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「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

「音楽映画ブーム」を問う カンパニー松尾×松居大悟×高根順次

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望

BiSの解散ドキュメントは、違う方法でもできたかもしれないけど、AV監督六人が変なアプローチを仕掛けたことによって浮き出た彼女たちもあると思う。(松尾)

―同じ『キャノンボール』シリーズと言っても、松尾さんが次に撮った『劇場版BiSキャノンボール』は、それとはまったく違う雰囲気の映画に仕上がっていましたよね。

松尾:まあ、そうですね。『劇場版テレクラキャノンボール2013』が盛り上がって、それと同じものを期待していた人は、もう完全に肩透かしなので。ただ、『劇場版BiSキャノンボール』のほうが、わりかし僕がいつもやっている感じが強い作品になったような気がします。最後、「なんだかなー」で終わるような作品というか(笑)。

左から:カンパニー松尾、松居大悟

―ああ、なるほど。

松尾:『劇場版BiSキャノンボール』は、すごくリアルだったし、映画の作りも含めて嫌いじゃないんですよね。BiSっていうのは、あれぐらい本当にぶっちゃけた子たちだから、もしかしたら違う方法でも解散ドキュメントができたかもしれないけど、ああやってAV監督六人が変なアプローチを仕掛けたことによって浮き出た彼女たちっていうのも、きっとあるんだと思うし。

―そうですね。

松尾:まあ、劇場版では、なかなかエピソードが拾えなかったですけど、パッケージで出した5時間の完全版――今度の『MOVIE CURATION』ではその完全版を流すんですけど、そこでは「アイドルって何だろう?」ということも彼女たちから引き出してきたつもりなので、そこに関して言えば、一応僕なりに答えを提示できたのかなとは思っているんですけどね。

昨年は音楽映画豊作の年と言われてますが、それを続けていくためにも作り手の自覚が大切。(高根)

―今いろいろと話していただいた2本の映画を含め、高根さんはこれまで3本の音楽映画をプロデュースしてきましたが、いつもどういう発想や狙いのもと、音楽映画をプロデュースしているのですか?

高根:まあ、作品によって違ったりはするんですけど……実は僕、ファン心理っていうものが、よく分からないんですよね。誰かのファンになったことは、もちろんあるんですけど、その人を追っかけたりとか部屋にポスターを貼ったりとか、そういうのは一切なくて。もちろん、音楽は大好きですよ。死ぬほど好きなんですけど、それはあくまでも、その音楽が好きなのであって……それをやっている人自身には、あまり興味がないんです。

高根順次

―ちょっと意外です。では、ドキュメンタリーを作るときに何を意図しているのですか? その音楽のよさを、多くの人に伝えることですか?

高根:うーん、正直音楽を伝えようとも思ってないですね。ましてや、その人を伝えようっていうのでもないし。

松居:結局、それが映画として面白いか、面白くないかだけですよね。

高根:そうそう、作品として面白いかどうか。それだけですね。

松居:でも多分、そのほうがアーティストサイドと戦わなきゃいけないから、結構大変なんですよね。アーティストに気を使って、その人の言いなりになっていたら、普通のドキュメンタリーになってしまうだろうし……まあ、そのほうがファンは喜ぶのかもしれないけど、映画としては面白くないっていう。

松居大悟

松尾:うん。アーティストに対するリスペクトはもちろん大事ですけど、リスペクトが溢れすぎちゃったときは、あんまり面白くなかったりしますよね。パッケージっていうのは、やっぱりファンが観るもので、ファンを喜ばせてナンボだから、リスペクトしまくっているようなものが一番いいとは思うんですよ。ただ、劇場で流す場合は、そこをきっちり区別して、ファン以外も観れるアプローチをちゃんと考えないといけないと思うんです。

高根:実際、そこが意見が分かれるところなんですよね。「音楽ビジネスに携わる者は、ミュージシャンと仲よくなって、信頼関係を築いてナンボでしょ」という意見もある。基本的には、その通りだと思います。でも、映像作品を作る人たちは、ミュージシャンとある種距離をとって、客観的な立場からも判断しなきゃいけないし、作品を作らなきゃいけないし、届けなきゃいけないって、僕は思うんですよね。

―ある種の批評精神を持つべきというか。

高根:そう。言ってしまえば、ジャーナリズムもそういう部分があるじゃないですか。対象との距離の取り方に気をつけなければいけないっていう。ただ、音楽の仕事って好きじゃないとできないから、どうしてもファン心理が先にきてしまうんですよね。だからすごく難しいんです。

