インタビュー

前野健太、2018年は『紅白』も出場圏内か?ひと皮むけた男が語る

前野健太、2018年は『紅白』も出場圏内か?ひと皮むけた男が語る

インタビュー・テキスト
九龍ジョー
撮影:タイコウクニヨシ 編集:山元翔一 取材協力:器と珈琲 — 織部下北沢店

春の訪れとともに男はやってくる――と書くはずだったが、取材当日の東京は珍しい名残り雪。一筋縄ではいかないこのミュージシャンのキャリアを象徴しているようで、それもまた悪くない。

オリジナルアルバムのリリースは実に4年半ぶりとなる。だがこの間、焦りは見られなかった。映画や演劇、テレビ、ラジオ、エッセイ、小説、CDブック……など、押し寄せる新たな出会いや営みに勤しんできた。いまや『タモリ倶楽部』での前野健太しか知らない「マエケンファン」だって、いるかもしれない。

新曲も次々と生まれた。しかも、これまでにない新しい歌だ。アルバムタイトルは『サクラ』。「機が熟す」という言葉がこれほど相応しい新譜もそうはないだろう。リリース直前の4月22日には、CINRA主催のイベント『CROSSING CARNIVAL』にも出演する。隠れもなき「4月の顔」、前野健太に、たっぷりと話を聞いた。

作詞家がいて、作曲家がいて、歌手がいて、アレンジャーがいて、演奏者がいる、という贅沢さに憧れがあったんです。

―実に4年半ぶりのオリジナルアルバムですね。

前野:長かったですねえ。でも、まあ、映画(『変態だ』 / 2016年)があり、舞台(『なむはむだはむ』 / 2017年)があり、本(『百年後』 / 2017年)も出して……と、いろいろやってましたからね。音楽アルバムも、ライブ盤(『LIVE with SOAPLANDERS』 / 2014年)にサントラ(『映画「変態だ」音楽全集』 / 2016年)、CDブック(『今の時代がいちばんいいよ』 / 2015年)もありましたし。

前野健太
前野健太

―ライブもコンスタントにやっていましたしね。

前野:ええ、だから、新曲もどんどんたまっていて。それを早くまとめないとなっていうのは、ずっとありました。

―具体的に動き出したのは?

前野:昨年3月、群馬の太田市美術館の展示(『未来への狼火』展)で一段落して、「よし、次はアルバムだ」と。夏にさらに新曲を書いて、秋にレコーディングをしました。

―今作には大勢のミュージシャンがクレジットされています。プロデュースとアレンジを担当した方も複数いますね。

前野:アレンジャーを立てることは、最初から決めていました。ずっと自分主導でメンバーを集めてやってきましたけど、今回は編曲家に委ねたいなと。作詞家がいて、作曲家がいて、歌手がいて、アレンジャーがいて、演奏者がいる、という贅沢さに憧れがあったんです。まあ、僕の場合、作詞作曲は自分でしますけど、関わる人が増えるなかで、歌が強くなることもあるんじゃないかなと。実際、僕の好きな歌にもそういうものが多かったんで。

前野健太

4月22日開催の『CROSSING CARNIVAL』のビジュアル。前野健太は、「前野健太+古田たかし(歌とドラムの即興)」として出演4月22日開催の『CROSSING CARNIVAL』のビジュアル。前野健太は、「前野健太+古田たかし(歌とドラムの即興)」として出演(サイトを見る

ceroは昔からの知り合いで、かつてはそれほど遠くない場所にいたんです。

―プロデューサー兼アレンジャーの4人(荒内佑、石橋英子、岡田拓郎、武藤星児)はどう選ばれたんですか?

前野:曲が揃ってきたところで、レーベルのディレクターと話し合って決めました。

―ceroの荒内さん編曲による冒頭の2曲“山に囲まれて”“今の時代がいちばんいいよ”がとても豊穣なサウンドで、「これまでの前野健太とは違うぞ」というのが序盤で早くも印象づけられますね。

前野:ceroは昔からの知り合いで、かつてはそれほど遠くない場所にいたんです。でも、ほとんど一緒にやることもないまま、だんだん離れていって。そんななか、2016年9月にLIQUIDROOMでツーマンをやったら、想像した以上にかっこいいバンドになっていたんですよね。「これは売れるのわかるわ」って。もしかして、彼らなら新時代の星勝(安全地帯や井上陽水を手がけた作曲家・音楽プロデューサー)みたいな仕事をしてくれるんじゃないかと思いました。それで相談したら、それはもう荒内くんがピッタリだと。

レコーディング風景 / 左から:荒内佑(cero)、前野健太
レコーディング風景 / 左から:荒内佑(cero)、前野健太

―荒内さんは、前野さんとのそのツーマンライブで“今の時代がいちばんいいよ”を聴いたときのことを連載コラム(webちくま『宇宙のランチ』)にも書いてましたね。岡田さんは、荒内さんよりもさらに若い世代ですが、バンドの音づくりには定評があります。

前野:ええ、ディレクターが、彼が以前のバンド(森は生きている)でやっていたようなサウンドでマエケンが歌ったら合うんじゃないか、と。彼はすごくストレートに曲のよさを引き出してくれましたね。

