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三浦直之率いるロロは、なぜ演劇ファン以外からも支持される?

三浦直之率いるロロは、なぜ演劇ファン以外からも支持される?

ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧

三浦直之が主宰し、2009年から活動を開始した劇団「ロロ」。アニメ、文学、SF、J-POP、バラエティー番組など、三浦とメンバーが青春期に受容したカルチャーへの偏愛を「これでもか!」と盛り込んだ作品は、(よい意味での)節操のなさが生み出す爆発力と、その奥に潜む切なさや儚さを詩的に結びつける。そのスレスレのバランス感は、同時代を生きる若者たち、そしてかつて青春を生きてきた大人たちから高く支持されている。

そんなロロも今年で結成9周年を迎え、新しい段階に足を進めようとしているようだ。今年1月12日から始まる公演『マジカル肉じゃがファミリーツアー』は、2010年初演の代表作『旅、旅旅』を大幅に改訂し、より血肉の通ったドラマに生まれ変わらせるという。この記事は、主宰の三浦と、旗揚げ当初から参加する6名の俳優全員が揃っての、初めてのインタビューだ。ロロが歩んだ8年は、彼らにとっても成長の8年だっただろう。ロロのこれまでとこれからに迫る。

俺たちが芝居を始めた2000年代って、チェルフィッチュやポツドールが現れて、演劇の歴史がガラッと変わるタイミングだった。(板橋)

—最初にロロの成り立ちからお聞きしたいと思うのですが、みなさんは結成初期から関わっているメンバーですよね。

三浦:そうですね。ここにいる全員、劇団を立ち上げた最初の1年目から作品に出演してくれている人たちです。そもそも僕ら全員が日本大学藝術学部の出身で、僕と望月(綾乃)さん、亀島(一徳)くん、(篠崎)大悟は同期。当時、亀島くんは俳優ではなく演出家を目指していて、僕が脚本を書いて彼が演出で上演をやりたいね、という話になったんです。

ロロメンバー 上段左から:三浦直之、篠崎大悟、亀島一徳、板橋駿谷 下段左から:望月綾乃、森本華、島田桃子
ロロメンバー 上段左から:三浦直之、篠崎大悟、亀島一徳、板橋駿谷 下段左から:望月綾乃、森本華、島田桃子

—それがロロの第1回公演?

三浦:だといいんですけど、劇場まで押さえた後に僕が東京から逃げ出しまして……。宮城の実家に逃げて、3ヶ月くらい音信不通になるという……。

望月:失踪だよね。気がついたら、知らない道路を歩いてたんでしょ?

三浦:そうそう。友だちの劇団の制作として、事務作業とか任されてやっていたんですけど、そもそも性格的に絶対向いてなくて、しんどくて。パソコンの前で何もできなくなって、気づいたら宮城の実家に戻ってました。記憶がないんです。

三浦直之
三浦直之

—いろんな意味でロロの作品みたいな展開ですね。

望月:ロロのイメージそんな感じなんだ(苦笑)。

三浦:3ヶ月くらい経って「いよいよ東京に戻らないとまずいよな」と思って大学に行ったんですよ。それで喫煙所で亀島くんと顔を合わせたとき、「三浦くんはマジで人間としてクズだし、クソ人間だけど、書くものは面白いと思うからまたやろう」って言ってくれたんですよ。そこで「これは書かなくちゃ……!」と思って、書き始めたのが旗揚げ公演の『家族のこと、その他のたくさんのこと』(2009年)でした。

旗揚げ公演『家族のこと、その他のたくさんのこと』チラシ画像(2009年)
旗揚げ公演『家族のこと、その他のたくさんのこと』チラシ画像(2009年)

篠崎:学生の頃、僕と三浦くんが異常に仲良くて、ほぼ同棲状態みたいな付き合いだったんですよ(笑)。で、三浦くんが書いた脚本の読み合わせをしたりしてたんですけど、すげえ面白いな、と思って。

篠崎大悟
篠崎大悟

三浦:大悟からも褒めてもらって、それでやる気になった。せっかく上演するなら学校の外の人にも見てほしくて、王子小劇場(若手劇団の紹介を積極的に行うことで知られるスペース)の公募企画にエントリーしたら、当時の劇場主の玉山(悟)さんからも「面白いから上演ほうがいいよ」と言っていただいて、ロロを結成しました。そういったことが今に続いている、って感じです。

—他のメンバーは?

