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odolと雨のパレードが議論、日本の音楽シーンへのパンチの打ち方

odolと雨のパレードが議論、日本の音楽シーンへのパンチの打ち方

odol『往来するもの』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:鈴木渉 編集:矢島由佳子

「本能で理性を超えられない」みたいなところがodolらしさであり、僕らしさであるのかなって思ったんですよね。(森山)

—odolの新作のなかでも、“four eyes”のようなクラブミュージックのテイストは新鮮だと思ったのですが、これはどのようなインプットがあって生まれた曲なのでしょうか?

森山:半年前くらいに、スタッフの人に渋谷の「contact」というクラブに連れて行ってもらったら、「クラブミュージックって、めっちゃフィジカルやん」と思って(笑)。

僕、それまでクラブに行ったことなくて、オーディオでしか聴いてなかったんです。でも、実際に体感して、odolでもこの冷たいフィジカルさを取り入れられるなと。

森山公稀(odol)

福永:僕も昔はあんまりクラブに行かなかったんですけど、最近は行ってますね。そっち界隈の友達が増えたから、友達に会いに行くっていうのが一番大きいけど、インストをより好きになった。Four Tetとかめっちゃ好きだし。

森山:この曲作ってるとき、ちょうど僕もFour Tet聴いてました。楽器の使い方、たった数音入るだけのギターとかピアノとか、そういうのが痺れるなって思って、参考にしたり。

福永:インストが好きにはなったけど、普通のクラブミュージックというよりは、たとえばニルス・フラームだったり、ちょっとアンビエント寄りなものが好きで。

森山:ニルス・フラームもめっちゃ好きです(笑)。

左から:森山公稀(odol)、ミゾベリョウ(odol)、福永浩平(雨のパレード)

—趣味が合う(笑)。実際“four eyes”もただの踊れるダンスミュージックではないですもんね。

森山:僕、クラブに行って、結局踊れなかったんです(笑)。その日は人もそんなに多くなくて、みんな自分一人でその場で踊りまくってたんですけど、僕は冷静になっちゃって。

そんな自分を客観的に見て、なんでも頭で考えちゃうというか、「本能で理性を超えられない」みたいなところがodolらしさであり、僕らしさであるのかなって思ったんですよね。その話をミゾベにしたら、共感してくれて。そこから始まって作った曲なので、踊ることを目的にしたというよりも、その経験を音楽にするために、サウンド自体を表現の手段として使ってみた感じです。

—今年開催した自主企画のタイトル『O/g(Overthinking / great Ideas)』というのは、まさにそうやって考えてしまう自分たちのことを表していたわけですね。

森山:それがフラストレーションでもあり、自分たちのアイデンティティでもあるのかなって。なので、考え過ぎちゃう自分をさらに俯瞰で見て、音楽にしたという感じですね。

左から:ミゾベリョウ(odol)、森山公稀(odol)

いいって言ってくれる人たちになんて歌えばいいのかを考えるようになったんですよね。(ミゾベ)

—歌詞についてはいかがでしょう。ミゾベくんの歌詞に対する意識はどう変化してきましたか?

ミゾベ:「些細なことを歌詞にして、わざわざ人に伝える意味があるのか?」と考える一方で、とても大きなテーマ、たとえば「戦争反対」とか「被災した人を救いたい」とかは、「実際にその中心で体験をしていない自分がそんなことを歌うのはおこがましい」とも思ったりして、1年くらい歌詞が書けない時期があったんです。

でも、『視線』にも入っていた“GREEN”で、大きなテーマでピュアに自分の思ったことを歌にすることができて。今回はそこからちょっと外れて、違うアプローチもしました。

—違うアプローチというと?

ミゾベ:“大人になって”とかは、大人になっていくことで失ってしまったことなんかを歌にしていて。他人から見たらどうでもいいようなことかもしれないけど、共感できる人もいるかもと思って、そういうことも歌にしてみようと思えたんです。

あと、『視線』を作ったときは、少しでも自分の意に反する言葉は絶対使わないようにしていたんですけど、今は「こう言ったほうが伝わりやすいかな」って考えて言葉を選べるようになったり。1曲ごとの、歌詞や曲の作り始めのときの感情を森山と話して共有する時間が作品を作るごとに増えてきていて、今回は別人格の自分と話しているくらいの素直さで、「これってこういう気持ちなんだけど、どう思う?」って聞けるようになったんです。そうしたら、なかなかハマらなかった歌詞が、「じゃあ、メロディー変えるわ」って、それですんなりハマったりして、そういう瞬間が今回作っていて一番楽しくて。2人いてよかったなって(笑)。

ミゾベリョウ(odol)

—福永くんは歌詞のアプローチがどう変化してきたと言えますか?

