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never young beachが語る「ただハッピーと思われるのは違う」

never young beachが語る「ただハッピーと思われるのは違う」

never young beach『fam fam』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

never young beach(以下、ネバヤン)の1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』はまさに発明だった。「1970年代の日本語フォークと、2000年代以降の海外のトロピカルなインディーロックの融合」という、誰もが思いつきそうで、誰も思いつかなかったこと。それを最良の形で作品に仕上げてみせたからこそ、ネバヤンの名前は多くの人に知られることとなったのだ。その分、次の作品に対するプレッシャーは相当なものだったと思うが、彼らは期待を大きく上回る新作を見事作り上げてみせた。

2ndアルバムの『fam fam』というタイトルは、スラングで「血縁の家族、堅い絆で結ばれた仲間」を意味している。バンドの中心人物である安部勇磨はこの1年でさまざまな出会いと別れを経験し、特に「別れ」は『fam fam』の裏テーマだと言っても過言ではない。しかし、安部は別れを悲観的に捉えることなく、今を楽しむために本気で生きている。バンドや表現に対する強い信念を感じさせる語り口は、「人は状況によって変わる」と語る安部自身がこの1年で大きく変わったことを印象付けるに十分なものだった。

誰かに影響されるのはやめようと思いました。

―アルバム、素晴らしい仕上がりでした。まずは制作にあたってどの程度青写真があったかを話してもらえますか?

安部:今回のアルバムには『YASHINOKI HOUSE』のツアーのときからずっとやってる曲が4~5曲入っていて、最近作った曲は実質4曲くらいなんです。全体としては、特に何かをやりたいというのはなくて、今まで通り自分たちが気持ちいいことをやろうと思って作りました。この1年間、ものすごくいっぱいライブをしてきたし、機材も一新したので、この状態で録れば絶対よくなると思えたんです。

安部勇磨
安部勇磨

―この1年で培ってきたものがあるから、余計なことを考える必要はなかったと。

安部:『YASHINOKI HOUSE』のときは、「誰々の音に近づけたい」ということばかり考えていて、今思うとすごく狭かったなって。

―例えばどういった音楽に寄せていたんでしょう?

安部:デヴェンドラ・バンハート(1981年生まれ、テキサス出身のシンガーソングライター)とか、マック・デマルコ(1990年生まれ、カナダ出身のシンガーソングライター)、LITTLE JOY(2007年結成、THE STROKESのドラムが所属するバンド)とかですかね。もちろん未だに好きだけど、もう同じようなことはやらなくてもいいと思ったんです。

―じゃあ、今回は「~みたいな音にしよう」っていう感じではなかった?

安部:誰かに影響されるのはやめようと思いました。みんな違ってみんないいし、DIYな音は自然発生したものが一番かっこいいわけで、わざわざマネをしても意味がないんですよね。僕らには僕らの音があるから、僕らの気持ちいいところがちゃんと聴こえれば、それでいいなって。メンバーには、「僕らはみんないいプレイヤーだし、僕もちゃんと歌うし、みんなでやれば絶対いいものができるから」って、一貫して言ってました。

―実際、制作途中でぶれることはなかったんですか?

安部:D.A.N.(ネバヤンのレーベルメイト)のアルバムを僕らのスタジオで聴いたら、すごく低音が出ていて、ドラムのスズケン(鈴木健人)が「低音出てるのいいな」って言い出したんですよ。それで俺は、「ちょっと待て、ぶれないって言っただろ」って怒り始めて。確かにかっこよかったんですけど、イメージの問題もあると思ったんです。例えば、ALABAMA SHAKESのセカンド(『Sound & Color』、2015年発売)って、すごく低音が出てるイメージだったんですけど、実は1曲目以外そんなに出てないんですよ。曲順とか、聴いてる人の気持ちによって、聴こえ方って変わるんですよね。

―それに、そのバンドに合った音っていうのがありますもんね。

安部:そう。D.A.N.は『遊戯王』みたいなダークなかっこよさがあるけど、僕らは『キン肉マン』みたいな、筋肉ひとつで戦えるよさがあるから、それはどっちがいい悪いじゃない。ただ、そこでぶれて中途半端になるのが一番よくないんだって。それは制作中ずっと思ってました。

