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アニメ『3D彼女』企画対談 アニメ作りと劇伴が生まれる背景

アニメ『3D彼女』企画対談 アニメ作りと劇伴が生まれる背景

Akiyoshi Yasuda『absolute ego』『3D彼女 リアルガール オリジナル・サウンドトラック』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一

左から:Akiyoshi Yasuda、直谷たかし

いろんな表現や手法があっていいはずなのに、なぜかみんな同じことをやろうとしますよね。(Yasuda)

—『3D彼女』のサントラの発売に先駆けて、Akiyoshi Yasuda名義の2ndアルバム『absolute ego』(意味は「絶対的自我」)も発売されました。前作『alter ego』との連続性がありつつ、かなりインパクトの強いタイトルですね。

Yasuda:エグいタイトルですよね。前作を作ったときも「自分のやりたいことをやりました」って言ってたんですけど、まだ全然やれました(笑)。今回も「ego」という言葉を使いたくて、加えて「深く潜る」っていうテーマがあったので、それを表現するには「absolute」が一番合ってるかなということでこのタイトルにしました。いい意味で、周りのことは考えないというか、修行みたいな感じでしたね。

—ひたすら自分と向き合って作ったと。だとすると、特に青写真みたいなものもなかった?

Yasuda:そうですね。前回もそうだったんですけど、Akiyoshi Yasudaとして出す作品は、曲名に何の意味もないです。★STAR GUiTARのときは物語まで考えるんですけど、Akiyoshi Yasudaのときは全部排除するんです。

Akiyoshi Yasuda『absolute ego』(2018年)を聴く(Spotifyを開く

—音楽的には、前作同様にピアノやストリングスといった生楽器もフィーチャーしつつ、より音像が深まっていて、ブリストル系や、そこからの派生としてのRadiohead、あるいは去年出たCorneliusのアルバム(『Mellow Waves』)とかを連想しました。

Yasuda:ああ、それは嬉しいですね。Radioheadはまさにですし、僕も去年のCorneliusのアルバムは大好きなんですけど、今回のアルバムは去年の夏前には完成していたんですよ(『Mellow Waves』は2017年6月28日リリース)。

—つまり、「Corneliusを聴いて、影響を受けた」とかではないと。

Yasuda:そう。何か同じものが見えていたんだとしたら、それは嬉しいですね。今回はテンポが全然ない曲が多くて、「空間に包まれたい」とか「一定のテンポに捉われなくてもいい」ということを意識して作ってました。もともとダンスミュージックの人間なのに、ビートがほとんどないっていう(笑)。

—そこに向かった背景には、どのような考えがあったのでしょうか?

Yasuda:何というか……今は、いろんなものが速いんですよね。ストップモーションじゃないけど、切り取りたいというか、「一度止めたい」っていう感じがあったんです。イメージ的には、「真夏の学校の誰もいない校庭」みたいな感じ。時間が止まってるみたいな、そういうところに行きたくなる感覚が自分のなかにあったんですよね。「逃げる」という感覚とも違うんだけど、そういう音楽があってもいいかなと。

Akiyoshi Yasuda『absolute ego』収録曲

—今の音楽シーン、あるいは社会の動きに対して、追い立てられるような感覚がある?

Yasuda:いろんな表現や手法があっていいはずなのに、なぜかみんな同じことをやろうとしますよね。みんながやってるから安心するんだろうけど、でもそれが過ぎると、「少数派が悪い」みたいな風潮が生まれるじゃないですか? 「どっちもあっていいじゃん」っていう、その気持ちは強くありますね。

左から:Akiyoshi Yasuda、直谷たかし

はみ出していきましょう! 丸く収めるところは収めつつ(笑)。(直谷)

—直谷さんも今回の『3D彼女』に関して、「他のアニメとは違うものにしようと思った」と何度かおっしゃいましたが、今のYasudaさんの話には共感する部分が多いですか?

直谷:そういうことはしょっちゅう思いますよ。アニメの世界には何となくルールがあって、作り方も決まってしまっているので、みんなその物差しを基準に「ここは調整しましょう」みたいになりがちなんですけど、もっと自由でいいじゃんって思います。ちょっとはみ出したり、いろんなやり方があっていい。「これは違います」って、あんまり言われるようなら、「すみません、直します」って言いますし(笑)。

直谷たかし

—『3D彼女』の制作にもそういう気持ちを持って臨んだと言えますか?

