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語り継がれる名作『MOTHER』からの25年 鈴木慶一×田中宏和

語り継がれる名作『MOTHER』からの25年 鈴木慶一×田中宏和

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望
2014/09/09
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糸井重里がプロデュースし、テレビゲーム史に残る傑作として知られる『MOTHER』。読者の中にも、リアルタイムで体験していた人は多いのではないだろうか。1989年から2006年の間にシリーズ3作が発売され、いまだ根強いファンのいる同作において、ゲーム内容とともに絶賛されたのが、物語のカギを握ることにもなった音楽だ。

小学校の教科書にも採用された“EIGHT MELODIES”をはじめ、『MOTHER』『MOTHER2 ギーグの逆襲』の音楽を手がけたのが、ムーンライダーズの中心人物であり、映画やCM音楽でも知られる鈴木慶一と、1980年代から数々の名作ゲームの音楽を手がけ、「たなかひろかず」名義でテレビアニメ『ポケットモンスター』の作曲家としても知られる田中宏和の二人。発売から25年が経った今、あらためて二人に話を伺うと、当時の制作におけるこだわりや、世界中の若者に絶大な影響を与えた後日談まで、たっぷりと語ってくれた。

20代から60代までが各1人ずつ在籍する新バンド「Controversial Spark」を昨年結成したばかりの鈴木、キャラクターに人間のダンスが憑依する斬新な音楽プレイヤーiPhoneアプリ『aDanza』を発表した田中、歳を重ねるごとに盛んさを増す二人に『MOTHER』が与えた影響とは?

『MOTHER』の音楽は、ファミコン音源の特性を知ったうえで作ろうと思ったんです。バスドラムはどれだけ低く鳴らせるのかとか、とにかく思いっきり無理しましたね。(鈴木)

―お二人といえば、『MOTHER』『MOTHER2』の音楽を共作されたことで知られていますけど、そのときが初対面だったんですか?

鈴木:そうですね。当時任天堂の社員だった田中さんが機材をたくさん持って私の家に来て。ダイニングに並べて。

鈴木慶一
鈴木慶一

田中:そんな大きなモノを担いで行ったわけじゃないですけどね(笑)。

―そのときは「鈴木さんの作った曲をファミコンの音に変えてくれる任天堂の人が来るから」みたいな感じだったんですか?

鈴木:そうですね。いきなり作業に入ったわけではなくて、最初は雑談とかしていたと思うんですけどね。好きな音楽とか、田中さんがやっていたバンドの話とか。

田中:そうそう。当時はレゲエバンドをやっていたので。あと、昔六本木にあったWAVEで買ってきたCDを一緒に聴いたり。

―鈴木さんがゲーム音楽を手がけたのは、『MOTHER』が初めてだったんですか?

鈴木:初めてでしたね。でも、ゲーム自体は昔からけっこう遊んでて、今でもスマホのゲームとかで遊んでますけど(笑)。ゲーム音楽を作るといっても、いろんな方法があったと思うんですよ。たとえばデモテープを渡して、あとはお任せするとか。でも、そのやり方をしていた人はたくさんいたし、僕はもっとファミコン音源の特性を知ったうえで作ろうと思ったんです。バスドラムはどれだけ低く鳴らせるのかとか、音楽を作る以前にどこまでできるかを教えてもらって。とにかく思いっきり無理したよね。

田中:結局、ファミコンは同時に3音しか鳴らせないから、どんな素晴らしい曲を作ってもらっても、その素晴らしさをそのままファミコンに移行できるわけではなく、より良い音楽を届けようとすると、小さい工夫の積み重ねが必要になってくるんです。僕は任天堂でずっとサウンドエンジニアをやっていたし、デモテープをもらうよりは、一緒に作業しながら理解してもらったほうが、いいものができるのでは? っていう気持ちがありました。

田中宏和
田中宏和

鈴木:ファミコンの音の特性を活かすと、同時にたくさん鳴らないので、どうしてもアルペジオ(和音を1音ずつ順番に出す演奏方法)が増えると思うんだけど、「そこをなんとかしようよ」みたいな(笑)。

田中:たとえば、少しずつ音をズラしてエコーのような効果を出してみたり、より複雑なコード感を出すためにメロディーの隙間を見つけて音を差し込んでみたりとか……。

―実際、どんな感じで作業されていたんですか?

