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東京と地方、夢を追うならどっちがいい? harineko×sleepy.ab

東京と地方、夢を追うならどっちがいい? harineko×sleepy.ab

harineko『Sweet Sorrow.』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:山元翔一

かつてミュージシャンが成功し、音楽で生活をしていくためには、東京に出てくることがマストな時代があった。もちろん、今もミュージシャンに限らず、チャンスを求めて東京に出てくる若者が後を絶たないことには変わりがない。しかし、「必ずしも、東京じゃなくていい」という価値観は2010年代に入って急速に広がったように思う。数年前に比べれば、交通費はグッと下がり、移動時間も短くなった。そして、インターネットが音源データのやりとりを簡単にし、場所を問わないコミュニケーションも可能にした。つまり、「自分はどこで活動するべきか」をミュージシャン自身が自主的に選ぶ時代になったのだ。

2013年からソロプロジェクトとなったharinekoのSaChiは、北海道を離れて東京に来てからすでに10年以上が経つ。一方、sleepy.abの成山剛はインディー / メジャー時代を問わず、一貫して北海道を拠点に活動し、現在は自主レーベルを立ち上げ、ソロでも全国を飛び回る日々を送っている。ポップス回帰を果たしたharinekoの新作『Sweet Sorrow.』の1曲目“mornin.”には<知らない街がいつのまにか 心地いい場所に変わってた>というラインがあるが、おそらく聴き手はここにそれぞれの物語を重ねることだろう。SaChiと成山の話から、今の東京と北海道、都市と地方の関係性について考えてみてほしい。

北海道のバンドって、みんな意識し合っていたせいか、プライベートでは一切つるまなかったんですよ。(成山)

―SaChiさんと成山さんはいつ頃からのお知り合いなのでしょうか?

SaChi:sleepy.abはデビュー当初から札幌ですごく話題になっていて、私もめちゃめちゃ聴いてました。成山くんの話も方々から聞いていたし、つながりはいっぱいあったんですけど、実際に会う機会はずっとなくて。3年前に札幌のイベントで初めて対バンして、そこから話すようになったんです。

―sleepy.abに対しては、どんな印象を持っていましたか?

SaChi:1stアルバム『face the music』(2002年)を聴いたときは、とにかく「新しい」っていう印象が強かったです。北海道ってもっと力強い感じだったり、荒削りな感じのバンドが多かったんですけど、sleepy.abはオシャレなイメージもあったし、きれいな声の男性ボーカルも当時はまだ少なかったと思うんですよね。

2006年リリースの『palette』より

―成山さんはharinekoのことはご存知だったんですか?

成山:いや、対バンするまでちゃんとは知らなかったんですけど、初めて見たときは、すごく都会的で、それこそ札幌にはいないなって思いました。

2014年リリースの『roOt.』より

―「札幌らしいバンド」っていうと、どういうイメージですか?

成山:僕らにとっては、さっきSaChiさんが言ってた感じの、KLUB COUNTER ACTION(札幌にあるライブハウス)の先輩たちのイメージですよね。怒髪天もそうだし、eastern youth、bloodthirsty butchers、あとはthe pillowsとか。ただ、その下だと10年くらい空いて、僕たち含めサカナクションなりMONOBRIGHTが出てきた。あとはBAZRA、THE イナズマ戦隊、太陽族とかもいて、みんな被らないようにしてましたね(笑)。北海道のバンドって、みんな意識し合っていたせいか、プライベートでは一切つるまなかったんですよ。

―SaChiさんはそのちょっと下の世代にあたるわけですか?

