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MONO、envy、downyはなぜフェスを興すのか? その理由を語る

MONO、envy、downyはなぜフェスを興すのか? その理由を語る

『SYNCHRONICITY'16 - After Hours -』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:柏井万作

一昨年末くらいに面白いバンドがいくつも出てきて、「あ、これから新しいものが生まれようとしてるんだ」って実感があって。(麻生)

―そういう3バンドの想いを引き受けつつ、麻生さんはどんな想いを持って今回のイベントに臨んでいますか?

麻生:僕は今の日本の若いバンドがすごく面白いと思ってて、それは今回出てもらうYogee New Waves、never young beach、D.A.N.とかに出会ったからなんです。実はそのちょっと前までって、面白い音楽が全然出てこないなって思ってたんですよ。僕は基本的には楽観的な性格で、あんまり落ち込まないんですけど、さすがにその頃は結構ネガティブに感じていて、音楽シーンへの不信感も大きかったんだけど、自分の感性が鈍ってきたのかなって思ったりもしたんです。でも、一昨年末くらいにさっき言ったようなバンドたちのことを知って、「あ、これから新しいものが生まれようとしてるんだ」って実感があって。新しく生まれる『After Hours』にも命を吹き込んでいきたいし、そんな若くて面白いバンドを、しっかり後押ししたいって気持ちで今回臨んでます。責任も感じますしね。

―きつい時期を通過しての、今回の開催だったんですね。

麻生:ただ、いい音楽が増えてる一方で、今の人たちは「音楽を続けられなくなったら別の仕事すればいいや」ってスタンスの人も多くて、才能あるのにもったいないなって思うことも多いんですよね。そういう状況に対して、この3バンドが作り出そうとしている『After Hours』っていう場からは、ひとつのシーンを作れる可能性を感じるし、かっこいい人たちをちゃんと結びつけて、いい音楽がちゃんと評価される時代を作っていきたいって思います。

麻生潤

Kawai:僕は学校が全然合わなくて、とにかく先生の言うことを聞けなくて、社会不適合な変なパワーだけがあったんですよね。でもその余ってるパワーを音楽に向けられたからグレずに済んだわけで、つまり僕は音楽に人生を救われてるんです。だから音楽の才能あるのにやめちゃうとかって本当にもったいないと思うし、才能のあるやつがどこかの道で花を開かせることができるように、いろんな道があった方がいいと思う。選択肢の多様化が必要なんだと思う。

Goto:音楽に救われたっていうのは、俺もそうなの。音楽に救われて、音楽に恩返しするって感じだと思うんだけど。

Kawai:その意識はみんな一緒だと思う。

Goto:一番嫌なのは、音楽に嘘をつくってことだから。でも、音楽に嘘つかないと食べていけないって概念もあるわけじゃない?

Kawai:それを変えましょうよ。日本だと「どっちを取るか」みたいなところがどうしてもあるけど。

Goto:「食うための音楽」とかね。俺たちには、そういう概念ないもんなあ。やりたいことをやるだけ。

―音楽に対して嘘をつかず、やりたいことをやって、ちゃんと活動を続けていくことができる。そういう土壌を日本でいかにして作っていくかということですよね。

Goto:どうして俺らがアメリカでずっと活動が出来ているのか? というと、アーティストの負担になるノルマなどが無く、演奏したミュージシャンに対して最低限のギャラをきちんと払ってくれるからで。車で寝て次の街まで行けば、またチャンスがある。もちろん実力が無かったら話にはならないけど、それを繰り返せば、ギャラが上がったり、動員が増えたりしていくし、そういうのって夢があるじゃん? 日本にはそういう土壌はないから、日本だけでやっていたら、俺たちも潰れていたと思うよ。『After Hours』をやることで、そういう状況を少しずつでも変化させていけたらいいよね。

―もちろん、すぐに状況が変わるわけではないけど、『SYNCHRONICITY』が掲げているメッセージのように、続けていくことで未来を変えることができるかもしれない。

Goto:15年くらい経ってさ、俺らみんな白髪になって、ボロボロのギター持って『After Hours』のステージに出てきて、爆音鳴らしてたら、それ見たいもんね(笑)。

Kawai:ギターが折れるか、自分が折れるか(笑)。まあ、レジェンドになるつもりもないし、自分たちがいる現場がもうちょっと良くなればいいなって、それだけだよね。日本は全部ダメだからひっくり返そうなんて一言も言ってないの。そうじゃなくて、日本でのやり方を探して、もう一歩踏み込んだ先に、俺らが現場に居続けるための新たな方法があるんじゃないかってことを夢見てる感じ。何かあるような気はするんだよね。漠然としてて、手は届かないんだけど、でもきっとあるんじゃないかって、そういう気持ちはすごくある。

このフェスがあったから、続けることを決意できたのは間違いない。(Kawai)

―最後に、envyの話をさせてください。先日ボーカルTetsuya Fukagawaさんの脱退が発表されましたが、今回のイベントには予定通り出演すると。

Kawai:そうですね……難しいな、この話は。まあひとつは、やると決めたからやるってこと。あともうひとつは、リスクを考えずに、その先を見てみたいって気持ちの方が勝ったから、続けたいと思って。ホントにすごく悩んで、ここでやめる方がスマートに見えるんじゃないかとも思ったけど、今までやってきたことを踏まえて、4人でもう一度ステージに立ちたいと思ったんです。

―『After Hours』の話が進んでいる中での、脱退決定だったわけですよね?

