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スカート澤部のルーツを紐解く、ココ吉で見つけた4作品

スカート澤部のルーツを紐解く、ココ吉で見つけた4作品

スカート『20/20』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧 撮影協力:ココナッツディスク吉祥寺店

澤部渡のポップユニットであるスカートが、満を辞してのメジャーデビューアルバム『20/20』をリリースする。洗練されつつヒネリのあるコード進行やメロディー、ポップでありながら、どこか影のあるアレンジなど、これまで彼がインディーズで残してきたサウンドの延長線上にありつつ、新たなアプローチにも果敢に挑戦した本作は、名盤と言われた前作『CALL』をしのぐ内容に仕上がっている。

今回は、そんな澤部が行きつけにしている中古レコードショップ「ココナッツディスク吉祥寺店」(以下、ココ吉)にて、店長の矢島和義との対談を行なった。ココ吉はスカートのみならず、ミツメやHomecomingsらの音源をいち早く店頭に置き、インストアライブを実施するなど、彼らの存在を広く世に知らしめるキッカケを作った「ジャパニーズ・インディーポップ界の良心」とも言える場所だ。

店に到着するなり、早速レコードを物色し始めた澤部。今回は、彼のルーツとなった作品をココ吉で選んでもらった。まずは本日の「収穫」を披露してもらうところから、この日の対談は始まった。

僕の中のポップミュージックの条件として、「短ければ短いほどいい」っていうのがあって、それはyes, mama ok?とTMBGからの影響。(澤部)

—まずは澤部さんが今日、ココ吉で選んだ4枚を紹介してください。

選び抜いた4作品を手にする澤部渡
選び抜いた4作品を手にする澤部渡

澤部:どれからいこうかな。まずはやっぱり、yes, mama ok?の『コーヒーカップでランデヴーって最高よ』(1995年)から。yes, mama ok?は、中三の時にインディー盤を取り寄せて聴いたのが最初の出会いなんですけど、それからずっと好きなんです。僕の中で、かなり大きな存在というか。

yes, mama ok?(いえす、まま おーけー?)
日本のロックバンド。1990年、大学在学中に同級生とともに結成。1996年、日本コロムビアより『コーヒーカップでランデヴーって最高よ』でデビュー。全ての楽曲を手がける司令塔・金剛地武志による、一筋縄ではいかないストレンジでポップなメロディと、箱庭的なサウンドが特徴。

yes, mama ok?『コーヒーカップでランデヴーって最高よ』
yes, mama ok?『コーヒーカップでランデヴーって最高よ』(Amazonで見る

澤部:これはデビューシングルで、リリースは1995年。ジャケット写真はヒヨコで、裏を見るとチキンの丸焼きっていう、ブラックなアートワークがメチャ面白いなと思って。そんなこと言ったら人間性を疑われるかな(笑)。

yes, mama ok?に関しては、もう「全部好き」っていう他ない。曲も素晴らしいし、歌詞もアレンジも、こういうアートワークのセンスも含めた佇まいから何から、とにかく大好きです。ここまで極端に偏愛しているアーティストは、他にいないかもしれないですね。

もちろん、音楽的な影響も受けていて、特に多重録音のカッコ良さは、yes, mama ok?に教えてもらったと言っていいかもしれない。

澤部渡

澤部:そして、そんなyes, mama ok?の金剛地(武志)さんに教えてもらったのが、このThey Might Be Giants(以下、TMBG)なんです。

—今回ココ吉で見つけたのは、彼らのセカンドアルバム『Lincoln』(1988年)ですね。

They Might Be Giants『Lincoln』
They Might Be Giants『Lincoln』(Amazonで見る

澤部:金剛地さんから、「TMBGは特に初期のアルバムがいいよ」と教えてもらって。当時すぐレコ屋に走りました。最初に聴いたのがセルフタイトルのファースト『They Might Be Giants』だったんですけど、とにかく衝撃を受けましたね。

