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コトリンゴ×MIKIKO対談「注目されるほど、葛藤が大きくなる」

コトリンゴ×MIKIKO対談「注目されるほど、葛藤が大きくなる」

コトリンゴ『雨の箱庭』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:萩原楽太郎 編集:山元翔一

自主レーベル「koniwa」から発表されたコトリンゴの新作『雨の箱庭』には、彼女の決意が詰まっている。主題歌と劇伴を担当し、破格の注目を集めた映画『この世界の片隅に』を経て、自らの表現ともう一度真摯に向き合い、迷いや葛藤も含めて、今のコトリンゴをそのまま封じ込めた「箱庭」。ポップで愛らしいメロディーと歌声、緻密なアレンジメントの背景から、確かな情熱が感じられる。

そんなコトリンゴの大ファンを公言しているのが、ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」を主宰する演出振付家のMIKIKO。大ブームを巻き起こした「恋ダンス」、PerfumeやBABYMETALの振り付け、さらにはリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの閉会式と、近年社会的な注目を集める仕事が続いているが、そんななかで自分の表現を貫くことには難しさもあったという。語り口は柔らかいが、固い信念を感じさせる二人の対話には、現代の作り手にとっての重要なヒントが散りばめられているように思う。

歌手の方にしても、声を出すと自然に体が伸縮する、その動きがすでに「ダンス」だと思う。(MIKIKO)

―お二人はコトリフィルムの島田大介さんが手がけたCM(2012年)で、それぞれ音楽と振り付けを担当したのが最初の接点だったそうですね。

コトリンゴ:すごくかわいいCMで、「MIKIKOさんという方が振り付けをされている」っていうお話は聞いていたんですけど、そのときは直接お会いしてなくて。しばらくしてから、MIKIKOさんが連絡をくださったんです。

MIKIKO:私、それがきっかけでコトリンゴさんのことが一気に好きになってしまって、それから調べに調べて、すべての曲を聴いて、レッスンで勝手に振り付けをしたりして(笑)。それで『MOSAIC』(2014年)というELEVENPLAYの公演をやるときに、最後の締めになる曲を書いて欲しくてラブレターを送ったんです(笑)。

左から:コトリンゴ、MIKIKO
左から:コトリンゴ、MIKIKO

MIKIKOは特に、“かいじゅう”(2013年)がお気に入りなのだそう

―コトリさんのどんな部分に惚れ込んだのでしょうか?

MIKIKO:最初は声で、すごく引っ張られるものがありました。それから全部の曲を聴かせていただいて、「どんな情景を思い浮かべながら曲を書いているんだろう?」ってすごく興味が湧いてきて。私はひとつの作品が好きになると、作っている人の背景に興味が湧くんですね。なので、ぜひお会いして、一度お話をしてみたいと思ったんです。

ただそのときは、作品のテーマを物語る曲を書いてくださいっていうオファーだったので、勇気のいることではありました。自分の作品では初めてご一緒するのに、一番大事なシーンの曲をお願いするわけですからね。

―コトリさんにオファーした決め手はなんだったんですか?

MIKIKO:「コトリンゴさんなら大丈夫なんじゃないか」っていう予感があったんです。実際、緊張しながらも自分の想いと作品のコンセプトを面と向かってお伝えしたあと、最初に送っていただいたデモ曲が「このまま使いたい」って思うようなものだったので、「予感は当たってたな」と思いました。それで書き下ろしていただいたのが、“あたま、こころ”(2014年発表の『birdcore!』収録)なんです。

左から:コトリンゴ、MIKIKO

コトリンゴ:私としては、ダンスと自分の音楽が結びつくとは思っていなかったので、最初はすごく意外だったんです。ダンスって、もっとビートが強い、かっこいい曲っていうイメージしかなかったですし。だからオファーをいただいたときは、「私の曲でも踊ってもらえるんだ!」ってすごく嬉しかった。

MIKIKO:ダンスって、言葉を発さずに、体で表現するものだから、自分の発表する作品で「日本語の曲で踊る」ということ自体に迷いがあって。ダンスと日本語の曲を組み合わせるのって、言ってしまうと「翻訳が入る」ようなものだと思うんです。でも、コトリンゴさんはむしろ想像力を刺激する声をされているので、きっと大丈夫だと思いました。

MIKIKO

コトリンゴ:これはMIKIKOさんにお話ししたかったことなんですけど……私はダンスに苦手意識があって、どうしても恥ずかしさを感じてしまうんです。ただ歌とピアノも、もっと体全体を使って表現できたら、また違うんじゃないかとも思ったり……余計なことを考えずに表現するにはどうしたらいいのかっていう悩みがあって。

MIKIKO:私、ピアニストでもギタリストでも、演奏家の人の動きってすごくかっこいいなって思うんです。音を鳴らすための自然な動きって、それだけでダンサーよりもかっこよかったりするし、歌手の方にしても、声を出すときに自然に体が伸縮する、その動きがすでに「ダンス」だと思うんですよ。

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リリース情報

コトリンゴ『雨の箱庭』
コトリンゴ
『雨の箱庭』(CD)

2017年11月8日(水)発売
価格:3,240円(税込)
koniwa / knw-001

1. 雨あがる
2. 迷子になった女の子
3. 雨をよぶひと
4. 漂う感情
5. Light Up Nippon
6. To do
7. 林檎
8. wataridori
9. hanabi

イベント情報

『コトリンゴ 10周年記念にまだまにあいますか?&アルバム発売記念ツアー』

2017年12月23日(土・祝)
会場:東京都 恵比寿 ザ・ガーデンホール

2018年2月15日(木)
会場:広島県 ゲバントホール

2018年2月16日(金)
会場:兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホール

2018年2月18日(日)
会場:愛知県 半田空の科学館 プラネタリウムホール

プロフィール

コトリンゴ
コトリンゴ

5歳よりピアノを始め、7歳で初めての作曲をする。その後ボストンのバークリー音楽院に留学、ジャズ作・編曲/ピアノパフォーマンス科卒。2006年に坂本龍一プロデュースでデビューを果たす。他アーティストへの詞曲提供や、レコーディングでのピアノ演奏、映画、アニメのサウンドトラックや多数のCM音楽を手がけるなど、クリエイターからの支持も高い。2016年11月に公開し、ロングヒットしたアニメーション映画『この世界の片隅に』のテーマ、劇中歌、BGMの全ての音楽を担当し、第40回日本アカデミー賞優秀音楽賞、第71回毎日映画コンクール音楽賞、おおさかシネマフェスティバル2017音楽賞を受賞。卓越したピアノ演奏と柔らかな歌声で浮遊感に満ちたポップ・ワールドを描くアーティストとして活躍中。

MIKIKO(みきこ)

演出振付家。ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」主宰。Perfume、BABYMETALの振付・ライブ演出をはじめ、様々なMV・CM・舞台などの振付を行う。メディアアートのシーンでも国内外で評価が高く、新しいテクノロジーをエンターテインメントに昇華させる技術を持つ演出家として、ジャンルを超えた様々なクリエーターとのコラボレーションを行っている。

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2018年はTENDREが絶対くる。2月の『exPoP!!!!!』で脳裏をかすめた予感は確信に変わりました。セクシー&グルーヴィな“RIDE”で完全にヤられた。ラフなダンスと自由度高いコラージュで構成された映像も、河原太朗のチャーミングさがダダ漏れでいい感じ。今年の夏はこの曲で踊りまくりたい。(山元)

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