特集 PR

放浪の音楽家Caravanが語る、ステレオタイプな音楽活動への疑問

放浪の音楽家Caravanが語る、ステレオタイプな音楽活動への疑問

Caravan "The Harvest Time" TOUR 2018
インタビュー・テキスト
兵庫慎司
撮影:馬込将充 編集:山元翔一
2018/01/11
  • 107
  • 566

結局どんな状況でも自分次第だろうっていう考えが、自分の根底にはあって。

—それ以外の新しい13曲ですが、「俺、今こういう気分なのか」「こういうことをよく考えてるな」みたいに、作りながら再発見したことってありました?

Caravan:基本的には心の平和や心の実りみたいな……いわゆる「ラブ&ピース」とは違う、「結局どんな状況でも自分次第だろう」っていう考えが、自分の根底にはあって。

他人から見てすごく不自由な暮らしをしていても、自由を感じてる人もいるだろうし、逆にすべてに満ち足りてるように見えても不自由で、「足りない、足りない」って言ってる人もいるだろうし。そういう心の豊かさみたいなものを、「自由」や「旅」っていう言葉で歌ってきたつもりだったんですけど、そこをもうちょっと明確にしたいという意識はありました。

『The Harvest Time』収録曲

—11曲目に“Future Boy”という曲がありますよね。「Future」という単語を使ったのが、ちょっと新鮮な感じがしたんですけども。

Caravan:この曲は、まあ個人的なことなんですけど、今年8月に子どもが生まれたんですよ。それと同時に、子ども向けのフリーペーパーから、子どもも大人も読める絵本を作りたいから言葉を書いてほしいっていう依頼が来て。そういうこととリンクした気持ちで書いた言葉に曲をつけたんです。

ただ「未来は明るいよ」ってことではなく、「いろんなことがあるよ」ってことが言いたくて。思いどおりにいかないことや、全然予想してないことが起こるのが未来だし、当たり前はない世界だから、そこを照らしていくんだよ、そこをサバイブするんだよ、っていう歌にしたいなと思って書きました。

Caravan

Caravan:アルバム全体としては、聴く人がイメージできる余地を残したいんだけど、言いたいことは明確にしたいっていうことは考えましたね。制作中にマンチェスターであったテロに触発されて“Heiwa”っていう曲ができたり。頭のなかで考えてることに対して自分なりの答えを出すような感じで1曲ずつ仕上げていきました。

そもそも俺、アコースティックミュージックって、実はすごくパンキッシュなものだと思っていて。弾き語りって、音圧でもなく、エレキギターのパッションでもなく、裸一貫で、サムライ感がある。そういうところが好きだったりするんですよね。

生の音楽を生身の人間が届けに行くっていうのは、すごく面白い仕事だなと思いますよ。

—1月28日から、5年ぶりのツアーがはじまりますけれども。ただ、ツアーと謳っているのは久しぶりだけど、年中どこかに歌いに行っていますよね。

Caravan:(笑)。そうですね。まあ、だから、アルバムを出して、ちゃんとツアータイトルとかつけて回るのが5年ぶりっていう。

—そうやって、ライブをやりながら旅を続けることで見つけたものって、改めてどうですか?

Caravan:俺、音楽じゃない放浪――リュックサック背負ってアジアに行ったりするのも好きなんですけど、音楽をやりながらあちこちに行くというのは、やっぱり人間付き合いだと思うんですよね。たとえば、「ああ、姫路といえば姫路城ね」みたいなことではなく、「姫路といえば〇〇さんね」みたいなことになっていくんです。その街の景色と同時に、会いたい顔が浮かぶというか。音楽で旅をしていくうちに、すごくホームが増えていく感覚を覚えて、俺は人間として温かくなれたって思うんです。

Caravan

Caravan:俺、ベネズエラで育ったんですけど、日本に帰ってきて、たとえば「町田です」「福岡です」って、地元がある人がすごく羨ましくて。そういう故郷感みたいなのは、自分からすっぽ抜けてた部分だったんですよね。でも音楽であちこち行くようになって、それをときどき感じられるようになったことがすごく嬉しかった。

