インタビュー

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

なんだろう……。大希は、求心力がすごいんですよね。(勢喜)

—実感が伴ったとき、そこに戸惑いは生まれませんでしたか?

新井:戸惑いはそこまでなかったです。たぶん、僕らと同世代で最初に社会やカルチャーを巻き込んでいったのはSuchmosだと思うんですけど、彼らは友達なので、一緒にお酒を飲みながら彼らの話を聞く機会もあって。Suchmosを通して、大きな景色を見ることができていたのも大きいかもしれないです。

ただ少なくとも、この2~3年間、大希以外の3人は、とにかく必死にやってきたっていう感じだと思います。大希が提示してくるものに対して、各々が必死に向き合ってきた。そうして気づいたら、この状況になっていたっていう感じなんですよね。「King Gnu、売れてるね!」とか周りに言われても、「そうなのかなぁ?」って、謙遜とかではなく本当に思うし。ずっと自分たちのことを精一杯やることに必死だったので。

井口:でも、楽しいっすよ。この4人で「売れようぜ」みたいな話をしているときも、楽しいんですよね。4人が同じ方向を向いているし、先に向かうエネルギーが見えるバンドだと思うんです、King Gnuは。まぁ、泥臭くはあるけど……泥臭い人たちって、見ていて応援したくなるじゃないですか(笑)。

常田:(井口)理は、この間のレコ発でメジャーデビューを発表したとき、泣いてたんですよ。

常田大希(King Gnu)
常田大希(King Gnu)
井口理(King Gnu)
井口理(King Gnu)

井口:(苦笑)……まぁ、バンドってドラマがあるものじゃないですか。大希は幼馴染だけど、今こうやって一緒にバンドやっているなんて、不思議だなぁと思うし、この4人が揃っているだけでドラマがあるし……。これこそ、バンドの魅力だなって思います。

—改めて、King Gnuの4人はなにによってつながっているのか、知りたいんですよね。そもそも常田さんのソロプロジェクトとしてはじまったものに、新井さん、井口さん、勢喜さんが加わっていく形で、King Gnuはバンドとして形成された。3人は、常田さんのどういった部分に魅力を感じたのでしょう?

常田:……(「なんて質問をするんだ」という感じで顔を歪ませる)。

新井:本人の前で言うようなことでもないと思いますけど(笑)。

—すみません(笑)。

勢喜:でも、なんだろう……。大希は、求心力がすごいんですよね。

勢喜遊(King Gnu)
勢喜遊(King Gnu)

新井:本人名義のものでも、大希の作るものには説得力がある。大希にしかできないものが確実にあって、この3人は、それを信じているっていうことだと思います。

井口:そうだね。大希は、自分のやりたいことをやり通すために、このメンバーだって集めたわけでしょ?

常田:うん……まぁ、言いようによるけど。「ロックバンドがやりたいな」と思って、それでこの3人に声をかけたっていう。

今、貪欲に「ロックバンド」であろうとしている……それは、すごく強いことなんじゃないかと思う。(新井)

—「ロックバンドをやる」という部分に関しては、みなさんはどのように受け止めているのでしょう?

新井:理以外の3人には、「ここはディアンジェロっぽい感じで」とか、「ジェイムス・ブレイクっぽい感じで」って言えばわかり合える、ロック以外の音楽的な共通項があるんですよね。そういう素養も前提としてあったうえで、今、貪欲に「ロックバンド」であろうとしているっていう……それは、すごく強いことなんじゃないかとは思います。今までにないことをやっているなっていう実感もあるし。

新井和輝(King Gnu)
新井和輝(King Gnu)

常田:そうだね。ただ、「ロックバンドがやりたかった」と言ったのは、ちょっと語弊があったかもしれないです。どちらかと言えば、俺はただバンドをやりたくて、それが「ロックバンド」になっていった、という感じなので。

