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ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:田中一人

CDを売るだけの手伝いはもうしたくない。なぜなら売り上げが立たないから。でも、音楽を売る手伝いはしたい。

―前にヴィレッジの下北沢店で見ましたが、とあるバンドの展開では、一番目立つところでPVの映像がずっと流れていて、その脇にTシャツやタオルやリストバンドが並べられていて。CDはほとんど置いていなかったのが印象的でした。

金田:KEYTALKですね。彼らに関しては完全にそういう売り方をしています。映像を流してグッズを売っている。実際うちではCDはほとんど売れてません。事務所もそれでいいと思っている。だから、業界の人たちはCDを売りたいのか音楽を売りたいのか、いい加減ハッキリした方がいいんですよ。どっちなのか真剣に考えた方がいいよって、お店としては思います。

―CDを売るのと音楽を売るのは全然違う話だ、と。

金田:そうですね。ぶっちゃけて言うと、CDを売るだけの手伝いはもうしたくないんです。なぜなら売り上げが立たないから。でも、音楽を売る手伝いはしたい。そのことはメーカーの人に心から言いたいです。

―具体的に「音楽を売る」手伝いをした例はありますか?

金田:シンプルに言うと、ウチの店は小売店なので、商品が売れればいいんです。何でもいいから売れる商品を作りましょう、という。そこに音楽がくっつけばいい。そうすれば音楽を売ったことになる。最近やったことで言うと、岡崎体育というアーティストの『MEASURE』という商品をヴィレッジ下北沢店限定で売ったんです。これはメーカーさんと話して、メジャーデビューの前にメジャーデビューアルバムを出しちゃおうという話をして作ったんですね。

―メジャーデビューの前にメジャーデビュー?

金田:測るほうのメジャーを作ったんです。そこにIDとパスワードが書いてあって、URLにアクセスするとストリーミングで新曲を聴ける。そういう商品を出したんですね。

―売れましたか?

金田:売れましたね。即日完売でした。今は追加注文をかけてます。ウチは雑貨を扱っているので、メジャーを文房具コーナーで売れるんですよ。しかもデザインにも凝って、ちゃんとメジャーとしても品質のいいものを作ったんです。「これがメジャークオリティー」って言おうぜって(笑)。あと、面白かったのは、買ってくれたのがほぼ10代とか20代前半の子だったということ。ファンが若いんですよ。中学生が問い合わせの電話をしてきたりする。

―よく「YouTubeで育った若い子は音楽にお金を払わない」と言われがちですけれど、実際はそうではない。

金田:「今の子はYouTubeで全部見れちゃうからお金を払わない」なんて、嘘っぱちですよ。だって実際に10代とか20代の子が目の前でモノを買っていくわけですから。それは「売れない言い訳にYouTubeを使いがち問題」なんです。

―最近は、フル尺で視聴できると楽曲が買われないからと言ってYouTube の公開を90秒以内のショートバージョンにする動きもありますね。

金田:ほんと、そういう話を聞くとバカじゃないの? って思っちゃいますね。なんでリスナーを悪人扱いするの? って。今はソーシャル以降の時代で、支援しよう、応援しようという文化が根付いている。そういう音楽リスナーの良心をなぜ信じないのか。自分の味方を信じないで商売なんてできるわけがない。そういう本末転倒な話を聞くと腹が立つんですよ。今、僕はヴィレッジに籍を置きながらシテイルという別のゲーム会社で働いているんです。だからよくわかる。

―というと?

金田:少なくとも今僕が一緒にやっているゲーム会社の人たちがいいのは、ゲームを好きなんですよ。コンシューマーゲームからスマホゲームまで、マイナーなものも、大ヒットコンテンツも全部知ってる。上流の作り手が一番知識を持ってる。今の音楽業界には、ヒット曲からマニアックな曲まで、古いものから新しいものまで一通りきちんと聴いているメーカーの人が少ない印象があります。むしろ一般の人より音楽を聴いていないとすら思います。音楽を全然知らないのに音楽業界にいる。それ違うんじゃないのって。

金田謙太郎

―そういう風にいろんなカルチャー状況を俯瞰で見ると、「音楽が売れない」と言う前にやるべきことは沢山ある。

金田:そうですね。自分たちで仕組みを作れないことを売れない言い訳にするな、って思いますね。少なくとも音楽業界に関して言えば、CDが売れている時に新しい仕組みを作るのをサボっていたツケを今になって払っているんだと思います。もちろん、このご時世なんで、誰もが高いカネを出せるわけじゃないんですよ。だけど、自分の好奇心を満たしてくれたことに対する対価を払いたい人は、まだまだいる。例えば立川シネマシティの『マッドマックス』の極上爆音上映なんて、本当は音楽業界から劇場に働きかけるべきじゃないかとか思いました。最高だし素晴らしいけど悔しい。ああいうの体験すると、ほんと、お客さんの気持ちに賭けていかないでどうするんだって思いますね。

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イベント情報

『30th Village Vanguard presents V.V.Rocks ~Sing Your Song!2016~』

2016年5月22日(日)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST
出演:
fox capture plan
JABBERLOOP
→Pia-no-jaC←
ADAM at
RIDDIMATES
Marmalade Butcher
高中正義
SPECIAL OTHERS
今沢カゲロウ
jizue
mouse on the keys
and more
料金:6,800円(ドリンク別)

プロフィール

金田謙太郎(かねだ けんたろう)

元『ele-king』編集部員。ヴィレッジヴァンガード店員兼フリーで企画などを行う。株式会社シテイルにも所属。

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