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藤井麻輝×出雲重機 森岡賢が欠けたminus(-)、新体制で本格始動

藤井麻輝×出雲重機 森岡賢が欠けたminus(-)、新体制で本格始動

minus(-)『R』
インタビュー・テキスト
今井智子
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

故・森岡賢とのユニットとして始まったminus(-)を、自身のソロプロジェクトとして続けると表明した藤井麻輝は、バンドの新ロゴタイプを出雲重機こと大久保淳二に依頼した。

デザイナーとして広く活躍し、11月に公開予定の『GODZILLA 怪獣惑星』など幾つものアニメや映像作品、ゲームに関わる大久保だが、出雲重機の名義でユニークなアートトイや画集を製作している。キュートでクールなデザインに壮大なテーマが込められた作品を発表してきた出雲重機と、藤井がこれから新たに示すものには、通じるところがあるらしい。minus(-)の新ロゴもシンプルにして深遠だ。

実質的にはこれが二人のクリエイションのスタートだが、実は藤井が森岡・遠藤遼一とSOFT BALLETで活動していた1993年頃に、大久保とネット上での出会いがあったという。二人が24年という時を経て邂逅したのは偶然なのか必然だったのか。運命論など欠片も信じそうにない二人が、時を遡り話すうちに意外な共通点も浮かび上がってきた。偶然が導いた必然というものがあるとしたら、この二人の出会いなのではないだろうか。

交流はニフティ以来なかったので。ここに来てオファーがあって邂逅できたというのが、感動でしたね。(大久保)

―お二人は以前からお知り合いだったそうですね。

藤井:会ったのはつい最近なんですけど、存在自体を知ったのはかなり昔。1993年とか?

大久保:それぐらいですね。僕はSOFT BALLETの2作目『DOCUMENT』(1990年)をジャケ買いしてファンになったんです。

今だったらTwitterとかで直接やり取りできますけど、当時は、そういうものの走りとしてニフティサーブのSOFT BALLETフォーラムがあって。こんな機会はない、コンタクトできるんだったらいっちゃおうと思って、連絡してみたんですよね。どういう会話をしたか覚えてないですけど、自分も若かったので、相当恥ずかしいメールとかメッセージを送ったんじゃないかな。アツい思いを一方的に伝えてたと思います。

左から:大久保淳二、藤井麻輝
左から:大久保淳二、藤井麻輝

藤井:なぜかそのときから、フルネームを認識してて。「出雲重機を始めるんです」というメールももらいましたっけ?

大久保:……覚えてないですね。「バンド名をつけてください」ってメールしたのは覚えてるんですけど(笑)。

藤井:ああ、覚えてる。スパイクとか……Sがつくなにか……そんなことを命名した覚えがある。そのやり取りのあと、『月刊ニュータイプ』というアニメ雑誌で、大久保くんの名前を久しぶりに見たんですよ。2000年の頭くらい。

大久保:『フォー・ザ・バレル』(2000〜2002年に、『月刊ニュータイプ』で連載していた作品)にメカニックデザイナーとして参加していたときですね。

藤井:それを見て、「あ、頑張ってんだ」と思って。そのメカデザインを見たときから、なにか一緒にやれることがあったらいいなって、ずーっと思ってたんです。その頃僕は睡蓮をやってたんですけど、睡蓮はちょっと違うなって。で、ようやく今回、minus(-)が新体制になるから、思い切って新しくしようと思って。じゃあ大久保くんに頼んでみようと。

大久保が手がけた、minus(-)の新ロゴ
大久保が手がけた、minus(-)の新ロゴ

大久保:もう信じられなかったですよ、本当に。交流はニフティ以来なかったので。交流が途絶えたあたりから、僕はフリーのクリエイターになり始めて、とりあえず一端のクリエイターになろうというのが最優先で生きてたところがあって。ずっとやってきて、ここに来てオファーがあって邂逅できたというのが、感動でしたね。藤井さんが僕のことを覚えていてくださったんだというのも、すごく大きくて。

大久保淳二

藤井:たまたま、僕が『ニュータイプ』を読んだのが(笑)。それ以降しばらく彼のデザインを見てなくて、一昨年かな、『オーバーロード』という深夜のアニメにたまたまハマって。クレジットをジロって見たら大久保くんの名前を見つけて、さらに「頑張ってるんだ」って。

なんだかんだminus(-)という名前で続けているのは、一人欠落してるので、という臭い意味もあったりして。(藤井)

