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ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:田中一人

お客さんの好みって、雑なんですよ。雑に物事を愛することを肯定してあげればいいんです。

―手書きのポップを自分で書いたり、商品のヒットを店からの発信で仕掛けていくようになったきっかけは?

金田:マンガや本はわからないですが、CDに関しては、明確な理由がありますね。当時はヴィレッジがメーカーから相手にされてなくて、試聴盤のサンプルをもらえなかった。某レコード会社に「サンプルください」って電話をしたら「おたく、CD屋じゃないでしょ」って言われたりしていたんです。だからプレス向けの資料とかもなくて、全部自分で聴いて勝手に書くしかなかったんです。音を聴いて感想を書くしかないので、必然的にアーティストの文脈を剥奪することになった。それが結果的にお客さんのニーズにマッチしていたんでしょうね。

―Sotte Bosseの他にもヴィレッジの下北沢店の展開で掴んだ手応えはありましたか?

金田:ブレイク前のPerfumeですね。10年くらい前で、まだ「アキバ系電脳アイドル」みたいな感じで言われていた頃でした。でも僕は中田ヤスタカさんのサウンドはきっと女の子ウケがいいと思ったんで、女の子向けの商品としてPerfumeを売ったんです。そこから『ポリリズム』の時に女子限定イベントをやったら、あっという間に売り切れた。お店の廊下に100人くらいの女の子が集まって、あ~ちゃんが「女の子の前で歌える日が来るなんて思ってなかったです」って号泣。今でも覚えてますね。

金田謙太郎

―2009年には→Pia-no-jaC←もヴィレッジの限定盤でクラシックのカバー企画盤を売りだしてヒットしていました。

金田:あれもエポックな体験でしたね。僕としては彼らにベートーベンの第九をやってもらいたかったんです。それも全部じゃなくて、みんなが「第九」を想像した時に頭に浮かぶメロディー、あれだけをループにしたかった。だから彼らには「第九をパチンコ屋のBGMみたいにしてください」ってオーダーしました。年末の大売り出しで使うんで、みんなを煽る感じにしてくださいって。これも10万枚は売れたんじゃないかな。オリコンには参加してないんで、ランキングには一切載ってないですけれど。

―Sotte Bosseや→Pia-no-jaC←でヒットの実績ができると、「ヴィレッジの下北沢店から火をつけてください」というオファーが他にも来ると思うんですけれど。

金田:めちゃめちゃ舞い込んできましたね。沢山のオファーが来ましたよ。でも結局僕が考えるのは商売の基本で、お客さんのニーズに合ってるか合ってないかだけで判断します。

―お客さんのニーズはどこで判断するんでしょうか。

金田:日別の売り上げです。数字です。それ以外にないです。肌感覚で「売れてる」とか「来てる」とか言ったってしょうがない。

―ただ、数字を重視するのならば、人気のあるメジャーなアーティストを扱えばそれでいい、ということになりますが。

金田:それはないですね。メーカー主導のプロモーションだけってつまんないなーといつも思ってて。あくまでこっちのやり方で仕掛けたい。そうなると必然的にインディーズの人が中心になっていく。

―人気によらずお客さんのニーズを汲み取るポイントというのはどういうところにあるんでしょうか。

金田:そうだなあ……雑に物事を愛することを肯定してあげればいいんです。

金田謙太郎

―雑に物事を愛することを肯定する?

金田:カルチャーを愛する人って、それをどんどん深く、細かく突き詰めたくなるんです。でもヴィレッジのやっていることは逆なんですよね。そうじゃなくていい、というあり方を肯定する。どんなにマニアックだと思われるものでも、出来る限り間口を広くとって風通しをよくしたいんです。専門店じゃないんだから、入り口に徹したいって気持ちがあるんです。

―ある種の軽薄さとか、下品さがポイントになっている。

金田:そうなんです。ただ注意しなきゃいけないのは、下品だからいい、軽薄だからいいというわけじゃない。これは大事です。

―下品さを肯定しつつも、踏み越えちゃいけないラインがあるわけですね。だからこそアーティスト側からもちゃんと信頼される。そこのラインを守るために大事にしていることはありますか?

金田:それは知識です。もう、これは間違いない。売る側の人間がカルチャーの知識を誰よりも持ってないといけない。それが背骨にあることが重要。だから、スタッフにはできるだけたくさん音楽を聴いて、たくさん本やマンガを読んで、担当同士で交流して、「あれはよかったね。これもよかったね」と話さないと、と言ってます。とにかくマンガを読んで本を読んで音楽を聴く。その数をこなすことが絶対条件。ただ下世話なだけの人と、知識を持った上で下世話なことをするのは、全然違うんです。

―なるほど。サブカルチャーの知識をきちんと持ちつつ、スノビズムに陥らないようにする。

金田:そうですね。そこで活きているのが資料を読まないことですね。再生ボタンを押して聴いた印象をそのまま書く。そうすればお客さんと同じ目線に立てるわけですから。

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イベント情報

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』

2016年5月22日(日)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST
出演:
fox capture plan
JABBERLOOP
→Pia-no-jaC←
ADAM at
RIDDIMATES
Marmalade Butcher
高中正義
SPECIAL OTHERS
今沢カゲロウ
jizue
mouse on the keys
and more
料金:6,800円(ドリンク別)

プロフィール

金田謙太郎(かねだ けんたろう)

元『ele-king』編集部員。ヴィレッジヴァンガード店員兼フリーで企画などを行う。株式会社シテイルにも所属。

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