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二階堂和美が語る、ビッグバンドとの共演とジブリ主題歌後の試練

二階堂和美が語る、ビッグバンドとの共演とジブリ主題歌後の試練

二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band『GOTTA-NI』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:矢島由佳子 編集:山元翔一

ビッグバンドを背負うというのは、生半可なことじゃないんだなと。でも、その機会が自分に訪れたことがうれしくてすごく高ぶってましたね。(二階堂)

―単発のライブで終わったら、相当もったいない話ですからね。

久保田:でも最初は年始に東京と大阪でライブするだけの予定だったんですよ。ニカさんとはそれだけでもうれしかったので。だからとりあえず、すげぇ面白いことをやろうって。

―ニカさんの曲をビッグバンドにするうえで、どんなことを意識したんですか?

久保田:僕が実際にアレンジを担当したわけではないんですが、ニカさんのバックバンドをやるだけにはならないように、ジェントルのバンドの顔も見せつつ、新たなものを作る意識でということは話していました。まず最初に小さい編成で集まって、いろいろ試行錯誤して方針を決めてニカさんに投げて。

左から:二階堂和美、ジェントル久保田

―ニカさんともやりとりをしながら詰めていったんですか?

二階堂:久保田君、村上君、私の三人で、かなり密にメールしてました。でも、メールだと孤独感がすごくて、何度もへこたれそうになったんですよ。一緒に音を出すまでは、だいぶ大変でした。 私は譜面が読めないし、書けないし、抽象的な注文ばっかり出すんですけど、それを汲み取ってくれて。でも、そうやって何か月間かやりとりして、もやもやしてたものが、音を出した瞬間にパーッと晴れていく感じがあって、「音楽ってすごい!」と思いましたね。

―ニカさんのメールで印象的なものはありました?

久保田:ニカさんから来るメールをちゃんと解読するまでに、毎回30分以上かかって……これ、悪口じゃないですよ(笑)。それで、基君と会ってディスカッションをしつつ、1時間くらいかけて返信のメールを書いて。

二階堂:私は専門的なことが全然わからなくて、基君からのメールが解読しきれず。リズムとか楽器選びとか、こうしたらどうなるみたいなのが、なかなかイメージできなくて……。でも、ジェントルのほうもいっぺんに10曲くらい渡されて、それをそれぞれ違うように聴かせなきゃいけないわけだから、そりゃ大変ですよね。本当に振り返りたくないくらい(笑)。

二階堂和美

久保田:あのときが一番大変でしたね。

二階堂:大変だったね。「安易に言うんじゃなかった」みたいな(笑)。でも、初めて自分が声を出してみたら、音量も音圧もすごかったんですよ。ちょっとビッグバンドをなめていたというか。「こりゃ大変だ!」と。

でもやってるときは楽しくてしょうがなくて、5時間とかのリハがあっという間で。まだなんぼでもいけるとか思うんだけど、実際はものすごく消耗してて、翌日は使い物にならなかったんです。そんなことこれまでなかったので、やっぱりビッグバンドを背負うというのは、生半可なことじゃないんだなと。でも、それをやれる機会が自分に訪れたことがうれしくて。武者震いするというか、すごく高ぶってましたね。

―確かにビッグバンドを背負うって、ものすごいエネルギーを使いそうですね。

久保田:僕らもニカさんの声を聴いてテンションが上がっちゃって、ニカさんに音をぶつけるような演奏だったんですよ。だからニカさんも大変だったと思います。

聴いている方の心を音楽で揺さぶりたい。そうでないと、わざわざ人前に出る意味がないと思うんですよね。(二階堂)

―ニカさんはいままで、アカペラでフィールドレコーディングしたり、カバーアルバムを作ったり、ジブリの曲を作ったり、いろいろな方法で表現してきたと思うんですけど、ビッグバンドで表現することは、どういう部分が違いますか?