Kawai:はい。なので、結果的にはこのフェスにすごく助けられたんです。このフェスがあったから、続けることを決意できたのは間違いない。これがなかったら、ホントに解散してたと思う……っていうか、実際1回解散したんで、再結成みたいなもんですよ。Gotoさんとは電話で話をして、メールももらって、考え直すきっかけになりました。何から何まで相談に乗ってもらって、ホントにありがとうございます。

―バンドの存続は決まっても、当然ボーカリストはいないわけで、今回の『SYNCHRONICITY』に関しては辞退するという選択肢もあったわけですよね。

Kawai:出ます。

青木:僕、歌う方向ですか?

Kawai:あ、ロビン入ってよ!

青木:よっしゃ、頑張ろう!

Goto:いや、むしろインストで、前座でやった方がいいよ。場所はネストの上(バースペース)。そこからやり直し。

Kawai:20年以上やってきて前座ですか……あそこじゃ機材入んねえし(笑)。

―(笑)。どういう形になるかはまだ分からないと思いますが、楽しみにしています。ぜひ今回のコラボレーションを成功させて、来年の『After Hours』単独開催へとつなげてほしいです。

Kawai:すでに歴戦の猛者どもが「やりたい」って言ってくれてるんで、そこにつなげていく意味でも、いいスタートにしたいですね。ここでこけちゃって、「なんだ、結局やらないのか」って言われるのも嫌なんで、まずは今のメンバーで最高のものをやりたいと思います。僕らも頑張って演奏しますしね。まさかのネストの上かもしれないけど(笑)。

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イベント情報

『SYNCHRONICITY'16 - After Hours -』

2016年4月24日(日)OPEN / START 15:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest
ライブ:
envy
MONO
downy
THE NOVEMBERS
BRAHMAN
クラムボン
渋さ知らズオーケストラ
world's end girlfriend
MOROHA
D.A.N.
fox capture plan
jizue
toconoma
JABBERLOOP
Yogee New Waves
never young beach
在日ファンク
group_inou
the band apart
CICADA
DALLJUB STEP CLUB
DOTAMA
PAELLAS
JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB
パブリック娘。
SHERBETS
rega
思い出野郎Aチーム
CAR10
DJ:
New Action!
Ko Umehara(-kikyu-)
VJ:矢吹和彦(-kikyu-)
ライブペインティング:Gravityfree
料金:前売5,500円

プロフィール

MONO(もの)

海外でのリリースやツアーを精力的にこなし、圧倒的な支持を受けている4人組インストゥルメンタル・ロック・バンド、MONO。オーケストラとシューゲーズギターノイズを合わせた独自のスタイルが国内外で非常に高い評価を受け、ロックミュージックの域では収まらない音楽性を発揮し、イギリスの音楽誌NMEでは”This Is Music For The Gods”——神の音楽と賞賛される。年間150本におよぶワールドツアーは50カ国以上に渡り、10万人を動員。日本人バンドとして、世界で最も多くのオーディエンスを動員したバンドのひとつとなっている。これまで9枚のアルバムをリリースしており、国内外で高い評価を獲得している。最新作は2014年にアルバム2枚同時リリースした”The Last Dawn”、”Rays Of Darkness”。

envy(えんゔぃー)

日本が誇るポストハードコアバンド。世界中のファンが待ち望んでいた最新作『Atheist's cornea/エイシスツ コルニア』を2015年5月にリリース。収録楽曲にはMr.Children、Superfly等で活躍しているキーボーディストのSUNNY氏がキーボードアレンジとして参加しており、1曲1曲の作り込みが前作を上回る完成度の高い作品に仕上がっている。 今作もアメリカはTemporary residence Ltd.ヨーロッパはRock Actionからリリース。2015年にはヨーロッパ最大のメタルフェス”HELLFEST”への出演。全米ツアー・アジアツアー・ヨーロッパツアーを行った。

downy(だうにー)

2000年4月結成。メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。ミュージックビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・ フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。4枚のオリジナルアルバムをリリースの後、2004年12月末日を以て活動休止。2013年、9年ぶりに活動再開。2013年 第5作品集「無題」、2014年に第5作品集「無題」remix アルバム、過去4作品の再発をリリース。

麻生潤(あそう じゅん)

都市型フェスティバル『SYNCHRONICITY』、クリエイターチーム-kikyu-を主宰。音楽、アート系イベントの企画制作を中心に、各種パーティー制作、ウエディングパーティーのコーディネートを手がける。フェス系ラジオ番組のパーソナリティとして文化放送デジタル&インターネットラジオに出演('07~'09)。音楽はマイライフ!ネアカと呼ばれる程のポジティヴィスト。株式会社アーストーン代表。

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