たとえば種子島に行っても、「また帰って来てね」って言ってもらえるんですよ。ここの人間でも何でもないのに、「また帰って来てね」って言われて「ただいま」って帰れるところがひとつ増えた、だから1年以内にまた行かなきゃ――そういうことをくり返していくうちに、だんだんお客さんも増えていく、みたいに身内が増えていく感じがあって、自分にとっては未だにその感覚が活動のベースになっている気がします。

—メジャーを経て、20年近くやっていてもそういう顔の見える人間関係が活動の根幹にあると。

Caravan:昔は、お金もないから呼んでくれた人の家に泊めてもらってたんですよ。行って、ライブして、さようなら、っていうんじゃなかった。その人たちの家におじゃまして、メシを一緒に食べたり、店やってる人だったら手伝ったりとか、生活を見せてもらったり。そういうことを通じてお客さんとの関係性を築いていったところもありました。

巡り合って、いろんな話をして、一緒に時間を過ごして……そういうのが、音楽と同じぐらい、俺にとっては豊かな時間だったんです。だから、いろんなところに、自分の身体を使ってパフォーマンスしに行く。生の音楽を生身の人間が届けに行くっていうのは、すごく面白い仕事だなと思いますよ。

Caravan

—ただ、それと同時に、ひとつのところにいられない人でもありますよね。

Caravan:1か所にいられないです、俺(笑)。落ち着きがない。

—だから、自由が好きなんだけど、自由って孤独じゃないですか。その孤独も込みで好きというか。

Caravan:そうですね。結局そうだと思います。人間好きだけどひとり好き、というか。そういうところはたぶんあると思う。

Page 4
前へ

リリース情報

Caravan『The Harvest Time』
Caravan
『The Harvest Time』(CD)

2017年11月15日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SFMC-005

1. Astral Train (Instrumental)
2. Retro
3. Heiwa
4. Travelin’ Light
5. Rainbow Girl
6. モアイ
7. Chantin’ The Moon
8. Yardbirds Swingin’ (Instrumental)
9. Maybe I’m a Fool
10. Stay With Me
11. Future Boy
12. おやすみストレンジャー
13. 夜明け前
14. In The Harvest Time

イベント情報

『Caravan "The Harvest Time" TOUR 2018 Release Party』

2018年1月28日(日)
会場:神奈川県 CLUB CITTA'
出演:
Caravan(Vo,Gt)
宮下広輔(Ps,Gt)
高桑 圭/ Curly Giraffe(Ba)
椎野恭一(Dr)
堀江博久(Key)
料金:前売5,000円(ドリンク別)
※振舞い酒あり(サッポロ生ビール黒ラベル)

『Caravan "The Harvest Time" TOUR 2018』

2018年2月3日(土)
会場:茨城県 古河Cafe Lounge BEEP

2018年2月9日(金)
会場:奈良県 奈良カナカナ

2018年2月11日(日)
会場:高知県 蛸蔵

2018年2月12日(月・祝)
会場:香川県 高松umie

2018年2月14日(水)
会場:鹿児島県 Duckbill

2018年2月16日(金)
会場:長崎県 長崎県美術館

2018年2月18日(日)
会場:広島県 HIROSHIMA 4.14

2018年2月20日(火)
会場:兵庫県 姫路AMP.

2018年2月22日(木)
会場:三重県 松阪M’AXA

2018年2月23日(金)
会場:岐阜県 中津川Majolica-Bamboo

2018年2月25日(日)
会場:静岡県 秘在寺

2018年3月16日(金)
会場:東京都 二子玉川SOUL TREE

2018年3月18日(日)
会場:静岡県 三島 cafe&bar日家

2018年3月21日(水・祝)
会場:新潟県 りゅーとぴあ能楽堂

2018年3月22日(木)
会場:群馬県 高崎SLOW TIME

2018年3月24日(土)
会場:福島県 喜多方 大和川酒造 昭和蔵

2018年3月25日(日)
会場:宮城県 塩竈市杉村 惇美術館

プロフィール

Caravan(きゃらばん)

