
規制に縛られずもっと自由に。バブルな社会派ベッド・インの表現
ベッド・イン『RICH』- インタビュー・テキスト
- 天野史彬
- 撮影:田中一人 編集:山元翔一
女として生まれた悦びをナウでヤングな子たちにも感じてもらいたいですね。私がパイオツを強調した服装をするように、自分が自信を持てる部分を外に出していけばいいと思うんですよ。(まい)
―ベッド・インは性的な発言も臆することなくしているし、その部分も含めて、女性としての悦びを表現しようとしていますよね。
まい:そうですね。私は女として生まれてよかったことのほうが多いので。その悦びをナウでヤングな女の子たちが同じように感じてくれたら、きっといい世の中になるんじゃないかなって思いますね。露出の多いあざとい服装も、怖がらずにみんなもっとガンガン着て、メンズにやまだかつてないモーションをぶっかけてドキドキさせちゃえばいいと思いまぁ~す♡ なんちて♡
たとえばですけど、私は普段からタートルネックやVネックみたいな、わっかりやすくパイオツを強調できる服装をしているんです。私はそれで自分に自信がついたので、みんな自分が自信を持てる部分を外に出していけばいいと思うんですよ。
―男の僕が訊くのもなんなんですけど、男からの目線は気になりませんか?
まい:女の私のおクチからそんなこと、言わせるんですかぁ~? 見てもらいたくて着ているんですぅ♡ ヤダ、セキメ~ン(照)……でも、服装はあくまでも自分を表現する一部なので。露出をすることに抵抗がある人は、仕事でも趣味でも、「私にはこれがある!」っていうことを外に出せればいいんじゃないかと。
かおり:そうだよね! 要は「自分らしくいられる」かどうか。私も普段からおみ足やボディラインを強調した服を着たり、ベッド・インでは露出をしているけど、女の子たちに対して無理に「露出すべし!」と主張しているわけではなくて。
ただ「自分に合ったもの」や「好きなもの」「曲げないもの」を突き詰めることに対して「周りの目を気にして怖がらなくてもいいよ」って言ってあげたいんですよね。「自分には似合わない」とか「合っていない」って決めつけちゃわないで、「したい」と思うのであれば、「したほうがモアベターだゾ♡」って。
―今の日本で、自分たちと同じベクトルのエネルギーを持って活動している女性のミュージシャンやタレントって、いると思いますか?
まい:女性かぁ……実は男性には、チンパシー……じゃなくてシンパシーを覚える存在はいらっしゃるんです。たとえば、氣志團さんとか、ゴールデンボンバーさんとか。あと、これは、もはや憧れですけれど、電気グルーヴさんとか、とんねるずさんとか。女性だと、誰だろう……あっ!! 渡辺直美さん?
かおり:わっかるぅ~! 自分道を突き進んでる姿とか、女性としての生き様をあけっぴろげに曝してる部分がチンパシー感じちゃうカモ……?♡ 実際にお会いしたことがないので勝手なイメージになっちゃうんですけど、いい意味で欲望に正直で「我慢しない女性」っていう印象があります。
ウチらも、絶対に我慢しないんですよ。水着を着るときも、お腹が空いたら出番直前でも絶対に食べちゃう「食いチン棒」(笑)。ヤリたいことはヤるし、嫌なものは嫌と言う。とことん快楽主義、それがベッド・イン!
まい:ウチらは性欲も隠さないゾ~♡ みたいな?♡
ただの真似っ子になってしまうのは、私たちのパンク精神とは相反する。新しい何かを作らないと、道はできないから挑戦して新しいものも生み出していきたいです。(まい)
―ベッド・インが提示しようとしているものって、今の日本にすごく必要とされている価値観だと思うんです。ただ、バブル時代の明るさには「経済的な豊かさ」という根拠があったけど、今の日本にそれはないですよね。そのうえで、僕らが当時のような「明るさ」を手に入れるには、どうすればいいと思いますか?
まい:下降している時代に生きているのは確かなんですよね。でも、私たちが言いたいのは、「気持ちぐらいは景気よくいこうよ♡」っていうことなんです。
かおり:今回のアルバムタイトルの『RICH』は、バブル時代をわかりやすく表すキーワードとして金銭的に「リッチ」という意味でつけたところもあるんですが、裏筋テーマというか、もう一つ意味を込めていて。結局、周りの価値判断ではなくて、自分自身がリッチと思えるかどうかだと思うんです。物質的な意味合いではなく、気持ちの部分で。
声を大にしてDAISUKI!と言えることがある、そこに自分自身の意思や芯がある。それさえしっかり満たされていれば、どんな状況にいてもリッチな気持ちでいられると思うんですよね。……そんなメッセージも込めつつリード曲“GOLDの快感”の歌詞をカキコキしたんですが、「リッチ」さを手に入れるにはやっぱりバディフィールですよ!
