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never young beachが語る「ただハッピーと思われるのは違う」

never young beachが語る「ただハッピーと思われるのは違う」

never young beach『fam fam』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

変に未来に期待をしてもしょうがないから、何にも期待しないで、まず自分たちが楽しいと思うことをやる。ホントにそれだけですね。

―別れを歌った曲の一方で、<明るい未来の話し~いつまでも側にいてくれよ>と歌った“明るい未来”という曲もあります。この曲がどう作られたかを話してもらえますか?

安部:この曲はメロができた時点で、「これはいろんな人に聴いてもらえるメロだ」と思ったんですけど、歌詞はすごく悩みました。まず「明るい未来」って言葉だけ出てきて、「未来って言っても、いろいろあるよなあ」って考えたんですよね。結局僕は、友達と遊んだり、バンドをやったり、恋人と仲よくしたりするのが一番大事だから、「世界を救う」みたいな大きいことを言うのではなくて、その人たちと楽しく毎日を過ごしていれば、知っている街並みが時の流れでどんなに変わっても大丈夫だなって、そういう歌詞を書きました。

―これまでの人生で、未来のことをちゃんと考えたタイミングってありました?

安部:もうちょっと若い頃は、「俺、生きていけんのかな?」とか、そういうことはずっと思ってました。でも、考えてもしかたがないし、毎日楽しく過ごすしかないと思うようになって、最近はさらにそれが如実に出てきていますね。未来のことを考えるよりも、今をちゃんとやれば、未来も楽しいかなって。

―前回のCINRAのインタビューで家庭環境のことも話してもらいましたが、おそらく10代の頃とかって、ずっと目の前のことに追われてきたと思うんですね。でも、ネバヤンが多くの人に聴かれて、いろんな別れも経験して、初めて「今」だけでなく「未来」のことを考えるようになったのかなって思ったんですけど……そういうことではない?

安部:ファーストを出して、ライブをたくさんやって、前までよりもさらに「今が大事だな」って思うようになりました。一本一本のライブを楽しくやって、よくなかったら本気でへこんで、ケンカもして……そういうことを続けるが一番未来に繋がるし、それが一番の近道だと思うから、僕はそれだけをちゃんとやっていこうと思います。変に未来に期待をしてもしょうがないから、何にも期待しないで、まず自分たちが楽しいと思うことをやる。ホントにそれだけですね。

前作『YASHINOKI HOUSE』収録曲

奥深さがあるものを作りたいなと思いますね。その人の人生が「細かいディテール」の要素になると思う。

―今回高田渡さんのカバーも収録されていますが、はっぴいえんども含め、あの時代の人たちは「日本人の音楽を確立するんだ」という目的意識を強く持っていました。時代は違うけど、安部くんも音楽家としてそれに近い意識を持っていると言えますか?

安部:日本語でいい曲を作りたいとはすごく思っています。英語で歌ってる日本人でかっこいい人もいるけど、大体の人に違和感を感じるし、僕は変に洋楽チックにはなりたくないので。音楽って郷土料理みたいなものだと思っていて、その土地の色が出ていて、かつそこにいろんなものが混ざっているのが面白いと思うから、そういうバランスは大事にしたいですね。今、同い歳くらいで、海外に憧れて洋楽を意識した曲を作る人が多いけど、僕はそういうやつら全員に「日本語でもかっこいいことできるし」って言いたいです。

安部勇磨

―細野さんの作品にしても、いろんな要素が混ざってるけど、あくまで「日本人ならではの表現」ですもんね。

安部:そうだと思います。「トロピカル三部作」(細野晴臣が『HOSONO HOUSE』発売後にリリースした、『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』『はらいそ』の総称)とか、何をやっても、やっぱり日本っぽさを感じるんですよね。「日本人がやってる」という感じは僕も大切にしたいです。

前作『YASHINOKI HOUSE』収録曲

―今の時代において「日本人らしさを出す」ためには、どんなことが重要だと思いますか?

