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NELL×いしわたり淳治 なぜ韓国にはロックバンドが少ないのか?

NELL×いしわたり淳治 なぜ韓国にはロックバンドが少ないのか?

NELL『元気でいて』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

韓国のロックバンドNELLが初の日本語楽曲“元気でいて”を12月5日に配信リリース。ボーカル&ギターのキム・ジョンワンと、SHINeeをはじめとした韓国のアーティストへの作詞経験豊富ないしわたり淳治が共同で歌詞を担当した。

NELLは韓国では非常に珍しい、メジャーで成功しているロックバンドであり、国内アーティストからの支持が高く、楽曲プロデュースも多岐に渡って行う4人組。昨年には韓国でライブを行ったCOLDPLAYのクリス・マーティンがフェイバリットとして彼らの“Grey Zone”を紹介したことも大きな話題を呼んだ。

日本では2013年を皮切りにコンスタントにライブを行い、今年も7月に渋谷WWW、11月にBillboard LIVE TOKYOにてアコースティックライブを開催するなか、今回のいしわたりとのコラボレーションが実現。日本語と韓国語の情緒や発音の違いについて語り合うとともに、HYUKOHのような新しい世代が台頭してきた韓国のバンドシーンについても訊いた。

OasisやRadioheadからは、バンドというもの自体を教えてもらった。(ジョンワン)

—まずは今回のコラボレーションが実現した経緯を話してもらえますか?

ジョンワン(Vo,Gt):新しい曲を出すにあたって、日本語バージョンを作りたくて、日本語でいい歌詞を作ってくれる方とご一緒したいなと思いました。いしわたりさんは日本でいろんなアーティストの方に歌詞を提供しているだけではなく、すでに韓国のアーティストともたくさん仕事をされているということで、韓国人の持つ情緒に対する理解もお持ちなんじゃないかと思って、こちらからコンタクトを取らせていただきました。

いしわたり:今回一番びっくりしたのは、歌詞を書くにあたって、わざわざ打ち合わせのために日本に来てくれたことで。そんなことは初めてでした。歌詞に対するこだわりがすごくあるということはその時点でわかったので、そういう方が声をかけてくれたのはとても嬉しかったです。

ジョンワン:サウンドと歌詞には半分半分の重要性があると思っていて。歌詞は歌詞として100%、サウンドはサウンドとして100%を目指すけど、それがひとつの楽曲となった場合、どちらがより多い・少ないというのはなくて、本当に2つとも重要な要素だと考えています。

左から:イ・ジョンフン、チョン・ジェウォン、キム・ジョンワン、いしわたり淳治、イ・ジェギョン
左から:イ・ジョンフン、チョン・ジェウォン、キム・ジョンワン、いしわたり淳治、イ・ジェギョン

—淳治さんはNELLのことをご存知でしたか?

いしわたり:お話をいただいて初めて聴きました。韓国はやっぱりK-POPのイメージが強いので、ロックバンドはこういう感じなんだって、新鮮に聴きましたね。

—NELLの音楽は繊細で情緒的、かつスケール感もあって、UKのロックバンドと比較されることが多く、COLDPLAYのクリス・マーティンがSNSでNELLの楽曲を紹介したこともありましたよね。実際にどうやって音楽性を構築してきたのでしょうか?

ジョンワン:僕らは4人とも子どもの頃からいろんな音楽を聴いてきて、共通している部分もあれば、違う部分もありますけど、小さい頃から聴いてきたすべての音楽が今の自分たちの基礎になっています。ただ、インタビューでよくされる質問なので、よりわかりやすく表現すると、僕たち4人の共通点は高校生くらいの頃に聴いていたOasisやRadioheadです。彼らからは音楽的な部分だけではなく、バンドというもの自体を教えてもらったように思います。

—淳治さんとは世代も近いですし、きっと聴いてきたものも近いでしょうね。

いしわたり:僕がやってきたことと一緒かもしれないです(笑)。僕も高校時代にOasisを聴いて、バンドを始めましたから。

—NELLのみなさんは淳治さんがやられていたバンドは聴かれてないですかね?

いしわたり:それは知らないでしょう(笑)。

ジョンフン(Ba):なんていうバンドですか?

いしわたり:おお……教えてあげてください(笑)。

いしわたり淳治
いしわたり淳治

—SUPERCARというバンドです。NELLと通じる部分もあると思いますよ。

ジョンフン:探してみます!

日本は韓国よりライブ文化の歴史が長いからでしょうね。(ジェウォン)

—NELLは近年コンスタントに来日をされていて、その流れで、今回日本語の曲を作ろうと思ったわけですか?

