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会社員が生音ヒップホップ?AFRO PARKER流のリアルな音楽とは

会社員が生音ヒップホップ?AFRO PARKER流のリアルな音楽とは

AFRO PARKER『LIFE』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:森山将人 編集:矢島由佳子
2016/10/11

メンバー全員が社会人ということも引っくるめて、経験を曲に反映させたら、絶対に僕らにしか作れないものが生まれると思った。(弥之助)

―メンバーが集まるのも難儀な状況になってもバンドが解体せずに続いた理由はどこにあったんですか?

BOY GENIUS:なんだろう……たしかにあんまり集まれない時期がけっこう長くて。とりあえず都内にいるベース(KNOB)とドラム(TK-808)と僕だけで練習していたときもあって。でも、モチベーションは上がらず……正直、僕は「楽しくねえし、そろそろ……」と思った時期もあったんですよ。

弥之助WAKATHUG:えっ、そうなの!?

―初耳なんだ(笑)。それはいつ頃ですか?

BOY GENIUS:2013年とか。でも、結局七人が集まったときに楽しいから続いたと思うんですよね。

WAKATHUG:でも、たしかにその頃モチベーションは低下していたよね。

弥之助:それは否めない。2013年ってメンバーの半分くらいが就職した年で。メンバーがいろんな地域に散らばって、バンドの活動の仕方がつかめてない時期だったから。

―当然、仕事も覚えなきゃいけないし。

弥之助:そう。週末に集まってスタジオで曲を作っても、実のあるものができなかったりしましたね。でも、俺はバンドを辞めるという選択肢は頭の中になかったです。働きながら週末に活動できればいいと思ってたし。

左から:WAKATHUG、弥之助

―むしろ週末にバンド活動ができることが、平日の仕事を乗り切るモチベーションにもなったという。『LIFE』の実質的なオープニングを飾る“After Five Rapper ~SHACHIKU REQUIEM~”は、まさに働くことの苦しさも歌いながら、週末はラッパーとして生きることを歌ってますね。

弥之助:実際にそういう曲もできましたしね。自分が社会で働く中で起きたこととかを、全部歌詞にしちゃえばいいと思ったんです。むしろメンバー全員が社会人ということも引っくるめて、いろんな経験を曲に反映させたほうが絶対に僕らにしか創れないものが生まれると思ったし。

―それでもやはりメンバーがすぐに集まれないことにストレスを覚えることもあるんじゃないかと思うんですけど。

BOY GENIUS:やっぱりすぐに集まれるバンドは羨ましいですよ。すぐに集まれたらもっといろんなことができるんだろうなとは思いますけど、それはしょうがない。

弥之助:それを補う絆があるからね(笑)。

BOY GENIUS:なぜバンドが解体しなかったかというと、みんなといるのが楽しいというのと、シンプルに「AFRO PARKERの音楽っていいでしょ?」という確信があるからなんです。だから、今回も2ndアルバムをちゃんと作りたいと思ったし。このまま終わるのは悔しいという思いはありました。

1stの頃はみんな学生だったし、その時期特有の勢いがあって。1stのリリース後、いろんなバンドとライブで共演するようになった矢先にみんな就職して勢いが一気に下がってしまって。それが悔しかった。もっとチヤホヤされたいって思ったし(笑)。

弥之助:そう、チヤホヤされ足りなかったから、辞める理由がなかったですね。辞めても東京に行く交通費が浮くくらいだし(笑)。

―そういった反骨精神をエンターテイメントに変換することが、『LIFE』というアルバムだと思います。

WAKATHUG:それはすごくありますね。

東京在住でバンド活動しながら書く歌詞と、週末に地方から東京に出てきて書く歌詞って全然違うと思います。(WAKATHUG)

―社会人の日常をそのまま歌にするからこそオリジナリティーが生まれる、という話がありましたが、地方に住んでいる人と東京に住んでいる人が混在しているからこそ歌えることもあるのでは?

WAKATHUG:そうですね。やっぱり東京在住でバンド活動しながら書く歌詞と、週末に地方から東京に出てきて書く歌詞って全然違うと思います。今、自分が住んでいる場所は東京から離れた福井で、週末には東京に来るからこそ、地元のシーンも東京のシーンも客観的に見られるところがあるなって思うんです。

WAKATHUG

―弥之助さんもそのあたりで共感するところが多いですか?

弥之助:かなりありますね。たとえば“Paper City”で歌っている内容につながるんですけど、僕はもともと都会が嫌いな千葉県民で、東京の満員電車とかもハリボテのように映るんです。でも、そこにはきっと嫉妬が多分に含まれていて、そういう都会に対する嫌悪感と憧れが気持ち悪く混ざったものが“Paper City”の歌詞になっています。

―今後、バンド活動が上向きになっても上京する気はない?