1974年10月9日生まれ。幼少時代を南米ベネズエラの首都カラカスで育ち、その後、転々と放浪生活。高校時代にバンドを結成、ギタリストとして活動。2001年よりソロに転身。全国を旅しながらライブを重ね、活動の幅を広げてゆく。2004年4月インディーズデビュー。2枚のアルバムを発表。2005年メジャーへ移籍。2007年マネージメントオフィス「HARVEST」設立。2011年までの間、年に一枚のペースでアルバムを発表してきた。一台のバスで北海道から種子島までを回る全国ツアーや、数々の野外フェスに参加するなど、独自のスタンスで場所や形態に囚われない自由でインディペンデントな活動が話題を呼ぶ。2011年には自身のアトリエ「Studio Byrd」を完成させ、2012年プライベートレーベル「Slow Flow Music」を立ち上げた。Caravanも含めたった3人でマネージメントとレーベルを運営しインディーズ流通すら使わず、メディアにもほとんど露出しないその独自なスタンスも注目を集めている。独自の目線で日常を描く、リアルな言葉。聞く者を旅へと誘う、美しく切ないメロディー。様々なボーダーを越え、一体感溢れるピースフルなライブ。世代や性別、ジャンルを越えて幅広い層からの支持を集めている。

関連チケット情報

2018年1月28日(日)
Caravan
会場:CLUB CITTA’(神奈川県)
2018年2月3日(土)〜2月4日(日)
京音-KYOTO-2018
会場:磔磔/KYOTO MUSE(京都府)
2018年2月9日(金)
Caravan
会場:カナカナ(奈良県)
2018年2月11日(日)
Caravan
会場:蛸蔵(高知県)
2018年2月16日(金)
Caravan
会場:長崎県美術館 エントランスロビー(長崎県)
2018年2月18日(日)
Caravan
会場:広島・4.14(広島県)
2018年2月22日(木)〜2月23日(金)
Caravan
会場:松阪M’AXA(三重県)
2018年3月21日(水)
Caravan
会場:新潟市民芸術文化会館 能楽堂(新潟県)
2018年3月24日(土)〜3月25日(日)
Caravan
会場:大和川酒造北方風土館昭和蔵(福島県)

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

映画『サラバ静寂』予告編

1月27日公開の映画『サラバ静寂』予告編が届いた。音楽が無料で手に入ったり音楽フェスが溢れる音楽飽和時代に、なぜ「音楽が禁止された世界」を描くのか? 現代から考えれば、ある意味ではSFともいえる作品かもしれないけど、現代だからこそ、たくさんの人が見る意味のある作品だと思う。SUMIREの初演技にも要注目。(川浦)

  1. 15歳で集団性的暴行を受けた女性の手記を映画化、『私は絶対許さない』特報 1

    15歳で集団性的暴行を受けた女性の手記を映画化、『私は絶対許さない』特報

  2. TWICEを『ラブライブ!』京極尚彦がアニメ化 新曲“Candy Pop”PV公開 2

    TWICEを『ラブライブ!』京極尚彦がアニメ化 新曲“Candy Pop”PV公開

  3. KOHH、PUNPEE、ECD、ANARCHYら60組超撮影 21世紀の日本ヒップホップ写真集 3

    KOHH、PUNPEE、ECD、ANARCHYら60組超撮影 21世紀の日本ヒップホップ写真集

  4. 『カウボーイビバップ』全26話をオールナイトで一挙上映 放送20周年記念 4

    『カウボーイビバップ』全26話をオールナイトで一挙上映 放送20周年記念

  5. 映画『空海』高橋一生、吉田羊ら吹替声優の声が初公開 RADWIMPS挿入歌も 5

    映画『空海』高橋一生、吉田羊ら吹替声優の声が初公開 RADWIMPS挿入歌も

  6. toconomaが仕事とバンドを両立する訳と、守り続ける放課後感 6

    toconomaが仕事とバンドを両立する訳と、守り続ける放課後感

  7. 『ベイビー・ドライバー』爆走絶叫上映 冒頭7分はスタンディング推奨 7

    『ベイビー・ドライバー』爆走絶叫上映 冒頭7分はスタンディング推奨

  8. ONE OK ROCKは下の世代に提案する。夢を持ち続け、叶えること 8

    ONE OK ROCKは下の世代に提案する。夢を持ち続け、叶えること

  9. ビートルズやボウイら「レジェンド」描く norahi個展『BIBLE』 9

    ビートルズやボウイら「レジェンド」描く norahi個展『BIBLE』

  10. 放浪の音楽家Caravanが語る、ステレオタイプな音楽活動への疑問 10

    放浪の音楽家Caravanが語る、ステレオタイプな音楽活動への疑問