They Might Be Giants(ぜい まいと びー じゃいあんつ)
1982年、米国はニューヨーク州ブルックリンにて結成された、ジョン・リネルとジョン・フランズバーグを中心とするロック・バンド。ヒネリの効いたコード進行&メロディーが特徴で、時代により臨機応変にサウンドを変化させながら、25年以上もマイペースで活動。世界中に根強いファンを持つ。

澤部:例えば“Everything Right Is Wrong Again”という冒頭曲は、たった2分なのに物凄いアイデアが詰まってて。「そうか、yes, mama ok?の元ネタってこれなのか!」と夢中になりましたね。僕の中のポップミュージックの条件として、「短ければ短いほどいい」っていうのがあって、それはyes, mama ok?とTMBGからの影響です。

—『Lincoln』も聴いたことはありますか?

澤部:もちろん。最後の曲“Kiss Me, Son Of God”とか大好きですね。初期はほんと、ショボイ打ち込みの曲とかもあって(笑)、それもまた可愛いしカッコいいんです。

左から:澤部渡、矢島和義
左から:澤部渡、矢島和義

矢島:僕は、TMBGだと『Istanbul (Not Constantinople)』という12インチシングルがあって、それに入っている表題曲のダンスリミックス(Brownsville Mix)が大好きでしたね。

僕らの周りでは、De La Soulのファースト『3 Feet High and Rising』(1989年)みたいだって盛り上がったんですよ。ブレイクビーツに乗せて、様々なサンプリングが散りばめられてて。ポップでガチャガチャした感じがすごく可愛かった。

—続いてトッド・ラングレン(以下、トッド)のセカンドアルバムRunt. The Ballad of Todd Rundgren』(1971年)。これはもう、名盤中の名盤ですよね。

トッド・ラングレン 『Runt. The Ballad of Todd Rundgren』
トッド・ラングレン『Runt. The Ballad of Todd Rundgren』(Amazonで見る

トッド・ラングレン
ソロやバンド「ナッズ」のメンバーとしての活動はもちろん、高野寛やレピッシュら日本のアーティストのプロデュースを手掛けるなどマルチな才能を発揮し続けるアメリカのミュージシャン。2015年のフジロックに登場した際は、女性ダンサーを率いてEDMを披露しファンの度肝を抜いた。

澤部:彼の音楽を聴くようになったのは確か、yes, mama ok?がトリビュートアルバム『トッドは真実のスーパースター』で、“I Saw The Light”のアヴァンギャルンドなカバーをしていて、それで興味を持ったのが最初だったはずです。

そこからトッドの作品は一通り聴いて、他にも好きな作品はたくさんあるんですけど、今もよく聴くのはこのアルバム。冒頭の“Long Flowing Robe”がとにかく好きですね。イントロのクラヴィネットで刻むコード進行、その入り方も含めて完璧だなって。本当にいい曲ばっかりのアルバムなんですよ。

矢島:確かに。他のアルバムだと、ちょっと実験的だったり、難解だったりする曲も混じっていたりするんだけど、このアルバムがもっとも「シンガーソングライターっぽい」アルバムかもしれないですね。

澤部:確かに。ジャケットも最高です(笑)。

—そして最後が、メル・トーメの『Comin' Home Baby!』(1962年)。

メル・トーメ『Comin' Home Baby!』
メル・トーメ『Comin' Home Baby!』(Amazonで見る

メル・トーメ
米国シカゴのジャズ・シンガー。4歳でデビューを果たし、10代でフランク・シナトラと映画で共演。ボーカル・グループ「メル・トーンズ」を結成し一躍有名になる。ロバート・ウェルズとの共作“The Christmas Song”は、ナット・キング・コールら数多くのアーティストに歌われスタンダードとなった。

澤部:ジャズは母の影響で少し聴きます。このアルバムはちょっと特殊なんですよね。大ヒットしたタイトル曲と、最後に入っている“Right Now”という曲はポップス然としているんです。でも、他は割とジャズ。その対比がユニークだなと。

