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jan and naomi×長岡亮介 自分たちの音楽が消費されないために

jan and naomi×長岡亮介 自分たちの音楽が消費されないために

jan and naomi『Fracture』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:馬込将充 編集:山元翔一

かつて渋谷にあったライブバー・HESOでJanとNaomiが出会い、2012年に活動を開始したjan and naomi。これまでにシングルを1枚、EPを2枚発表しているほか、昨年は「Maison MIHARA YASUHIRO」のロンドンコレクションでライブプレゼンテーションを行ったり、映画『AMY SAID エイミー・セッド』の音楽を担当したりと、独自の活動を展開している。藤原ヒロシや浅野忠信など、業界内にファンが多いのも特徴で、4月に初のフルアルバム『Fracture』がavex内レーベル「cutting edge」から発表されたことに対しては、快哉を叫ぶ声が多く聞こえてきていた。

そんなjan and naomiのファンを公言する1人が、ペトロールズの長岡亮介。椎名林檎や星野源のサポート、最近では田島貴男(ORIGINAL LOVE)とのデュオなど、こちらも独自のスタンスでオーバーグラウンドとアンダーグラウンドを行き来きする才人だが、実はjan and naomi結成以前から2人とは知り合いだったという。お互いの音楽や活動スタンス、『Fracture』のテーマである「破壊と再生の進む東京」についてなど、多岐に渡った対話からは、サイクルの速い現代において、個人的な表現を貫くことの意味合いが浮かび上がってきた。

どう音楽活動するべきかを考えると、反逆的かつ冷静なスタンスが俺はいいなと思う。(Jan)

—両者の過去のインタビュー記事などを読むと、その活動やスタンスに対して「マイペース」という言葉がよく使われているなと思いました。「既存の枠にハマらず、自分なりのやり方でやる」という意味では、確かに「マイペース」と言えるかもしれない。でも、この言葉だけを取り出すと、「のんびり」とか「適当」みたいなニュアンスも一部含んでしまいますよね。

Naomi:マイペースっていう自覚はないんですよね。確かによく言われるんですけど、自分としてはめちゃくちゃ頑張ってるんです。もっとペースを上げろってことなんだったら、それはできない。たとえば、4月にアルバム(『Fracture』)を出しましたけど、最近やっとツアーの日程が決まったんです(取材は5月末)。CDはavexから出しているとはいえ、ほかは全部自分たちでやってるから、これが精いっぱいで。

左から:Jan、Naomi、長岡亮介
左から:Jan、Naomi、長岡亮介

jan and naomi『Fracture tour 2018』フライヤー
jan and naomi『Fracture tour 2018』フライヤー(ライブ情報を見る

Naomi:俺はこのアルバムが簡単に消費されてほしくないですし、すごく大事にしたいんです。1年に1枚アルバムを出して、ツアーをやって、作品をすぐに過去のものにしていくような活動はしたくない。

—逆に言えば、今「スタンダード」とされている活動サイクルがちょっと速いのかもしれないですよね。ツアーの話で言うと、アルバムを出す前にツアーのスケジュールが組まれて、むしろそこに合わせて制作するケースもある。それはそれで、すごいことですよね。

長岡:ホントみんなすごいよね。

Naomi:すっごくきれいに発表するから、羨ましいし、そんなふうにやってみたいけど、俺とJanはどっちかが「これは嫌だ」って言うたびに考え直すから、すごく時間がかかるんです。

Jan:そうね。なぜ俺らはこういうやり方をしているのかというと、それはやっぱり自分の音楽のためなんです。自分たちが生み出した曲は絶対濁らせたくないし、いちばん輝ける形にしたいから、そのためにどう音楽活動するべきかを考えると、反逆的かつ冷静なスタンスがいいなと俺は思う。

