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若葉竜也×中島歩×吉村界人 20代の若手俳優たちの歩く、役者道

若葉竜也×中島歩×吉村界人 20代の若手俳優たちの歩く、役者道

『素敵なダイナマイトスキャンダル』『モリのいる場所』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一

他の人が気にも留めないようなものを、じっと見つめているような映画というか。(吉村)

―吉村さんと中島さんが出演している『モリのいる場所』についてはいかがでしょう。

吉村:この映画は、昭和49年(1974年)のある1日を描いた作品なんですけど、実在した人物の半生をたった1日で描くっていうのはすごいですよね。俺は口下手なので、あと1時間ぐらいあればちゃんとこの作品について話せるんですけど……中島さん、どんな映画なんですか、これ(笑)。

中島:(笑)。ひと言で説明するのはなかなか難しい映画ですけど、このポスターのビジュアルみたいな感じの映画ですよね。要するに、こういうものを、じっと見ている映画というか。

『モリのいる場所』ポスタービジュアル
『モリのいる場所』ポスタービジュアル(サイトを見る

吉村:『ナショナルジオグラフィック』(地理学、人類学、自然・環境学、ポピュラーサイエンス、歴史、文化、最新事象、写真などの記事を掲載する雑誌、テレビ番組、およびウェブサイト)ってあるじゃないですか。最初は、ああいう感じです。生物をじっと見ている画というか。

中島:とにかく生物がすごくよく撮れている映画ですよね。虫とか、すごくよく撮れてるし。

若葉:僕はまだ見てないけど、そういう映画なの?

吉村:いや、どう言ったらいいのかな……日常的な映画もいいなって思えるような作品なんですよね。僕は『素敵なダイナマイトスキャンダル』のような、映画だからこその非日常みたいな作品に惹かれがちなんですけど、『モリのいる場所』のほうがある意味リアル。日常に寄り添っている感じがあるというか。

『モリのいる場所』より
『モリのいる場所』より

『モリのいる場所』より
『モリのいる場所』より

中島:沖田さんの映画って、そうやって日常の細々としたことに焦点を当てるものが多いように思うんですけど、この熊谷守一という人は、その方向でさらに振り切った人だから……それで沖田さんは、すごく興味を持ったんだと思うんですよね。

吉村:他の人が気にも留めないようなものを、じっと見つめているような映画というか。だから、話の内容としてはすごくミニマムなんですよね。だけど、描かれていることはめっちゃ大きいみたいな。

中島:実際、熊谷さんが描いてきた絵を年代別に見ていくと、どんどん絵柄が変わっていくんですよ。結局、ああいう生活を送りながら、最終的にイラストのようなタッチになっていくという。そこが、すごく面白いところだと思います。

若葉:なるほど。

豊かな映画なんだと思います。熊谷守一の自宅の庭が、ものすごく豊かであるように。(中島)

―先ほど、『素敵なダイナマイトスキャンダル』のことを「肯定してくれる映画」と言っていましたが、『モリのいる場所』はどうですか?

中島:この映画も、同じように肯定感に満ちた映画だと思います。出てくる人たちが、みんなどこか呑気で楽しそうだし(笑)。よくよく見ると、それぞれいろんな悩みがあったり問題を抱えていたりするけど、日常のなかにある一つひとつに焦点を当てれば、ちゃんと面白く生きられるというか。なかなか上手く説明できないですけど。

―ごく普通の1日の話なんですけど、そこには何もないようで、すべてがあるというか。

中島:それはやっぱり、映画におけるディテールの積み重ねの結果だと思うんですよね。たとえば、僕が演じている郵便屋が、池谷のぶえさん(モリの姪・美恵役)と、モリの家の表札がよく盗まれる話をするんですけど、それによって、毎日こういう感じなんだっていうのがわかるというか。

『モリのいる場所』より
『モリのいる場所』より

―1本の「線」を描くのではなく、そのなかにある「点」をきっちり描くことで、その前後の時間の流れを感じさせるというか。

中島:だからこそ豊かな映画なんだと思います。熊谷守一の自宅の庭が、ものすごく豊かであるように。そういう意味で言ったら、吉村くんの役は、その日常のなかに入ってくる新参者の役だから……いちばん見る人の目線に近い役なんじゃないですかね。

吉村:そうですね。たまたま先輩についてその家にやってきて、「なんだ、この人たちの日常は?」って思う若者の役ですから(笑)。

『モリのいる場所』より
『モリのいる場所』より

―吉村くん演じるアシスタント役の若者も、最後は「明日もきていいっすか?」って言うじゃないですか。あの1日で、彼は何を感じたんでしょうね?

吉村:「『何もない』ってことはないんだ」ってことに気づいたんだと思う。何か事件があってとか、誰かと誰かがどうしてとかではなく、ただそこに人が立っていればそれだけで人生がある、みたいなことを感じたというか。あるいは、派手とか地味っていうのは、単なる物差しのひとつに過ぎなくて、そういう価値観とは違うものがあるってことに、気づいたんじゃないですかね。

―淡々としているようで、実はものすごく豊かだっていう。

中島:そこがやっぱり、沖田さんの作品のすごいところだと思うんです。何でもないたった1日の終わりにものすごくドラマを感じるのは、そこに至るまでに、細かいディテールがすごく積み重なっているからなんですよね。

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作品情報

『素敵なダイナマイトスキャンダル』
『素敵なダイナマイトスキャンダル』

2018年3月17日(土)からテアトル新宿ほか全国で公開中
監督・脚本:冨永昌敬
原作:末井昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」(ちくま文庫)
主題歌:尾野真千子と末井昭“山の音”
音楽:菊地成孔、小田朋美
出演:
柄本佑
前田敦子
三浦透子
峯田和伸
中島歩
落合モトキ
若葉竜也
松重豊
村上淳
尾野真千子
ほか
配給:東京テアトル

作品情報

『モリのいる場所』
『モリのいる場所』

2018年5月19日(土)からシネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国で公開
監督・脚本:沖田修一
出演:
山﨑努
樹木希林
加瀬亮
吉村界人
光石研
青木崇高
吹越満
池谷のぶえ
きたろう
林与一
三上博史
ほか
配給:日活

プロフィール

中島歩(なかじま あゆむ)

1988年10月7日生まれ、宮崎県出身。美輪明宏主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションで200名の中から選ばれ、2013年に同舞台で俳優デビュー。翌年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」に出演し注目される。主な出演作に『グッド・ストライプス』(15)、『恋愛奇譚集』(17)、「植木等とのぼせもん」(NHK/17)などがある。

若葉竜也(わかば りゅうや)

1989年生まれ。東京都出身。1990年、若葉劇団にて1歳3ヶ月で初舞台を踏む。陰のある役からアクの強い役まで作品によって180度違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。2016年公開の映画『葛城事件』(監督:赤堀雅秋)で、第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞受賞。公開待機作に、映画『パンク侍、斬られて候』(監督:石井岳龍 2018年6月30日全国公開)など多数。

吉村界人(よしむら かいと)

1993年2月2日東京生まれ。『ポルトレ -PORTRAIT-』(14)で映画主演デビュー。 以降、多数の映画、ドラマ、CMに出演。主な作品に、映画『百円の恋』(15)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(16)、主演作『太陽を掴め』(16)等。待機作にドラマ「スモーキング」(TX/4月19日スタート、毎週木曜深1:00)を控える等、次世代の日本映画界を背負って立つと期待される若手俳優。

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