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糸奇はな×『UNDERTALE』作者 相思相愛の音楽&ゲーム談義

糸奇はな×『UNDERTALE』作者 相思相愛の音楽&ゲーム談義

糸奇はな『PRAY』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:中村ナリコ 編集:山元翔一

やってしまわずにはいられない。そうじゃないと落ち着かないんです。(トビー)

—トビーさんは、最初に糸奇さんの作る音楽を聴いたとき、どういった部分を魅力的に感じたのですか?

トビー:僕が「いいな」と思ったのは、やることなすことすべてが「彼女らしい」……つまり、「糸奇はなっぽい(日本語で)」ところですね。糸奇はなの音楽には、エレガントで、アンニュイで、夢見心地なところがある。でも同時に、シリアスな部分も多くて、他のシンガーからはなかなか感じることのできないムードがあるんです。

糸奇はな『PRAY』収録曲

糸奇はな『PRAY』収録曲

トビー:それから、はなさんは当然素晴らしいミュージシャンで、音楽活動が彼女のメインなわけだけど、あらゆる面でクリエイティブなんですよね。たとえば、独自のキャラクターを使ってストーリーを作ることもできる。そのキャラクターたちも、クールというよりあたたかい感じのキャラクターで。

糸奇:すごく嬉しいなぁ。「自分らしさ」って、自分では意識しないから。私は、「自分はこういうものだ」とか、「こういうふうに思われたい」とか、そういうことを抜きにして、ただ湧いてきたものを形にしてきたんですよね。

トビー:わかる。デヴィッド・リンチが前に言っていたんですけど、彼がものを作るのは、アイデアが頭のなかに引っかかって、とにかくアウトプットしてしまいたいからなんだって。僕の場合もそんな感じだと思います。やってしまわずにはいられない。そうじゃないと落ち着かないんですよ。

糸奇:そう、私もその「作らずにはいられない」っていう気持ちがすごくわかる。だからこそ、そうやって生まれたものに対して、「糸奇はなっぽい」という言葉をいただけるのはすごく嬉しい。前にトビーさんが、私が日本語で書いた漫画を読んでくれたんですけど、そのときも、「『死ぬ前にアイス食べよう』っていうセリフが、糸奇はなっぽいと思ったよ」と言ってくれたことがあって。

トビー:あったね。

糸奇:あのときも、すごく嬉しかったです。

 

『死ぬ前にアイス食べる漫画』より
『死ぬ前にアイス食べる漫画』より

『UNDERTALE』には、「このまま、自分のままでいいんだ」っていうふうに背中を押してもらえる感覚があった。(糸奇)

—糸奇さんは長文メールを送るくらい『UNDERTALE』に感動されたということですが、ご自身の創作活動において、『UNDERTALE』から影響を受けているところがあるとすれば、それはどんな部分だと思いますか?

糸奇:どこかの部分に影響を受けたというよりは、もっと根本的に、「このまま、自分のままでいいんだ」っていうふうに背中を押してもらえる感覚があったんだと思います。

『UNDERTALE』って、キャラクターがみんな本当にまっすぐなんです。それぞれ欠点があったり、個性が強すぎたりして、「なんだ、こいつ?」って思わせるキャラクターもいて(笑)。でも、それでもみんなが活き活きしていて、誰ひとり欠けてはいけないっていう感じがする。それぞれの登場人物に、どこか役割のようなものを感じるというか。

—今の話は、前回のインタビューで糸奇さんがおっしゃっていた「欠陥」と「物語」の関係に近いかもしれないですね(2017年10月、インタビュー記事)。トビーさんのなかでは、『UNDERTALE』制作のキャラクター造形においてどんなこだわりがありましたか?

