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語り継がれる名作『MOTHER』からの25年 鈴木慶一×田中宏和

語り継がれる名作『MOTHER』からの25年 鈴木慶一×田中宏和

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望

『MOTHER』を作った頃は、ゲームの歴史の中でも一番面白い時期だった気がするんです。いろんな意味で雑な時代だったけど、子どもが「ごっこ遊び」するようにもの作りをする楽しさがあったんですよね。(田中)

―田中さんのその後にとって『MOTHER』の影響は?

田中:僕は基本的に任天堂のときの仕事のさまざまな影響が、ずっと繰り返し来ている気がするんですよ。今こうやって慶一さんと会えていることもそうだし、テレビアニメの『ポケモン』の音楽を作曲することになったきっかけもそうだし、クラブでチップチューンを楽しんでいる若い人たちや、日本人だけじゃなく海外の人たちと一緒にできることもゲーム音源の開発や、ゲーム音楽をやっていたからだし。そういうところからエネルギーをもらっている気がしますね。だから、50歳を過ぎてから、あらためて1980年代初頭のゲームのパワーがすごかったんだなと実感するようになりましたね。

田中宏和

鈴木:後で気付くよね。発売から25年も経っているのに「『MOTHER』やってました」って言う人と会うと、面白いものだったんだなってあらためて感じますよ。そういえば何か月か前に「映画を作っているんですが、音楽やってくれませんか? 『MOTHER』の大ファンなんです」って海外からメールが来たんです。迷ったんだけど、とりあえず映像を見せてもらったら面白かったの。すっごいインディーズな感じなんだけど、結局やっちゃったんだよね。もう突貫工事だったけど。

田中:それは観てみたいですね! 公開はされているんですか?

鈴木:7月の頭にアメリカでプレミア上映があって、今は一般公開を目指しているみたい。『For the Plasma』っていう映画なんですけど、まだ世に出るのか出ないのかもわからない。でも、面白そうだったのと、『MOTHER』が好きっていうのを聞いて、やれるかもしれないと思ったんですよね。

―素敵な縁ですよね。

鈴木:そうね。ときどきYouTubeとかで、誰かが『MOTHER』の曲をカバーしているのを見かけるけど、“SMILES and TEARS”を英語で歌っている人もいたね。あの曲をやくしまるえつこさんに歌ってもらって、世に出せたことも幸せだったな(鈴木慶一のサントラ作品集『Keiichi Suzuki: Music for Films and Games』に収録)。

―田中さんも『メトロイド』(1986年発売、田中が音楽を担当)の曲をギターで弾いている人がいたと言ってましたよね。

田中:なぜか『メトロイド』は、ヘビメタ好きなファンが多いみたいなんですよね。あとはFlying Lotus(アメリカのミュージシャン、音楽プロデューサー)も好きらしいと噂で聞いて驚いたりもしたし。さっきの慶一さんの映画の話もそうだけど、向こうの人は素直に「影響を受けました」と話してくれますよね。

鈴木:こうして25年経ってみると、本当に偶然面白いものが生まれたんだなって思いますね。偶然に負けるんですよ。信念は偶然に負ける。

鈴木慶一

―でも、お二人が出会ったのは偶然かもしれないですけど、それまでの積み重ねがあったわけですよね。

田中:タイミングですよ、絶対。これはいつも言うんですけど、昔は任天堂に入社したことなんて、恥ずかしくて友達に言えなかったから。

鈴木:ほんとに?

田中:当時ゲームセンターは不良のたまり場だったり、世間的にテレビゲームってほんと、いい印象はなかったです。ゲームがこんなにメジャーな文化になるなんて当時は思いもよらなかった。そんなもんですよ(笑)。

鈴木:『MOTHER』は入社して何年目くらいだったの?

