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「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望

僕は、『テレクラキャノンボール』も総合的に言ったら青春映画だと思っている。(松居)

―『私たちのハァハァ』は、客観的なカメラも挟まれますが、基本は女子高生が自分たちで撮っているハンディカメラのシーンがメインで進んでいき、途中でLINEのやりとりの画面も入ってくる。映画として面白い作り方になっていますよね。

松居:僕はもともと演劇の世界にいて、映画の助監督とか下積みをしないまま、2012年に『アフロ田中』という商業映画でデビューして……だから自分の方法論もなく、どういうものが映画らしいのかもよくわからないまま撮っていたところがあって。そもそも「らしいもの」っていうのが、あんまり好きじゃないんですよね。

―「らしいもの」?

松居:たとえば、ミュージックビデオ(以下、MV)って、ミュージシャンがかっこよく映っているものが「MVらしいもの」とされていたりするじゃないですか。で、一方映画は、何か低い温度でヒリヒリやっているようなものが「映画らしいもの」とされているところがある。何かそういうものに馴染めなかったというか、むしろ『フラッシュバックメモリーズ3D』とか『劇場版BiSキャノンボール』とか、僕から見ればですが「こうあるべきもの」なんて考えていないような作品が好きだったんですよ。「楽しい。面白い」と本当に思って自然に作っているもののほうがいいなって。

松居大悟が手がけたMV

―『私たちのハァハァ』が「中高生のための青春映画」になっている一方で、『劇場版BiSキャノンボール』にも繋がった、松尾さんの大ヒットAV作品『劇場版テレクラキャノンボール2013』は、「大人の青春映画」みたいなことを言われていましたね。

松尾:うーん、そうですね……いろいろな見方をしてくれていて、たとえば「男子の修学旅行の部屋を覗いている感じで面白い」って言ってくれていた女性もいるし、「おっさんたちが頑張っている姿がグッときた」みたいな感想もあって。ただ、あの映画は、そういう青春映画ではまったくないんですよ。

―そもそも、映画の中でやっていること自体、「青春」からは程遠いものですからね(笑)。

松尾:何ひとつ青春映画の要素がない(笑)。にもかかわらず、なぜそれがエモーショナルに響いたかって、それは僕がそういう要素を編集でつけ足しているからなんですよ。正直言って、現場にそれはなかったです。でも、編集を加えてちょっとエモい方向に持っていかざるを得なかったというか。なぜなら、それまでにやっていることが、あまりにもひどすぎたから(笑)。

左から:高根順次、カンパニー松尾、松居大悟

―(笑)。

松尾:映画館で、ひどいものを観せられた人たちに、最後にデザートを出さなきゃって思ったんですよね。途中、ちょっと腹を壊しそうな感じだったので、最後ぐらいはすごく甘くて美味しいものを出さなきゃっていう。あと、かっこいい音楽と一緒に、「つまらない大人にはなりたくない」というテロップを出したりとか。あれもよく考えたら、本編とは全然関係ないですからね(笑)。

―松居さんは、『劇場版テレクラキャノンボール2013』をどう観られましたか?

松居:僕は、あの映画も総合的に言ったら青春映画だと思っていて。何をもって青春映画とするかにもよると思うんですけど、中高生の頃って、いろんな感情が同時に湧いて、よくわからないまま入り混じっているじゃないですか。でも、大人になったら、そういう感情をどんどん言葉にして、片付けていかないと生きていけないというか。これは「悲しい」という感情だとか、「楽しい」という感情だとか、一個一個の感情を言葉にして整理していかなければならない。でも、あの映画は、観ていると言葉にできない感情が次々と湧いてくるんです。「楽しく笑っちゃったけど、何か複雑だな」とか、いろんな感情が同時に湧き起こってくるから、そういう意味で僕は青春映画だと思うんですよね。

左から:カンパニー松尾、松居大悟

松尾:あれは、劇場で観た場合は、またちょっと違うんですよね。DVDで見てたら、みんな笑いもしないんですよ。だけど、劇場でみんなと一緒に観たら、思わず笑ってしまったりする。

松居:そうそう。だから、映画館が、すごい青春の空間でした(笑)。

松尾:あの映画の場合は、映画館がひとつの空間になっちゃうんですよね。それは僕も意外でした。

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イベント情報

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』

2016年2月8日(月)、2月9日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
料金:各公演 前売1,500円 当日1,800円(共にドリンク別)

2016年2月8日(月)OPEN 15:00 / START 15:30
上映:『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(監督:佐渡岳利)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧―』(監督:大根仁)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『超LIFE』(監督:タケイグッドマン)
※トークショーあり(出演:タケイグッドマン、Bose(スチャダラパー))

2016年2月8日(月)OPEN 24:30 / START 25:00
上映:『完全版BiSキャノンボール2014』(監督:カンパニー松尾)
※BiSHライブあり

2016年2月9日(火)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『トイレのピエタ』(監督:松永大司)
※トークショーあり

2016年2月9日(火)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『私たちのハァハァ』(監督:松居大悟)
※トークショーあり(出演:松居大悟、井上苑子)
※井上苑子ミニライブあり

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER NEW FORCE』

2016年2月16日(火)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
Suchmos
DAOKO
never young beach
Mrs. GREEN APPLE
LILI LIMIT
あいみょん

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日)
会場:東京都 国際フォーラム ホールA

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

詳細後日発表

プロフィール

高根順次(たかね じゅんじ)

SPACE SHOWER TV勤務のプロデューサー。プロデュース作品に、事故で記憶障害を負ったミュージシャンGOMAが復活する過程を描いたドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』(松江哲明監督、2013年公開)、アイドルvsAV監督のアイドル史上最もヘンテコな解散ドキュメント『BiSキャノンボール2014』(カンパニー松尾監督、2014年公開)、クリープハイプのファンである女子高生四人が北九州から東京を目指す青春ロードムービー『私たちのハァハァ』(松居大悟監督、2015年公開)がある。

カンパニー松尾(かんぱにー まつお)

HMJM。『BiSキャノンボール』の監督にして、AV業界に「ハメ撮り」を定着させたAV監督。『テレクラキャノンボール』シリーズをはじめ、『私を女優にして下さい』『僕の彼女を紹介します』『麗しのキャンペーンガール』など数々の人気作を制作した。その人気はAV業界にとどまらず、音楽や映画など幅広いジャンルのクリエイターから支持を集めている。

松居大悟(まつい だいご)

劇団ゴジゲン主宰。2012年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。以降、クリープハイプのミュージックビデオから生まれた異色作『自分の事ばかりで情けなくなるよ』や、青春剃毛映画『スイートプールサイド』など枠にとらわれない作品を発表し続け、『ワンダフルワールドエンド』は第65回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式出品。『私たちのハァハァ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015で2冠に輝いた。

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突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

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