安部:僕は言葉の響きだと思います。アレンジも大事だとは思うけど、歌う者としては、どういう言葉で、どう日本語をメロディーに乗せて、どう気持ちよくさせるか、どうひっかけるかとか、歌詞を書くときはそれしか考えてないです。めちゃくちゃ考えた結果、超普通に聴こえても、それはそれでいいんですよ。D.A.N.の(櫻木)大悟ちゃんも「簡単に見えるけど、よく見ると複雑だったり、そういうのがいい」って、CINRAのインタビューで言ってましたよね。

―「素晴らしいクリエイションは、ディテールが細かくて、すごく奥深いんだけど、一見簡素な造りだったりする」って言ってましたね。

安部:あれを読んで、まさにそうだと思いました。D.A.N.の曲も、同じコード進行でも、(市川)仁也のベースが変わるだけで全然違うし、ホント細かいところまで気にしてるなって思うんですよ。それをこの前本人に言ったら、「よくわかってくれてる」って言ってました(笑)。僕らも、やってることはオーソドックスで簡単だけど、よく聴いたら「こうなってるんだ」って思ってもらえるような、そういう奥深さがあるものを作りたいなと思いますね。

安部勇磨

―高田渡さんの曲だってシンプルに聴こえるけど、あれを作るためにどれだけの苦労があったかって話ですよね。

安部:そうなんですよ。その人の人生が「細かいディテール」の要素になると思っていて。高田さんだったら、ステージで寝ちゃうとか(笑)、普通のおっさんみたいな感じでポロポロ弾いてるのとか、全部が相まっての曲のよさだと思うんです。今って、音楽だけじゃなくて何でもそうですけど、作り手のオリジナリティーがなさすぎると思うんですよ。「安くて美味しい」とか、本当にいいものもあるとは思うけど、大半は潰れてほしいですもん。

―ファストフード、ファストファッションとか。

安部:そう。そういったものが諸悪の根源だと思うんですよね。作り手が見えないものしか知らない若い子が出てきて、それが全てになってしまうのって、すごく嫌な感覚だと思う。どういう考えで、どういう人生を送っている人が作っているのかとか、どれだけ愛情を注いでいるかとか、そういう作り手側のことが滲み出ると、聴こえ方とか見え方が全然違ってくると思うんです。だから自分も作る側としては、そういうことをめちゃくちゃ大事にしたいですね。

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リリース情報

never young beach『fam fam』
never young beach
『fam fam』(CD)

2016年6月8日(水)発売
価格:2,484円(税込)
Roman Label / BAYON PRODUCTION / ROMAN-005

1. Pink Jungle House
2. Motel
3. 自転車にのって
4. fam fam
5. なんもない日
6. 雨が降れば
7. 夢で逢えたら
8. 明るい未来
9. お別れの歌

イベント情報

『never young beach「fam fam」TOUR』

2016年6月25日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:北海道 札幌 KRAPS HALL
出演:
never young beach
D.A.N.
The fin.
ハルカトミユキ

2016年7月3日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:宮城県 仙台 enn 2nd
出演:
never young beach
D.A.N.
Suchmos

2016年7月9日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:never young beach

2016年7月15日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:大阪府 梅田 AKASO
出演:
never young beach
キセル

2016年7月16日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO
出演:
never young beach
Yogee New Waves

プロフィール

never young beach
never young beach(ねばー やんぐ びーち)

2014年春に、安部勇磨(Vo,Gt)と松島皓(Gt)の宅録ユニットとして活動開始。暑さで伸びきったカセットテープから再生されたような奇特なインディ・サイケ・ポップ『HOUSE MUSICS』をダンボール仕様のジャケットで100枚限定で発売。2014年9月に阿南智史(Gt)、巽啓伍(Ba)、鈴木健人(Dr)が加入し、現体制の5人組になる。2015年5月に1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』をリリースしロングセラーとなり、2015年上半期の『CDショップ大賞』ノミネート作品に選ばれる。7月には『FUJI ROCK FESTIVAL ‘15』に出演。土着的な日本の歌のDNAを残しながら、どこか海外の海と山が見えるような匂いを感じさせる。そしたら誰かが言った…「西海岸のはっぴいえんど」と。2016年6月8日、2ndアルバム『fam fam』をリリースする。

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