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藤井隆が明かす、知られざるアートディレクターとしての顔

藤井隆が明かす、知られざるアートディレクターとしての顔

早見優『Delicacy of Love』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望 編集:山元翔一

2014年に自身が主宰するレーベル「SLENDERIE RECORD」発足以降、自らの11年ぶりのオリジナルアルバムやベストアルバム、早見優の21年ぶりとなる新作をリリースするなど、精力的な活動を続けている藤井隆。これまで歌手としての面は数多く語られてきたが、今回はアートディレクターとしての彼にスポットを当てたインタビューをお届けしたい。

2002年発表の1stアルバム『ロミオ道行』ではgroovisionsが、2004年発表の2ndアルバム『オールバイマイセルフ』では立花文穂がアートディレクションを手がけていたことは知る人ぞ知る話だが、こうした作品を「成功体験」と語る一方で、2013年の『She is my new town』以降は自らアートワークもプロデュース。本人は「求められていないことは百も承知」と言うが、細部にまでこだわり抜いた設定や、それを実現させるための情熱は、話を聞くほどに驚かされる。

藤井がアートディレクションの相棒として絶大な信頼を寄せ、「SLENDERIE RECORD」の作品を数多く手がけている高村佳典とともに、その制作過程やバックボーン、そして二人がディレクションし、現在立て続けに公開されている早見優のPVについて、たっぷりと語ってもらった。

高村さんとご一緒するまでは、照明もカメラも小道具も、自分で用意していたんですよ。(藤井)

―まずはおふたりの出会いから教えていただけますか?

藤井:きっかけはNONA REEVESの西寺郷太さんで、Small Boys(西寺と堂島孝平によるアイドルユニット)のときですよね?

高村:そうですね。僕はSmall Boysのプロジェクトに1stアルバム(2012年リリースの『ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ』)のころから関わっていたんですけど、次の年に出た2ndアルバムの“Selfish Girl”という曲に藤井さんが参加されて、そのPVを撮ったときに初めてお会いしたんです。

左から:高村佳典、藤井隆
左から:高村佳典、藤井隆

藤井:スタジオで撮影したんですけど、仕事がすごく速かったんですよ。撮るのももちろんですけど、その場でどんどん映像を見せてくれたり、ほしい画を教えてくださったり。作品を作るのに何が必要なのかわかりやすく伝えてくださる方だなと思ったんです。

―高村さんはデザインだけでなく、映像もやられるんですね。

高村:キャリアのスタートはVJだったので。僕は『design plex』(1997年創刊、2002年に休刊となったデザイン雑誌)を愛読していた世代なんですけど、宇川直宏さん(現代美術家、DOMMUNE代表)とかは、デザインも映像もやられていたのでそのことに疑問もなくて。最初は、コンピューターでできることなら、なんでもやってみよう、みたいな感覚ですね。

―もともと音楽畑の人なんですか?

高村:美大に行っていたので美術畑ですね。最近だと東京オペラシティアートギャラリーの『RYAN MCGINLEY: BODY LOUD!』展で、グラフィックの仕事をやってます。でも、もとを辿ればDTMも趣味でやっていたし、大学を出てからずっと「Second Royal」(京都の老舗インディーレーベル)でデザインの仕事をさせてもらっていて。その関係で東京に出てきてから、西寺さんと知り合って、藤井さんともつながったんです。

―おふたりがタッグを組むようになったのは、どの作品からだったんですか?

藤井:Like a Record round! round! round!の『kappo!』(2014年)からですね。

―藤井さんと椿鬼奴さん、レイザーラモンRGさんによるユニットですね。

藤井:そうです。それまでは照明もカメラも小道具も、自分で用意していたんですよ。『She is my new town / I just want to hold you』(2013年)のアーティスト写真なんて、自分で画角を決めて、マネージャーさんにシャッターを押してもらっていたくらいで。あれをリリースしたときに、アートディレクションの部分まで自分で全部きちんとやりたいと思ったんです。

いま思うと、意地張って「じゃあ、全部自分でやります」みたいな、反発心があった時期でした。でも『kappo!』のとき、これは高村さんに甘えたほうが、自分が思っているイメージに近づけるんじゃないかと思って相談したんです。

『She is my new town / I just want to hold you』リリース時のアーティスト写真
『She is my new town / I just want to hold you』リリース時のアーティスト写真

―どうしてそう思ったんですか?

