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ボカロシーン、焼け野原からの再出発 DECO*27×Neru対談

ボカロシーン、焼け野原からの再出発 DECO*27×Neru対談

DECO*27『GHOST』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:山元翔一

ニコ動はランキングがあるんで、1曲でかいヒットが出ると、みんながランキングを見るようになるんです。だから盛り上がるきっかけにはなったのかなと。(DECO*27)

―デコくんの世代で言えば、ハチくんは米津玄師として、wowakaくんはヒトリエとして、違う場所に進んで行ったわけですよね。

DECO*27:そうですね。だからなんとなく寂しさはあって、自分が曲を上げることで、シーンに対して刺激を与えて、ボーカロイドが「まだまだ面白い」っていうことをアピールできたらいいなって思っていました。“ゴーストルール”はもともと上げる予定じゃなかったんですけど、ミクのスマホゲーム(『初音ミクぐらふぃコレクション なぞの音楽すい星』)のテーマ曲に起用されて。それで上げたんですけど、気に入ってもらえてよかったですね。

Neru:あれが新年一発目だったから、「今年またシーンに火が点いた」というよりは、停滞していたところに、デコさんが無理矢理火を点けた感ありますよね(笑)。

DECO*27:ニコ動はランキングがあるんで、1曲でかいヒットが出ると、みんながランキングを見るようになるんです。みんなが他の曲にも注目して、シーン全体が盛り上がるきっかけにはなったのかなって思いますね。

―起爆剤が必要だったところに、“ゴーストルール”がその役目を果たしたと。結果的に、6月にはsupercellが3年9か月ぶりのミク曲を発表したり、新たな流れが生まれました。

DECO*27:そういう昔からボカロシーンを知っている人が喜ぶ流れもあったし、一方では、Neruくんが“脱法ロック”を上げて、ミリオン達成しているっていうね。

Neru:2015年って、ミリオンが1曲しかなかったんですよね。それに対して、今年は“ゴーストルール”と“脱法ロック”を含めて、すでに4曲あるんです。やっぱり、シーン的には“ゴーストルール”の影響は半端ないですよ。あれはありがたかった。

DECO*27

DECO*27:まさかこうなるとは自分でも思ってなかったんですけど、逆に言うと、今がチャンスだと思います。最近ランキングを見ていると、わりと新しい人の曲が上位に上がってきているので、この流れが続いて、どんどん面白くなっていったらいいなって思いますね。

―この数年でのリスナー側の変化はどのように見ていますか?

DECO*27:僕が活動を始めてから、2回くらい入れ替わっている気がします。僕とwowakaさんとハチくんが上げなくなって、その後にNeruくんとかじんくんが爆発した2011年くらいでまず1回変わって。その後、じんくんが『カゲロウプロジェクト』を終わらせ、ハチくんが“ドーナツホール”を上げて、僕が“妄想税”を上げた2013年から2014年でまた1回変わった。それで2016年になってまた新しい子たちが入ってきている感じがしますね。“ゴーストルール”のコメントを見てると、「これが初めてのボカロです」って人もいるんですよ。

ボカロシーンは2014年と2015年で沈むところまで沈んだんで、「焼け野原からの再出発じゃね?」って僕らの仲間内ではよく言われているんです。(Neru)

―やっぱり、2016年に入って状況が変わってきたと。

Neru:2016年はめっちゃ変わりましたよね。

DECO*27

DECO*27:すごく変わった。さっき言った、現時点で100万再生されている4曲って、“ゴーストルール”と“脱法ロック”の他に、ナユタン星人の“エイリアンエイリアン”って曲と、くらげPの“チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!”って曲なんですけど、全部特殊なんです。

“ゴーストルール”は自分が中学生のときに聴いていたミクスチャーがベースになっているので、自分としては特別「新しいもの」ではないんですけど、でもみんながすごく反応してくれて。“脱法ロック”はPVが爆裂してて、いい意味でおかしいんですよ(笑)。

Neru:PVはただの悪ふざけです(笑)。僕からすると、“ゴーストルール”は純粋に「いい曲」って立ち位置で、他の3曲は飛び道具的というか、2016年を象徴する感じの3曲だと思いますね。

―途中で楽曲の画一化の話がありましたけど、今はまた「個性の時代」になってきた?

