特集 PR

池永正二×熊切和嘉対談 あら恋20周年と『武曲 MUKOKU』を語る

池永正二×熊切和嘉対談 あら恋20周年と『武曲 MUKOKU』を語る

あらかじめ決められた恋人たちへ『あらかじめ決められた恋人たちへ - 20th BEST -』
インタビュー・テキスト
兵庫慎司
撮影:タイコウクニヨシ 編集:山元翔一

登場以前も登場以降も、並ぶものがいないワン&オンリーのポジションを築き、活動20周年を迎えたインストゥルメンタルバンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」。その首謀者としてバンドを運営してきた一方、『味園ユニバース』『モヒカン故郷に帰る』など数々の映画音楽を手がけてきた池永正二。これまでジム・オルークに劇伴を依頼し、THE BACK HORNとのコラボレーション映画『光の音色-THE BACK HORN Film-』を撮るなど、音楽へアンテナを鋭く張る熊切和嘉監督。両者は大阪芸術大学の先輩・後輩なのだという。

CINRA.NETでは、あら恋20周年を記念し、池永と熊切の対談を実施。熊切の最新作『武曲 MUKOKU』(6月3日より全国公開)で初めてタッグを組んだ二人に、映画のこと、音楽のこと、お互いのことなどについて語ってもらった。

卒制のスタッフに山下敦弘とか近藤龍人とかいて。その仲間に混じってたまに正二くんがいる、みたいな感じだった。(熊切)

―まず、お二人は大阪芸術大学の先輩・後輩ですよね。どちらも芸術学部映像学科出身とのことですが、在学時代の接点はどういう感じだったんですか。

池永:『鬼畜大宴会』(熊切の卒業制作作品、1998年)の上映と、赤犬(大阪芸術大学で結成されたバンド)の対バンイベントがあって、僕はそれを観たんですよ。当時、熊さんとはそんなしゃべったことはなかったんですけど。

熊切:正二くんと初めて会ったのは、僕の卒業制作を撮るぐらいのタイミングだったと思います。卒制のスタッフに山下敦弘(『味園ユニバース』などを手がける映画監督)とか近藤龍人(『武曲 MUKOKU』含め多数の熊切作品の撮影を担当)とかがいて。

左から:熊切和嘉、池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
左から:熊切和嘉、池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)

池永:そのへんが僕の同期なんですよ。

熊切:その仲間に混じってたまに正二くんがいる、みたいな感じで。自分の同期はみんな卒制があるので、何も知らない後輩を巻き込んで手足のように使う、っていう作戦で当時は撮っていたんです(笑)。彼らと映画を撮って遊んでいたというか。

―そこから付き合いは続くんですか?

熊切:それが今回のこの映画が15年ぶりだったんですよ。もちろん、あらかじめ決められた恋人たちへ(以下、あら恋)のことは知っていました。すごく人気があるって。

池永:いやいや!(笑)

池永正二

―池永さんにご自分の作品の劇伴を依頼しようと思われたのはなぜだったんですか?

熊切:映画の冒頭で、(村上)虹郎くんがライブハウスでライブをやるシーンがあるんですけど、あそこをどうやろうかっていうので……それこそ15年くらい前だと思うんですけど、正二くんがまだ1人で、もっとノイズっぽい音でライブをやっていたんですよ。それをシネマ下北沢(2008年に閉館)で観て。そのときは、会場をまっ暗にして、背中にいっぱい風船をつけて「ギャーッ!」って叫ぶみたいなライブをやっていました。

池永:はい(笑)。よくわからんことをやってました。

熊切:虹郎くんのシーンを考えているときにそれを思い出して、「あのイメージだ!」って(笑)。

池永:僕、そのライブを熊さんが観てたって知らなかったんです。

熊切:もう客がドン引きだった。

池永:はははは!

熊切:たぶん映画のイベントだったと思うんだけど、知り合いの映画ディストリビューターの方が、「いやあ、こういうのはどうかと思うよ」って。

池永:落ち込みますねえ(笑)。

熊切:それで……あのシーンは、原作のイメージだともっと熱いラップなんだけど、もうちょっとノイジーで、ハードコア寄りのヤバいものにしたいなと考えていたら、「あ、あのときの正二くんの感じだ」とひらめいて。だから最初は、あのシーンだけやってもらえないかなと思ったんですよ。

熊切和嘉

―そこから音楽を全部任せようとなったのは?

