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馬喰町バンド×MOROHA対談 音楽には正解も予定調和もいらない

馬喰町バンド×MOROHA対談 音楽には正解も予定調和もいらない

馬喰町バンド『メテオ』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望 編集:山元翔一

言葉って、「お守り」みたいなもの。(AFRO)

:ブレることは誰にでもありますよね。AFROさんはなににブレますか?

AFRO:お金にも女の子にもブレますよ。

:いやぁ、女の子にはブレますよね……。僕もブレブレです。

左から:AFRO、武徹太郎

AFRO:そうなんですよねぇ。……あ、最近、彼女ができたので、やっぱり女の子にはブレないです。

:嘘だ! 女の子にはブレるのが普通!(笑)

AFRO:いや、この1年ちょっとは本当にブレていないんですよ! これ、絶対に書いておいてください!(笑)

AFRO

織田:そういえば、AFROさんが初めて僕らのライブに来てくれたとき、小さいキャンパスノートになにかを書き留めていたんですよ。あれは昔からやっているんですか?

AFRO:俺はラッパーになる前からポエマーだったんです(笑)。子供のころから、国語の教科書の端っこにポエムを書いてました。それを忘れて、好きな子にその教科書を貸しちゃったりするんですよ。

一同:(笑)。

―なぜ、AFROさんは、子供のころから「言葉」に自分を託してきたんでしょうね?

AFRO:なんというか……言葉って、「お守り」みたいなものというか。たとえば、ある地域では葉っぱがお守りだと信じられているとして、そうするとその地域では本当に葉っぱは霊的なパワーを持つんです。だけど、別の地域では葉っぱは葉っぱでしかない、お守りとして扱われていない、そうなるとその地域の葉っぱはパワーを持たなくなるんです。それが事実であれ嘘であれ、俺はこういう話が大好きなんですよ。

:僕は昔、わらべ歌や民謡をやっていたので、個人的なことよりも、もっと普遍的なことを歌うべきだと思っていたんです。でも、最近はどんどんと「自分の言いたいことを言うのが音楽なんだな」って思うようになってきていて。だから、昔よりも自分の言いたいことや思想は言葉にして、音楽のなかに出すようにしているんです。

でも、そうしたら最近、「あの歌詞ってどういう意味なの?」って周りの人によく訊かれるようになったんですよね。AFROさんもきっと、「あの歌詞に励まされました」とか、言われますよね?

AFRO:そういうことを言ってくれる人は多いです。でも正直、俺は疑っています。ライブが終わったあとに「俺、絶対に頑張ります!」って言ってくるヤツらは多いし、「頑張ってね」って心から思うけど、「本当に頑張るかな?」とも思う。

AFRO

AFRO:たとえば、10人が「頑張ります」って言ってくれたなかで、1人や2人は本当に頑張るかもしれないけど、残りの8人はきっと、次の日には忘れちゃうんだろうなって。瞬間的な熱量がブワッと上がる瞬間を見ても、「それがどれだけ続くんだろう?」っていつも思うんです。寂しいことかもしれないけど。

織田:でも、「こんなことを頑張りました」って報告に来てくれる人もいるでしょう?

AFRO:うん、そういう人もいます。

織田:そういう人にとって、MOROHAは絵馬みたいな存在なのかもしれない。たまに、「合格できますように」って書いてある絵馬の横に、「合格できました!」って書いてあったりするじゃないですか。僕、あれを見るとアガるんですよ。

AFRO:あれ、俺もアガります。絵馬かぁ……たしかに。俺の人生のなかにも、本当に自分を頑張らせてくれる音楽があったので、聴いてくれる人にとってそういう存在になりたいですよね。

左から:AFRO、織田洋介、武徹太郎、UK

:あまりメッセージ性のない音楽をやっている我々ですら、「救われた」って言ってくれる人がいると、すごく嬉しいんですよ。綺麗事みたいだけど、僕は、音楽って「喜び」だと思っているんです。人の気持ちを解放するものというか。

表面的に盛り上がるだけじゃなくて、人の気持ちのわだかまりをほどいて、喜びと一緒に人が解放されて自由になれることが、音楽にとってとても大切なことだと思っていて。僕は音楽を聴くのが大好きだから、心の解放バルブがガバガバに緩んでいるんですけど(笑)、でも不思議と、オノマトペみたいな、擬音語だけでやっている音楽では、そこまで解放させられないんですよね。

―あくまでも、意味のある「言葉」であることが重要なんですね。

:そうなんです。歌もうまくてメロディーが好きでも、「音」として声を発している音楽にはあまりグッとこない。「言葉」を歌っているほうがグッとくるんですよ。たとえ理解できない外国語でも、そこはわかるんですよね。

