インタビュー

内村光良が男泣きした、桑田佳祐の計らいとは? サザン愛を語る

内村光良が男泣きした、桑田佳祐の計らいとは? サザン愛を語る

インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

初めて一緒に飲んだときに、すごく謝られたんですね。なんて繊細な方なんだろうと思って。

―『夢で逢えたら』でご一緒されてから、今回内村さんが監督した映画『金メダル男』の主題歌を桑田さんにお願いするに至るまで、他に印象的だったお仕事はありますか?

内村:『ウンナンの気分は上々。』(1996年~2003年に放送していたテレビ番組)で、「レンタル内村」という、いろんなところに私を貸し出す企画があったんですけど、そこに桑田さんから依頼をいただいたんです。サザンが横浜アリーナでやる年越しライブの最後に、私がサプライズゲストとして登場することになって。アンコールで、ダンサーの方々が「忍者ハットリくん」のお面を被って登場するんですけど、その中に私もいて、お面を取ったらわかるっていう。あれも相当緊張しましたね。

―それは相当盛り上がりそうですね。

内村:そのとき桑田さんが興奮して、私を蹴っ飛ばして、舞台から突き落としたんです(笑)。それはそれで盛り上がったんですけど、その数年後に偶然お店で桑田さんとお会いして、初めて一緒に飲んだときに、すごく謝られたんですね。「ずっと謝ろうと思ってた」って。そんなことをずっと気にしていられたなんて、なんて繊細な方なんだろうと思って。緊張せずに普通に話せるようになったのは、そこからです。それからは、たまに飲みに行かせてもらうようにもなって……。

―普段の桑田さんは、ちょっと雰囲気が違ったりするのですか?

内村:いや、全然変わらないですね。テレビやライブで見る、あの印象のままです。あんなにスターなのに、全然スターに見えないというか、なにも飾らないし、本当に気さくな方ですね。

(主題歌は)映画の主人公と重なるところもあるし、きっと私のことも考えて書いてくださったのかなって。

―桑田さんの新曲“君の手紙”についても教えてください。この曲は、『金メダル男』の主題歌として書き下ろされた1曲ですよね。

内村:本当にありがたいことです。映画のプロデューサーから、「主題歌が必要だ」という話をされて、いろいろミュージシャンの名前を挙げてもらったんですけど、この映画はやっぱり桑田さんだよなと思って。1回ダメもとで聞いてみたいと思って、桑田さん宛に手紙を書かせていただいたんです。その手紙に、映画のもととなった舞台のDVD、あと編集前の映画の素材をつけて送らせていただいて。

内村光良

『金メダル男』 ©「金メダル男」製作委員会
『金メダル男』 ©「金メダル男」製作委員会(予告編はこちらから

―面識もあって、会おうと思えば会えるのに、そこは手紙だったんですね。

内村:そうですね。メールのやり取りもさせていただいているんですけど、やっぱりここは手書きで送りたいなと。丸っこい変な字なんですけど、ちゃんと自分の字で伝えたいと思ったんですよね。

―その手紙の内容は?

内村:この映画の主人公である「秋田泉一」の人生の最後を飾っていただくのは、桑田さんの歌しかないと思いました、ということを書いて。あとは、私のサザン愛を書きまして、最後に「もしよろしかったらご検討のほどお願いします。今回ダメでも次回は……」みたいな感じで、かなりしつこく書いたかな(笑)。

そうしたら、手紙の返事云々じゃなくて、ポンと1枚のCDが送られてきたんです。そこに“君への手紙”ってタイトルが書いてあって……もう、男泣きしましたよね。

―実際にその曲を聴いて、どんな感想を持ちましたか?

内村:もう、震えましたね。「なんてすばらしい曲なんだ!」って。映画のラストシーンにふさわしい曲になっていたんです。私の映画の稚拙な部分を、桑田さんの曲が全部すくい取ってくれて、ちゃんと締めてくれる。いただいてから、もう何百回聴いたかわからないです。

―映画を観てからこの曲を聴くと、映画の物語を踏まえた上でこれを書いていることが、非常によくわかりますよね。

内村:そうですね。主題歌を作ってもらえるとしたら、“東京VICTORY”みたいな、ちょっと楽しくて明るい感じの曲になるのかなって想像していたのですが、胸にグッとくるような弾き語りのシンプルな曲になっていて。

歌詞を見ながら、「ああ、私の映画を見てこの曲を書いてくださったんだな」と思ったら、余計感慨深かったですよね。「人生はさよならと出逢いの繰り返しだ」ということを書いてくださっている。映画の主人公も、出逢いと別れを繰り返しながら人生を歩んでいくので、きっとそれを感じて書いてくださったんだと思います。

―<こんな男のために 小粋なバカが集まったな>というフレーズも印象的でした。

内村:そのあたりは、主人公と重なるところもあるし、きっと私のことも考えて書いてくださったのかなって。わからないですけどね。映画のスタッフや桑田さんが、こんな僕のために集まってくれた、というふうにも読み取れる。そういう意味でも、本当に一生の歌になりましたね。

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作品情報

『金メダル男』
『金メダル男』

2016年10月22日(土)から全国公開
監督・脚本・原作:内村光良
主題歌:桑田佳祐“君への手紙”
出演:
内村光良
知念侑李(Hey! Say! JUMP)
木村多江
ムロツヨシ
土屋太鳳
平泉成
宮崎美子
笑福亭鶴瓶
配給:ショウゲート

プロフィール

内村光良(うちむら てるよし)

1964年7月22日生まれ、熊本県出身。監督・脚本作品に『ピーナッツ』(2006年)、『ボクたちの交換日記』(2013年)。主な出演映画としては、映画『七人のおたく』(1992年、山田大樹監督)、『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』(2003年、金子文紀監督)、『ゼブラーマン』(2004年、三池崇史監督)、『恋人はスナイパー 劇場版』(2004年、六車俊治監督)、『サヨナラCOLOR』(2005年、竹中直人監督)、『西遊記』(2007年、澤田鎌作監督)、『内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル』(2015年、工藤浩之監督)など。

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