SaChi:そうですね。私は当時バンドでJ-POPをやっていて、サカナクションの前身のダッチマンっていうバンドと一緒にレコード会社の養成の人に声をかけられたんです。でも、私は途中で嫌になって、インプロビゼーションの方にいってしまい、そのまま東京に来ちゃったんですね。なので、サカナクションのメンバーとは今でも仲良くしてるんですけど、当時の札幌のシーンとは離れていました。ただ、もともとポップスをやっていたので、そこは消せないというか、最終的に自分に残る部分をちゃんとやろうと思って、今またポップスに戻ってきていますね。

左から:SaChi、成山剛
左から:SaChi、成山剛

―harinekoの音楽はインプロのイメージが強かったですが、その前にはポップスをやられていて、言わばその反動だったわけですね。

SaChi:中1くらいのときに、よくないおじさんがマイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、チック・コリアとかの音源をドサッとくれて(笑)。それでJ-POPとそういうジャズを並行して聴いている時期があったので、その影響は今でも大きいと思いますね。

―一方、成山さんは今年の3月に初のソロアルバム『novelette』を出されていますね。

成山:ソロに関しては、sleepy.abのアルバムを作る中でちょこちょこあった「sleepy.abっぽくない」ものも形にしてみたいと思ったのと、あとは自分たちのレーベルを始めたわりにやっていることが変わってない気がして、ちょっとモヤモヤしてたんです。長年やってきたサイクルから上手く変われてなかったんですけど、もっと伸び伸びやれるはずだと思って、一旦自分のソングライティングをまとめてみようと。

―音楽的な興味の実践であり、より自由な活動の実践でもあったと。

成山:そうですね。まず僕が出して、次に山内(憲介。sleepy.abのギタリスト)がインストのアルバムを出して、その後sleepy.abが出すっていう流れにしたくて。そうすることで、僕と山内はそれぞれこうで、バンドだとこうっていう形が見せられればいいなって思ったし、自分たちの持ち味を確認する作業になればいいなって思ったんですよね。

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リリース情報

harineko『Sweet Sorrow.』
harineko
『Sweet Sorrow.』(CD)

2016年7月20日(水)発売
価格:2,160円(税込)
HRK-002

1. mornin.
2. ダイヤナイト
3. 行きた日
4. return.
※ZINEが付属

成山剛『novelette』
成山剛
『novelette』(CD)

2016年3月23日(水)発売
価格:2,000円(税込)
CHA-023

1. ヒトリキリギリス
2. ladifone
3. コペルニクスの夢
4. エトピリカ
5. ピエロ
6. high-low
7. 街路樹
8. in the pool

イベント情報

『「Sweet Sorrow.」Release Party』

2016年7月29日(金)
会場:東京都 下北沢 SHELTER
出演:
harineko
KONCOS
Takeshi Iwamoto(バンドセット)
ELMER
料金:前売2,500円 当日3,000円(共にドリンク別)

『「Sweet Sorrow.」Release After Party』

2016年8月28日(日)
会場:東京都 三軒茶屋 jam cafe
出演:harineko(アコースティックミニライブ)
トークセッション:
斎藤一平
奥田侑史
夏目志乃

プロフィール

harineko
harineko(はりねこ)

2013年からシンガーソングライターSaChiのソロプロジェクトとして始動。様々な要素を含む「ポップミュージック」を展望し、彼女自身が作詞、作曲、編曲も行う。奇想天外な楽曲構成や純粋なポップスなどその楽曲は幅広く、これまでに数多くのミュージシャンをバックメンバーに集い活動を行ってきた。日常の情景や気持ちを想い描きながら、harinekoと若きアーティストたちの世界に寄り添える新作『Sweet Sorrow.』では、また新たなharinekoの魅力と作風が存分に表現されている。現在は、畠山健嗣(H Mountains)、松坂勇介(QUATTRO / Lowtide)、フクシマヂロウ(オワリズム弁慶 / peno / 無敵キャンディ)、とがしひろき(サンガツ / ELMER)らと共にライブ活動中。

sleepy.ab
成山剛(なりやまつよし)

札幌在住の3ピース・バンドsleepy.abのボーカル、ギター。北海道根室市出身。1998年専門学校の同級生で卒業を期にsleepy.abを結成。眠る前に聴く音。ゆっくり気持ちよく眠れる音楽を作るというのをコンセプトに音楽を作り始める。成山剛名義では坂本美雨への楽曲提供など。2016.3.23 初のソロアルバム『novelette』を全国流通。

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