トビー:それぞれのキャラクターに違う存在意義があるし、独自のストーリーがあるんです。だから僕がキャラクターを生み出すときには、いつも純粋に「自分がこのキャラクターだったらどうするだろう? 何を感じるだろう?」と考えますね。単純に「俺はヒーローだから、悪いヤツらと戦うぞ!」じゃなくて。

トビー・フォックス

トビー:もちろん、自分自身との関連性を感じられないキャラクターもいるけど、そういうキャラクターと対峙するときは、普段は考えないことを、そのキャラクターに入り込んで考えてみようとします。フェイクのキャラクターじゃなくて、自分自身がそのキャラクターになったつもりで考えるんですよね。そうすると、自分は何をするだろう? 家には何があるだろう? 誰と仲よくなるだろう? 何を話すだろう? 過去には何をやってきただろう?……というふうに、考えるべきことは山ほどあるんです。

—なるほど。

トビー:あともうひとつ、僕の生み出したキャラクターを多くの人が好きになってくれているのなら、その要因になっているのは、きっとキャラクターの「面白さ」じゃないでしょうか。Pixarのキャラクターなんかもそうだと思うけど、悲しくてシリアスだったとしても、どこか面白いでしょ? もし、シリアスだけで面白い要素が何もなかったら現実味がないと思いますし、もちろん、面白いだけでも現実味がない。いろんな要素を組み合わせることで、リアルに感じてもらえるんじゃないかと。

糸奇:私は、最初に『UNDERTALE』をプレイした頃は、トビーさんと友だちになれるなんて思っていなかったけど、『UNDERTALE』のなかでキャラクターのみんなと友だちになったあと、初めてトビーさんと会って話したときに、「あ、今のトビーさん、あのキャラっぽいな」って感じることがあって。トビーさんが、キャラクターのなかにちゃんと息づいているなぁという感じがすごくしたんですよね。『UNDERTALE』は、「ゲーム」という呼び名だけど、「ゲーム」ではないような感じがする。他の呼び方があればなって思います。ひとつの総合芸術の世界というか。

トビー:ありがとう。

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リリース情報

糸奇はな『PRAY』初回生産分限定盤
糸奇はな
『PRAY』初回生産分限定盤(CD)

2018年8月7日(火)発売
価格:4,180円(税込)
PLCD-1187
※特製スリーブケース、特製立体ペーパーシアター付

1. きみでないのなら
2. ROLE PLAY
3. 74
4. Pillowman
5. A love suicide
6. 環 -cycle-
7. 不眠症ロンリーガール
8. 忘却舞踏
9. 四角い世界
10. Wither
11. 体内時計
12. あこかがれ

糸奇はな
『PRAY』通常盤(CD)

2018年8月7日(火)発売
価格:2,808円(税込)
PLCD-0003

イベント情報

『PLAY In The FRAME』

2018年9月10日(月)
会場:東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
開場 18:45 / 開演 19:30
料金:前売り4,000円 / 当日4,500円

作品情報

『Undertale』

2017年8月16日より配信
価格:1,620円(税込)(PS4,PS Vita)、980円(税込)(PC,Mac,Linux)
開発:トビー・フォックス
発売・移植:ハチノヨン

プロフィール

糸奇はな
糸奇はな(いとき はな)

英仏の歌曲を吸収したボーカルパフォーマンスと、儚い内面性を表現する歌詞世界、クラシカルな要素が強くありながらも打ち込みを駆使した現代的かつエッジーなサウンドメイクで独自の幻想的な音楽を提示するアーティスト。小学生の頃に観た『オペラ座の怪人』に衝撃を受け、憧れ、声楽を学び始めた後、オリジナル曲の制作を開始。2016年8月10日には初のフィジカル作品となる『体内時計』手づくり版を110枚限定リリースし即完売。この作品は1枚1枚手刷りした版画でCDを包みナンバリングをするという凝りに凝った作品。これが音楽関係者の間で話題となり、11月にはタワーレコード限定の全国流通版として『体内時計』レプリカ版がリリースされ話題となった。歌唱、作詞、作曲、アレンジ、打ち込み、楽器演奏、といった音楽にまつわる全てのことをひとりでこなし、それだけでなくイラスト、動画、漫画、版画、刺繍、ゲーム作りからモールス信号まで、様々なやり方で独自の世界を表現するマルチアーティスト。

プロフィール

トビー・フォックス

アメリカ合衆国の作曲家、ビデオゲーム開発者。Webコミック『Homestuck』への音楽提供、2015年発表のコンピュータゲーム『UNDERTALE』の開発で知られる。

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