―なるほど、難しい問題ですね。

高根:そういう意味では……一昨年公開されたSEKAI NO OWARIのドキュメンタリー映画『TOKYO FANTASY』は、めっちゃよかったんですよ。フランス人の監督(ラファエル・フリードマン)が撮っているんですけど、あんまりセカオワのことをよく知らない人だから、内容がわりと予想外で。ポカーンとしているファンの人もいましたけど、僕は作品としてすごく面白いと思いましたね。起用したプロデューサーも「誰もやったことのないことに挑まないと、映画をやる意味がないと思いました」と話してましたし。

―そうなんですね。

高根:まあ、だからと言って、ファン向けの作品を否定しているわけではないんです。面白ければいいわけですし、映像から入ってそのミュージシャンの音楽を好きになったりすることもありますから。昨年は音楽映画豊作の年と言われてますが、それを続けていくためにも作り手の自覚が大切なのかなと思います。

―何か今後の展開として、考えていることってあるんですか?

高根:そうですね……たとえば、今回のイベントにしても、将来的には映画を上映するだけではなく、制作費をある程度用意した上で、企画コンペをする場にしたいんですよね。映画を集めて上映するのも大事だけど、企画集めから始めて、新しいものを作り出すところまで持っていって、しかもそれがちゃんとヒットするような場にしていきたいと思っています。今は若くて才能があるクリエイターがいっぱいいるので、どんどん新しいことを仕掛けていきたいですね。

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イベント情報

『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』
『SPACE SHOWER MOVIE CURATION』

2016年2月8日(月)、2月9日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
料金:各公演 前売1,500円 当日1,800円(共にドリンク別)

2016年2月8日(月)OPEN 15:00 / START 15:30
上映:『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(監督:佐渡岳利)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧―』(監督:大根仁)
※トークショーあり

2016年2月8日(月)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『超LIFE』(監督:タケイグッドマン)
※トークショーあり(出演:タケイグッドマン、Bose(スチャダラパー))

2016年2月8日(月)OPEN 24:30 / START 25:00
上映:『完全版BiSキャノンボール2014』(監督:カンパニー松尾)
※BiSHライブあり

2016年2月9日(火)OPEN 18:00 / START 18:30
上映:『トイレのピエタ』(監督:松永大司)
※トークショーあり

2016年2月9日(火)OPEN 21:00 / START 21:30
上映:『私たちのハァハァ』(監督:松居大悟)
※トークショーあり(出演:松居大悟、井上苑子)
※井上苑子ミニライブあり

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER NEW FORCE』

2016年2月16日(火)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
Suchmos
DAOKO
never young beach
Mrs. GREEN APPLE
LILI LIMIT
あいみょん

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日)
会場:東京都 国際フォーラム ホールA

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

詳細後日発表

プロフィール

高根順次(たかね じゅんじ)

SPACE SHOWER TV勤務のプロデューサー。プロデュース作品に、事故で記憶障害を負ったミュージシャンGOMAが復活する過程を描いたドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』(松江哲明監督、2013年公開)、アイドルvsAV監督のアイドル史上最もヘンテコな解散ドキュメント『BiSキャノンボール2014』(カンパニー松尾監督、2014年公開)、クリープハイプのファンである女子高生四人が北九州から東京を目指す青春ロードムービー『私たちのハァハァ』(松居大悟監督、2015年公開)がある。

カンパニー松尾(かんぱにー まつお)

HMJM。『BiSキャノンボール』の監督にして、AV業界に「ハメ撮り」を定着させたAV監督。『テレクラキャノンボール』シリーズをはじめ、『私を女優にして下さい』『僕の彼女を紹介します』『麗しのキャンペーンガール』など数々の人気作を制作した。その人気はAV業界にとどまらず、音楽や映画など幅広いジャンルのクリエイターから支持を集めている。

松居大悟(まつい だいご)

劇団ゴジゲン主宰。2012年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。以降、クリープハイプのミュージックビデオから生まれた異色作『自分の事ばかりで情けなくなるよ』や、青春剃毛映画『スイートプールサイド』など枠にとらわれない作品を発表し続け、『ワンダフルワールドエンド』は第65回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式出品。『私たちのハァハァ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015で2冠に輝いた。

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