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瀬々敬久が、衝撃作『ヘヴンズ ストーリー』からの7年を振り返る

瀬々敬久が、衝撃作『ヘヴンズ ストーリー』からの7年を振り返る

『ヘヴンズ ストーリー』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:中村ナリコ 編集:川浦慧、矢島由佳子

1990年代って、オウムや酒鬼薔薇事件があって、何か時代の鬱屈とした空気感と事件性が、非常に密着した感じがあった。

―先ほど、「実際の事件をモチーフとした映画」という話がありましたが、瀬々監督は現在に至るまで、そういった作品を数多く撮られていますよね?

瀬々:そうですね。それは、もうかなり早い段階からあって……というか、自分が映画を好きになったときから、高校生の時に『青春の殺人者』(1976年、長谷川和彦監督)を見てやられてしまって。これこそ映画だと。そう思っていたところがあるんです。

瀬々敬久監督

―監督のピンク映画時代の代表作『黒い下着の女 雷魚』(1997年)も、実在の事件をモデルにしていましたよね。

瀬々:だから、自分にとっては、『ヘヴンズ ストーリー』の前から、そういう実際の事件をモチーフに作るのが映画なんだと刷り込まれていたんですね。でも『雷魚』を作った1990年代って、オウムがあって、酒鬼薔薇の事件があって、神戸の震災があって……何か時代の鬱屈とした空気感と事件性が、非常に密着した感じがあったと思うんです。みんなどこか生きづらそうだったじゃないですか。いきなり不景気になって……空白の10年とか言われていますけど。

―バブルが弾けたあとの10年ですね。

瀬々:そう、バブルが弾けて、もうみんな何をしていいかわからないみたいな。みんなすごく鬱屈として、もう世の中、あんまりいいことないんだろうなって思い始めていたというか。1990年代って、そういう時代だったと思うんです。黒沢清さんの『CURE』(1997年)なんか、まさにそういう時代感みたいなものを、すごく反映していましたよね。

―ああ……わかります。

瀬々:だから、そういう時代背景の中で、ああいった事件が起こってくるということに、何か同時代性は感じていたわけです。自分もその頃はピンク映画を撮っていて、生活するのがやっとだったし、鬱屈としていたところもあって。もちろん、事件そのものにシンパシーは湧かないですけど、何か同時代を生きている感覚はあったわけです。ああ、今の時代を反映している事件だなって。そういう親和性みたいなものを感じていたというか。

ただ、それが2000年以降になると、世の中は割と、金融資本主義とか新自由主義とか、また拝金主義的な時代になっていくわけですよね。そういう中で生きていて、何か違和感があったというか。そういう意味でも、「殺す / 殺される」とか、「被害者 / 加害者」みたいなものも含めて、ものすごいごっつい物語を作って提示してみたいという欲望が生まれてきたのかもしれないですね。

『ヘヴンズ ストーリー』メインビジュアル
『ヘヴンズ ストーリー』メインビジュアル(公式サイトで見る

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リリース情報

『ヘヴンズ ストーリー』
『ヘヴンズ ストーリー』(Blu-ray)

2017年12月6日(水)発売
価格:6,264円(税込)
PCXP-50532

[封入特典]
・特製アウターケース
・60Pスチル写真集ブックレット
[映像特典]
『ヘヴンズ ストーリーの10年』 (瀬々敬久 構成・演出映像作品 / 42分)

『ヘヴンズ ストーリー』
『ヘヴンズ ストーリー』(DVD)

2017年12月6日(水)発売
価格:5,184円(税込)
PCBP-53669

[封入特典]
・特製アウターケース
・60Pスチル写真集ブックレット
[映像特典]
『ヘヴンズ ストーリーの10年』
(瀬々敬久 構成・演出映像作品 / 42分)

プロフィール

瀬々敬久(ぜぜ たかひさ)

1960年生まれの映画監督。京都大学在学中に『ギャングよ 向こうは晴れているか』を自主制作し注目を浴びる。その後「ピンク映画四天王」として日本映画界で独特の存在感を放つ。以後、大規模なメジャー作から社会性を取り入れた作家性溢れるものまで幅広く手がけ、国内外で高く評価されている。『雷魚』(1997)、『HYSTERIC』(2000)、『MOON CHILD』(2003)、『感染列島』(2009)、『アントキノイノチ』(2011)などの劇場映画作品からテレビ、ビデオ作品まで様々な分野で発表。近年は『なりゆきな魂、』(2017)、『8年越しの花嫁』(17年12月16日公開)、また公開待機作に自身の企画の『菊とギロチン-女相撲とアナキスト-』(2018年夏公開)や『友罪』がある。

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