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大宮エリーが、ドラマ『13の理由』から思いの伝え方を考える

大宮エリーが、ドラマ『13の理由』から思いの伝え方を考える

Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:豊島望 編集:久野剛士、野村由芽

アメリカのとある高校を舞台に、SNS、いじめ、友情、恋愛、スクールカースト、性暴力など、現代社会の抱える闇をリアルに映し出し、2017年最もツイートされたドラマとなったNetflixオリジナルシリーズ『13の理由』。独占配信中のシーズン1に続いて、シーズン2が、5月18日より全世界同時オンラインストリーミングされる。

そこで今回、作家、脚本家、映画監督、演出家、CMディレクター、CMプランナーなど、多彩な顔を持つクリエイター、大宮エリーに、このドラマの革新性、及び本作が扱っている「いじめ」「ソーシャル世代の人間関係」などのテーマについて、さらには本作の裏テーマでもあり、自身の著作や展覧会のタイトルにもなっている「思いを伝えること」の重要性について、自由に語ってもらった。

「ソーシャル・チェーン・ミステリー」というキャッチコピーについて、「どういうことだろう?」って思っていたんです。

—この取材を機会に、『13の理由』をご覧になったとのことですが、どんな感想を抱きましたか?

大宮:見る前に、自ら命を絶った女の子がカセットテープを残して、その中で何が自殺の原因だったかを語っていくドラマだっていうことを聞いていたんです。だから正直、ちょっと暗くて、重い話なのかなって思っていたんですよね。

だけど、作品としてすごく面白くて、どんどん引き込まれました。サイコサスペンスのようにドキドキもしつつ、なぜか『ビバリーヒルズ高校白書』(1990年~2000年まで放送された、アメリカの青春ドラマ)のように恋愛ドラマ、学園ものの要素もあるという不思議なドラマで、作品として面白かったです。「ソーシャル・チェーン・ミステリー」というキャッチコピーについて、「どういうことだろう?」って思っていたんですけど、このドラマは、犯人は誰か? っていうミステリーではないんですよね。単なる犯人捜しじゃないっていうか。主人公は、何をきっかけに、どんな感情になっていくのかを探っていく、そして一緒に考えていくミステリーというか。結局、何が決め手になったのか。最後まで見ないと答えを出せないんですよね。

大宮エリー
大宮エリー

大宮:そして登場人物たちがそのテープに自分がでてくるのではないかという恐怖。テープを必ず聞かなくてはいけないゲーム。それを何者かに監視、いや、死者に監視されている感じすらあるのもまた、ホラー&サスペンス。主人公の感情を読み解くミステリーと、登場人物が追い込まれていくサスペンス。2つの側面、構成が絡み合うのが、新しいんですよねー。ドキドキハラハラしっぱなしでした。

—新しいタイプのミステリーですよね。

大宮:あと、最初に聞いていた印象から、もうちょっとジメジメして、下を向いた感じの女の子の話かなって思っていたんですけど、このドラマで自殺してしまうハンナって、見た目も可愛らしいし、それなりに社交的だったりもする。むしろ主人公の男の子クレイのほうが、現実だったらいじめられてそう……。

ただ、そういう一見普通のみんなに愛されている子が、ある日突然トラブルに巻き込まれていじめの標的になることって日本でもあり得ることだと思うので。

主人公クレイは、命を絶ったハンナの残した「告白テープ」を聞こうとする
主人公クレイは、命を絶ったハンナの残した「告白テープ」を聞こうとする

自ら命を絶ち、想いをテープに残したハンナ
自ら命を絶ち、想いをテープに残したハンナ

このドラマは社会の縮図みたいなところがあると思うんです。

大宮:特に、いまの時代はSNSで突然、自分の状況が変わったりするようなこともあると思うんですよ。もちろんある日学校に行ったら、みんなから無視されるようになったとか、変な噂話が広がっていた、というのは、昔からあったかもしれないけど、知らないうちにSNSを使って嘘をばら撒かれたとしたら、その拡散度合いって、昔とは比べものにならないですからね。いじめの規模とスピードが違いますよね。

—いまの時代は、それがどのように、どこまで伝わっているのかわからない怖さがありますよね。

大宮:そうですね。全員の誤解を説いて回ることもできないし。トークショーとかで学生さんから「いじめられてるんです」って相談があったときは、「最悪、転校もありだよ。逃げるが勝ち。逃げることも最大の防御だ」って言っていたんです。でも、このドラマの中にもあったように、転校する前にSNSで悪いうわさが知られていることもあるのかもしれないなら、どうすりゃいいんだと、考えてしまいましたよ。