三浦:(森本)華ちゃんと、(島田)桃子は後輩で、(板橋)駿谷さんは2学年上の先輩でした。制作の手伝いで駿谷さんの芝居を見てたんですけど「本当にうまくて面白い人だなあ」とずっと思っていて、ぜひ作品に出てほしいと思って。

板橋:気まずいインタビューだなあ(照)。

一同:(爆笑)

三浦:めちゃくちゃ緊張しながら「俺の書いた台本読んでください! 面白かったら出てください!」と訴えたら、駿谷さんも熱い感じで「先輩だから、俺が(ロロを)引っ張っていくよ。がんばろうぞ!」と答えてくれて。

一同:駿谷さんらしい。

左から:三浦直之、望月綾乃、篠崎大悟、板橋駿谷、島田桃子、亀島一徳、森本華

板橋:うっすらとしか覚えてねえ(笑)。まあ、でもやっぱり三浦の書いてきたものが面白かったからっすよ。俺の演劇の感覚にない新鮮さがあったから。

2000年代って、チェルフィッチュ(発話の方法や人称の扱いなど、数々の実験的な試みを行ってきたカンパニー。主宰は岡田利規)やポツドール(ドキュメンタリー的手法で若者の欲望や生態を表象した。主宰は三浦大輔)が現れて、演劇の歴史がガラッと変わるタイミングだったんですよ。その影響は大きくて、当時俺が所属してた劇団も、それまでコメディーをやってたのに、どんどんハードで陰鬱な作風に変わっていった。

そこで俺がどんな芝居をやっても否定されるような状況で「(板橋は)ラップとかやってるからダメなんだ、演劇一本に絞れよ」とか追い込まれて。超しんどくて「演劇ってやっぱりだせえし、つまんねえな!」って思い始めてたタイミングで、三浦の書くものと出会ったわけです。

板橋駿谷
板橋駿谷

—駿谷さんにとって救いになる内容だった。

板橋:それもあるし、それまでクソけなされてきた俺に対して、三浦は「めちゃくちゃ面白いですよ。ラップもどんどんやった方がいいですよ!」と、なんでも褒めてくれた(笑)。

望月:それが理由なんだ(笑)。

板橋:マジでそう。三浦にいろんなことを許容され続けて今に至ってる。それがなかったら演劇なんて辞めてたはずだから。

—後輩メンバーからは、三浦さんはどう見えていましたか?

森本:日芸の演劇学科って独特なノリのある環境なんですよ。文化祭で上演するダンス公演で先輩が舞台に立つと後輩がキャーキャー言う、みたいな。でもロロに関わる人たちは全員そのメインストリームには参加せず、喫煙所で好きな音楽とか小説の話をずーっとしている人たち……って印象がありました。イケイケ勢には乗らない人たち。

森本華
森本華

望月:イケイケ勢は、おそろいの学年パーカー作ったりしてたよね。

亀島:ダサいんだよなあ。

—島田さんはどうでした?

島田:私は旗揚げに参加してなくて、お客さんとして『家族のこと、その他のたくさんのこと』を見たのが最初です。もともと華ちゃんと仲良くて、王子(小劇場)でやるのを楽しみにしてて。それまではみんなのことは華ちゃんと同じ認識で、まあ……喫煙所にたまっている人?

島田桃子
島田桃子

亀島:俺たちタバコばっかりじゃん!

望月:文句言いながらタバコ吸う人たち! 最悪じゃん(笑)。

島田:面白そうだな、って思ってたよ(笑)。おはなしを見に行ったって感じよりも、みんながすごく楽しそうにパフォーマンスしてるのがすごくいいな、って思ったんだよ。一見、演劇に見えないものをやってるのがすごく楽しかった。

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イベント情報

ロロ『マジカル肉じゃがファミリーツアー』
ロロ
『マジカル肉じゃがファミリーツアー』

2018年1月12日(金)~1月21日(日)
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
脚本・演出:三浦直之
出演:
板橋駿谷
亀島一徳
篠崎大悟
島田桃子
望月綾乃
森本華(以上ロロ)
猪俣三四郎(ナイロン100°C)
北川麗(中野成樹+フランケンズ)
宮部純子(五反田団、青年団)
料金:
前売 一般4,000円 25歳以下3,000円 高校生以下1,000円
当日 一般4,500円 25歳以下3,500円 高校生以下1,000円

プロフィール

ロロ(ろろ)

三浦直之(主宰・脚本・演出)、板橋駿谷、亀島一徳、篠崎大悟、島田桃子、望月綾乃、森本華(以上俳優)、玉利樹貴(えかき)、坂本もも、奥山三代都(以上制作)の10名による集団。2009年より東京を拠点に活動中。漫画・アニメ・小説・音楽・映画などジャンルを越えたカルチャーをパッチワークのように紡ぎ合わせ、様々な「出会い」の瞬間を物語化する。小説のリーディングや音楽ライブと融合した短編演劇、映画製作など、ジャンル横断で演劇の枠を拡張しながら活動を行い、2013年三浦直之・初監督作品 映画『ダンスナンバー 時をかける少女』(製作:ロロ)は『MOOSIC LAB 2013』準グランプリ他3冠を受賞。2015年には11作目の本公演『ハンサムな大悟』の戯曲が『第60回岸田國士戯曲賞』最終候補作に選ばれる。代表作は『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』『LOVE02』『あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語』など。

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