盛んじゃなかったから、上のつながりもないし、関西の演劇シーンとの横のつながりも希薄だったんです。だから芝居の基礎も作り方もまったく知らないような状態で、古田さんに出会ったころに、舞台監督という存在をはじめて知ったくらい。

古田:はじめてチョビや丸尾に会ったころ、「できないことは人に習え」って言ったよね。

菜月丸尾:はい(笑)。

古田:殺陣師を入れたり、振付家を入れたり、「できないことは人に教えてもらうんだよ」っていう、初歩中の初歩を教えていました(笑)。でも、そんな彼らの姿勢は共感した部分でもあるんです。新感線の振付や殺陣も、ずっといのうえ(ひでのり)さんとか僕がやっていたしね。

丸尾:青山円形劇場ではじめてやらせてもらったとき、新感線の公演と同じ劇場担当の方だったんです。そしたら「新感線の最初のころもひどかった」っておっしゃっていて。ボロボロのリハーサルを終えたときにそう言われたので、すごく勇気をもらった(笑)。

―そういう意味では、鹿殺しと古田さんは考え方も似ていた?

菜月:そうですね。古田さんは、上京した理由が「お客さんがいるところに行って取ってくる」だったり、破天荒なように見えて、すごく分析的で着実なんです。古田さんくらい、お客さんをどうやって呼ぶのか、劇団をどうやって大きくするのかを真剣に考えている人ってなかなかいないので、その意味でもすごく共感しました。

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イベント情報

劇団鹿殺し 活動15周年記念公演
『キルミーアゲイン』

作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
音楽:入交星士×オレノグラフィティ
出演:
菜月チョビ
丸尾丸一郎
オレノグラフィティ
橘輝
鷺沼恵美子
浅野康之
峰ゆとり
近藤茶
木村アヤナ
メガマスミ
椙山聡美
大東駿介
細貝圭
河野まさと(劇団☆新感線)
ほか

東京公演
2016年1月9日(土)~1月20日(水)
会場:東京都 下北沢 本多劇場

大阪公演
2016年1月28日(木)~1月31日(日)
会場:大阪府 ABCホール

プロフィール

古田新太(ふるた あらた)

兵庫県出身。劇団☆新感線の看板役者。活躍の場は広く、バラエティー番組への出演や多くのCM出演、コラムニストとして雑誌連載を持つほか、著書に『気になちょるモノ』『ドンジュアンの口笛』『魏志痴人伝』『柳に風』がある。近年の劇団公演以外の出演作に、ドラマ『リスクの神様』『信長協奏曲』『ドクターX~外科医・大門未知子~』『隠蔽捜査』、映画『エイプリルフールズ』、舞台『いやおうなしに』『万獣こわい』などがある。現在、映画『パディントン』『信長協奏曲』『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』の公開が控え、1月3日放送のCX『坊ちゃん』にも出演。テレビ朝日『関ジャム』にレギュラー出演中。また、パルコ劇場にて舞台『ツインズ』に出演。1月は地方にて公演を行う。

劇団鹿殺し(げきだん しかごろし)

2000年、菜月チョビが関西学院大学のサークルの先輩であった丸尾丸一郎とともに旗揚げ。劇場では正統的演劇を行いながらも、イベントでは音楽劇的パフォーマンスを繰り広げる。上京後2年間の共同生活、週6日年間約1000回以上の路上パフォーマンスなど独自の活動スタイルで、演劇シーン以外からも話題を呼び、TV朝日『ストリートファイターズ』では人気投票全国2位となる。2013年、菜月チョビの文化庁新進芸術家海外派遣制度による1年間の海外留学を発表。同年、充電前最後の本公演『無休電車』を東京・伊丹で発表、6,000名を動員する。2015年6月には、シンガーソングライターの石崎ひゅーいを客演に招き、全編生演奏のロックオペラ『彼女の起源』を発表した。

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