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ジャケットはバンドの命運を握る チームおとぎ話のものづくり

ジャケットはバンドの命運を握る チームおとぎ話のものづくり

おとぎ話『ISLAY』
インタビュー・テキスト
山元翔一(CINRA.NET編集部)
撮影:豊島望

木村さんと一緒にやることは、自分が頭に描いたイメージそのままやれるっていうことではない。最終的にアウトプットされるアイデアが自分にないものだからいいんです。(有馬)

―木村さんが携わる前後では具体的にどのような違いがあったんでしょう?

有馬:木村さんと一緒にやる前は、音楽やジャケットっていう自分の表現に対して独占欲がまだ残っていて。自分の手元から離れてほしいし、もっと言うと売れたいと思っていたのに、そんなに離してない自分がいたんです。でも、木村さんと仕事をすることによって自分の表現が解き放たれたと感じました。

有馬和樹

―ある種の自家中毒状態に陥っていたのかもしれないですね。

有馬:『CULTURE CLUB』で木村さんと一緒にやったことで、自分の音楽がわかったんですよ。それまで俺自身もよくわかってないところがあったから。

―『CULTURE CLUB』は「おとぎ話」というバンドをわかりやすくプレゼンするような作品でもありましたよね。それは有馬さんにとっても同じことで、木村さんはそれほど大きな存在だった。

有馬:木村さんと一緒にやることは、自分が頭に描いたイメージそのままやれるっていうことではないんです。最終的にアウトプットされるアイデアや表現が自分にないものになるからいいんですよ。あと、神保くんとタイコウさんとは『THE WORLD』でも一緒にやったんですけど、木村さんがいることによってたぶん二人の作品も全然違うものになったと思う。

タイコウクニヨシ

タイコウ:それはあるな。それまでのは関わる人数が少なくて、基本的には「メンバーと俺」っていう構図だったからね。神保くんや木村さんっていうピースが揃ったことで、ただ俺が彼らを撮るっていう以外の表現の選択肢が増えていって。そうなると有馬くんの頭の中にもどんどんアイデアが湧いてくるから、一緒にやっててすごく楽しかったです。

神保:僕は木村さんとは『ISLAY』で初めて一緒にお仕事をしたんですけど、僕のことを知っている人が見ても、僕が描いた絵だってパッと見ではわからないと思うんです。木村さんが間に入ることで客観的に見られるし、自分でもいいなと思いました。こういう形で参加できたのは嬉しかったですね。

おとぎ話『ISLAY』ジャケット / イラスト:神保賢志、デザイン:木村豊
おとぎ話『ISLAY』ジャケット(Amazonで見る) / イラスト:神保賢志、デザイン:木村豊

―ここまでお話をうかがう限り、木村さんはデザイナーという立場ですが、俯瞰した視点が結果的にプロデューサーのような機能も果たしていたんでしょうね。木村さんにもおとぎ話とのお仕事についてお訊きしたいです。

木村:有馬くんは同世代のミュージシャンと比べても音楽に詳しいから共通言語が多くて、打ち合わせもすごくしやすいんですよね。だから必然的に音楽の話題も多くなるし、気持ちよく仕事できる。あと、アウトプットするときに面白がってくれるというか。おとぎ話とやっているとき、「さすがにそれはないんじゃないんですか?」とは言われないですね。

木村豊

有馬:おとぎ話の四人は、「さすがにない」っていうアイデアが見たいんです。木村さんは、どんどん面白いアイデアを出してくれるから、そこで「いや、ないっすわ」って止めるのは野暮で。音楽もそうなんですけど、何かを一緒に作るときってそういうところがいいんです。

ジャケットは、そのアーティストの音楽性や楽曲を説明するものだと考えているんですけど、全部を説明する必要はないんです。(木村)

―『CULTURE CLUB』のときの話を具体的にお訊きしたいんですけど、ジャケットを作るうえでコンセプトはあったんですか?

有馬:もともとThe Rolling Stonesの『Start Me Up』(1981年)みたいに靴のジャケットがいいよねっていう話になったんですよね。それでストーンズのジャケと同じでハイヒールにしようってなって。

木村:なんで靴のジャケットかというと、「カルチャー」っていうところから発想を広げて、おとぎ話の音楽の多様性とかジャンルの幅広さを、いろんな種類の靴で表せたらいいかなという気持ちがあったんです。

おとぎ話『CULTURE CLUB』の裏ジャケットとブックレット / 撮影:CINRA.NET編集部
おとぎ話『CULTURE CLUB』の裏ジャケットとブックレット / 撮影:CINRA.NET編集部

―そうだったんですね。ジャケット写真を選ぶうえで、木村さんのジャッジのポイントはどこだったんですか?