直谷:僕が中心になって、周りを自分色に染めていくのではなく、みんなにイメージは伝えつつ、そのなかで個々のやりたいことを自由にやってもらって、どうしても都合が悪いときだけ、「すみません」って直してもらいました。なので、フィルムとしては、見た感じバラエティーがあると思うんです。僕のイメージだけで画面をまとめるんじゃなくて、いろんな人の考えがひとつの画面に点在しているような、そういう感じになってるんじゃないかと思います。

—「最初からずっと好きでやってる人よりは、客観的に作品を見てるかもしれない」というお話もありましたし、そこが活きているのかもしれないですね。

直谷:そうかもしれないですね。僕も監督をはじめた頃は、「テレビで見るあの監督はこうしてるじゃないか」みたいな感じで、いろんなことに口出しして、自分の色にしようとしてたんです。でも、あるときにふと、「なんか違うんじゃね?」って思ったんですよね。自分の考えてないことのほうが面白かったりもするし、そういう作り方もアリかなって思うので、みなさんに任せつつ作っていきました。

アニメ『3D彼女 リアルガール』より / ©那波マオ/講談社・アニメ「3D彼女 リアルガール」製作委員会
アニメ『3D彼女 リアルガール』より / ©那波マオ/講談社・アニメ「3D彼女 リアルガール」製作委員会

アニメ『3D彼女 リアルガール』より / ©那波マオ/講談社・アニメ「3D彼女 リアルガール」製作委員会
アニメ『3D彼女 リアルガール』より / ©那波マオ/講談社・アニメ「3D彼女 リアルガール」製作委員会

—2人の波長が合ったのは、音楽的な趣味だけではなく、「いろいろあっていいじゃん」っていう感性も似ていたからかもしれないですね。

Yasuda:話せば話すほど、だから上手くいったのかって、納得しました(笑)。

直谷:自分の場合は、アニメ業界に入って、最初は「こうじゃなきゃいけない」とも思ったけど、「やっぱり俺、無理だわ」って思ったのが大きいかもしれないですけどね。

—Yasudaさんにしても「ライブをやらなきゃいけない」から抜け出て、そういうタイミングでこの2人がめぐり合ったと。

Yasuda:そう考えると、すごく面白いですね。

直谷:はみ出していきましょう! 丸く収めるところは収めつつ(笑)。

左から:Akiyoshi Yasuda、直谷たかし

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リリース情報

Akiyoshi Yasuda
『absolute ego』

2018年5月23日(水)より配信

1. Grace
2. res
3. rest
4. nik
5. sén
6. mono
7. andthen
8. While
9. roof

Akiyoshi Yasuda
『3D彼女 リアルガール オリジナル・サウンドトラック』

2018年5月30日(水)リリース
価格:3,240円(税込)

1. because you are here.
2. Loop in Loop
3. own way
4. Clumsy Love
5. Walk
6. Play With
7. Morning Glory
8. You are here.
9. more salty
10. each other
11. beside
12. I Myself
13. MAZE
14. first sight
15. naked
16. ready?
17. FunFunFun
18. carefree
19. それ変☆身
20. I feel something
21. you' re the one
22. even so
23. under your spell.
24. blue
25. present
26. LOOOOL
27. Yeah?
28. No way!
29. Phew!
30. Sweetest day
31. rush into
32. in hot water
33. life you live
34. if you wanna
35. visionary
36. cloud nine

番組情報

『3D彼女 リアルガール』

2018年4月3日(火)より日本テレビ「AnichU枠」ほかにて毎週火曜25時59分より放送中

声の出演:
芹澤優(五十嵐色葉)
上西哲平(筒井光)
蒼井翔太(伊東悠人)
津田美波(石野ありさ)
寺島拓篤(高梨ミツヤ)
上田麗奈(綾戸純恵)
神田沙也加(えぞみち)

主題歌:くるり“だいじなこと”(SPEEDSTAR RECORDS)
エンディングテーマ:BiSH“HiDE the BLUE”(avex trax)

プロフィール

Akiyoshi Yasuda(あきよし やすだ)

Akiyoshi Yasuda(あきよし やすだ) 愛知県一宮市出身、自身のユニット「★STAR GUiTAR」として、H ZETT M、fox capture plan、世武裕子、といった豪華なピアニスト陣とのコラボレーションを実現するなど、テクノを基軸にハウス、エレクトロ、ドラムンベースやエレクトロニカなどのダンスミュージックを独自に昇華したサウンドを展開する。2016年、「あるがままの自分」=Akiyoshi Yasudaとしてたどり着いた新境地は、静寂な中にも確かな光を感じさせ、自己と向き合うことで奏でられるその旋律は、どこまでも優しく聞き手に降り注ぎ、昨今エンジニアとしても活躍するその手腕は、Mix&Masteringでも大いに発揮され、音楽人としても稀有な存在となっている。2017年、TBS テッペン!水ドラ!!!『レンタルの恋』(剛力彩芽主演)の劇中音楽を担当。電子音のソフトなテクノやハウスミュージックとギターやピアノのアコースティック音を掛け合わせることによる音の世界観で関係者の評価を呼び、劇伴作家として、CM,WebSound等、無限の可能性を提示し続け活動の幅を広げている。

直谷たかし(なおや たかし)

フリーアニメ演出家。監督作品は、『私たち、らくろじ部!』(2016年)、『刀剣乱舞-花丸-』(2016年)、『3D彼女 リアルガール』(2018年)。

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