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The xxへ念願インタビュー 超待望の新作からBrexitまでを訊く

The xxへ念願インタビュー 超待望の新作からBrexitまでを訊く

The xx『I See You』
インタビュー・テキスト
宇野維正
編集:山元翔一

音楽的にはイギリスの1980年代ニューウェーブ特有の憂いや内向性を特徴としながら、今やRadioheadやColdplayと並ぶほどの世界的成功を収めているバンド、The xx。彼らのサクセスストーリーは、いくつもの点において前例がないものだった。

2009年のデビュー時点でメンバーが平均年齢20歳にも満たない若さだったこと。キャリアのごく初期の段階から、ファッション業界から注目されたり、リアーナにトラックをサンプリングされたりするなどして、いきなりスターダムを駆け上がっていったこと。トラックを担当するジェイミー・スミスが、プロデューサー / DJとしてアメリカのR&Bダンスミュージックの世界で売れっ子になっていったこと。バンドとして2枚のアルバムを発表した後、そのジェイミーがソロ作品でThe xxに匹敵するほどの成功を収めたこと。しかし、前作『Coexist』から約4年半の激動の年月を超えて、ジェイミー、ロミー、オリヴァーの三人は帰ってきた。これまでの親密さはまったく変わらず、それでいて、バンドとして鮮やかに新境地を刻んだニューアルバム『I See You』をたずさえて。

これは東京都心のホテルの薄暗い部屋で行った、ジェイミーとロミーへのインタビュー。静まり返ったラグジュアリーな部屋の空気に吸い込まれていきそうなほど静かな声で、二人は話し始めた。

(メイン画像撮影:Laura Coulson)

どういう方法で聴かれるにしても、アルバムとして聴いてほしい。そこは僕らが大切にしていることなんだ。(ジェイミー)

―先日の来日公演を観て、新しいアルバム『I See You』を聴いて、最新のThe xxのスケールアップした表現力とその変化に大変驚かされました。そして、変わってほしくないところはどこも変わってないことにも、とても嬉しい気持ちになりました。

前作『Coexist』がリリースされてから4年以上の年月が経ったわけですが、その間、あなたたちもその一部であるポップミュージックの世界も大きく変化してきました。そんな中、どのようなことを考えながら新作の制作に向かっていったんですか?

ジェイミー(Beats,Production):ポップミュージックの世界も変わったし、何よりもポップミュージックの聴かれ方が変わったよね。ストリーミングや動画サイトが社会に完全に浸透したことで、幅広い世代が、多様な音楽を聴くことができるようになったのはとてもいいことだと思う。

ただ、その一方でそれが必ずしも作り手が意図する聴かれ方ではない場合も多くて。僕らとしては、やっぱり自分たちの音楽はアルバム作品として聴いてほしいという気持ちがあるんだ。レコーディングをして、作品としてレコードに残すというのは、そういうことだからね。どういう方法で聴かれるにしても、アルバムとして聴いてほしい。そこは僕らが今でも大切にしていることなんだ。

左から:ジェイミー・スミス、ロミー・マドリー・クロフト、オリヴァー・シム Photo by Alasdair McLellan
左から:ジェイミー・スミス、ロミー・マドリー・クロフト、オリヴァー・シム Photo by Alasdair McLellan

ロミー(Vo,Gt):ポップミュージック全体もそうだけど、私たちバンドを取り巻く環境もとても大きく変わったの。でも、一番変わったのは、それぞれが一人の人間としてとても変わったっていうこと。なにしろ前作『Coexist』(2012年)を作ったとき、私はまだ22歳で、今は27歳だから(笑)。

アメリカの人々や風景は常に大きなインスピレーションであり続けてきた。大統領選の結果には落胆したけど、僕らはアメリカの素晴らしいところをたくさん知っている。(ジェイミー)

―ポップミュージックの世界の変化に加えて、昨年はイギリスでもBrexit(EUからのイギリス離脱問題)を筆頭に、大きな社会的な変化がありましたよね。The xxの表現の核として、社会に対して何かを訴えるような音楽ではないということは変わらないと思いますが、それでも何か影響などはありましたか?

ジェイミー:The xxでやりたいことは、社会的なことや政治的なことじゃない。でも、Brexitが決まった日は悲しかった。あのことで、自分にとっても、イギリスにいる多くの友だちにとっても、2016年は悲しい年になってしまった。ただ、Brexitがきっかけで若い世代の政治的関心が強まっているのは唯一良かったことだと思う。

上の世代に任せて放っておくと、とんでもないことになるってことを、あのときに若い子たちは知ったんだ。少なくとも自分の周りにいるロンドンの若い子たちはそうだった。音楽においても、Brexit以降の若い子たちの表現は、これまでにはなかったものになっていくんじゃないかって期待してるんだ。

―あなたたちも十分若いと思うんですが(笑)。

ジェイミーロミー:(笑)。

―イギリスでのBrexitにとても似たようなことが、その後のアメリカの大統領選でも起こりました。今作のレコーディングは、主にアメリカで行われたんですよね?

ジェイミー:テキサス州のマーファという小さな町にあるスタジオから始まって、ロサンゼルス、ニューヨークとスタジオを移動しながら作業を続けていったんだ。今回のレコーディングでも、これまでやってきたツアーでも、アメリカの人々、アメリカの風景は僕たちにとって常に大きなインスピレーションであり続けてきた。大統領選の結果には落胆したけど、僕らはアメリカの素晴らしいところをたくさん知っている。

The xx Photo by Alasdair McLellan
Photo by Alasdair McLellan

―アルバムのリード曲“On Hold”のビデオの舞台も、レコーディングを行なったテキサス州のマーファでしたよね。

ロミー:あのビデオを撮ったのは、ドナルド・トランプが大統領選で勝利するほんの2週間前だった。テキサス州はトランプが圧勝した州のうちのひとつだったけど、今回のアルバムのレコーディングのスタート地点になったあの町の持つ温かいフィーリングに、私たちはすっかり魅了されていて。アルバムからの最初のビデオを作るんだったら、あの町の人々や風景の美しさをファンのみんなともシェアしたいと思って、撮影のためにもう一度訪れることにしたの。

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リリース情報

The xx『I See You』
The xx
『I See You』(CD)

2017年1月13日(金)発売
価格:2,797円(税込)
YTCD161J

1. Dangerous
2. Say Something Loving
3. Lips
4. A Violent Noise
5. Performance
6. Replica
7. Brave For You
8. On Hold
9. I Dare You
10. Test Me
11. Naive(ボーナストラック)
12. Seasons Run(ボーナストラック)

プロフィール

The xx
The xx(ざ えっくすえっくす)

サウス・ロンドン出身のドラムレスな男女混合3人組。2008年初めのNME誌「今年の注目新人」特集で大フィーチャーされ、2009年『XX』でデビュー。アンニュイでメランコリーな独特の世界観が口コミで評判となり、主要メディアの年間ベストアルバムに次々に選出。2010年5月には初来日公演をソールドアウトさせ、同年『FUJI ROCK FESTIVAL '10』でもレッドマーキーを埋め尽くす満員のオーディエンスを熱狂させた。2012年に2ndアルバム『Coexist』を発表。イギリスを含む全世界5か国でチャート1位を獲得。翌年『FUJI ROCK FESTIVAL '13』ではホワイト・ステージのヘッドライナーを務めた。2016年12月に豊洲PITにて来日公演を開催。2017年1月13日、3rdアルバム『I See You』を発表する。

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