WAKATHUG:僕は福井が地元なんです。だから、地元に戻って就職したかたちだし、これからも一生福井にいるつもりですね。たとえば神戸在住で活動しているtofubeatsとかがいたりしますけど、バンドでも地方に拠点を置くメンバーがいても続けられる時代だと思うんですよ。

弥之助:僕も入社したときに上司から「君は、最低10年は静岡にいると思うよ」って言われて(笑)。そこで逆に踏ん切りがついたんですよね。静岡に10年いながらAFRO PARKERを続けるにはどうしたらいいかという発想になって。

―逆にBOY GENIUSさんは東京在住だからこそ意識していることってありますか? ちゃんと夜遊びして東京のムードを感じようとか。

一同:(笑)。

左から:BOY GENIUS、WAKATHUG、弥之助

BOY GENIUS:事務的なことも含めて、東京にいたほうが迅速にできることはあるのかなと思うので、その辺は意識しています。あと、僕はIT系の会社でエンジニアをやっていて。それもあってバンドのサイトを作ったり、マーケティング寄りの部署に所属しているのでSNSのフォロワーを増やすためのアイデアを考えたりしています。あと、業務的にヘッドホンを付けて仕事していてもなにも言われないのでずっと音楽を聴いていて。

WAKATHUG:羨ましいな。カルチャーショックだよ。信じられない(笑)。

―そのときに曲のネタが浮かんだりすることもあるだろうし。

BOY GENIUS:そうですね。かっこいい曲を聴いたら研究のためにメモをして。そうやって音楽的な引き出しを増やしています。

―メンバーがなかなか会えない状態で、『LIFE』の制作はどうやって進めていったんですか?

弥之助:曲ごとに、土台を作ったメンバーがLogic(音源制作ソフト)のファイルをクラウドに上げて、そこに音やラップを加えていって。そこからスタジオに集まったときにバンドで合わせてアレンジを詰めていくという感じですね。

弥之助

―現代的な制作ですね。

弥之助:インターネットの恩恵はかなり受けてますね。Skypeで打ち合わせしたりするのもそうだけど、距離が関係ないから。さっきバンドのスランプの話になりましたけど、当時はネットの活用の仕方もわかってなかったんです。でも、今はLogicファイルをベースに曲を作って、Skypeを使って週イチで会議すればいいというバンドの動かし方が固まっているので。そのやり方を見つけてから活動が上手く回りだしましたね。

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リリース情報

AFRO PARKER『LIFE』
AFRO PARKER
『LIFE』(CD)

2016年10月5日(水)発売
価格:2,300円(税込)
para de casa / PDCR-009

1. The Awakening (Intro)
2. After Five Rapper~SHACHIKU REQUIEM~
3. The Rapper In The Rye
4. H.E.R.O.
5. Your Yosa, Our Yosa
6. Fallin'
7. Paper City feat. MC BLARE
8. ROHPA β
9. Honesty
10. El Qui Tejo
11. Get On The Mic
12. We Choose Organic
13. Still Movin' On
14. Life Is Good
15. The Awakening (Outro)

イベント情報

『THIS IS "LIFE" ~2ND ALBUM RELEASE PARTY~』
2016年10月15日(土)
会場:東京都 渋谷 Vuenos
出演:
AFRO PARKER
wonk
umber session tribe

『タワーレコード渋谷店 インストアライブ』
2016年11月20日(日)
会場:東京都 TOWER RECORDS 渋谷店

プロフィール

AFRO PARKER
AFRO PARKER(あふろ ぱーかー)

2MC+5人の楽器隊からなる生音ヒップホップバンド。2010年結成。R&B、JAZZ、FUNKをルーツに持つ楽器隊のアンサンブルと、対照的な2MCの掛け合いを特徴とし、HIP HOPを軸とする幅広いアプローチで東京を中心に活動。2012年にリリースした1stアルバム『Lift Off』はAmazon MP3 StoreのHIP HOP部門で1位を獲得。その後も柔軟な音楽性と劇場型のライブパフォーマンスを武器にGAGLE、韻シスト、Creepy Nuts(R-指定 & DJ松永)、Negiccoといったアーティストとの共演を果たす。2016年10月にはレコーディングエンジニアにIllicit Tsuboi氏を迎えた2nd album『LIFE』をリリース。レーベルpara de casaから初の全国流通を実現し、勢いのあるヒップホップバンドシーンに殴り込みをかける。尚、全メンバーが月金で日本経済を支えるサラリーマンであり、各々の人事発令に従い東海、東北、北陸へ散らばりつつもそんな不都合はものともせずに鋭意活動中。

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