インタビュー

Corneliusが11年ぶりのアルバムを語る。この11年何があった?

Corneliusが11年ぶりのアルバムを語る。この11年何があった?

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:柏井万作、山元翔一

「2017年最大の話題作」と言っても決して大げさではないだろう。Corneliusの新作『Mellow Waves』が遂に完成した。前作『SENSUOUS』の発表後、小山田圭吾はsalyu×salyuやMETAFIVE、『攻殻機動隊』や『デザインあ』など、様々なプロジェクトに関わってきたが、Cornelius名義のオリジナルアルバムは実に11年ぶり。近年創作のパートナーとなっている坂本慎太郎を作詞に迎えたリードトラック“あなたがいるなら”はすでに国を超えて話題となり、世界中のファンがアルバムの到着を待っている。

歌の比重が増え、トレモロによる揺らぎのある音像が支配する楽曲。時間の流れを描き、夢と現実を行き来するような世界観。銅版画家の中林忠良によるモノクロームのジャケット。語るべきポイントは無数にある。その解釈は聴き手それぞれに委ねようと思うが、『Mellow Waves』という作品が2017年という時代を体現していることは間違いないはずだ。小山田の言葉をひとつの手掛かりに、この作品をじっくりと味わってもらいたい。

この10年でやってなかったのが、「自分で歌う」っていうことで。

―今年は年明けにアート・リンゼイの新作が出て、その後も坂本龍一さん、小山田さん、秋には細野晴臣さんの新作も出るみたいですし、偶然にしてもすごい年だと感じます。アートや教授の新作は聴かれましたか?

小山田:両方めちゃめちゃよかったです。すごく好きでした。それぞれ全然違うんだけど、何となく共通して感じる部分もあったりして。

―ちなみに、教授の新作には「サウンドノイズとミュージックの割合が50%ずつ」というコンセプトがありましたが、『Mellow Waves』はどんな比率でできていると言えますか?

小山田:どうなんですかね……今回はわりと、前の2作と比べて、普通にポップスというか、歌ものの比率は増えましたよね。

小山田圭吾
小山田圭吾

―そうですね。「歌もの」というところと、サウンド的にはトレモロが多用されていて、揺らぎのある音像が印象的でした。実際、こうした方向性はいつ頃から見えてきたものだったのでしょうか?

小山田:アルバムに入っている曲で一番古いのが、7曲目の“Mellow Yellow Feel”で、前のアルバムを出して、ツアーが一段落したくらいから、曲は作り始めていたんです。

で、いろんな曲を作ったんですけど、その間にMETAFIVEとか『攻殻機動隊』のサントラとか、いろんなプロジェクトがあったので、そっちで使った曲もいっぱいあって、残ったのが今回のアルバムに入っているというか。

ただ、ある程度曲がたまってきた時点で、何となく共通するムードがあって、それがサウンドの揺らぎであったり、あんまりテンションが高くない感じだったんですよね。

―それこそ、テンション高めの曲はMETAFIVEにいったり。

小山田:そうだね。でも、そういうテンションの高い曲を自分でやるのはあんまりしっくりこなかったっていうのもあるから、意図的にテンションの高くない曲を残した部分もあって、そこは両側面あったかな。

あと「歌もの」っていうことに関しては、この10年はいろんなプロジェクトをやったけど、その中でやってなかったのが「自分で歌う」っていうことで。なので、その選択肢が残ったというか、自分的にも新鮮に思えたというか。

―salyu×salyuや青葉市子さんとの活動もありましたし、そういう中で自分自身の歌を顧みることにもつながった?

小山田:それも多少はあります。あとね、45歳にして車の免許を取ったんですよ(笑)。で、車で音楽を聴くようになって、若い頃聴いてた曲を改めて聴いたりする中で、「3分間のポップソングっていいな」って、新鮮に思えるようになったのもあって。

―例えば、どんな曲をよく聴いてました?

小山田:The SmithsとかPrefab Sproutとか。ホント自分が高校生の頃に好きだったバンドですけど、たまたまちょうど自分の子供も、最近そういうのが好きになってきて、一緒に聴いたりもしてて。

―そういう音楽も、アルバムのムードに影響を与えているんでしょうね。

小山田:それもあるだろうし、年をとってくると、常にテンション高くはいられないから(笑)。

あと『POINT』(2001年)とか『SENSUOUS』(2006年)は、点とか線を中心に作っていたから、もうちょっと曲線的なものを入れたくなって、揺らぎだったり、ズレだったりを求めるようになってきて。それも多分、世の中のムードとか、自分の体調とか、見たもの聴いたもの、すべてが影響してこうなってるんだと思うんですけど。

―その曲線的な感じっていうのは、「人間味」とも言えますか?

小山田:たしかに前作とか前々作は、水とか空気とかみたいに誰でも大丈夫で、臭みとか匂いはあんまり感じないものだったけど、今回は湿度とか温度が音楽に入ってくる割合は増えたと思います。まあ、歌が多いっていうのも関係してると思うんだけど、そういう感覚は前作とかにはなかった。

『SENSUOUS』収録曲

小山田:大人になると、ブルーチーズとかパクチーとか、子供の頃に苦手だった、ちょっと匂いのあるものに惹かれたりするでしょ? そういう感覚はあるのかもしれない。ジャケットにしても、ここ数作は抽象的っていうか、具体的なものはイメージできない感じだったけど、少し具体的なものが入ってきてたり。

―色味もトーンが下がってますね。

小山田:カラフルではなくモノトーンなんだけど、グラデーションの中にいろんな階層があって、ニュアンスが深いんじゃないかな。

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リリース情報

Cornelius『Mellow Waves』
Cornelius
『Mellow Waves』(CD)

2017年6月28日(水)発売
価格:3,024円(税込)
WPCL-12660

1. あなたがいるなら
2. いつか / どこか
3. 未来の人へ
4. Surfing on Mind Wave pt 2
5. 夢の中で
6. Helix/Spiral
7. Mellow Yellow Feel
8. The Spell of a Vanishing Loveliness
9. The Rain Song
10. Crépuscule

イベント情報

Cornelius
『CORNELIUS「Mellow Waves」RELEASE SECRET LIVE』

2017年6月27日(火)
会場:東京都 某所
定員:40組80名

Cornelius
『Mellow Waves Release Party』

2017年7月11日(火)、7月12日(水)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:Cornelius
DJ:瀧見憲司
料金:6,800円(ドリンク別)

『Mellow Waves Tour 2017』

2017年10月9日(月・祝)
会場:新潟県 LOTS

2017年10月11日(水)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2017年10月13日(金)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年10月14日(土)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年10月19日(木)
会場:香川県 高松 festhalle

2017年10月21日(土)
会場:大阪府 なんばHatch

2017年10月22日(日)
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

2017年10月25日(水)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

2017年10月26日(木)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

2017年10月28日(土)
会場:神奈川県 横浜 Bay Hall

2017年11月3日(金・祝)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年11月4日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

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プロフィール

Cornelius
Cornelius(こーねりあす)

1969年東京都生まれ。1989年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。バンド解散後、1993年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで5枚のオリジナルアルバムをリリース。2017年6月28日には、11年ぶりのオリジナルアルバム『Mellow Waves』のリリースを控える。自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広く活動中。

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