藤井:高村さんは自分が頭に描いていることを的確に言ってくださるから、僕も頭で描いているものを伝えたら、的確に汲み取ってくださる確信があって。この『kappo!』のジャケットは、本当にお伝えしたそのままなんですよ。

 

高村:『kappo!』のとき、僕はクレジット的にも実際の作業的にもアートディレクションじゃないんですよね。当時はあくまで裏方としての立ち位置だったし、そういう依頼のされ方だったので、藤井さんのなかにあるイメージをヒアリングして、忠実に形にしていく感じでした。

藤井:当時「ダメなら僕が全部責任取ります」っていう感じだったんです。もし、いいと思っていただけたなら、自分の手柄にしたかったのだと思います。色んな仕事をやらせていただけるのは、芸人 / タレントだからということを十分理解してますし、ラッキーだと自覚しています。それに、普通ならデザインやアートワークという仕事は専門の方がやるべきだと思っています。この記事を読まれている方も専門の方が多いと思いますが、そんな読者の皆さんの前で、僕がアートワークの話をするなんて滅相もないですがお許しください。

―藤井さんがこんなに腰の低い方だなんて、お会いするまで思いもしませんでした(笑)。そういった自覚がありながらも、『kappo!』ではアートディレクションを務めたと。

藤井隆

藤井:再びCDを出させていただくことになったとき、今までよくしてくださった経験をもとに自分で考えてみたかったんです。もちろん専門の人間じゃないのにやらせてもらえているので、もっと勉強しないといけないと思っています。このタイミングで高村さんと出会えたから、すごくラッキーだったんですよね。本当に恵まれていると思います。

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リリース情報

早見優『Delicacy of Love』
早見優
『Delicacy of Love』(CD)

2016年8月24日(水)発売
価格:2,000円(税込)
YRCN-95260 / SLENDERIE RECORD

1. 溶けるように kiss me
2. 誘惑光線・クラッ!(DE DE MOUSE back to night mix)
3. GET UP(APOTHEKE dawn on the river mix)
4. Caribbean Night(okadada "love is the destiny" remix)
5. 夏色のナンシー(Redefined by Seiho)
6. 恋のブギウギトレイン

イベント情報

『藤井隆“Delicacy”&早見優“Delicacy of Love” W release tour』

2016年10月15日(土)
会場:京都府 京都METRO

2016年11月2日(水)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2016年11月11日(金)
会場:大阪府 心斎橋SUNHALL

2016年11月12日(土)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO

2016年11月22日(火)
会場:北海道 札幌 Sound Lab mole

『SLENDERIE RECORD FES』

2016年11月27日(日)
会場:東京都 恵比寿ザ・ガーデンホール

プロフィール

藤井隆(ふじい たかし)

1972年3月10日生まれ、大阪府出身のお笑いタレント / 歌手 / 俳優。92年吉本新喜劇デビューし数多くのバラエティ番組に出演し人気を博す。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、同年の紅白歌合戦に出場。近年では自身主宰の音楽レーベル「SLENDERIE RECORD」を設立し、11年ぶりとなるオリジナルアルバム『Coffee Bar Cowboy』や2015年にはベストアルバム『ザ・ベスト・オブ 藤井隆 AUDIO VISUAL』をリリースするなど音楽シーンでも活躍。俳優としてNHK大河ドラマ「真田丸」(佐助役)、TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に出演するなど様々なジャンルで才能を発揮する。

高村佳典(たかむら よしのり)

1982年生まれ。アートディレクター / グラフィックデザイナー / 映像作家。京都造形芸術大学 環境デザイン学科卒。家具デザイナー・藤田昌喜ともに「CRAFTIVE」としても活動を行う。MAGICALGANG、I HATE MONDAYSが所属するインディーズレーベル「Oystar Productions」も主宰する。

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