この、考えるっていうのが大事なんですよね。自分の身に降りかかったときにどう対処するかを考えておけるんです。災害対策の準備のように、災難対策にいいドラマですね(笑)。私はね、これを見て、SNSで根も葉も無い噂が広まっていたら、もうね、SNSのないところに行けと。もしくはそういうことに興味のない環境ってあると思うんです。農業で忙しいとか、自然の中に生きている人たちとか。そういうとこに行くのもありよと進めますかね。しばらくの間ね。

そしてね、面白いのはこのドラマ、別に高校生に限ったテーマじゃないこと。社会人になってからも、うわさ話や陰口はあります。会社でも派閥があったり、人間関係に悩んでる人は多い。子供が生まれて公園デビューしたけれど、ママ友達から急に無視された、ってことも聞きますしね。人が群れるとね、誰かひとり敵を作って、結束したがる人もいます。敵がいるとまとまるんですよね。もちろん、そうでない人もいるし、そうでない組織もあると思う。ただ、そういうことが起こりうる可能性は、どこにでも潜んでいるということですね。そういう意味で、このドラマは社会の縮図みたいなところがあると思うんですよね。

大宮エリー

—若者だけの問題ではないですね。

大宮:こういうことを言って、若い子たちが絶望しちゃったら嫌だなと思うけど、やはり人間関係のトラブルは社会人になってからもずっと続くんですよね。残念ながら。だからね、いまいじめられている子がもしいたら、早いうちに勉強していると思った方がいいです。死ぬなんてもってのほか。なんで嫌な思いをしたあげく、死ななきゃいけないんだ、と思わなきゃだめ。悔しかったら、生きて、成功して、幸せになる。その人たちよりも、めいいっぱい、幸せになる。

その幸せは自分にしかわからない、苦しんだ人しか味わえない、ものすごく深くえもいわれぬ幸せです。それを知るためのお試し期間と思って、まずいじめられたら、自分にできうる対策、逃げる、もしくは自分からその人たちを無視する、などなど、して欲しいですね。アイデアが浮かばない場合は、人に相談するのもありです。本を読むのもあり。作品をたくさんみて勉強するのもあり。

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リリース情報

Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』
Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』

シーズン1独占配信中
5月18日(金)シーズン2配信開始
脚本:ブライアン・ヨーキー
出演:
ディラン・ミネット
キャサリン・ラングフォード
アリーシャ・ボー
ブランドン・フリン
ジャスティン・プレンティス
ほか

『思いを伝えるということ』
『思いを伝えるということ』(文庫版)

著者:大宮エリー
2014年11月7日(金)発売
価格:626円
発行:文藝春秋

プロフィール

大宮エリー(おおみや えりー)

1975年大阪生まれ。広告代理店勤務を経て、2006年に独立。映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。主な著書に『生きるコント』『生きるコント2』『思いを伝えるということ』(文春文庫)など。作演出として「GOD DOCTOR」(新国立劇場)、2009年に「SINGER 5」(紀伊国屋ホール)を発表。また、2007年よりテレビドラマの脚本、演出も手がけている。2012年より来場者が参加する体験型個展を数々発表。「思いを伝えるということ」展(渋谷PARCO MUSEUM、札幌PARCO、京都FOIL GALLERY、せんだいメディアテーク)、2013年より「大宮エリー展」(東京gggギャラリー、大阪dddギャラリー)の演出。2015年、初の絵画展「emotional journey」(代官山・ヒルサイドフォーラム)を開催。同時期に商店街を使ったパブリックアートを手がけ、初の写真展も開催。現在、週刊誌「サンデー毎日」、新聞「日経MJデジタル」「朝日中高生新聞」フリーペーパー「シティーリビング」にて連載を担当。6月3日に、現在アーティストとして参加中の芸術祭、六甲フォトデジタルガーデン(~7月31日)にてイベントを開催。
7月1日まで三宿Sundayにて写真展「あの日の椿」6月11日から7月22日まで三宿capsuleにて写真展「スピリットチャージ写真展2」WEB番組「スナックエリー」もほぼ毎週水曜日、生配信をLINEライブとyoutubeで行なっていて、本人と話すことができる。

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