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YAJICO GIRLはなぜ評価される?『未確認』などで勝ち抜いた理由

YAJICO GIRLはなぜ評価される?『未確認』などで勝ち抜いた理由

Eggs
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:相原舜 編集:矢島由佳子
2017/09/11
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ギターロックの要素と、ブラックミュージックの要素が、まだ誰もやったことのないようなバランスで融合している音楽を作りたい。

―四方さんが作るサウンドは、楽曲のリズムや構成、音色など、いわゆる「ギターロック」のフォーマットから逸脱しようとする意志を感じます。今言ったような「文化を引き継いでいく」という意識のうえでの挑戦とも言えますか?

四方:そうですね。たとえばアジカンやチャットモンチー、フジファブリックあたりが僕らはめちゃくちゃ好きで、そこから得たエッセンスみたいなものを取り入れながら、アレンジの工夫でアップデートしていきたいという気持ちがあって。

そのためにも、『沈百景』を作るうえで、今まであまり聴いてこなかったジャンルも聴くようにしたし、曲作りの方法も変えてみました。たとえば、今までのようにセッションから作っていくのではなく、まずは僕がGarageBandで大まかなデモを作ってから、メンバーと合わせていくみたいな。1曲目“光る予感”のシンセは、僕がデモ段階でGarageBandで作った音色をそのまま使っているんです。

YAJICO GIRL

―前にTwitterで、「いろいろ思うところがあって最近はできるだけブラックミュージック以外聴かへんようにしてる」って書いてましたよね。

四方:ケンドリック・ラマー、D'Angeloとか、ブラックミュージックのエッセンスを自分のなかに取り込みたくて、1週間くらいそれしか聴かないようにしていたんです。「それで曲を作ってみたらどうなるんやろう?」みたいなことを試しながら、アルバムを作っていて。ただ、あまりにもそっちに寄り過ぎてしまうと、どこかで聴いたような感じの曲になってしまったんですよね。

—今日もフランク・オーシャンのTシャツを着ているし、Chance The RapperやFutureについてつぶやいてることもありましたが、そのあたりの音楽を「ギターロック」に取り入れて、アップデートしようとしている?

四方:そうですね。もともと僕らが好きなギターロックの要素と、今言ったようなブラックミュージックの要素が、まだ誰もやったことのないようなバランスで融合している音楽をYAJICO GIRLでは作っていきたいです。その辺のバランスはすごく大事で、まだまだ試行錯誤の段階なんですけど。

四方颯人

―基軸はあくまでも、「5人編成でのギターロック」であると。

四方:はい。“いえろう”がまさにそういう曲で。そこからいきなりフランク・オーシャンやD'Angeloになってしまうのは違うと思うし(笑)、今まで僕らを「好き」って言ってくれた人たちだって戸惑うだろうし。

自分たちの核となる部分はちゃんと保ちながら、うまいことアップデートしていけたら理想ですよね。それが、「音楽や文化を引き継いでいく」ということなのかなって思っています。

YAJICO GIRL

―今回のような作り方を、理想的な形でやっているアーティストといったら誰を思い浮かべますか?

四方:サカナクションの山口一郎さんですね。山口さんは、今言ったような作業をめちゃくちゃ突き詰めてはるんやろうなって思います。あとはくるりの岸田(繁)さんや、アジカンの後藤(正文)さん。

―今回のアルバムで、そういった手法が一番納得いく形でできた曲は?

四方:“黒い海”です。実は、ブラックミュージックを自分のなかに取り込んでいったとき、「このまま5人組のギターバンドでやっていく意味があるのだろうか」みたいな、迷いや葛藤が生じてしまった瞬間もあったんです。

だけど、ちょうどそのタイミングでアジカンが『ソルファ』(2004年発売、2ndアルバム)の再録アルバムをリリースして。あんなド直球のロックを、彼らが再び作ったことにものすごく感銘を受けたんですよね。それで、僕のなかにある「ロックミュージックのかっこよさ」というものを、ちゃんと追求したいなと思ってできたのがこの曲なんです。

―四方さんの思う、「ロックミュージックのかっこよさ」とは?

四方:ギターをジャーンって鳴らしたときの圧力というか、衝動みたいなものだと思います。それを封じ込めるために、メンバーそれぞれが「ロックの名曲」を挙げつつ、そこからオマージュされたフレーズを重ねていきました。

―一旦ブラックミュージックを体の奥まで取り入れて、そこからあえてギターロックにアプローチした曲なんですね。ちなみに、メンバーが挙げた「ロックの名曲」とは?

四方:たとえば、RADIOHEAD“Creep”、くるり“東京”。あと、WEEZER“Only In Dreams”とか。

—アジカンの後藤さんが主宰しているレーベル名も「Only in Dreams」ですからね。まさに、文化の引き継ぎが繰り返されているというか。

四方:やっぱり、聴いたときにその人のルーツを感じさせるような音楽が僕は好きだし、いい音楽の条件だと思っているので。自分もそういう音楽を、これからもずっと作っていきたいと思います。

YAJICO GIRL

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リリース情報

YAJICO GIRL『沈百景』
YAJICO GIRL
『沈百景』(CD)

2017年9月6日(水)発売
価格:1,620円(税込)
EGGS-023

1. 光る予感
2. PARK LIGHT
3. ロマンとロマンス
4. サラバ
5. 黒い海

イベント情報

『CINRA×Eggs presents「exPoP!!!!! volume101」』

2017年9月28日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
すばらしか
RIDDIMATES
YAJICO GIRL
and more
料金:入場無料(2ドリンク別)

『YAJICO GIRL自主企画:ヤジヤジしようぜVOL.2 supported by NANIWAdelic』

2017年9月17日(土)
会場:大阪府 ESAKA MUSE
出演:
YAJICO GIRL
SAPPY
パノラマパナマタウン
Rollo and Leaps
学天即
金属バット
馬と魚
ヤジコ食堂

『YAJICO GIRL「沈百景発売記念」インストアミニライブ&特典会』

2017年9月30日(土)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店

2017年10月22日(日)
会場:東京都 タワーレコード新宿店7階

プロフィール

YAJICO GIRL
YAJICO GIRL(やじこ がーる)

武志綜真(Ba)、吉見和起(Gt)、四方颯人(Vo)、古谷駿(Dr)、榎本陸(Gt)。『未確認フェスティバル2016』『MASH FIGHT Vol.5』など、2016年各種コンテストを総なめとしたその事実を裏切らない才覚を宿す、希少生命体のような5人組ロックバンド。現在大学3年生。2012年、高校の軽音楽部で結成。くるりやASIAN KUNG-FU GENERATIONを敬愛する四方(Vo)が作詞作曲を務め、独自のフィルターを通してアウトプットされる楽曲は王道とマニアックの間を行き、幅広く支持を集める。これまでMVの制作からデザインまで古谷(Dr)の主導により完全自主制作で行い、その作品の評価も高い。独特の個性とリズムで日々を歩くマイペースなスタイルとは裏腹に、楽曲に込めるメッセージは時代の憂いを的確に捉えて、アンチテーゼをさりげなく放つ。どこか哀愁漂う圧倒的メロディセンスと抒情的な歌詞が秀逸な、2017年バンドシーン最重要な「転がる石」ロックンロールモンスター。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)