大久保:実は今回のお話いただいたときに、知り合いのグラフィックデザイナーのところに行って、「アドバイスしてくれ」って言ったんですよ。そしたら、それは大久保さんのセンスを見込まれたんだから、思い通りにやったらいいよって言われて。あと、漫画家の弐瓶勉さんがBUCK-TICKのレーベル「Lingua Sounda」のロゴもやってたので、メカデザイナーがバンドのロゴを作るのもありなんだって。

藤井:ああそれ、誰かがTwitterで言ってた。BUCK-TICKが東亜重工で、minus(-)が出雲重機だって。

―打ち合わせをしながらそういうお話とかもされたんですか。

大久保:実は実際にお会いするのは、これが2回目で。この仕事に関しては、プロとしてやろうと思っていたので、なるべく余談なく、集中してやりました。

藤井:それ、すごく感じました。変にフランクさがないように心がけているんだろうな、すごくドライだなって。でもそれが正しい姿だなと思って。

藤井麻輝

―今回の新ロゴはどんなイメージで発注されたんですか?

藤井:最初のモチーフは、漢字の「欠」でお願いしますと言って。あとはお任せで。いくつかパターンが出てきて、それをチョイスしただけ。

大久保:最初、漢字という提案はしたんですけど、「欠」というのは藤井さんから。「欠」ってネガティブなイメージの言葉なので、なるべく逆転できるようなパワーがあるロゴにしたいなと。長く使っていただきたいので、2色でも耐えうるものをというのは狙ってました。

ラフスケッチ。2種類のロゴとも、漢字の「欠」がモチーフとなっている
ラフスケッチ。2種類のロゴとも、漢字の「欠」がモチーフとなっている

大久保:ここまで密にクライアントとやり取りすることはないんですけど、藤井さんと一緒に作りたい、というのが大きくて、事細かくチェックしてもらったりしました。これまでのスタイルとも、SOFT BALLETとも違うものにしたいなと。藤井さんは、常に革新的なことをしているというイメージがあったので。

漢字のモチーフというのは、こちらからの提案と藤井さんからの提案が一致して、最初から意気投合したんですよね。でも、あからさまに漢字に読めてしまうと文字の印象が強いので、可読性をギリギリまで落とすという作業をやりました。バランスも右上にシュッといくように。右肩上がりの縁起のいいバランスにできないかと。

―minus(-)という名前自体が「欠」ではありますが?

藤井:音楽的には全否定してるけど、なんだかんだminus(-)という名前で続けているのは、一人欠落してるので、という臭い意味もあったりして。欠けたまんまで進みますよという、意思表示。……滅多にこういうこと言わないですけどね。ふふっ。

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リリース情報

minus(-)『R』(CD)
minus(-)
『R』(CD)

2017年9月27日(水)発売
価格:2,160円(税込)
AVCD-93729

1.Below Zero
2.Drop
3.Spell-subtraction
4.LIVE-advanced
5.Spell-ver.1.0

イベント情報

『minus(-)LIVE R2+1』

2017年10月5日(木)、10月6日(金)
会場:東京都 渋谷 CHELSEA HOTEL

プロフィール

TRI4TH
minus(-)(まいなす)

元SOFT BALLETの藤井麻輝によるユニット。2014年5月、森岡賢と共に結成。ニューウェーブ、エレクトロニカ、ノイズという要素を交え、他にはないオリジナリティに溢れたサウンドを構築。10月22日に1stミニアルバム『D』をリリースし、その後、LUNA SEA主催のフェスを始め、ヒカシュー、BELLRING少女ハート、石野卓球、SUGIZO、THE NOVEMBERSといった幅広い相手との対バンを行なう。2015年12月9日には2ndミニアルバム『G』をリリース。その後も精力的に活動を続けていた最中、2016年6月、森岡賢が急逝。その後、赤坂BLITZでのライブを経て、藤井麻輝のソロユニットとして活動を継続。12月28日には1stフルアルバム『O』と、赤坂BLITZワンマン公演を収録した、初映像作品「V」を同時リリースした。

大久保淳二(おおくぼ じゅんじ)

フリーランスのデザイナー / イラストレーターとして映像作品・ゲーム・トイ・広告・グラフィックデザインなど幅広い分野で活動中。「出雲重機(いずもじゅうき)」は主にメカデザイナーとして活動する際の名義であると同時に、個人的なアートプロジェクトの名称。2016年末にクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」にて1000toysによる「出雲重機アートトイ」開発の支援募集を行い110%でサクセス。現在シリーズ化に向けて企画が進行中。11月には「出雲重機」オフィシャルブック『INDUSTRIAL DIVINITIES 2017』を発売予定。

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