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ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:田中一人

「音楽を売る」ということは、今の時代、果たしてどういうことなのか。Perfumeや水曜日のカンパネラなどをブレイク前からいち早く応援し、単に商品を並べるだけでなく、限定盤を企画するなど独自の展開を行ってきたヴィレッジヴァンガード下北沢店の名物バイヤー、金田謙太郎。数々のカバー企画盤の制作も手掛けてきた音楽業界の仕掛け人の一人だ。彼への取材は、そんなことを改めて問い直すようなインタビューになった。

「遊べる本屋」というキャッチコピーのもと、本や雑貨など雑多な商品を所狭しと並べる個性的な店構えを魅力にしてきたヴィレッジヴァンガード。特に下北沢店は音楽の新しいムーブメントを発信する拠点として注目を浴びてきた。

そんな下北沢店で10年以上音楽コーナーの仕入れや企画を担当してきた金田は、最近「腹が立ってしょうがないこと」があるという。それは果たして何なのか。

僕の親友にDE DE MOUSEという男がいるんですが、彼と居酒屋で話しているうちに「アンダーグラウンド界隈こじらせ問題」の話で盛り上がったんですよ。

―今回のインタビューでは、ヴィレッジヴァンガード(以下ヴィレッジ)下北沢店の独特の音楽の売り方について聞いていこうと思います。まず、金田さんが最初に手応えを掴んだ体験は何でしたか?

金田:Sotte Bosseですね。あれが自分のスタート地点だと思っています。一番自分に正直な売り方ができた最初です。

―J-POPのボサノヴァカバーを収録した企画盤シリーズですね。ゼロ年代後半のカバーブームの火付け役になった。

金田:彼らの『Essence of life』という第1弾の企画盤をたまたまバイヤーとして聴いたときに、「これはヤバい」と思ったんですね。それをヴィレッジで売ったら、かなりの枚数が売れた。でも、その段階では、正直作りも粗かったんです。ジャケットのデザインもちょっと手を抜いていた。だから、ちゃんと力を入れたものを売りましょうということを提案して、一緒に第2弾を作ったんです。そうしたら40万枚売れた。出荷ベースだと60万枚ぐらいだと思います。

―当時の音楽業界では、ショップのバイヤーが仕掛け人になって企画盤を作るという前例はなかったですよね。

金田:なかったですね。実はSotte Bosseの前に『アニジャズジブリ』と『キラキラジブリ』という、僕が制作に関わった企画盤があったんですよ。その後にDAISHI DANCEの『the ジブリ set』がヒットしたんです。ジブリに直接連絡をして、公式に許諾をもらったのはこちらが最初だったと思います。どちらも10万枚くらい売れましたね。まあ、「ジブリカバー」というのが揶揄される一因を作った気もしますけど。

金田謙太郎
金田謙太郎

―なぜカバー企画盤を作ろうと思ったんでしょうか。

金田:それもきっかけがあって。僕の親友にDE DE MOUSEという男がいるんですが、彼と居酒屋で話しているうちに「アンダーグラウンド界隈こじらせ問題」の話で盛り上がったんですよ。「なんでみんなジブリのカバーやらないの? ジブリ最高じゃん!」って。

―「アンダーグラウンド界隈こじらせ問題」というのを、もうちょっと噛み砕いて説明してもらっていいですか?

金田:シンプルな話ですよ。メジャーなものは嫌い、マスなものは嫌い、売れてるものはイヤだっていう、そういう風に自意識をこじらせてる人が抱えてる問題です。今は減ってきてるのかもしれませんけどね。しかもそういう人って、ちゃんと聴かないでよく知らないくせに嫌いになりがちなんですよね。どのジャンルのサブカルチャーにもある話かもしれませんが、音楽界隈はそれが強いと思ってます。だけど、ジブリみたいにメジャーなもの、みんなが好きなものって、やっぱりすごくいいんです。そういうことを彼と話していて、そこからアイデアが生まれた企画なんですね。

―カバー企画盤は、アーティスト性よりも商品性に特化したパッケージになりますよね。そういう発想は当時の音楽業界にはそんなになかった。

金田:なかったですね。ないから作ろう、というのが正直なところです。こっちで売りやすいものを作ろう、と。でも、これって、CINRAのようなカルチャーメディアや柴さんのようなライターの仕事をある種否定するようなところもあるんですよ。「こういうアーティストが、こういう歴史を経て、こういう思いを込めて作った渾身の一枚」という作品の、歴史とか思いとか、そういう文脈を全部はがしてしまう。

―そういう発想が生まれたのはどういう理由だったんでしょうか? ヴィレッジの社風でしたか?

金田:お客さんの反応からですね。お客さんが、そういう文脈に疲れちゃうんですよ。いろんな知識を沢山知らないと音楽聴いちゃいけないの? って、無意識で思っちゃう。そういう目に見えない圧力への反抗だという話は、当時他の尖っていたバイヤーとは話していました。

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イベント情報

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』

2016年5月22日(日)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST
出演:
fox capture plan
JABBERLOOP
→Pia-no-jaC←
ADAM at
RIDDIMATES
Marmalade Butcher
高中正義
SPECIAL OTHERS
今沢カゲロウ
jizue
mouse on the keys
and more
料金:6,800円(ドリンク別)

プロフィール

金田謙太郎(かねだ けんたろう)

元『ele-king』編集部員。ヴィレッジヴァンガード店員兼フリーで企画などを行う。株式会社シテイルにも所属。

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