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藤井隆、フラカン鈴木、鹿殺しが語る、続ける意味・やめない理由

藤井隆、フラカン鈴木、鹿殺しが語る、続ける意味・やめない理由

劇団鹿殺し 2017年公演『電車は血で走る / 無休電車』
インタビュー・テキスト
石本真樹
撮影:江森康之 編集:宮原朋之

どちらかがやめるときは解散するときですね。(菜月)

―鹿殺しのお二人は、これまで劇団の活動をやめようと思ったことはなかったんですか?

菜月:劇団では私が演出で、丸さんは作家という役割があるんですけど、もともと丸さんは大学時代は演出もやっていて、私と全然演出の好みが違うので、稽古中はめっちゃ鬱陶しいことになるんです。

劇団旗揚げ間もないときに演出で揉めて、「私はどうも劇団にいらなそうだからやめたいんだけど」と言ったら、その直前に丸さんは会社をやめたばっかりだったので、「お前、オレは会社までやめたんだぞ!」とそこらへんにあったクッションを蹴り上げながらキレられました。

それでもう軽はずみには言えないなと。確かにこの人、劇団のために会社をやめたんだったって。だからその半年後の初めての東京公演のときに、「この公演が終わったらやめようと思う」と丸さんから言われたときには私が、「お前、言うことちゃうやんけ!」とブチ切れました。

左から:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)、菜月チョビ(劇団鹿殺し)
左から:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)、菜月チョビ(劇団鹿殺し)

丸尾:それからはお互いに一度も言ったことはないです。

菜月:どちらかがやめるときは解散するときですね。

全然やる気ないのに、やる気ありますみたいな顔してたけど、結果それがよかったかもしれない。(藤井)

―みなさんそれぞれ挫折を経験しながらも、今まで続けてこられたわけですが、続けてきた先には何かごほうび的なものはありましたか?

藤井:僕はそんなにやる気もなかったのに事務所に拾ってもらったという気持ちがあるので、近くで心配してくださる方への忠誠心がここまで続けてこられた大きな原動力ですね。全然やる気ないのに、やる気ありますみたいな顔してたけど、結果それがよかったかもしれない。

いつも応援してくださるお客さんへの感謝の気持ちも、もちろんあります。この仕事って不思議な仕事ですよね。どこまでいってもいただく仕事で、自分から「やりたい!」と言ってやれる仕事ではないですから。

ただ、2014年に立ち上げたレーベル(スレンダリーレコード)は、長く続けてきたからこそ「やりたい!」と言ってやらせてもらえたことかもしれません。僕は“ナンダカンダ”という曲をもらって、いろいろなところにジャンプさせていただいたので、そのときのノウハウを活かして歌の似合う芸人さんたちの窓口になれるといいなと思っています。

藤井隆
藤井隆

私は意地でも幸せであると思いたい。よかった探し能力がすごいんですよ。(菜月)

―フラワーカンパニーズさんは、続けてきてよかったと感じるのはどんなときですか?

鈴木:僕はやっぱり26年目に立たせてもらった武道館がすごくいい景色だったので、続けることのよさはこういうことだったんだと感じましたね。

菜月:劇団鹿殺しは、まだちょっとかかるね。いい景色を見るには。

丸尾:計画ではとっくの昔に劇団も個人も売れているはずなんですけど、そうでもない。でも東京でお芝居だけで食べられているし、気づけば動員も増えていて、周りの人が「売れてるね」とか言ってくれて少しずつ変わってきたとか、歩き続けていたら知らん間に成長してきていたなと感じることはあります。

丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

菜月:私は意地でも幸せであると思いたい、意地のポリアンナ症候群(一般的には、いい部分だけを見て自己満足してしまう症状)なんです。よかった探しがすごいんですよ。劇団メンバーと同居して路上パフォーマンスをしていた時期はめちゃくちゃ貧乏でしたけど、ツラくはなかった。

これまでだいぶわがままなことを言ってきたのに、初期からやめないメンバーが2、3人いてくれるだけでも奇跡ですよね。中高の同級生でバンドを続けているというのは永遠の憧れですけど、一緒にやってくれる人がいるというのは幸せだなと思います。

菜月チョビ(劇団鹿殺し)
菜月チョビ(劇団鹿殺し)

丸尾:会社を経営している知人から、お金関係なく人が集まっていることがすごい、と言われたときはなるほどと思いました。

鈴木:実はそういう誇ってもいい部分を見失いがちですよね。

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公演情報

劇団鹿殺し2017年公演~電車二部作 同時上演~
『電車は血で走る/無休電車』

作:丸尾丸一郎
演出:菜月チョビ
音楽:オレノグラフィティ×入交星士

東京公演
2017年6月2日(金)~6月18日(日)
会場:東京都 下北沢 本多劇場

大阪公演
2017年6月23日(金)~6月25日(日)
会場:大阪府 サンケイホールブリーゼ

プロフィール

藤井隆(ふじい たかし)

1972年3月10日生まれ、大阪府出身のお笑いタレント / 歌手 / 俳優。92年吉本新喜劇デビューし数多くのバラエティ番組に出演し人気を博す。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、同年の紅白歌合戦に出場。近年では自身主宰の音楽レーベル「SLENDERIE RECORD」を設立し、11年ぶりとなるオリジナルアルバム『Coffee Bar Cowboy』や2015年にはベストアルバム『ザ・ベスト・オブ 藤井隆 AUDIO VISUAL』をリリースするなど音楽シーンでも活躍。俳優としてNHK大河ドラマ「真田丸」(佐助役)、TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に出演するなど様々なジャンルで才能を発揮する。

プロフィール

フラワーカンパニーズ

名古屋出身、「日本一のライブバンド」通称フラカン。Vocal:鈴木圭介、Bass:グレートマエカワ、Guitar:竹安堅一、Drums:ミスター小西の4人組。「自らライブを届けに行く事」をモットーにメンバー自ら機材車に乗り込みハンドルを握り、年間100本近い怒涛のライブを展開、楽曲「深夜高速」が多数のミュージシャンにカヴァーされるなど、その活動が注目され話題に。2015年12月「メンバーチェンジ&活動休止一切なし」結成26年目にして自身初となる日本武道館公演を開催、大成功を収めた。2017年3月より結成28周年を彩るツアー「フラカン28号」を開催中。

劇団鹿殺し(げきだん しかごろし)

2000年、菜月チョビが関西学院大学のサークルの先輩であった丸尾丸一郎とともに旗揚げ。劇場では正統的演劇を行いながらも、イベントでは音楽劇的パフォーマンスを繰り広げる。上京後2年間の共同生活、週6日年間約1000回以上の路上パフォーマンスなど独自の活動スタイルで、演劇シーン以外からも話題を呼ぶ。入交星士、オレノグラフィティの作曲陣による、全編オリジナル楽曲も魅力。2013年、菜月チョビは文化庁新進芸術家海外派遣制度により、1年間カナダへ留学。同時に丸尾は、歌手Coccoの初舞台を作・演出した。菜月帰国後も、2015年には、全編生演奏のロックオペラ『彼女の起源』(ゲスト石崎ひゅーい)、2016年には怒パンク時代劇『名なしの侍』(ゲスト堂島孝平他)を上演するなど、演劇と音楽の垣根を越え精力的に活動している。

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