矢島:タイトル曲は、ちょっとリズム&ブルース色もありますよね。この曲も好きなんですけど、僕は彼が結成したThe Mel-Tonesというコーラスグループが好きですね。

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リリース情報

スカート『20/20』
スカート
『20/20』(CD)

2017年10月18日(水)発売
価格:2,808円(税込)
PCCA-04583

1. 離れて暮らす二人のために
2. 視界良好
3. パラシュート
4. 手の鳴る方へ急げ
5. オータムリーヴス
6. わたしのまち
7. さよなら!さよなら!
8. 私の好きな青
9. ランプトン
10. 魔女
11. 静かな夜がいい

イベント情報

スカート
『20/20 VISIONS TOUR』

2017年10月21日(土)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO
出演:
スカート
バレーボウイズ

2017年10月29日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW X
出演:
スカート
台風クラブ

2017年11月26日(日)
会場:北海道 札幌 SOUND CRUE
出演:
スカート
柴田聡子

2017年12月1日(金)
会場:福岡県 福岡 INSA
出演:
スカート
and more

2017年12月3日(日)
会場:広島県 広島 4.14
出演:
スカート
Homecomings

2017年12月6日(水)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
出演:
スカート
トリプルファイヤー

2017年12月20日(水)
会場:宮城県 仙台 enn2nd
出演:
スカート
and more

店舗情報

ココナッツディスク吉祥寺

住所:武蔵野市吉祥寺本町2-22-4
時間:12:00~21:00
休日:無休

プロフィール

スカート
スカート

どこか影を持ちながらも清涼感のあるソングライティングとバンドアンサンブルで職業・性別・年齢を問わず評判を集める不健康ポップバンド。強度のあるポップスを提示しながらも観客を強く惹き付けるエモーショナルなライヴ・パフォーマンスが話題を呼んでいる。2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。2010年、自身のレーベル、カチュカサウンズを立ち上げ、ファーストアルバムをリリースした事により活動を本格化。さまざまな形態でライヴを行ってきたが、現在は佐久間裕太(Dr)、清水瑶志郎(Ba)、佐藤優介(Key)、シマダボーイ(per)をサポートメンバーとして迎え活動している。発表作品に『エス・オー・エス』(2010年)、『ストーリー』(2011年)、『ひみつ』(2013年)、『サイダーの庭』(2014年)がある。12'single『シリウス』(2014年)がカクバリズムでの初のリリースとなり、続くアルバム『CALL』(2016年)が全国各地で大絶賛を浴び、晴れて初のシングル『静かな夜がいい』(CD+DVD)を昨年11月にリリース。今年に入り「山田孝之のカンヌ映画祭」のエンディング曲と劇伴を担当。さらに映画「PARKS パークス」に挿入歌の提供や出演している。今年のFUJIROCKに初出演し多くの観客に迎えられながら素晴らしいライブを展開。10月にリリースする新作アルバム『20/20』にてメジャーデビューが決定した。多彩な才能にジャンルレスに注目が集まる素敵なシンガーソングライターであり、バンドである。

矢島和義(やじま かずよし)

オールジャンルの中古レコードショップ、ココナッツディスク吉祥寺店の店長。そして、ただの音楽好き。お店ではレコードの買取りもやっていますのでぜひご利用ください。

関連チケット情報

2018年10月26日(金)
~君の手をひいてつむぐ夜~スカートと君と
会場:昭和音楽大学北校舎5階 スタジオ・リリエ(その他)
2018年11月18日(日)
スカート
会場:LIVE HOUSE enn 2nd(宮城県)
2018年11月25日(日)
スカート
会場:KRAPS HALL(北海道)
2018年12月2日(日)
スカート
会場:INSA(福岡県)
2018年12月14日(金)
スカート
会場:Shangri-La(大阪府)
2018年12月16日(日)
スカート
会場:TOKUZO(愛知県)
2018年12月19日(水)
スカート
会場:東京キネマ倶楽部(東京都)

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