ジョンフン:今まで僕たちは韓国語と英語で作った曲をメインに、アルバムを作ったり、ライブを行ったりしてきました。でも、今回は日本のファンのみなさんになにかプレゼントをしたいという意味合いもありましたし、日本のファンのみなさんにより近づく意味でも、いい機会だと思ったんです。

イ・ジョンフン
イ・ジョンフン

ジョンワン:個人的に、初めて日本語で歌う曲は、静かな曲にしたいと思っていたんです。というのは、強いサウンドの曲に日本語を乗せるよりも、今回の曲のように、曲のなかに空間があって、日本語の歌詞がちゃんと聴こえる、そういう曲にしたいと思って。

—今年も7月の渋谷WWWと、つい先日のBillboad LIVE TOKYOでのライブがありましたが、日本でのライブの印象はいかがですか?

ジェウォン(Dr):会場のシステム自体がすごく整ってる印象です。関わってくれるスタッフの方も、経験が多いんだろうなと思いました。日本は韓国よりライブ文化の歴史が長いからでしょうね。

チョン・ジェウォン
チョン・ジェウォン

ジェギョン(Gt):観客のみなさんの違いについては、韓国の場合、どちらかというと、そのとき感じたことを外に表現する方が多いですけど、日本は全体的に落ち着いていて、しっかり鑑賞する方が多いのかなって。日本では、パッと見ではなんの表情もなく聴いているように見えても、実は涙を流してる方がいたりもしたんです。

ジョンワン:曲前にMCをすると、韓国の場合、観客が話しかけてきたりして、ちょっとやりにくいなって思うこともあるんですけど(笑)、逆に日本は私たちがなにか言ってもすごく静かで、ある意味対極な感じです。

いしわたり:この間のBillboardのときも「距離がすごく近い」と言っていて、ちょっとやりにくい部分もあるだろうなと思ったんですけど、普段韓国ではどういう場所でライブをすることが多いんですか?

ジョンワン:NELLを結成して最初の2~3年はこじんまりしたところでやっていたんですけど、その後の15年くらいのなかで、Billboardくらいの規模でやることはなかったですね。韓国ではアリーナ規模の体育館とかが多いので、あの距離感は本当にひさしぶりでした。

 
 
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リリース情報

NELL『元気でいて』
NELL
『元気でいて』

2018年12月5日(水)配信リリース

プロフィール

NELL
NELL(ねる)

1999年に結成。メンバーは、イ・ジェギョン(Gt)、イ・ジョンフン(Ba)、キム・ジョンワン(Gt)、チョン・ジェウォン(Dr)。喜びと哀しみが共存する感性豊かなサウンドと叙情的な歌詞で、唯一無二の世界観を描く韓国を代表するロックバンド。ダウナーでサイケデリックなサウンドが特徴、「Stay」「記憶を歩く時間(Time Working On Memory)」「Four Times Around the Sun」などのヒット曲で知られる。アルバム『Newton's Apple』は、ビルボード「ベストK-POPアルバム10」で2位にランクイン、ビルボードK-Townのコラムでは次のような高い評価を獲ている。「(2014年)最も注目すべきアルバム『Newton's Apple』の聴きどころはボーカル/作曲を担当するキム・ジョンワンの素晴らしいソングライティング・スキル。収録曲「Four Times Around the Sun」「Grey Zone」に表現されているように、リスナーを虜にするみずみずしく温かな雰囲気のサウンドにリリックが包まれている」。日本では、過去に2013年・2017年に単独ライブを開催。その他にも、「SUMMER SONIC2008」や「TOKYO FM&JFN present EARTH × HEART LIVE 2014」等に出演し、その度に観る人に強烈な印象を残している。2016年、アーティスト自ら独自のレーベルを立ち上げ、音楽的方向性を確実にすることに注力し始めている。韓国国内のアーティストからの人気も高く、INFINITE ソンギュや少女時代 テヨン、Wanna Oneなど名だたるアーティストへの楽曲提供を行っている。BTS(防弾少年団)のリーダーを務めるRMのソロ作品プロデュースでも話題。11月には、新しい感性で既発曲をリアレンジしたアコースティックアルバム「Let's Part」をリリース。収録曲中唯一の新曲は、自身初の日本語ver.としていしわたり淳治と共作で作詞をし、「元気でいて」というタイトルで12月5日に配信リリース。さらに、韓国での2019年リリースを目指し、ニューアルバムの作業を鋭意進行中である。

いしわたり淳治
いしわたり淳治(いしわたり じゅんじ)

音楽プロデューサー、作詞家。1997年にSUPERCARのギターとしてデビューし、バンド作品全曲の作詞とギターを担当する。2005年のバンド解散後は、音楽プロデューサー、作詞家として活動。雑誌などへの執筆も行なう。著書に小説『うれしい悲鳴をあげてくれ』(ちくま文庫)。ソニー・ミュージックエンタテインメント REDプロジェクトルーム所属。

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