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サニーデイ曽我部×ネバヤン安部対談 年の差を超えて共鳴する理由

サニーデイ曽我部×ネバヤン安部対談 年の差を超えて共鳴する理由

サニーデイ・サービス『桜 super love』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:小田部伶 編集:矢島由佳子

サニーデイ・サービスとnever young beachは、少し歳の離れた兄弟のように感じる。共にデビュータイミングではっぴいえんどと比較され、そこに同時代の洋楽からの影響を加えることで独自性を獲得。もちろん、日本語詞に対しては強いこだわりがある。サニーデイ・サービスのニューEP『桜 super love』のリリースに伴う今回の対談では、歌詞の話を軸とすることで、曽我部恵一と安部勇磨という両フロントマンのパーソナリティーを掘り下げ、2バンドの共振の理由を探った。

サニーデイ・サービスは昨年リリースしたアルバム『DANCE TO YOU』が各方面で高評価を得て、活動歴20年を超えた今も自らを更新し続けている姿勢を示した一方で、never young beachは年明けにメジャーデビューを発表。Suchmosのブレイクなど、新たな世代が本格的に浮上しつつあるなかにあって、安部は今なにを思うのか。そして、曽我部はそれをどう感じるのか。二人にじっくりと語り合ってもらった。

ホントはまだ全然知らない自分がいるはずなんですよね。(曽我部)

―今日はまず、お二人に歌詞について話していただきたいと思うのですが、曽我部さんは最近歌詞を書くにあたってどんなことを意識していますか?

曽我部:最近は、ちょっと実験をしていて。自分の書きたいものがそのままスッと出ちゃうと、自分に対して見え透いちゃうというか、驚きがあんまりないから、どうしたら驚きのある歌詞が書けるかなって考えているんです。

自分が意識してる自分って、脳のほんの一部で、ホントはまだ全然知らない自分がいるはずなんですよね。それで昔の人はドラッグをやったり、ウィリアム・バロウズ(1914年生まれ、アメリカの小説家。1950年代のビートジェネレーションを代表する一人)は人の言葉をカットアップして並べて、自分の作品として出したりしていた。自分もそういう模索をするタイミングなのかなと思って、自分が書いた歌詞をミックスして、わざと意味をわからなくさせたり、そういうことをやっています。

―かつてはデヴィッド・ボウイやトム・ヨークもそういった手法を試していますよね。

曽我部:やっぱり、自分ってものに飽きてくるんだと思いますね。

安部:僕らはまだアルバム2枚しか出してないんですけど、歌詞の書き方をちょっと変えようと思ってるんです。「日常系バンド」とか「ありのままの」みたいなことを言われすぎて、そこにはまらないよう、逆に意識するようになってきちゃったんですよね。

左から曽我部恵一、安部勇磨
左から曽我部恵一、安部勇磨

安部:最近思ったのは、僕、薄明光線っていう、雲の薄いところから光が漏れてるのがすごく好きなんですけど、あの感じと、バターが焼きたてのパンの上で溶けてる感じがすごく似てるなって。あのバターが溶けてる部分からは、幸せのなにかが出てると思うんですよ。そういうのを今まで使ってなかった言葉で書いて、音楽で表現できれば、次の世界が広がる気がしてるんですよね。

曽我部:一子ちゃんの本の表紙(植本一子『かなわない』)がそうだよね。食パンの上でバターが溶けてる。

安部:あれがすごくポジティブに感じるというか……溶けてるって、なんかいいじゃないですか?

曽我部:そこから始まるものがすごくあるよね。

安部:そうなんですよ。可能性をすごく感じて、あれを歌に閉じ込めたいなって。

安部勇磨

今は「君」とか「あなた」っていう言葉を使わないで歌詞を書きたいと思っている。(安部)

安部:『YASHINOKI HOUSE』(1stアルバム、2015年)を作ったときは、ホントに無意識で、よくも悪くもなにも考えてなかったんです。でもこの先、新しいことに挑戦して、不安な気持ちも混ぜていかないと、あれには勝てないなって思うんですよね。現状維持は後退にしかならないというか、前に進んでこそ、やっと現状維持くらいだと思うし。

never young beach
never young beach

曽我部:メジャーにいくと、少なからずヒットが課されるわけじゃないですか? そこに対してのプレッシャーはあったりする?