ベッド・イン『RICH』ジャケット(Amazonで見る)
―バディですか(笑)。
かおり:そう! 下半身で感じること。素直に本能のままに子宮で感じること。今って人の目線や評価を怖がっている人が昔より増えてしまったように思うんですよね。些細な発言で炎上とかしちゃうパソコン通信……ネット社会の影響じゃないかと思うんですが。こんな時代だからこそ、そこから脱却して、何でもおナマで体感して感度を高めることが大事MANだと思うんです。「書を捨てよ町へ出よう」じゃないですけど。
興味Twin Twin(興味津々)なことがあったら恐れずに何でも五感で体験してみて自分自身の「心のGスポット」を探り続ければ、おのずと道が見えてくるんじゃないかって。ロンモチで自分もこうありたい、という想いも込めて。ウチらのおギグもやっぱりナマが一番ABCDE気持ちだから、来てみてちょ♡
―ベッド・インの音楽が今以上に、人を外に連れ出すものになったら最高ですよね。たとえば80年代のマドンナは、マリリン・モンローのような1960年代のセックスアイコンを参照しながら、同時に当時最先端のダンスビートも取り入れる、いわば過去とモダンのマッチングによって世界を変えた女性だと思うんです。僕がベッド・インに期待するのもまさにそこで、過去の豊かな文化を背負いながら、音楽では最先端の快楽を提示してほしいです!
かおり:マンモスうれP~! イロモノ扱いを受ける場面もあるんですけど、やっぱり私たちの主軸は「音楽」なんです! 『RICH』はメジャー第一弾だし、ベッド・インを知らない人たちに向けて名刺代わりになるように、サウンドやメロディーはバブル時代を彷彿とさせるように心掛けつつも、実はビートは現代風のものを取り入れて作るようにしていて。当時を知らないガラスの十代の子たちにも受け入れてもらいたいので。
今後はさらにいろんな形に発展させていけたら面白いなってWAKU WAKUしてます♪ サイプレス上野さんとロベルト吉野さんと淫ぐり悶ぐりして作ったラップナンバー“成りアガり VICTORY”では、その片りんをチラ見せできたんじゃないかな♡
まい:私たちはバブル文化が心底DAISUKI!でリスペクトしているからこそ、焼き増しではイケナイと思っていて。ただの真似っ子になってしまうのは、私たちのパンク精神とは相反するんです。新しい何かを作らないと、道はできないじゃないですか。 ロンモチで、「バブル」という軸をブラしたくはないけど、マル痴に活動していく中で、いろんなことに挑戦して新しいものも生み出していきたいですね。それが、私たちが貫きたい「ボディーコンシャス反逆同盟」を掲げたベッド・インらしさなんだと思います。……ってヤバッ! 真面目に語り過ぎちゃったカナ♡
リリース情報

- ベッド・イン
『RICH』(CD) -
2016年7月27日(水)発売
価格:3,240円(税込)
KICS-34041. GOLDの快感
2. ♂×♀×ポーカーゲーム
3. Summer Dream
4. GIVE ME! ~哀・してる~
5. 成りアガり VICTORY(ベッド・イン×サイプレス上野とロベルト吉野)
6. 太陽を信じて...
7. ROSA -魅惑のバリライト-
8. V.H.S.
9. SEXY HERO
10. C調び~なす!
11. 真夜中のディスタンス
12. 白黒つかない(feat.アンジャッシュ)
イベント情報
- 『祝!“RICH”発射記念ツアー ~そこのけ そこのけ バブルが通る~』
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2016年11月3日(木・祝)
会場:北海道 札幌COLONY2016年11月5日(土)
会場:新潟県 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE2016年11月12日(土)
会場:広島県 広島BACK BEAT2016年11月13日(日)
会場:福岡県 福岡DRUM SON2016年11月19日(土)
会場:愛知県 名古屋RAD HALL2016年11月20日(日)
会場:大阪府 大阪FANJ TWICE2016年12月4日(日)
会場:宮城県 仙台HOOK2016年12月18日(日)
会場:東京都 赤坂BLITZ
プロフィール

- ベッド・イン
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益子寺かおり、中尊寺まいによる地下セクシーアイドルユニット。日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末~90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中。2012年、お互い別のバンドで活動していた二人が、猫も杓子もロリロリ重視の現代のアイドルシーンに殴り込みにイクかと一念勃起。バンド歴の長い二人による、ロック姐ちゃんなライブパフォーマンスと『おやじギャル』的な発言やTwitterが話題となり、日本各地を毎度おさわがせします中! かおりの逞しいドヤ顔ヴォイスと、まいの下心をつん裂くギタープレイによる「ボディコンロック」に酔いしれろ!