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MONO、envy、downyはなぜフェスを興すのか? その理由を語る

MONO、envy、downyはなぜフェスを興すのか? その理由を語る

『SYNCHRONICITY'16 - After Hours -』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:柏井万作

MONO、envy、downyの3バンドが共同して、新しいフェス『After Hours』を立ち上げる。海外を拠点に活動し、世界中に強固なファンベースを築いているMONO、同じく海外でも精力的に活動し、国内でも後進に影響を与え続けているenvy、9年間のブランクがありながらも、復活と同時に休止前以上の評価を獲得したdowny。ジャンルとしてではない、真の意味での「オルタナティブ」を体現し続ける3バンドが、その経験を持ち寄り、国内で新たなフェスを立ち上げる意味はとても、とても大きい。

2017年の正式な第1回開催を目標に、今年は11年目を迎える都市型フェス『SYNCHRONICITY』とのコラボレーションが決定。小・中規模のフェスが散発的な開催ですぐになくなってしまうことも珍しくない中にあって、10年以上にわたって開催を続けてきたのは、主催者の麻生潤が前述の3アーティストに通じるオルタナティブな気質を持ち、「続ける」ということを第一に考えてきたからに他ならない。例年にも増して、ジャンルレスで、若手も数多く出演する今年のラインナップからは、今回のコラボレーションに対する強い意気込みが感じられる。

しかし、4月24日の開催を前に、ある事件が発生した。既報の通り、envyからボーカル・Tetsuya Fukagawaの脱退が発表されたのだ。20年以上に及ぶ活動を経て、バンドを襲ったあまりにも大きな転機。それでも、彼らが活動の継続を決定した背景には、時代を共有してきた戦友たちとの絆があった。

昔だったら、みんなで飲むなんてありえなかったんですよ。俺たちみたいなアンダーグラウンドの世界って、お互い意識し合ってピリピリしてたから。(Kawai)

―まずは、『After Hours』の開催がどのように決まったのかを教えてください。

Kawai(envy):そもそもの話で言うと、ここ何年かで同世代のバンドと飲み会をするようになったんですよ。「ロビン会だ」って言って(笑)。

青木(downy):僕はdownyが活動休止(2004年)したあと沖縄に移住したので、たまに東京に出てくるときはみんなに会いたいじゃないですか。それで、「みんな一緒に集めちゃおうよ」っていうのが飲み会のはじまりですね。

Kawai:でも昔だったら、みんなで集まって飲むなんて絶対ありえなかったんですよ。俺たちみたいなアンダーグラウンドの世界って、お互い意識し合ってピリピリしてたから。それが今はみんなリスペクトし合ってて、ホントにいい関係性でね。

左から:Nobukata Kawai、Takaakira“Taka”Goto、麻生潤、青木ロビン
左から:Nobukata Kawai、Takaakira“Taka”Goto、麻生潤、青木ロビン

―心境にも変化があったんですね。

Kawai:みんな40歳とかになって、CDが売れないと言われる中、それでも一生懸命音楽をやってきてる。そういう人たちと一緒に時間を共有できるってことが、ホントにハッピーだなって。

青木:そういう流れで「自分たちのフェスをやりたい」って話になったんですけど、そもそもどうやったらフェスができるのかがわからない。それで、麻生くんに相談したんです。僕は『SYNCHRONICITY』に出たことがあったし、個人的にも彼とは何か一緒にやろうって話をしてたので。

downy@『SYNCHRONICITY'15』 撮影:Viola Kam(V'z Twinkle)
downy@『SYNCHRONICITY'15』 撮影:Viola Kam(V'z Twinkle)

―フェスをやろうという発想自体は、何かインスピレーション源があったのでしょうか?

青木:『All Tomorrow's Parties』(以下『ATP』。MogwaiやTortoise、SHELLACなどのアーティストがキュレーターとして出演者を決定し、開催されているフェス。1999年から開催されている)の話をしましたよね?

Kawai:僕らやMONOは『ATP』に何度か出たことがあって、あそこは格別な良さがあるんですよ。宿泊施設があるっていうのも他のフェスとの違いなんだけど、それだけじゃなくて、出てるバンドとお客さんのフェア感っていうのかな。出演者も別にロックスターじゃないから、ステージから離れればみんなと同じ。ただの音楽ファンしかいない、『ATP』にはそういう場の楽しさがあって、それを日本でもやりたいと思ったんですよね。

Goto(MONO):『ATP』って本当に特別な場所なんだよね。普段なかなか見れない伝説のバンドがたくさん出てて、自分も客みたいな感じになる。そういえばenvyと出会ったのも海外のフェスだったけど、フェスを通じてバンド同士が出会えるっていうのもいいんだよね。MONOは日本のバンドとはほとんど交流がないから、『After Hours』をやることによって、いいバンドと出会うきっかけになればとも思うかな。

Takaakira“Taka”Goto

―これまで20年近く海外をベースに活動してきたMONOが、日本国内でフェスを開催するっていうのも大きな意味がありますよね。実際Gotoさんは、このフェスにどんな意義があるとお考えですか?