やっぱり僕も、「言葉」を出していくことに対して、「結局、音楽ってこれだろ」って信じているところがあって。直接言えない自分の気持ちを、言葉にして、さらに音楽にしていくことで、その気持ちは人に届くだろうっていうことを、僕は今、人生で一番信じているかもしれないです。

AFROさんの歌詞を、飲み屋で直接先輩に言われたら、「今日、先輩やべぇなぁ」って感じじゃないですか(笑)。でも、あれが歌になると、感動しちゃうんですよね。(武)

―武さんは「音楽は喜び」とおっしゃいましたけど、MOROHAのおふたりは、音楽を何かしらの感情に置き換えることはできると思いますか?

AFRO:難しいな……でも、広い意味では「喜び」なのかも。

左から:織田洋介、武徹太郎、AFRO、UK

UK:「喜び」を「悲しみ」として聴く人もいるだろうし……もっと広く、「感情の置き場」というか。

AFRO:それ、素敵だね。

:音楽と人の気持ちって不思議ですよね。大切なものを失くして心が張り裂けそうなとき、誰だって、そのことを思い出したくはないと思うんですよ。それなのに音楽って、失恋した歌や、大切な人を失くしてしまった歌が多いじゃないですか。昭和歌謡なんか特に、傷口に染み込むような、悲しさの極みのような歌が多くて。

たとえば、フォーク・クルセダーズの“悲しくてやりきれない”。あの歌だって、歌詞は理由のない悲しみが支配しているけど、音楽になることで、人を救えるんですよね。悲しい記憶を思い出して、涙がボロボロ出て、その果てに心が軽くなるような体験が、音楽では本当に起こる。それって、僕はすごいと思うんですよ。

AFRO:本当にそうだなぁ……。「悲しくてやりきれない」っていう気持ちの置き場を、歌に求めたんですもんね。

:そう。だから僕は、やっぱり音楽は「喜び」だと思うんです。きっとMOROHAの音楽もそうですよ。AFROさんの歌詞を、飲み屋で直接先輩に言われたら、「今日、先輩やべぇなぁ」っていう感じじゃないですか(笑)。

AFRO:めっちゃウザいですよ(笑)。

:でも、あれが歌になると、感動しちゃうんですよね。

AFRO:そっかぁ……そう考えると、すごいっすね、音楽。

左から:織田洋介、武徹太郎、AFRO、UK

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リリース情報

馬喰町バンド『メテオ』
馬喰町バンド
『メテオ』(CD)

2017年4月5日(水)発売
価格:2,484円(税込)
DDCZ-2148

1. 東京オーバードライブ
2. ゆらゆら
3. なかうちくるまえくっとさけるまでゆけゆけ
4. Wajaja
5. 昔月に人が住んでいて
6. いってみよう
7. 五月
8. マイノリティ

ライブ情報

『馬喰町バンド × 村のバザール 馬喰町バンド6thアルバム「メテオ」リリースパーティー』

2017年5月6日(土)
会場:東京都 カフェ『村のバザール』

プロフィール

馬喰町バンド
馬喰町バンド(ばくろちょうばんど)

「ゼロから始める民俗音楽」をコンセプトに結成されたバンド。懐かしいようでいて何処にもなかった音楽をバンド形式で唄って演奏する。2016年12月~NHK・Eテレ教育番組『シャキーン!』の1コーナー「終わる瞬間」のテーマ曲に、“わたしたち”(4thアルバム『遊びましょう』収録曲)が採用された。2017年4月からは同番組・同コーナーにて馬喰町バンド書き下ろしのオリジナル曲がテーマ曲として決定している。また、2016年から各所で上映されている映画『鳥居をくぐり抜けて風』の音楽を担当するなど、映像の世界へも活動範囲を広げている。2016年11月にリリースした5thアルバム『あみこねあほい』から僅か5か月後の2017年4月5日に、6thアルバム「メテオ」をリリースした。

MOROHA
MOROHA(もろは)

舞台上に鎮座するアコースティックギターのUKと、汗に染まるTシャツを纏いマイクに喰らいつくMCのアフロからなる2人組。互いの持ち味を最大限生かすため、楽曲、ライブ共にGt×MCという最小編成で臨む。その音は矢の如く鋭く、鈍器のように重く、暮れる夕陽のように柔らかい。相手を選ばず、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む。道徳や正しさとは程遠い、人間の弱さ醜さを含めた真実に迫る音楽をかき鳴らし、賛否両論を巻き起こしている。

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