福永:昔は詩的な部分を意識してたというか。僕は音楽そのものが好きなので、インディの頃とかは、メロの邪魔をしないきれいな歌詞で、言葉にできないような感覚を表現できたらなって思ってたんです。

でも『new place』(2015年7月発売)を出すときから、「聴く人に向けて書く」という意識を持つようになって。今はまた最初の頃の詩的な部分を取り戻しつつ、“Shoes”をきっかけに、肩の力を抜いて書けるようになってきたかな。

福永浩平(雨のパレード)

ミゾベ:僕らが曲作りを始めたのって、高校生の頃に森山が僕の家でピアノを弾いていて、「めっちゃいい曲じゃん」ってなったのがきっかけだったんですね。

福永:いいなあ、『シング・ストリート』(2016年に公開された音楽映画。監督はジョン・カーニー)やん(笑)。

ミゾベ:(笑)。その瞬間から僕は森山のファンになって。「森山の曲を歌いたい」という想いで始まったものだから、最初は森山のメロディーをなるべく壊さないように、きれいに歌詞を書こうと思っていたんです。

でも、そうやって書いた曲を、お客さんがいいって言ってくれて、そこから「その人たちになんて歌えばいいのか」を考えるようになったんですよね。だから浩平さんの話にはすごくシンパシーを感じます。

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リリース情報

odol『往来するもの』
odol
『往来するもの』(CD)

2018年10月24日(水)
価格:2,700円(税込)
UKCD-1172︎

1.光の中へ
2.大人になって
3.four eyes
4.GREEN
5.人の海で
6.発熱
7.時間と距離と僕らの旅
8.憧れ
9.声

雨のパレード『Reason of Black Color』
雨のパレード
『Reason of Black Color』(CD)

2018年3月14日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VICL-64916︎

1.Reason of Black Color
2.Dive
3.Horizon
4.GOLD
5.Shoes
6.ice
7.(soda)
8.Hometown feat. TABU ZOMBIE (from SOIL&”PIMP”SESSIONS)
9.You & I
10.What's your name? (plus strings ver.)
11.H.Apartment
12.Hwyl
13.#556b2f
14.MARCH

イベント情報

odol
『odol TOUR 2018 "往来"』

2018年12月1日(土)
会場:福岡県 INSA
ゲスト:Attractions

2018年12月2日(日)
会場:大阪府 CONPASS
ゲスト:LILI LIMIT

2018年12月16日(日)
会場:東京都 渋谷WWW
※ワンマンライブ

『NEWTOWN 2018「NEWTOWNフォークジャンボリー@音楽室」』

2018年11月10日(土)、11月11日(日)
会場:東京都 多摩センター デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧 八王子市立三本松小学校)
時間:OPEN 10:30 / START 10:50 / CLOSE 18:00
出演(五十音順):
入江陽
国府達矢
塩塚モエカ
清水煩悩
SEVENTEEN AGAiN(アコースティック・セット)
田中ヤコブ
TWEEDEES
ナツノムジナ(アコースティック・セット)
一人キイチビール
真舘晴子(The Wisely Brothers)
眉村ちあき
ミゾベリョウ&井上拓哉(odol)
and more

プロフィール

odol
odol(おどる)

福岡出身のミゾベリョウ(Vo.,Gt.、森山公稀(Pf.,Syn.)を中心に、2014年東京にて結成。現代のアートロックと言える先進性とオリジナリティ、日本語詞の歌と美しいメロディから生まれるポピュラリティを兼ね備えた6人組のロックバンド。2014年7月『FUJI ROCK FESTIVAL’14 ROOKIE A GO-GO』に出演。2015年5月、1st Album『odol』をリリース。2016年5月、2nd Album『YEARS』をリリース。タイトル曲“years”が日本郵便「ゆうびん.jp/郵便年賀.jp」のWeb CMに起用される。2017年1月、新木場STUDIO COASTにて開催された、TWO DOOR CINEMA CLUB来日公演のオープニングアクトを務める。9月、1st EP『視線』をリリース。2018年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL’18 RED MARQUEE』に出演。10月、New Album『往来するもの』をリリース。

雨のパレード
雨のパレード(あめのぱれーど)

福永浩平(Vo)、山崎康介(Gt,Syn)、是永亮祐(Ba)、大澤実音穂(Dr)。2013年に結成。ポストダブステップ、80'sPOP、インディR&B、エレクトロハウス、アンビエント、TRAPなど様々なジャンルを超えたその音楽性はもちろん、アナログシンセやサンプラー、ドラムマシーンなどを取り入れた、バンドという形態に拘らないサウンドメイクで大きな注目を集めている。2016年3月2日1stフルアルバム『New generation』でメジャーデビュー。2018年3月14日には待望の3rdアルバム『Reason of Black Color』をリリースし、ワンマンツアー『COLORS』を開催。ファイナルの日比谷野外大音楽堂を大盛況のうちに終了。

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