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バンドサウンドを鳴らさないバンド、雨のパレードの攻戦が始まる

バンドサウンドを鳴らさないバンド、雨のパレードの攻戦が始まる

雨のパレード『New generation』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:豊島望
2016/03/02
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まず驚いたのが、フロントマンであり楽曲制作のイニシアチブを握っている福永浩平の表情の変化だ。大きな戦いに挑む覚悟が決まった目をしていた。その中性的な美男子然とした顔つきに「漢の気迫」が宿った――そう感じた。インディーズ時代にアート性の高い音楽像を開拓した雨のパレードが、メジャーのフィールドで果たすべきことは何か。今、そのテーマは福永のなかではっきりした輪郭を持っている。メジャー第一声となるアルバムに冠した『New generation』というタイトルは、雨のパレードのマニフェストでもある。

ポストロックやミニマルミュージックを基軸とするサウンドはさらに過不足なく研ぎ澄まされ、陰影に富んだ音像のなかで美しく浮かび上がるメロディーからは、マスに対して向かっていこうとする意志が聴こえる。雨のパレードが掲げる「ニュージェネレーション感」が意味するものとは? それを訊くことは、本作の核心に迫ることと同義であった。

新しい世代のアーティストを引っ張って、シーンを変えていきたい、という意気込みでこのアルバムを作ったんです。(福永)

―インディーズの最後の作品として1月にリリースしたシングル『Tokyo』は、このアルバムの支柱にするという思いも強かったんじゃないかと。

福永(Vo):そうですね。いろんなアーティストが「東京」というタイトルの曲を作っているので、東京をテーマにした曲を作ることに対して、僕のなかでも憧れに近い感覚はあったんです。いつかは作ろうとずっと思ってたんですけど、今まではしっくりくるオケがなかったというのと、自分たちの技術も足りてなくて。中途半端な東京の曲は作りたくなかったですし。このタイミングで、「これならいける」と思えるオケができたのと、メジャーデビューということも重なって、僕から見た東京を描きました。

―メジャーデビュー前夜に、「ここから夢を叶えていく」という覚悟を持って東京に対するスタンスを描いた意義は大きいと思うし、さらに必要な音だけを精選したサウンドプロダクションの美学や歌メロの際立たせ方という意味でも、今の雨のパレードを象徴する曲になってると思いました。

福永:はい、覚悟が詰まってると思いますね。“Tokyo”も、もともとアルバム用に作っていた曲なんですけど、アルバムの全曲、メジャーを意識して制作しました。

―前作『new place』からの半年強で、バンドが打ち出すべき音楽像が明確になったということが『New generation』を聴くとよくわかる。

福永:そうですね。新世代のサウンドを作りたいという思いがどんどん強くなっていって。僕の好きな洋楽の新人アーティストって、バンドというスタイルではあるけど、俗に言うバンドサウンドを鳴らしていない人が多いんですよ。僕らもそういう立ち位置でいたいと思うから、自分たちが欲してる音を貪欲に求めていく意識がより強くなりました。機材も増えたし、ライブでは僕がシンセも弾くようにもなり、(山崎)康介さんがMPC(サンプラー)を触ったり、ドラムの横にもサンプリングパッドを置いたりしていて。バンドであって、バンドサウンドを鳴らしてない存在が普通に受け入れられる時代にしたいんですよね。

福永浩平
福永浩平

―前作は「新しい場所を作る」という意味で『new place』と掲げていたけど、今作では「新しい世代を作りたい」「流れを変えたい」という意識が強く出ていますよね。

福永:自分が高校生で音楽を始めたときに一番身近にあった音楽表現がバンドで、身近な表現方法だからこそ、そのあり方がもっと自由になればいいなと思うんです。そういう意味でもこのアルバムに『New generation』というタイトルを付けました。これから出てくる新しい世代のアーティストを引っ張って、シーンを変えていきたい、という意気込みでこのアルバムを作ったんです。歌詞もほとんどの曲にそういう思いを込めてますね。

―このバンドは生楽器の音であり生楽器だから出せるグルーヴも大切にしているじゃないですか。そこも大きなポイントだと思うんですよね。

福永:うん、そうですね。生楽器で出す空気の振動の気持ちよさは大切にしたくて。僕はそれが「ニュージェネレーション感」のあるバンドのカギだと思うんですよね。鳴らしたい音を自由に鳴らして、生音と打ち込みやパッドの音が気持ちよく共存していることが絶対的に大事だと思ってます。

―福永くんが言う「ニュージェネレーション感」というのは、あくまで表現者サイドの概念という感覚が強いんですか?

福永:そうですね。受け手にはついてきて欲しいという思いが強いです。受け手もフォロワーになって欲しいというか、むしろ受け手も表現者になって欲しいという気持ちがあるんですよね。

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リリース情報

雨のパレード『New generation』
雨のパレード
『New generation』(CD)

2016年3月2日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VICL-64526

1. epoch
2. Tokyo
3. Movement
4. Focus
5. breaking dawn
6. novi Orbis
7. new place
8. 10-9(New recording)
9. 揺らぎ巡る君の中のそれ(New recording)
10. encore
11. Noctiluca
12. Dear J&A
13. Petrichor

イベント情報

『雨のパレード ワンマンライブツアー』

2016年4月2日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 CONPASS

2016年4月3日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 Vio

2016年4月9日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 渋谷 clubasia

料金:各公演 前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

『「New generation」リリース記念 インストアライブ』

2016年3月24日(木)START 19:00
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース

2016年3月29日(火)START 19:00
会場:東京都 タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUP STUDIO」

プロフィール

雨のパレード
雨のパレード(あめのぱれーど)

2013年結成。2015年7月1日にリリースした3rd mini Album 『new place』の表題曲“new place”がスペースシャワーTVのローテーション「it!」に選出、iTunes Storeでも大展開されるなど、インディーズながら耳の早いファンの間で広まり話題となる。同年10月に開催された『MINAMI WHEEL』では初出演ながら入場規制となる動員を記録、2016年2月~3月にかけて開催される『スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016』に抜擢されるなど、大きな期待をうけるニューカマー。Vo.福永浩平の声と存在感、そしてライブパフォーマンスにおける独創的な世界観は中毒性を持ち、アレンジやサウンドメイキングも含めまさに「五感で感じさせる」バンドとして注目されている。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)