木村:知らない人に説明するときに、「靴のジャケットのアルバム」って言えるくらい印象的なものっていうのが第一。基本的にそういうジャケットは記憶に残りやすいんです。写真を選ぶにしても、最初から靴のジャケットって決まっていたので、タイコウさんが撮ってくれた中で動物の配置も含めて一番バランスがいいものにしました。

有馬:『CULTURE CLUB』の曲やると、お客さんの頭にはこのジャケットのピンク色が浮かんでいると思うんですよね。

―確かに、それくらい印象的なジャケットに仕上がっていますよね。ちなみに、木村さんはアルバムのジャケット一般についてどういう考えをお持ちなんですか?

木村:ジャケットは、そのアーティストの音楽性や楽曲を説明するものだと考えているんですけど、全部を説明する必要はないんです。ジャケットだけで全曲説明しようとしちゃうと、整理ができなくなるんですね。だから本当に一部だけを取り出すのがいいのかなって今は思っています。『CULTURE CLUB』だったら「カルチャー」っていうように。

―そういう意味では、有馬さんの主観を軸にジャケットを作っていた時期のおとぎ話は、整理されていなかったんだと言えそうですね。『CULTURE CLUB』は、音楽的にもビジュアル的にも整理されたおとぎ話を届けられた作品だった。そしてその裏には、木村さんのおとぎ話に対する理解とデザイナーとしての的確な判断があったと。

左から:タイコウクニヨシ、有馬和樹

有馬:そうだと思う。この三人は自分たちの音楽を理解してくれるし、ニヤッとしてくれる。バランスが取れてるし、すごく楽しくて充実しているのは、ジャケットにも反映されていると思いますね。

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リリース情報

おとぎ話『ISLAY』
おとぎ話
『ISLAY』(CD)

2016年10月26日(水)発売
価格:2,808円(税込)
PECF-1142 / felicity cap-259

1. JEALOUS LOVE
2. ブルーに殺された夢
3. TEENAGE KIXX
4. セレナーデ
5. 蒼い影
6. YUME
7. DREAM LIFE
8. 天国をぶっとばせ
9. 太陽の讃歌
10. めぐり逢えたら
11. 夜明けのバラード

イベント情報

おとぎ話ニューアルバム『ISLAY』リリースパーティ『New Moon,New Moon ~ドラマとドラマ~』

2016年11月15日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
おとぎ話
ドレスコーズ

『ライヴ2016「Death to the O.T.G.V」』

2016年12月24日(土)
会場:大阪府 十三Fandango

2016年12月30日(金)
会場:東京都 新代田 FEVER

ニューアルバム『ISLAY』リリースツアー
『FLAVOUR OF ISLAY』

2017年4月8日(土)
会場:宮城県 仙台 FLYING SON

2017年4月14日(金)
会場:福岡県 UTERO

2017年4月15日(土)
会場:広島県 4.14

2017年4月28日(金)
会場:愛知県 名古屋 Tokuzo

2017年4月30日(日)
会場:大阪府 十三 Fandango

2017年5月14日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

プロフィール

おとぎ話
おとぎ話(おとぎばなし)

2000年に同じ大学で出会った有馬と風間により結成。その後、同大学の牛尾と前越が加入し現在の編成になる。2007年にUKプロジェクトより1stアルバム「SALE!」を発表、以後2013年までにROSE RECORDSからの2枚を含め6枚のアルバムを残す。2015年、おとぎ話にとって代表曲となる「COSMOS」が収録された7thアルバム「CULTURE CLUB」をfelicityよりリリース。従来のイメージを最大限に表現しながら、それを壊し新しい扉を開いたこのアルバムにより、おとぎ話はまさに唯一無二の存在となった。また、ライヴバンドとしての評価の高さに加えて、映画や演劇など多ジャンルに渡るアーティストやクリエイターからの共演を熱望する声があとをたたない。日本人による不思議でポップなロックンロールをコンセプトに活動中。

タイコウクニヨシ

1972年4月27日、東京都三鷹市生まれ。CDショップ店員バイヤーなどの職を経て28歳の時にフリーフォトグラファーに転身。人物を中心に様々なジャンルを撮影。

神保賢志(じんぼ さとし)

イラストレーター。漫画「あしたのジョー」に感動し柔道部に入部。農業大学を卒業後イラストレーターの道へ。バンドおとぎ話アートワークをはじめ様々なイラスト、漫画、デザインなど幅広く活動中。

木村豊(きむら ゆたか)

1995年にデザイン事務所「Central67」を設立。CDジャケットを中心にミュージックビデオの監督や本の装幀、ツアーグッズ等のデザインを手がける。2002年に作品集、「脳内TRANSPOSE Central67 Works」を発表。赤い公園、UNICORN、スピッツなど様々なアーティストのデザイン関係に携わっている。

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