Goto:俺はMONOの曲を書いて、アルバム出して、ツアーやって、20年近くやりたいことしかやっていないわけで、日本のマーケット向きな音楽じゃなくても、海外に出て好きな音楽を続けられるってことを示してきたつもりなんだよね。でもそれが日本の若い子にはなかなか伝わらないし、マーケットを意識したようなバンドしか出てこなくて、世界に出られるようなバンドがなかなか現れない。日本国内では「海外で活躍中の〜」とかよく目にするけど、実際、現地で聞いたことないんだよね。そういう状況に対して、インディペンデントで身を立ててきた俺たちはもちろん、これからの人たちとも一緒に、ちゃんと場を作っていきたいと思っているんだよね。

Kawai:envyも海外の似たような現場にいたからこそ、MONOのやってきたことの偉大さがよくわかります。ポストロックが流行ってるから海外で売れたとか思っている人がいるかもしれないけど、そんな甘くないんですよ、海外の現場って。ヘッドライナーであれだけの人を集めて、それをお金やパワーに替えて、またツアーをやる。それがどれだけ大変なことかわかってほしい。

Nobukata Kawai

―日本のバンドが海外で成功してる事例って、本当に少ないですもんね。

Kawai:Gotoさんはものすごいパッションがあるから、怖がらないんです。リスクを背負って出て行ったからこそ今の成功があるし、そのことはもっと日本でもリスペクトされていいんじゃないかって思いますけどね。

Goto:やり続けることが重要なんだと思う。envyもdownyも、今やリキッドルームを売り切れるバンドになってるわけだけど、俺が初めてdownyと一緒にやった2002年くらいなんて、お客さん15人とかしかいなかったんだから(笑)。downyは途中休んでたかもしれないけど、それでもやり続けたからこそ今があるわけで、若い人には「恐れるな」って言いたいよね。

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イベント情報

『SYNCHRONICITY'16 - After Hours -』

2016年4月24日(日)OPEN / START 15:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest
ライブ:
envy
MONO
downy
THE NOVEMBERS
BRAHMAN
クラムボン
渋さ知らズオーケストラ
world's end girlfriend
MOROHA
D.A.N.
fox capture plan
jizue
toconoma
JABBERLOOP
Yogee New Waves
never young beach
在日ファンク
group_inou
the band apart
CICADA
DALLJUB STEP CLUB
DOTAMA
PAELLAS
JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB
パブリック娘。
SHERBETS
rega
思い出野郎Aチーム
CAR10
DJ:
New Action!
Ko Umehara(-kikyu-)
VJ:矢吹和彦(-kikyu-)
ライブペインティング:Gravityfree
料金:前売5,500円

プロフィール

MONO(もの)

海外でのリリースやツアーを精力的にこなし、圧倒的な支持を受けている4人組インストゥルメンタル・ロック・バンド、MONO。オーケストラとシューゲーズギターノイズを合わせた独自のスタイルが国内外で非常に高い評価を受け、ロックミュージックの域では収まらない音楽性を発揮し、イギリスの音楽誌NMEでは”This Is Music For The Gods”——神の音楽と賞賛される。年間150本におよぶワールドツアーは50カ国以上に渡り、10万人を動員。日本人バンドとして、世界で最も多くのオーディエンスを動員したバンドのひとつとなっている。これまで9枚のアルバムをリリースしており、国内外で高い評価を獲得している。最新作は2014年にアルバム2枚同時リリースした”The Last Dawn”、”Rays Of Darkness”。

envy(えんゔぃー)

日本が誇るポストハードコアバンド。世界中のファンが待ち望んでいた最新作『Atheist's cornea/エイシスツ コルニア』を2015年5月にリリース。収録楽曲にはMr.Children、Superfly等で活躍しているキーボーディストのSUNNY氏がキーボードアレンジとして参加しており、1曲1曲の作り込みが前作を上回る完成度の高い作品に仕上がっている。 今作もアメリカはTemporary residence Ltd.ヨーロッパはRock Actionからリリース。2015年にはヨーロッパ最大のメタルフェス”HELLFEST”への出演。全米ツアー・アジアツアー・ヨーロッパツアーを行った。

downy(だうにー)

2000年4月結成。メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。ミュージックビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・ フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。4枚のオリジナルアルバムをリリースの後、2004年12月末日を以て活動休止。2013年、9年ぶりに活動再開。2013年 第5作品集「無題」、2014年に第5作品集「無題」remix アルバム、過去4作品の再発をリリース。

麻生潤(あそう じゅん)

都市型フェスティバル『SYNCHRONICITY』、クリエイターチーム-kikyu-を主宰。音楽、アート系イベントの企画制作を中心に、各種パーティー制作、ウエディングパーティーのコーディネートを手がける。フェス系ラジオ番組のパーソナリティとして文化放送デジタル&インターネットラジオに出演('07~'09)。音楽はマイライフ!ネアカと呼ばれる程のポジティヴィスト。株式会社アーストーン代表。

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