安部勇磨

「ネバヤンの曲は全部一緒なんじゃねえか?」みたいな話にもなったんですけど、「一緒でよくね?」って思ったんです。

―僕はネバヤンってファーストの時点である意味完成されていたと思っていて、だからこそ、セカンドでどういうアプローチをするかが気になっていたんです。結果的には、奇をてらってこれまでと違うアプローチをするのではなく、前作をアップデートした作品になっていて、僕としては、これが正解なんじゃないかなって思いました。

安部:そうですね。ギターの阿南(智史)は「ポップスはさあ」「実験音楽はさあ」みたいなことを結構言うんですけど、僕としては「うるせえよ」って感じで、普通に「いいものはいい」と思ってるんですよ。ジーパンはいつの時代も変わらないし、ご飯もずっと美味しいし、結局残るのはそういう普遍的なものだから、普通でいいっていうか。

―でも、他のバンドマンが「俺たちこういうこともできるぜ」みたいな部分を見せたくなる気持ちもわかる?

安部:もちろん実験する気持ちも大切で、「それいいね!」って自然に出てくればいいんだけど、今回はそういう気分ではなかったということですよね。「ネバヤンの曲は全部一緒なんじゃねえか?」みたいな話にもなったんですけど、「一緒でよくね? 一緒の人いっぱいいるじゃん」って思ったんです。僕の大好きな甲本ヒロトさんの曲も使ってるコードは簡単だし、ほとんど一緒だけど、言葉やアレンジが素晴らしくて、突き通せば微妙な歌詞の違いとかがよかったり、聴く側の状況とかで聴え方が変わってきたりするから、それがいいんだよなって。

―何よりも「自分たちの音」であることが重要だったと。

安部:今ってパソコンひとつで誰でも音楽が作れる時代だから、ちょっと聴いて、すぐにそれっぽい音は出せるじゃないですか? 表層だけを掴んで、「日本はわかってねえ」みたいなこと言いながら音楽作ってくすぶってるやつが、すごくいっぱいいると思うんですよ。そんなことよりも、地に足つけてちゃんとやることをやっていなかったら、ただのダサいやつじゃんと思って。なので、僕は僕の歌を突き詰めたいし、ネバヤンがどういうことをしたらみんなが楽しんで聴いてくれるかを突き詰めたいと思った結果、ありのままをやろうと思ったんです。

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リリース情報

never young beach『fam fam』
never young beach
『fam fam』(CD)

2016年6月8日(水)発売
価格:2,484円(税込)
Roman Label / BAYON PRODUCTION / ROMAN-005

1. Pink Jungle House
2. Motel
3. 自転車にのって
4. fam fam
5. なんもない日
6. 雨が降れば
7. 夢で逢えたら
8. 明るい未来
9. お別れの歌

イベント情報

『never young beach「fam fam」TOUR』

2016年6月25日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:北海道 札幌 KRAPS HALL
出演:
never young beach
D.A.N.
The fin.
ハルカトミユキ

2016年7月3日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:宮城県 仙台 enn 2nd
出演:
never young beach
D.A.N.
Suchmos

2016年7月9日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:never young beach

2016年7月15日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:大阪府 梅田 AKASO
出演:
never young beach
キセル

2016年7月16日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO
出演:
never young beach
Yogee New Waves

プロフィール

never young beach
never young beach(ねばー やんぐ びーち)

2014年春に、安部勇磨(Vo,Gt)と松島皓(Gt)の宅録ユニットとして活動開始。暑さで伸びきったカセットテープから再生されたような奇特なインディ・サイケ・ポップ『HOUSE MUSICS』をダンボール仕様のジャケットで100枚限定で発売。2014年9月に阿南智史(Gt)、巽啓伍(Ba)、鈴木健人(Dr)が加入し、現体制の5人組になる。2015年5月に1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』をリリースしロングセラーとなり、2015年上半期の『CDショップ大賞』ノミネート作品に選ばれる。7月には『FUJI ROCK FESTIVAL ‘15』に出演。土着的な日本の歌のDNAを残しながら、どこか海外の海と山が見えるような匂いを感じさせる。そしたら誰かが言った…「西海岸のはっぴいえんど」と。2016年6月8日、2ndアルバム『fam fam』をリリースする。

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