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解散の危機を乗り越え、生まれ変わったbonobosと時代の関係

解散の危機を乗り越え、生まれ変わったbonobosと時代の関係

bonobos『23区』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影・編集:山元翔一
2016/09/21
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bonobosをやることは危険だったというか……。(小池)

―蔡さんから「ユニオン」といった話がありましたが、それぞれが個々でも活動しつつ、そのうえでバンドとしても活動するあり方っていうのは、まさにKIRINJIにも近い、ユニオン的なあり方だなと思います。なので、新メンバーの三人のみなさんに、個人での活動も踏まえて、bonobosに加入することの意味合いを話していただきたいです。

小池(Gt):僕は普段はガットギターの仕事が多いので、bonobosをやることは危険だったというか……。

―危険というと?

小池:エレキはほとんど触ったことなかったんです。でも、どこかのフェスで偶然エレキを弾いているのを見てくれて、それで誘ってもらったんで、勘違いから始まっているんですよ。

小池龍平

:僕、ずっとエレキでジャズギターを弾く人だと思ってたんです。

小池:実際はボーカルとのデュオが多くて、エレキ的なうわもののフレーズってほとんどやったことがなかったんです。しかも、bonobosはでかいフェスで、何千人の前でやったりするけど、僕はもっと生音寄りの世界でやっていたから、最初はすごく怖くて。ただ、それがあっという間に快楽に変わっていったんですよね。『音霊』でやったときがすごく楽しかったのをはっきり覚えてて……覚えてる?

森本:覚えてるよ! あれが決定打だったもん。

小池:そのライブはサポートが僕だけで、内心超嫌だったんです(笑)。でも、実際ライブ始まったらめちゃめちゃ気持ちよくて、お客さんが海だとして、オールを漕いでるような感じでギターを弾いていたんです。あれは今でも忘れられないですね。

―意外な形での始まりだったんですね。そういう意味では、田中さんも以前はドラマーとしてくるりに在籍していたこともあったりする中で、キーボーディストとして加入するというのは意外なことだったわけですか?

田中:そうですね。僕はもともと太鼓叩きだから、最初はゴネて、何か打楽器を置くとか、工夫をしたいって言ったんです。というのは、これまでbonobosに携わってきたキーボーディストの諸先輩方、野村卓史くん(ex.SAKEROCK)とかHAKASE-SUN(ex.フィッシュマンズ)とかを見ていると、どう考えても自分は太刀打ちできないと思って。打楽器的なものを置くことで、違いを作りたかったんですよ。

田中佑司

田中:でも、あるとき腹を括って。ライブでTM NETWORKの“Get Wild”をカバーしたときに、コール&レスポンスを任されたことがあったんですけど、これが大きかったですね。それをきっかけに、蔡さんとなっちゃん(森本)は自分を受け入れてくれているわけだから、僕もちゃんとキーボーディストとしてバンドに向き合おうと思って。そこから少しずつ気持ちが変わっていきました。

森本:みんなを違う世界に引きずり込み過ぎやなって、二人の話を聞いてて思った(笑)。

田中:でも、今は自分のピアニストとしての引き出しが増えていくことが楽しいんですよ。bonobosの曲って、ホントに難しいんです(笑)。でも、「じゃあ、それをどうライブで表現しようか」ってやりとりを重ねて、時間をかけてバンドになっていくことに、今はすごく喜びを感じていますね。

いろいろ自分なりに試行錯誤して、足りない部分はみんなに補ってもらって。そうやってできあがったのを聴くと、やっぱりバンドっていいなって思った。(梅本)

―どうやら、本職としてバンドに加入したのは梅本さんだけのようですね(笑)。

梅本(Dr):そういうことになりますね(笑)。ただ、僕はスカポンタス(2008年に活動休止したスカバンド)ってバンドをやってて、ずっとファンク以外のことはやってなかったので、本職とはいえbonobosの曲は難しかったです。いろいろ自分なりに試行錯誤して、足りない部分もめっちゃあったんですけど、みんなに補ってもらって。そうやってできあがったのを聴くと、成長させてもらったし、やっぱりバンドっていいなって思いましたね。

―実際、アルバムの音楽性としてはジャズファンクやソウル的な雰囲気が強まっていて、これは梅本さんのドラムをはじめ、新しいメンバーの影響が強いと言えますか?