勢喜:あくまでも「結果として」ロックだったっていうことだよね。

常田:そう。でも、ひとつ言えるのは、ロックバンドって夢があるんですよ。たとえば、ディアンジェロは好きだけど、ディアンジェロを見て、子どものころに憧れたロックバンドと同じような類の夢を感じることはないんですよね。

常田大希(King Gnu)
常田大希(King Gnu)

常田:俺は、ロックって「若者の音楽」だと思うんです。たとえば、俺が10代の頃にNirvanaやArctic Monkeysのようなバンドに抱いていた感情や魅力がある。理だったら、10代の頃に、THE BLUE HEARTSに感じたものがあるわけでしょ?

井口:うん。

常田:そういうものって、自分にとってすごく重要なものなんですよね。自分自身が若い頃に聴いていた音楽、あるいは、その時代において若者が聴く音楽は、ものすごい求心力を持つものだと思うし、その求心力こそが「ポップス」だと思うんです。

どれだけいろんな音楽を要素として取り入れようとも、常にKing Gnuは、そういう「若さ」ゆえのエネルギーを孕んでいたいと思います。最近は「語法」としてポップスを取り入れただけのバンドも多いと思うんですけど、King Gnuは、そういうものでありたくないですね。

—「語法としてポップスを取り入れる」というのは、具体的にどういうことでしょう?

常田:最近の傾向としてポップスの語法を取り入れたバンドが増えてきた。たとえばジャズミュージシャンが語法としてポップス的サウンドを取り入れたり。でも、そういうもので、本当の意味でポップスになれているものは少ないと思うんです。

ポップスを作るってことは、人とちゃんと向き合わなければいけないんですよね。語法としてポップスを取り入れただけだと、本当のポップスになりえない……それは、この1~2年で強く感じました。

—「人と向き合わなければいけない」という、その「人」って、おそらく聴き手のことでもあり、作家自身のことでもありますよね。これだけ情報量が多くて、ポップスにおいては「ジャンルレス」であることが前提になっている。そういう時代だからこそ、作家自身のなかに、どのような意思や文脈があったうえで一音一音が選びとられ、その音楽が形成されたのか? というのは、すごく重要なことのように思えるんです。

常田:そうですね。どれだけジャンルをクロスオーバーさせようと、形式的に混ぜ合わせるだけではなく、原始的で、根本的で、普遍的な共鳴が必要だと、俺は思います。そうでないと、人の心は動かせないんじゃないですかね。

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リリース情報

King Gnu『Sympa』DVD付初回生産限定盤
King Gnu
『Sympa』DVD付初回生産限定盤(CD+DVD)

2019年1月16日(水)発売
価格:3,900円(税込)
BVCL-928 / 929

[CD]
1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

[DVD]
・“Tokyo Rendez-Vous”PV
・“McDonald Romance”PV
・“Vinyl”PV
・“あなたは蜃気楼”PV
・“Flash!!!”PV
・“Prayer X”PV
・“It's a small world”PV
『King Gnu 1st ONE-MAN LIVE at Shibuya WWW(2018.01.28)』
・Tokyo Rendez-Vous
・あなたは蜃気楼
・Vinyl
※初回プレス分に『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』チケット先行申し込み用のシリアルナンバー封入

King Gnu
『Sympa』通常盤(CD)

2019年1月16日(水)発売
価格:2,900円(税込)
BVCL-930

1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

イベント情報

『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』

2019年3月3日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

2019年3月7日(木)
会場:愛知県 名古屋 ダイアモンドホール

2019年3月9日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2019年3月17日(日)、3月18日(月)
会場:大阪府 BIGCAT

2019年3月21日(木・祝)
会場:香川県 高松 MONSTER

2019年3月22日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2019年3月30日(土)、3月31日(日)
会場:北海道 札幌 cube garden

2019年4月5日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2019年4月12日(金)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

King Gnu(きんぐ ぬー)

東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター・常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt,Vo)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Key)の4名体制へ。『SXSW2017』、『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

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