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LILI LIMITの挑戦は始まったばかり。芸術性と大衆性は両立する?

LILI LIMITの挑戦は始まったばかり。芸術性と大衆性は両立する?

LILI LIMIT『#apieceofcake』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:西田香織
2016/01/20

今って、「孤独だなぁ」って思ったときに、Twitterとかで「孤独だ」ということを発信できるじゃないですか。それが現代において一番問題なんじゃないかと思う。(牧野)

―牧野さんの描く言葉は、すごく自分自身に向き合おうとしている言葉だなって思うんです。それに、そうすることが今の時代においては難しいということにも向き合っている。こういう側面は、どうして出てくるんだと思いますか?

牧野:確かに僕はずっと「自分」というものを探している感覚があって。「これって本当に自分の頭の中で考えたことなんだろうか?」って考え始めることがよくあるんです。

―たとえば“Festa”の<日用品が自分を映す鏡だ>とか、“morning coffee”の<世界とは自分の目でしかない>という歌詞とか、世界と自分との関わりが牧野さんにとっては重要なのかなと思ったんです。

牧野:そうですね……今って、「孤独だなぁ」って思ったときに、Twitterとかで「孤独だ」ということを発信できるじゃないですか。それが現代において一番問題なんじゃないかと思っていて。「私、死にます」なんてことも共有できるのは恐ろしいことだよなって思うんです。

―人の気持ちって、そう簡単に他者に説明できるものでもなければ、一元的に共有できるものでもないですもんね。でも、“Festa”のこの歌詞がいいのは、「日用品」という言葉を使うことで、人それぞれの「日用品」を想像する。そこに解釈の余地があるなって。

牧野:<日用品のメモこそが自分を映し出す鏡なんだ>って歌詞は、自分の中では「名言を書いたな」っていうぐらいに思ってます(笑)。

サカナクションって、お客さんがどんどん広がっていくイメージなんです。でもセカオワは、また違う広がり方をしているというか。(牧野)

―実際、ライブの現場などでお客さんを見て、自分たちの音楽の受け取られ方に対して思うことはありますか?

牧野:すごく嬉しくなるときが大半なんですけど、ステージ上にいても、実際はステージ上にいる感覚がないんです。常にお客さんと同じ土俵にいる「普通の人」でいたいっていう気持ちが強いのに、ステージ上で「手を挙げてくれ!」なんていう言葉がすんなり出てくる自分もいて……。

牧野純平

―もしかしたらLILI LIMITはその差異を強く感じるのかもしれないですね。音楽で空間を作りたいだけであれば、匿名的なアンビエントミュージックを鳴らしていればいいと思うんですよ。でも、LILI LIMITには言葉が絶対的に必要になっている。その上で抽象的な「空間」を生み出そうと思うと、その苦しみは直面せざるを得ないかもしれない。

牧野:そうなんですよね。

―この先、LILI LIMITとして目指していきたいことはありますか?

牧野:いつになるかわからないですけど、メンバーみんながそれぞれの活動をちゃんとできたらいいなって思います。僕の兄がデザイナーをやっていて、バンドのデザイン面でも助けてくれているんですけど、そうやっていろんな分野において携わってくれる人を増やして、チームみたいにしていけたらいいなって。LILI LIMITがひとつの会社みたいになって、音楽とは別の方向にも手をのばせたらいいなと思いますね。

LILI LIMIT

―今、日本ではサカナクションが、そういったチームとしての動きをとって音楽から他のカルチャーにも広げていこうとしていますよね。

牧野:サカナクションとは、よく似ていると言われます(笑)。だから、もっと考えないとって思ったりします。サカナクションはずっと好きなので、彼らとはちょっと違う、僕ららしい場所に落とし込んでいければいいなって。

―SEKAI NO OWARI(以下、セカオワ)はどういうふうに見てますか? 彼らの音楽性も、特殊なJ-POPの在り方としてあると思うんですよ。

牧野:ああ、サカナクションよりセカオワのほうが近いのかもしれない……セカオワにはパンク魂を感じるんです。“Dragon Night”が売れてから、次のシングル曲で英詞を取り入れていったりする。あの流れは絶対に何年も前から考えていたんだろうなって思うし。

土器:裏切りみたいなものがありますよね。見ていて「やられた!」と思わせる感じはかっこいいと思う。

土器大洋

牧野:サカナクションって、お客さんがどんどん広がっていくイメージなんです。でもセカオワは、また違う広がり方をしているというか……山口さんはロックスターというイメージですけど、Fukaseさん(セカオワのボーカル)はスターでありながらも、もうちょっとリスナーに近いイメージがあると思うんです。入る隙間があるというか。

―これは僕の解釈ですけど、山口さんには、オルタナティブなものを世の中に広めていこうという目的意識や使命感がはっきりとあると思う。それに対してFukaseさんは、すべてにおいて自らの「表現」を第一義に置く人だと思うんです。だから、「広める」よりも「巻き込む」に近い。そして「表現」である以上、そこには様々な解釈の余地が生まれるのかなって思いますね。表現って、曖昧なものだから。

牧野:うん、そうですね。僕が感覚的に作ったものを、土器がパソコンで向き合って論理的にする。そして、それをまた僕が感覚的に戻す。そのバランスが重要な気がします。そうやって音楽を作っていくことで、僕らの間に絶対に隙間が出てくるんですよね。お互いからまったく同じ意志は、絶対に出てこないから。その隙間が、聴いている人がいろんな解釈をしてくれるために重要なのかなって思いますね。今後はメンバー五人で作る曲があってもいいと思うから、また深く隙間が出てくるんじゃないかな。

土器:そうだね。考える余地とか、単純な音の隙間とか、そういう曖昧でぼんやりした部分は残しておきたいですね。聴いているときの心地よさはJ-POPと同じだけど、聴き終わったあとには「あれ?」って引っ掛かったり、ちょっと歌詞カードを読み返してしまいたくなるような、クエスチョンが残るようなものではありたいです。

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リリース情報

LILI LIMIT『#apieceofcake』
LILI LIMIT
『#apieceofcake』(CD)

2016年1月20日(水)発売
価格:2,160円(税込)
LACD-0267

1. Festa
2. Boys eat Noodle
3. N_tower
4. morning coffee
5. seta gaya
6. vanilla ice claim
7. lycopene
8. nnmnd

イベント情報

『#apieceofcake release tour2016』

2016年2月21日(日)
会場:大阪府 心斎橋 JANUS

2016年2月26日(金)
会場:愛知県 名古屋 APOLLO BASE

2016年3月13日(日)
会場:東京都 新代田 FEVER

プロフィール

LILI LIMIT
LILI LIMIT(りり りみっと)

男女混成5人組バンド。2012年、ボーカル牧野を中心に山口県宇部にて結成、その後福岡へ拠点を移動し現在のメンバーになる。2014年より東京にて活動を開始。自主制作CD“moduler”を残響SHOPレーベルよりリリース。2015年4月ラストラムより1stシングルを店舗限定にてリリース。発売日から完売店舗が続出するなど新人バンドとしては驚異的なセールスを記録。同年7月、初のミニアルバム『Etudes』を全国リリース。そして2016年1月20日、2ndミニアルバム『#apieceofcake』をリリースする。

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