安部:いろんな人に聴いてもらえたら嬉しいけど、そこに向かいすぎると自分がいなくなってしまうので、改めてルールを決めておこうと思っているんですよね。今は「君」とか「あなた」っていう言葉を使わないで歌詞を書きたいと思っていて。第三者とか相手を入れると、歌詞って書きやすいし、聴く側も感情移入がしやすいじゃないですか? でも、今は一人称だけでストーリーを書くことにやりがいを感じている。

“どうでもいいけど”(2015年発表)とかは、今振り返ると、それができてたんですよ。あの曲には、犬とかしか出てこないけど、あの抜けのよさはすごいなって思う。今後、「君」や「あなた」を一切使わなくなるわけではないと思うけど、そこに甘んじてしまうのはよくないから、一人称だけでも伝わるようにしたいんですよね。

曽我部:なるほどなあ。普通だったら逆っていうか、むしろこれから「君」とかを使っていくタイミングだったりするじゃん? でも、そこで逆に純度を高めるっていうのは、すごくいいと思う。

安部:メジャーでそういうふうに歌ってる人があんまりいないなと思って。

左から曽我部恵一、安部勇磨

曽我部:結局「君」に共感してもらうことが商売というか、そこから生まれるものって強いんだと思う。「感動した」とか「泣けた」とかがないと商売にならないっていうかね。

でも、ホントは違うじゃないですか? その人が自分のことを歌って、それが聴く人の力になるだけでいい。それって一番難しいことだけど、「歌詞を書く」というのは、最後までそれがテーマなんだと思うんですよね。

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リリース情報

サニーデイ・サービス『桜 super love』
サニーデイ・サービス
『桜 super love』(CD)

2017年3月15日(水)発売
価格:1,620円(税込)
ROSE-206

1. 桜 super love(single mix)
2. 桜 super love(ly summer chan remix)remixed by ラブリーサマーちゃん
3. JAZZとテレビ
4. 春うらら
5. 血を流そう(live)
6. コバルト(live)
7. 胸いっぱい(live)
8. セツナ(live)
9. セツナ(live)
10. 桜 super love(instrumental)

サニーデイ・サービス
『桜 super love』(7inchアナログ)

2017年3月15日(水)発売
価格:1,620円(税込)
ROSE-207

1. 桜 super love(single mix)
2. 桜 super love(ly summer chan remix)remixed by ラブリーサマーちゃん

イベント情報

サニーデイ・サービス
『サニーデイ・サービス presents 忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 中野サンプラザホール Love&Peace 2017年5月9日』

2017年5月9日(火)
会場:東京都 中野サンプラザ

イベント情報

never young beach
『ONE MAN TOUR ”April O'Neil”』

2017年4月5日(水)
会場:大阪府 梅田 CLUB QUATTRO

2017年4月6日(木)
会場:愛知県 名古屋 CLUB QUATTRO

2017年4月8日(土)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2017年4月12日(水)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

プロフィール

サニーデイ・サービス
サニーデイ・サービス

曽我部恵一(Vo,Gt)、田中貴(Ba)、丸山晴茂(Dr)からなるロックバンド。1994年メジャーデビュー。1995年に1stアルバム『若者たち』をリリース。以来、「街」という地平を舞台に、そこに佇む恋人たちや若者たちの物語を透明なメロディーで鮮やかに描きだしてきた。その唯一無二の存在感で多くのリスナーを魅了し、90年代を代表するバンドの1つとして、今なお、リスナーのみならず多くのミュージシャンにも影響を与えている。7枚のアルバムと14枚のシングルを世に送り出し、2000年に惜しまれつつも解散。2008年に再結成を果たして以降は、アルバム『本日は晴天なり』『Sunny』をリリース。2016年8月3日には通算10枚目のアルバム『DANCE TO YOU』を発売し、現在もロングセラー作品となっている。この作品からは、全曲のインストバージョンを収録したアルバム『透明 DANCE TO YOU』をカセットテープで、気鋭のクリエイターたちが全曲をそれぞれリミックスした『DANCE TO YOU REMIX』を2枚組アナログ盤でもリリースしている。

never young beach
never young beach(ねばー やんぐ びーち)

2014年春に、安部と松島の宅録ユニットとして活動開始。暑さで伸びきったカセットテープから再生されたような奇特なインディ・サイケ・ポップ『HOUSE MUSICS』をダンボール仕様のジャケットで100枚限定で発売。2014年9月に阿南、巽、鈴木が加入し、現体制の5人組になる。2015年5月に1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』をリリースしロングセラーとなり、2015年の『CDショップ大賞』ノミネート作品に選ばれる。7月末に『FUJI ROCK FESTIVAL'15』に出演。2016年6月に待望の2ndアルバム『fam fam』をリリースし、8月には7inchシングル『夏のドキドキ』をリリース。『fam fam』が『CDショップ大賞2017』のノミネート作品に2作連続で選出。

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