鈴木:プログラミングしている内容はまったくこっちから見えないし、当時は言語もわからなかったから、田中さんに譜面を渡したり、口で言ったりして、打ち込んでもらってましたね。曲をギターやキーボードで作って、その場でパパパッと「こんな感じの音に変換されますよ」っていうのを確認して。

左から:田中宏和、鈴木慶一

―田中さんはかつて『ほぼ日刊イトイ新聞』で、鈴木さんの作った曲をファミコンの音に置き換えるのが惜しいといった主旨の発言をされてましたよね。

田中:最初にいくつか(鈴木)慶一さんのデモを聴いたんですけど、やっぱり本物というか、「すごい!」っていうのはありましたね。それがピーとかブブブとかっていう電子音になるわけだから、それはもったいないなと思ったわけです。でも、どんなに曲として簡素化されたとしても、もともとの曲の持っている構造やメロディーがとても魅力的だったので、こんなに愛されるものになったんじゃないかなと思うんです。

鈴木:それは田中さんの解析が的確だったからでしょうね。田中さんも自分で曲を作る人だし、ずっと一緒にいたしね。

田中:もともと僕は慶一さんのファンでした。けれどミーハーなタイプではなかったので、本人を前にして舞い上がったりもせず(笑)、冷静に取り組めたと思いますし、慶一さんを全面的に信頼していましたね。

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イベント情報

『SOTIRED Supported by aDanza』

2014年9月18日(木)18:30~22:00
会場:東京都 表参道 OMOTESANDO Gallery
出演:
Carpainter
Chip Tanaka
DE DE MOUSE
Licaxxx
Seiho
料金:当日2,000円 当日フライヤー持参1,000円
※ 問い合せ、詳細は企画・運営担当のエレダイへ

『DIGGIN' IN THE CARTS』公開記念イベント
『Red Bull Music Academy presents 1UP: Cart Diggers Live』

2014年11月13日(木)19:00~
会場:東京都 渋谷 Womb
出演:
Rustie vs Yuzo Koshiro
Oneohtrix Point Never: Bullet Hell Abstraction IV
Fatima Al Qadiri: Forgotten World
CHIP TANAKA
DUB-Russell & (*L_*) & 初音ミク
HALLY
QUARTA 330
大久保博
井上拓
佐野電磁
杉山圭一
ローリング内沢 CURATING THE ROOM
日野太郎(VJ)
+Classic Arcade machines
料金:1,000円 ※20歳未満入場不可 / 要 写真付身分証

詳細情報

RED BULL MUSIC ACADEMY presents『DIGGIN' IN THE CARTS』

日本のテレビゲーム音楽に隠された歴史を探るドキュメンタリーシリーズ
RBMA日本サイトにて、9月4日(木)から毎週木曜日、1エピソードずつ順次公開予定
出演:田中宏和、古代祐三、植松伸夫、Flying Lotus、ほか

リリース情報

『aDanza』

2014年7月18日(金)リリース
料金:無料
動作環境:iOS6.1以上、iPhone4s~、iPod Touch(第5世代~)、iPad(第3世代~)(Android OS未対応)

Controversial Spark<br>
『Section 1』(CD)
Controversial Spark
『Section 1』(CD)

2014年10月22日(水)発売
価格:3,000円(税込)
Kinksize / XQCG-1904

1. Hello Mutants
2. Ex-Car
3. Section1
4. くりかえす
5. Jigoku No Hamabe
6. Over Heaven
7. Moonlight N.M.D
8. Sweet Home
9. a Hook
10. Greys
11. Controversial Short Stories
12. Spark Stories
13. First Session(Bonus Track)

プロフィール

鈴木慶一(すずき けいいち)

1951年東京生まれ。1972年にはちみつぱいを結成、アルバム『センチメンタル通り』(1972年)を発表し解散。1975年、はちみつぱいを母体に、弟、鈴木博文らが加わりムーンライダーズを結成。1976年アルバム『火の玉ボーイ』でデビューし、2011年には35周年を迎えた。ムーンライダーズの活動と並行して、1970年代半ばよりアイドルから演歌まで多数の楽曲を提供すると共に、膨大なCM音楽を作曲。任天堂より発売されたゲーム『MOTHER』『MOTHER2』の音楽は、今でも世界中に多数の熱狂的なファンを持ち、国内外の音楽界とリスナーに多大な影響を与えている。映画音楽では、北野武監督『座頭市』の音楽で『第27回日本アカデミー賞最優秀音楽賞』『第36回/シッチェス/国際カタルニヤ映画祭オリジナル楽曲賞』を受賞。2008年、ソロアルバム『ヘイト船長とラヴ航海士』をリリース。『第50回日本レコード大賞優秀アルバム賞』を受賞した。

田中宏和(たなか ひろかず)

株式会社クリーチャーズ代表取締役社長。作曲家。1980年、任天堂に入社。ゲーム&ウオッチやファミコン、ゲームボーイなどの企画及びゲームプログラム、サウンドデザインや、音源開発などに携る。ゲーム音楽の代表作としては、『メトロイド』『スーパーマリオランド』『テトリス』『ドクターマリオ』『MOTHER』(鈴木慶一との共作)『MOTHER2 ギーグの逆襲』(同)『ポケットカメラ』などがある。作曲を手がけた、テレビアニメ『ポケットモンスター』主題歌“めざせポケモンマスター”は180万枚というセールスを記録。クリーチャーズでは、蛍光灯や白熱電球、リモコン受信部など、日常の光を使って遊ぶコンピュータゲーム『ちっちゃいエイリアン』の他、『ポケパーク』シリーズ、『ポケモンレンジャー』シリーズを企画・開発。他に『ポケモンカードゲーム』シリーズのエグゼクティブプロデューサーも務める。

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