—「反逆的かつ冷静」っていうのはいいですね。ただカウンターをぶつけるだけじゃない。

長岡:自分の表現が事故らないように、っていうのはやっぱり大事ですよね。自損はしょうがないけど、もらい事故は嫌じゃないですか? だから、特になにか考えているわけじゃなくて、素直にやっているだけだとは思うんです。カウンターではない。結果的にカウンターになってるんだけど、「よく考えたら、こっちのほうがよくない?」とか、そんなことだと思いますね。根本にあるのは。

jan and naomi『Fracture』収録曲

Jan:俺らの場合、誰かにとってその曲が永遠になるように、埋もれさせないために、世の中に届けるプロセスもしっかり考えたいだけなんです。

Naomi:そう。俺たちは長くこの作品を愛でたいし、愛でてもらうために活動していて、それがマイペースってことになるのなら、それでいいと思う。

Jan:まあ極端に言うと、うちらがオートクチュールで、ほかがファストファッションってことですよね。

長岡:言うねぇ(笑)。

左から:Naomi、Jan、長岡亮介

—ただ、効率化することで、自分たちの音楽をより広く届けられる側面もありますよね。それを自覚している人と、思考停止で流れに乗ってるだけの人だとまた違うとは思うんですが。

長岡:流れに乗りたくて乗ってる人を否定する気は全然ないんですよ。むしろすごいことをしてると思う。ただ、それがすべてだって思われるとちょっと辛い。

Jan:ほかがみんなマイペースにやりはじめたら、うちらはもっとペースを速くするかも。マイペースが流行りはじめた瞬間に、1か月に1枚アルバム出したりして(笑)。

長岡:そういうタイプかもしれない(笑)。

長岡亮介

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リリース情報

jan and naomi『Fracture』
jan and naomi
『Fracture』(CD)

2018年4月18日(水)発売
価格:2,808円(税込)
CTCR-14941︎

1. THE END
2. Forest
3. TIC(Requiem for Tokyo)
4. CSKE
5. Temple of Blue
6. Fracture
7. City of love
8. X
9. The Devil

イベント情報

『Fracture tour 2018』
『Fracture tour 2018』

2018年6月23日(土)
会場:北海道 札幌PROVO

2018年7月14日(土)
会場:福岡県 UNION SODA

2018年7月16日(月・祝)
会場:京都府 UrBANGUILD

2018年7月21日(土)
会場:東京都 ドイツ文化会館

『TOKYO CUTTING EDGE vol.02』

2018年7月6日(金)
会場:東京都 恵比寿LQUIDROOM

出演:
長岡亮介(ペトロールズ)
jan and naomi
WONK
EYE(BOREDOMS)
AYASHIGE(WRENCH)

プロフィール

jan and naomi
jan and naomi(やん あんど なおみ)

Jan Urila Sas とNaomiによるデュオ。2014年2月、1stシングル『A Portrait of the Artis as a Young Man/time』を「Hot Buttered Record」より7inchレコードで500枚限定リリース。10月に1st EP『jan,naomi are』を発表し、2015年3月には『サウンド&レコーディング・マガジン』のPremium Studio Live Vol.9「Crescente Shades」INO hidefumi+jan and naomiを配信リリース。2016年6月、2nd EP『Leeloo and Alexandra』を携え全国ツアー敢行。7月、『フジロックフェスティバル2016』に出演。2017 年は、8月にロシア・ウラジオストック『V-ROXフェスティヴァル』、9月に『25th Sunset Live 2017』に出演。さらにアートやファッションとも親和性の高い彼らは、6月にMaison MIHARA YASUHIROの2018/SS ロンドン・コレクションでのライヴや、映画『Amy said』(村本大志監督・2017年9月30日公開)の映画音楽とエンディングテーマ"Black Milk"を担当するなど活躍の場をひろげている。2018年4月18日に待望のニュー・アルバムが「カッティングエッジ」からリリース。「狂気的に静かな音楽」という新たなミュージックスタイルを確立し、儚く切ないメロディーセンスでリスナーを虜にしている。

長岡亮介(ながおか りょうすけ)

神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。「ペトロールズ」の歌とギター担当。

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