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均一なノリのライブにNOを。ロックバンドBenthamの意思表明

均一なノリのライブにNOを。ロックバンドBenthamの意思表明

Bentham『ExP』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:山元翔一
2016/07/06

ライブハウス慣れしてない人たちが楽しめるようなステージングを考えると、「4つ打ち」や「オイオイ」というシンプルなノせ方が主流になるのはある程度は仕方ない。(須田)

―若いオーディエンスが、煽らないとノッてくれなくなってしまった現象をどう分析します?

小関:4つ打ちがものすごく盛り上がったときに、力のないバンドが何でもかんでも「オイオイ」や「シンガロング」で煽ってしまったのが原因だと思いますね。「こうすれば盛り上がる」という法則が、ものすごく単純になって、スタンダードが変わってしまった。「オイオイ」をやれば盛り上がってくれるけど、やらないと「どうノッたらいいのかわからない」という人が、すごく増えてしまったと思うんですよ。僕らとしては、そこは地道に「好きなように観ていいんだよ」っていうことを広めていきたい。「誰も手を挙げてなくても、自分が手を挙げたくなったら挙げてもいいんだよ」って。

左から:小関竜矢、須田原生

須田:SNSなどで情報発信しやすくなったからか、今って、昔よりもライブハウスのハードルが低くなっているんですよ。たとえば「音楽が死ぬほど好き!」っていう人じゃなくても、普通にライブハウスに来るわけです。昔のライブハウスとは、雰囲気が全然違いますよね。当然、ライブハウス慣れしてない人もたくさんいるわけなので、その人たちが楽しめるようなステージングを考えていかなきゃならない。となると「4つ打ち」とか「オイオイ」とか、シンプルなノせ方が主流になるのは、ある程度は仕方ないのかもしれないですね。

―昔は、クラスのはみ出し者みたいな人たちがライブハウスに行き、思い思いに音楽に熱狂していたけど、今はお客さんによって温度差もあり、みんなを均一に楽しませるためには単純なノリやリフレイン、シンガロングしやすいフレーズ、が増えていったと。

小関:そうですね。もちろん、幅広い層の人がライブハウスまで足を運んでくれてること自体は、すごくありがたいことなのですが。

自分の音楽をちゃんと理解して「このマジでカッコいい曲どうだ!」っていう気持ちでバチーンと鳴らしたときに、初めて人を感動させられるんじゃないかと。(小関)

―さて、通算4枚目のEP『ExP』がリリースされます。タイトルは「経験」を表す「experience」の略とのことですが。

Bentham『ExP』ジャケット
Bentham『ExP』ジャケット(Amazonで見る

小関:タイトルは最後に決めました。7曲を並べてみたとき、「これは7つの『経験』が詰まったEPだね」とスタッフに言われて、それでこのタイトルにしたんです。基本的に全て実体験をもとにした歌詞なのですが、なるべく多くの人たちに共有してほしくて間口が広くなるような書き方にしています。

―それで抽象的な表現が多いんですね。本人たちの実体験が、そのまま言葉にはなっていないというか。

小関:そうですね。抽象的な表現や遠回しな比喩を用いて、聴いている人に真相をわからなくさせるのが好きで。表層的には「こういうことなのかな?」と思わせておいて、実は全く違う意味が隠されている……みたいな。そうすることで、より多くの人にハマりやすい歌詞になって時代に流されないタイムレスな楽曲になるんじゃないかと思っています。「この曲は、こういうテーマについて、こういうふうに思って書いた曲です」っていうように、こちらで正解を作ってしまうと、そうとしか聴けなくなってしまうじゃないですか?

―あまり具体性を持たせないことで、普遍性を持たせるような感じ?

小関:そうですね。楽しい気分のときに聴いても刺さるし、悲しい気分のときに聴いても刺さるのが理想です。ただ、リード曲の“サテライト”に関しては伝えたいことが明確にありました。歌詞の中にある、<走れ自分の足で 大切なことわかるだろう>っていうメッセージを伝えたいがために、サビでずっと<届け>って歌っているんですよ。Bentham流の「応援ソング」というか、何かを届かせることの難しさを歌っている曲です。僕らの曲を聴いてくれている人にも、「仕事がどうも上手くいかないな」とか、「恋人に気持ちが届かず辛い」とか、色々あるはずで、そういうモヤモヤを全部キレイに昇華できたら……という思いで書いた曲です。

―ちなみに、タイトルの「サテライト=衛星」に意味はありますか?

小関:いや、どうだろう。特に意味はないですね(笑)。

―衛星って惑星の周りを常に回っていて、距離感が縮まらないじゃないですか。そのもどかしさのメタファーなのかなと個人的には思ったんですよね。あるいは、Benthamはファンに寄り添うサテライトのような存在で、「どうしたらいいかわからない」という子たちに対して、「自分の足で走れば、大切なことわかるよ」と背中を押しているというか……。そうすると、さっきのライブハウスの話にもつながりますよね。「自分で好きなようにノッてもいいんだよ?」って。

小関:ああ。確かにそうですね。そういうことにします!(笑)

―(笑)。今後の展望についてはどのように考えていますか?

小関:自分たちが伝えたいことに対する説得力と、お客さんが求めていることに対する理解力を高めていきつつ、ちゃんと折り合いをつけていきたいです。あとは……演奏力とかそういう技術的なことももちろんなんですけど、たとえばTHE HIGH-LOWSで(甲本)ヒロトがステージに出てきたときの、それだけで泣けちゃうような感じとか、エレファントカシマシが出てきて、まだ歌ってないのに圧倒される感じとか……要は、圧倒的なカリスマ性ですね。まあ、それをどうやって出したらいいのかという話なんですが(笑)。

―どうすれば出ると思います?(笑)

小関:うーん……。自分の音楽を、ちゃんと理解するっていうことじゃないですかね。それさえできていれば、1コードでも泣かせることができるはずです。自分の音楽がわからないまま、ただ演奏していても伝わらないし、説得力も生まれない。「俺のこの、マジでカッコいい曲どうだ!」っていう気持ちでバチーンと鳴らしたときに、初めて「おお!」ってなるんじゃないかと。

―今回、こうやってお話を訊いて思ったのは、Benthamにとって音楽は「自己表現の手段」ではなく、徹底してお客さんを喜ばせ、満足させるための「エンターテイメント」なのですね。

小関:そうですね。「娯楽」であることには間違いないかな、と。僕はよくMCで、「あなたの生活に晴れ間を」って言っていて、歌っているときは、いつも光が差し込んでくるようなイメージがあるんです。土砂降りの雨に打たれてズーンと沈むような歌は、まだ作ったことがないのでそういう曲も、いつかは作ってみたいですが、今は心が晴れやかになるような楽曲を届けていきたいと思っていますね。

Bentham
Bentham

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リリース情報

Bentham『ExP』
Bentham
『ExP』(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,944円(税込)
KOCA-91

1. サテライト
2. 恋は白黒
3. 僕から君へ
4. KIDS
5. AROUND
6. カーニバル
7. fine.

プロフィール

Bentham
Bentham(べんさむ)

2010年結成。2014年春のKEYTALKツアーのゲストアクトに抜擢され注目を集める。TGMX(FRONTIER BACKYARD)をプロデューサーに迎え、これまでに3枚のEPをリリース。2016年7月6日、4枚目のEP『ExP』をリリース。今後さらなる活躍が期待されるハイブリッドロックバンド。

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