熊切:それは……最初、15年ぶりに会って打ち合わせした日に、僕がeastern youthのTシャツを着ていて。

池永:そのとき、「あ、イースタン!」ってなって。あら恋で、吉野(寿 / eastern youth)さんに歌ってもらった曲があるんで(“Fly feat.吉野寿”)、「聴いてください」って音源を送ったんです。

熊切:歌なしのバージョンは聴いたことあったんですけど、吉野さんが歌ってる“Fly”は初めて聴いて「ああ、これはいいなあ!」と。そこでエンディング曲に使ったらいいんじゃないかと思ったんです。

―すみません、映画のエンディング曲ってそんなふうに決まるものなんですか?

熊切:決まんないです。

池永:はははは。

Page 1
次へ

リリース情報

あらかじめ決められた恋人たちへ『あらかじめ決められた恋人たちへ - 20th BEST -』
あらかじめ決められた恋人たちへ
『あらかじめ決められた恋人たちへ - 20th BEST -』(CD)

2017年4月5日(水)発売
価格:2,600円(税込)
DDCZ-2146

1. ヤナガ
2. Back
3. 前日
4. Fly feat.吉野寿
5. 迷いの灯
6. ラセン
7. 翌々日
8. ハウル風
9. トカレフ
10. gone feat.曽我部恵一
11. res
12. CALLING

イベント情報

2017年7月1日(土)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演 :
あらかじめ決められた恋人たちへ
MOROHA

2017年7月11日(火)
会場:大阪府 心斎橋 CLAPPER
出演 :
あらかじめ決められた恋人たちへ
MOROHA

2017年9月6日(水)
会場:東京都 渋谷 WWW

作品情報

『武曲 MUKOKU』

2017年6月3日(土)から全国公開
監督:熊切和嘉
脚本:高田亮
原作:藤沢周『武曲』(文春文庫刊)
主題歌:あらかじめ決められた恋人たちへ“Fly feat. 吉野寿”
音楽:池永正二
出演:
綾野剛
村上虹郎
前田敦子
風吹ジュン
小林薫
柄本明
ほか
配給:キノフィルムズ

プロフィール

池永正二(いけなが しょうじ)

1976年生まれ、大阪府出身。1997年より叙情派シネマティック・ダブ・バンド「あらかじめ決められた恋人たちへ」として活動開始する。『FUJI ROCK FESTIVAL』等、幾多の大型フェスに出演。2017年結成20周年を迎え、4月5日にベスト・アルバムをリリース。記念ライブイベントも開催予定。『もらとりあむタマ子』(2013年)、『味園ユニバース』(2015年)、『モヒカン故郷に帰る』(2016年)、『太陽を掴め』(2016年)など、映画の劇伴も手がける。

熊切和嘉(くまきり かずよし)

1974年生まれ、北海道出身。大阪芸術大学の卒業制作作品『鬼畜大宴会』(1998年)が「ぴあフィルムフェスティバル」で準グランプリを受賞。同作はベルリン国際映画祭パノラマ部門他、10か国以上の国際映画祭に招待され、一躍注目を浴びる。2010年、『海炭市叙景』がシネマニラ国際映画祭グランプリ及び最優秀俳優賞をはじめ、ドーヴィルアジア映画祭審査員賞などを受賞。その後も『私の男』(2014年)でモスクワ国際映画祭最優秀作品賞と最優秀男優賞の二冠を達成し、毎日映画コンクール日本映画大賞も獲得した。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

Chara “Tiny Dancer”

<わたしが置いていくものは小さな態度><愛したことは真実>という印象的なフレーズとは裏腹にCharaのとびきり甘く優しい歌声が包み込む。満島ひかりとはとても不思議な女性で、「こども」と「おとな」を併せ持っているようだ。それはCharaも同じかもしれない。そんな二人が溶け合って惹かれあっているみたい。(川浦)