DECO*27:そうですね。2008年とか2009年当時くらいの感じがします。

Neru:ボカロシーンは2014年と2015年で沈むところまで沈んだんで、「焼け野原からの再出発じゃね?」って僕らの仲間内ではよく言われているんです。どん底からの再スタートなんで、どれだけふざけたとしても、あとはもう上がるしかないっていう(笑)。

―まさに、その状況がデコくんからすれば2008年や2009年の混沌とした状況を思い起こさせるわけですね。

Neru:このタイミングでデコさんの新作が出るっていうのがまたいいんですよね。デコさんのニューアルバムが出るって、派手な話題なんですよ。2014年とか2015年って、そういう派手な話題が少なかったから沈んだ感があったんだと思うんです。でも、「“ゴーストルール”の入ったアルバムが出る」っていうのは、ボーカロイドがもう一度上がっていくためのセーブポイントになるのかなって(笑)。

―ここに来て初めてアルバムジャケットにミクを使っていることも象徴的ですよね。

DECO*27『GHOST』ジャケット
DECO*27『GHOST』ジャケット(Amazonで見る

DECO*27:このタイミングだなって思ったんですよね。今回、自分のミクに対する気持ちが再び強まっていて、彼女の声が頭の中にイメージとしてあるからこそ、DECO*27らしい曲が書けるってことを、この2年半で改めて感じたんです。ニコ動に上げている曲も、今のところ全部ミクがサムネイルになっているんですよ。

Neru:デコさんのミク愛は偉いと思う。2008年ごろって、初音ミクのテーマソングみたいなのが流行っちゃうくらい、ボーカロイドが主役の時代だったんです。でも、そこからグチャグチャってなって、ボーカロイドが作り手の言いたいことを代弁する時代にシフトしたんですよね。それこそ、今ランキングに上がっている曲で、初音ミクをサムネイルに使っているのって、デコさんの曲以外ないんじゃないですかね?

DECO*27:さっきリスナーが入れ替わったって話をしましたけど、新しく入ってきた人に聴いてほしいって思うんですよね。もちろん、昔から聴いてくれている人をないがしろにするつもりはないですけど、新規のリスナーにミクやボーカロイドの文化をもっと好きになってほしいっていう気持ちがすごく強いんです。

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リリース情報

DECO*27『GHOST』初回限定盤
DECO*27
『GHOST』初回限定盤(CD+DVD)

2016年9月28日(水)発売
価格:3,200円(税込)
UMA-9083/4

[CD]
1. ゴーストルール
2. リバーシブル・キャンペーン
3. LOVE DOLL
4. 散散駄目調子
5. 妄想感傷代償連盟
6. いいや
7. 正義のタレット
8. ライアーダンス
9. Find The Light
10. 生心病
11. 針鼠
12. Sprite Girl
13. at
[DVD]
1. ストリーミングハート (MV)
2. Find The Light (-short MV-)
3. 『MIKU in the GHOST』 Analog Live Drawing by おぐち
(※副音声:DECO*27、おぐちによる解説)
※紙ジャケット仕様、20ページ大判ブックレット付属

DECO*27
『GHOST』通常盤(CD)

2016年9月28日(水)発売
価格:2,700円(税込)
UMA-1083

1. ゴーストルール
2. リバーシブル・キャンペーン
3. LOVE DOLL
4. 散散駄目調子
5. 妄想感傷代償連盟
6. いいや
7. 正義のタレット
8. ライアーダンス
9. Find The Light
10. 生心病
11. 針鼠
12. Sprite Girl
13. at
※16ページブックレット付属

プロフィール

DECO*27
DECO*27(でこ にーな)

福岡生まれ、男性。レフティスタイルでギターを奏で、作詞、作曲を手掛けるアーティスト/プロデューサー。ロックをベースにフォークからエレクロニックミュージックまでを柔軟に吸収したサウンドと印象に残るメロディー、等身大の感情をリアルに、かつ絶妙な言葉遊びを用いて描かれた歌詞が若い世代から絶大な支持を得ている。2016年1月に公開した楽曲「ゴーストルール」は、ニコニコ動画において瞬く間にミリオンを達成。9月現在、ニコニコ動画とYouTubeでの合計再生回数は500万回を超える。そして2016年9月28日、前作より2年半振りとなる新作アルバム『GHOST』をリリースする。

Neru(ねる)

ボーカロイドクリエーター。10代の頃からネットシーンでの音楽活動を開始、作品を発表する度に評価を上げ、2011年「東京テディベア」で200万を超える再生数を記録しシーンに衝撃を与えた。その後もコンスタントに人気曲を発表、2013年連続で発表された「ハウトゥー世界征服」「ロストワンの号哭」はそれぞれ150万・300万再生という桁外れのヒットを記録しその地位を不動のものとした。主に疾走感溢れるロックサウンドが得意であり、唯一無二の世界観を持つ言葉で紡がれた歌詞に多くのファンが熱狂している。

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