二階堂:やっぱりエンターテイメントっていうことが前面に出るなと思いますね。私、自分のなかで「これがやりたい」っていうのがずっと見えてなかったんですよ。ビッグバンドは理想とする音楽の見せ方ではあったけど、辿り着き方がわからなくて、ずっと回り道をしていたようなところもあって。弾き語りとかは、いわば実験で、どれだけ引き算できるかっていう。それが、最近は年配のお客さんが増えて「楽しませてちょうだいね!」と言われているような、完全に受け身ムードのことも多くなっていて。

二階堂和美

―特にジブリ以降は、客層も変わったんじゃないかと思います。

二階堂:そうですね。ライブハウスに通ったり、インディーズのCDを探したりするような人とは、全然違うタイプの人たちの前で歌うことが増えて、ものすごい試練を受けた感じがあるんです。それで、自分のなかでも少しずつエンターテイメントっていうものに向かい始めていたところがあったんですけど、そこでジェントルと一緒にやることができて。

―必然的に導かれたところがあるんでしょうね。

二階堂:そういう感じですね。「いつか」と思っていたことが、「いま」っていう感じで。

―過去のニカさんの活動を振り返ると、一見全然関連のないことをやっているように見えて、導かれている部分もあるんだなと感じたんですよね。

二階堂:そのときそのとき、全力で目の前のことに向かっているだけなんです。聴いている方の心を音楽で揺さぶりたいですし。そうでないと、わざわざ人前に出る意味がないと思うんですよね。私、もともと人前が苦手なんですよ(笑)。いつも苦し紛れというか、私にやれることがあるならばやろうみたいな感じでお尻を叩かれてここまでやってきて。叩いてくれる方がいることは幸せなんですけどね。

―それは自分が社会に対して何ができるのか、みたいな考えで?

二階堂:無力感みたいなものが大前提にあるんです。そのなかで「私にできることがあるとするならば」っていう感じですね。ちょっと消極的な考え方かもしれないですけど。

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リリース情報

二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band『GOTTA-NI』
二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band
『GOTTA-NI』(CD+DVD)

2016年9月7日(水)発売
価格:3,672円(税込)
PCD-18816/7

[CD]
1. Nica's Band
2. いてもたってもいられないわ
3. 私の宝
4. とつとつアイラヴユー
5. PUSH DOWN
6. 女はつらいよ
7. 伝える花
8. いつのまにやら現在でした
9. Lovers Rock
10. お別れの時
11. いとしい気持ち
[DVD]
1. いてもたってもいられないわ
2. いつのまにやら現在でした
3. あなたと歩くの
4. したくないブギ
5. お別れの時
6. What a Wonderful World

二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band
『GOTTA-NI』(CD)

2016年9月7日(水)発売
価格:2,916円(税込)
PCD-27032

1. Nica's Band
2. いてもたってもいられないわ
3. 私の宝
4. とつとつアイラヴユー
5. PUSH DOWN
6. 女はつらいよ
7. 伝える花
8. いつのまにやら現在でした
9. Lovers Rock
10. お別れの時
11. いとしい気持ち

イベント情報

『二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band“GOTTA-NI”発売記念ワンマンツアー』

2016年11月23日(水・祝)
会場:愛知県 名古屋 緑区文化小劇場
料金:3,500円

2016年11月27日(日)
会場:神奈川県 横浜市開港記念館
料金:5,000円

2016年12月10日(土)
会場:広島県 広島市南区文化センター
料金:4,800円

2016年12月11日(日)
会場:岡山県 Yebisu Ya Pro
料金:4,000円(ドリンク代別)

プロフィール

二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band
二階堂和美(にかいどう かずみ)

1974年、広島県生まれ。高校時代からバンド活動を行い、1997年からシンガーソングライターとしてのキャリアをスタートさせる。これまでに単独作として12作品をリリース。2011年発表のオリジナルアルバム『にじみ』は全曲を作詞作曲し、これまでの活動の集大成ともいえる作品となった。このアルバムがきっかけで、NHKおかあさんといっしょや小泉今日子さんのアルバムへの楽曲提供、また2013年公開の高畑勲監督作品スタジオジブリ映画『かぐや姫の物語』の主題歌(「いのちの記憶」)へ起用されるなど、広く知られるところとなる。近年は地元である広島県大竹市の学園歌の制作、同市のイメージソングを制作するなど地域に密着した活動も展開している。広島県在住。浄土真宗の僧侶でもある。

Gentle Forest Jazz Band(じぇんとる ふぉれすと じゃず ばんど)

リーダー&トロンボーンのジェントル久保田が指揮する、総勢21人から成るビッグバンド。2005年結成。踊れるスウィングジャズに「今」の要素を盛り込み、新たなエンターテイメントを展開。どこか懐かしくも底抜けに楽しいスウィングを武器に、専門家や愛好家の物になってしまったジャズをもう一度日常に取り戻すべく突き進んでいる。17人のオーケストラと3人組女性ボーカル「Gentle Forest Sisters」が繰り出す人力の音圧と笑い溢れるステージは見る人の鼓動を打ち、ウキウキ心を燃え上がらせる。

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