レコーディング風景(左から:前野健太、岡田拓郎)
レコーディング風景(左から:前野健太、岡田拓郎)

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リリース情報

前野健太『サクラ』
前野健太
『サクラ』(CD)

2018年4月25日(水)発売
価格:2,700円(税込)
PECF-1150

1. 山に囲まれても
2. 今の時代がいちばんいいよ
3. アマクサマンボ・ブギ
4. 嵐~星での暮らし~
5. 夏が洗い流したらまた
6. マイ・スウィート・リトル・ダンサー
7. 大通りのブルース
8. SHINJUKU AVENUE
9. 虫のようなオッサン
10. 人生って
11. いのちのきらめき
12. ロマンティックにいかせて
13. 防波堤

イベント情報

『前野健太 ニューアルバム 「サクラ」 発売記念ツアー ~開花宣言~』

2018年5月20日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW X
出演:前野健太バンド
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年5月31日(木)
会場:福岡県 福岡 BEAT STATION
出演:
前野健太バンド
ゲスト:ハンバートハンバート
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2018年6月1日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO
出演:
前野健太バンド
ゲスト:ハンバートハンバート
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2018年6月2日(土)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La
出演:
前野健太バンド
ゲスト:シャムキャッツ
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2018年6月3日(日)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'
出演:
前野健太バンド
ゲスト:シャムキャッツ
料金:前売3,800円(ドリンク別)

『前野健太 ニューアルバム 「サクラ」 発売記念ツアー ~開花宣言2~ <ソロ対バン篇>』

2018年6月7日(木)
会場:宮城県 仙台 Rensa
出演:
前野健太
ゲスト:竹原ピストル
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2018年6月22日(金)
会場:北海道 札幌 BFHホール
出演:
前野健太
ゲスト:スカート
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2018年7月7日(土)
会場:沖縄県 桜坂劇場ホールA
出演:
前野健太
ゲスト:大森靖子
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2018年7月12日(木)
会場:京都府 磔磔
出演:
前野健太
ゲスト:吉澤嘉代子
料金:前売3,800円(ドリンク別)

『CROSSING CARNIVAL'18』
『CROSSING CARNIVAL'18』

2018年4月22日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE
出演:
KOHH
Chara×韻シストBAND
GRAPEVINE(ゲスト:康本雅子)
大森靖子(world's end girlfriendとコラボライブも)
藤井隆
おとぎ話(新作の完全再現ライブ)
前野健太
Awesome City Club feat. Jiro Endo
world's end girlfriend × Have a Nice Day!
THE NOVEMBERS(ゲスト:志磨遼平(ドレスコーズ))
GAGLE(ゲスト:鎮座DOPENESS、KGE THE SHADOWMEN)
DADARAY(ゲスト:藤井隆)
WONK
Tempalay feat. JABBA DA FOOTBALL CLUB
King Gnu × Ryohu
LILI LIMIT(牧野正幸による映像とコラボ)
Emerald(ゲスト:環ROY)
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)

「今月の顔」とは?

日々数多くの情報を発信しているCINRA.NET編集部が毎月1組だけ選出する、「今月のカルチャーの顔」。ジャンルや知名度を問わず、まさに今、読者の皆さんに注目していただきたいアーティストや作家を取り上げます。

プロフィール

前野健太(まえの けんた)

1979年埼玉県入間市出身。シンガーソングライター。2007年に自ら立ち上げたレーベル「romance records」より『ロマンスカー』をリリースしデビュー。2011年には第14回みうらじゅん賞を受賞。2013年1月、ジム・オルークをプロデューサーに迎え制作された4枚目のアルバム『オレらは肉の歩く朝』を発売。同年7月『FUJI ROCK FESTIVAL'13』へ出演。12月、5枚目のアルバム『ハッピーランチ』を発売。2014年、月刊「すばる」にてエッセイの連載を開始。2015年7月、KAATキッズ・プログラム2015 おいしいおかしいおしばい『わかったさんのクッキー』(台本・演出:岡田利規)の劇中歌を作曲。12月NHK番組『ジドリ』の音楽を担当。雑誌『Number Do』に初小説を寄稿。CDブック『今の時代がいちばんいいよ』を「エランド・プレス」より発売。2016年10月、初のラジオレギュラー番組「前野健太のラジオ100年後」が1422ラジオ日本で放送開始。同年12月、主演映画『変態だ』(みうらじゅん原作、安斎肇監督)が新宿ピカデリーを皮切りに全国公開。2017年2月、初舞台となる『なむはむだはむ』(つくってでる人:岩井秀人、森山未來、前野健太)に参加。東京芸術劇場にて2月18日~3月12日まで上演。同作の滞在制作の模様を密着したドキュメント映像「コドモのひらめき オトナの冒険~“なむはむだはむ”の世界~」がNHKEテレで放映された。同年3月3日初のエッセイ集『百年後』を「STAND!BOOKS」より刊行。2018年4月からNHK Eテレ『オドモTV』にレギュラー出演。

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