田中:7~8年目かな。それも今思えば、ゲームの歴史の中でも、一番面白い時期だった気がするんですよね。青春よりもっと前、子どもが「ごっこ遊び」する頃ってあるじゃないですか。あれに近いかな。技術的にも精神的にも。当時はまだいろんな意味で質が低くて雑だったんですけど、そのタイミングでもの作りに関わることが楽しかったんですよね。

鈴木:新鮮だったね。私はやったことのないジャンルだったし、本当に面白がって、一生懸命やってましたね。

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イベント情報

『SOTIRED Supported by aDanza』

2014年9月18日(木)18:30~22:00
会場:東京都 表参道 OMOTESANDO Gallery
出演:
Carpainter
Chip Tanaka
DE DE MOUSE
Licaxxx
Seiho
料金:当日2,000円 当日フライヤー持参1,000円
※ 問い合せ、詳細は企画・運営担当のエレダイへ

『DIGGIN' IN THE CARTS』公開記念イベント
『Red Bull Music Academy presents 1UP: Cart Diggers Live』

2014年11月13日(木)19:00~
会場:東京都 渋谷 Womb
出演:
Rustie vs Yuzo Koshiro
Oneohtrix Point Never: Bullet Hell Abstraction IV
Fatima Al Qadiri: Forgotten World
CHIP TANAKA
DUB-Russell & (*L_*) & 初音ミク
HALLY
QUARTA 330
大久保博
井上拓
佐野電磁
杉山圭一
ローリング内沢 CURATING THE ROOM
日野太郎(VJ)
+Classic Arcade machines
料金:1,000円 ※20歳未満入場不可 / 要 写真付身分証

詳細情報

RED BULL MUSIC ACADEMY presents『DIGGIN' IN THE CARTS』

日本のテレビゲーム音楽に隠された歴史を探るドキュメンタリーシリーズ
RBMA日本サイトにて、9月4日(木)から毎週木曜日、1エピソードずつ順次公開予定
出演:田中宏和、古代祐三、植松伸夫、Flying Lotus、ほか

リリース情報

『aDanza』

2014年7月18日(金)リリース
料金:無料
動作環境:iOS6.1以上、iPhone4s~、iPod Touch(第5世代~)、iPad(第3世代~)(Android OS未対応)

Controversial Spark<br>
『Section 1』(CD)
Controversial Spark
『Section 1』(CD)

2014年10月22日(水)発売
価格:3,000円(税込)
Kinksize / XQCG-1904

1. Hello Mutants
2. Ex-Car
3. Section1
4. くりかえす
5. Jigoku No Hamabe
6. Over Heaven
7. Moonlight N.M.D
8. Sweet Home
9. a Hook
10. Greys
11. Controversial Short Stories
12. Spark Stories
13. First Session(Bonus Track)

プロフィール

鈴木慶一(すずき けいいち)

1951年東京生まれ。1972年にはちみつぱいを結成、アルバム『センチメンタル通り』(1972年)を発表し解散。1975年、はちみつぱいを母体に、弟、鈴木博文らが加わりムーンライダーズを結成。1976年アルバム『火の玉ボーイ』でデビューし、2011年には35周年を迎えた。ムーンライダーズの活動と並行して、1970年代半ばよりアイドルから演歌まで多数の楽曲を提供すると共に、膨大なCM音楽を作曲。任天堂より発売されたゲーム『MOTHER』『MOTHER2』の音楽は、今でも世界中に多数の熱狂的なファンを持ち、国内外の音楽界とリスナーに多大な影響を与えている。映画音楽では、北野武監督『座頭市』の音楽で『第27回日本アカデミー賞最優秀音楽賞』『第36回/シッチェス/国際カタルニヤ映画祭オリジナル楽曲賞』を受賞。2008年、ソロアルバム『ヘイト船長とラヴ航海士』をリリース。『第50回日本レコード大賞優秀アルバム賞』を受賞した。

田中宏和(たなか ひろかず)

株式会社クリーチャーズ代表取締役社長。作曲家。1980年、任天堂に入社。ゲーム&ウオッチやファミコン、ゲームボーイなどの企画及びゲームプログラム、サウンドデザインや、音源開発などに携る。ゲーム音楽の代表作としては、『メトロイド』『スーパーマリオランド』『テトリス』『ドクターマリオ』『MOTHER』(鈴木慶一との共作)『MOTHER2 ギーグの逆襲』(同)『ポケットカメラ』などがある。作曲を手がけた、テレビアニメ『ポケットモンスター』主題歌“めざせポケモンマスター”は180万枚というセールスを記録。クリーチャーズでは、蛍光灯や白熱電球、リモコン受信部など、日常の光を使って遊ぶコンピュータゲーム『ちっちゃいエイリアン』の他、『ポケパーク』シリーズ、『ポケモンレンジャー』シリーズを企画・開発。他に『ポケモンカードゲーム』シリーズのエグゼクティブプロデューサーも務める。

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