:そうですね。さっき話に出た『音霊』のことは僕もよく覚えてて、龍平のギターがすごく甘い、いい音を出していたんですよ。佑司もアカデミックなんだけど和声とかすげえ洒落てて、遊びを知っているっていうか。なので、二人の出す音やフレーズの響きを聴いていると、自ずと次に向かう方向が見えてきて。

左から:田中佑司、蔡忠浩

:あとは梅の「点 で安定して打てるドラムと、森本さんの太くてグルーヴするベースっていう音像も見えたので、それを僕の書く曲と組み合わせたら合点がいって、自然な流れでこの音楽性になりました。みんなのことを思い浮かべて曲を書いたし、みんなでセッションで作った曲もあったりして。

―たとえば、どの曲がそうなんですか?

:“23区”はさっき言った1トラックアルバムの最後のパートになる予定だったんですけど、いい曲だから今回のアルバムに入れようって話になり。であれば、アレンジをバンドでやろうかって。結果的にこの曲が一番今のbonobosっぽさが出た曲になったかと思いますね。

―まさに、バンドのアルバムだってことですね。その意味でも「グルーヴ」は間違いなくひとつのポイントで、今ってジャズドラマーに注目が集まっているし、梅本さんのプレイは本作を作るうえでも鍵になっていたと思うんです。

左から:梅本浩亘、田中佑司

梅本:僕はわりと古いファンクをずっとやってきたんですけど、新しいものに関しては佑司くんがすごく詳しいので、いろんなことを教えてもらいました。まあ、どの曲も全部違うし、いろんなジャンルのドラムが入っているから、自分でやれるのはやって、わからんものは佑司くんにアドバイスもらいつつ。とにかくいいものができるように、わかることはやる、わからんことは聞く。それでずっと生きてきたんで。

―例えば、“Cruisin' Cruisin'”とかは時代的にもすごくフィットするなって思うんですけど、田中さんとはどんなやりとりがありましたか?

田中:楽曲の中で、「この人のリズムは跳ねてるけど、この人は跳ねてない。この人はその合間を縫う」とかっていう役割があるわけですけど、それがドラムの中だけでも起きているって話はよくしましたね。このビートのときは、音符的にどういう配列になっていて、それを体感でどう表現するかっていうのは、二人でかなり詰めました。

―森本さん、ベーシストとしての観点からするといかがでしたか?

森本:私自身の取り組み方は今までと一緒なんですけど、梅のドラムとは意識しなくても音符の長さがバッチリ合うので、ホントに自分の出したいグルーヴが出せているなって思います。

田中:なっちゃんは梅に対して、「何も感じない」って言うんですよ。

:どうでもいいってこと?(笑)

森本:ではなくて、ストレスがまったくないんです。梅のドラムって、見てなくても全然合わせられるし、自分のベースそのものって感じなんですよね。

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リリース情報

bonobos『23区』
bonobos
『23区』(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:2,948円(税込)
PCD-18818

1. 東京気象組曲
2. 葡萄の森
3. Cruisin' Cruisin'
4. Paper(jam)
5. Shag
6. メトロポリタン・ララバイ
7. グッドナイト
8. Hello innocence
9. Late Summer Dawn
10. うつくしいひとたち(Album session)
11. 23区

イベント情報

bonobos全国ツアー

2016年10月2日(日)
会場:北海道 札幌 Sound Lab mole

2016年10月8日(土)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd

2016年10月15日(土)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO

2016年10月16日(日)
会場:福岡県 ROOMS

2016年10月22日(土)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2016年10月23日(日)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2016年10月30日(日)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

プロフィール

bonobos
bonobos(ぼのぼ)

レゲエ・ダブ、エレクトロニカ、サンバにカリプソと様々なリズムを呑み込みながらフォークへと向かう、多彩なアレンジと卓越した演奏能力にボーカル蔡の心に触れる歌声が混ざりあう、天下無双のハイブリッド未来音楽集団。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)