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マッシュとアネモネが語る『RO JACK』『未確認』W受賞後の心境

マッシュとアネモネが語る『RO JACK』『未確認』W受賞後の心境

Eggs
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

僕は、強烈なキャラクターのある人を支えているバンドが好きなんだと思う。(間下)

—間下さんは、なぜその2組に惹かれるんだと思いますか?

間下:いま「Steely Danとマイケル・ジャクソンの共通点ってなんだろう?」って考えていたんですけど、どちらも、バックミュージシャンがすごい人たちばかりなんですよね。そして、完璧なんだけど完璧じゃない音楽、というか。

—演奏はめちゃくちゃ上手いんだけど、人力のグルーヴ感というか、人が生み出す音楽としての揺らぎや微細なズレも、その音楽の美しさを補完している感じですよね。

間下:少し違和感はあるけど大衆的に受け入れられる音楽が、僕は好きなんだと思います。マッシュとアネモネに関しても、「普通のもの」は作りたくないんです。

それに僕は、普通じゃない、強烈なキャラクターのある人を支えているバンドが好きなんだと思う。だからこそ、マイケルのバックで弾いていたミュージシャンたちや、Steely Danを支えているメンバーたちに惹かれるんですよね。自分がキャラクターになるというよりは、そのキャラクターの核心を周りで支える人でありたい、というか。

だから僕は、「もちこ」という存在をもっと押し上げたいっていう気持ちがある。音楽的な部分をもちこに教えたり、プロデュースやマネージメント的な部分で、できることをやってやろうって。

左から:間下隆太、ヨネクボ隼介、もちこ、理子
左から:間下隆太、ヨネクボ隼介、もちこ、理子

—そうした感覚が土台にあるからこそ、「バンドはひとつの手段だ」と言い切るもちこさんを、同じバンドメンバーとして支えることができるわけですね。最後に、もちこさんはどのような音楽を聴いてきたのでしょう?

もちこ:私は、中学生の頃からMrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)が好きで、ライブハウスに通っていました。

最初に言った「強烈なキャラクターに惹かれる」という話と一緒だと思うんですけど、ミセスも、他のバンドにはない存在感があって。メンバー一人ひとりに質量があるというか、個々に重要性を感じるバンドなんですよね。そういうバンドってすごくいいなと思うし、そういうバンドと関われたら、自分も面白い存在になれるかなと思って、バンドを始めました。

—個々の質量って、まさにマッシュとアネモネの4人にも通じる話ですよね。いま、「ミセスよりもでっかい存在になってやろう」みたいな野心はないですか?

もちこ:「でっかくなろう」っていう思いは、そこまでないんです。もちろん、「売れるか? 売れないか?」でいったら売れる方がいいと思うんですけど(笑)。

それよりも、「きゃりーぱみゅぱみゅといえば、こういうイメージ」みたいな、「マッシュとアネモネのもちこといえば、これだよね」っていう共通のイメージを多くの人たちに持ってもらえるような存在になりたいんです。

もちこ
もちこ

ヨネクボ:もちこは、部活で一緒だったときから、「もちこはもちこ」っていう感じで、他の人とは違う雰囲気があったんですよね。

「フワフワしていたくないな」っていう気持ちがある。いろんなことをハッキリさせたいんですよね。(もちこ)

—もちこさんには、「みんな」の一部に回収されない存在感が、前からあったわけですよね。今作『羊の飼い方』のタイトルも、もちこさんが付けられたんですか?

もちこ:そうですね。「飼い方」というのは、マッシュとアネモネをどういうふうに扱うか、どういうふうに分類するかを、これを聴いた一人ひとりのなかで印象付けるような作品になればいいなと思って付けました。

間下:バンドって、続けていくうちに、どんどんと変わっていくものだと思うんです。10代には10代にしか書けない曲があると思うし、20代には20代にしか書けない曲があると思うので。そういうものを、そのときそのときで形にしていきたいっていう気持ちが僕らは強いんです。そういう意味でも、『羊の飼い方』には、「いま」のマッシュとアネモネのいろんな部分を見せられる5曲が入っていると思います。

間下隆太
間下隆太

—ただ、バンドって「1stアルバムの頃がよかった」とか、「インディーズの頃がよかった」とか言われたりする場合もあるじゃないですか。「変わらないでほしい」というファンからの欲望を目の当たりにする瞬間もあるかもしれないですよね。

もちこ:それでも、私は変わっていきたいですね。自分が大事にしたいキャラクター的な部分は変えたくないけど、でも、その大元の部分を忘れさえしなければ、求められない変化はしないんじゃないかと思います。

それに、人間的な成長が音源や映像を通して手に取るようにわかるくらいのほうが、聴いてくれる人と一緒に、リアルタイムに歳をとっていけると思う。なので、歳相応でありたいというか、そのときの自分が感じていることを率直に出していけたらいいなと思っています。

—5曲目には“シープマン”という曲がありますけど、タイトルにも入っている「羊」のモチーフや、歌詞の端々にも「眠り」というモチーフがありますよね。でも、それは安眠というよりは、眠れない状態を表しているような感じがする。これは、なぜ出てきたものなのだと思います?

もちこ:なんというか、「フワフワしていたくないな」っていう気持ちがいまの私にはあって。いろんなことをハッキリさせたいんですよね。思っていることを言わずに物事を穏便に済ませたり、何事もなかったように日々が流れていったりすることが、すごくイヤで。「○○っぽい」とか言われるのもイヤだし。鮮明な存在、濃い存在でありたいと思うので。

—でも、もちこさんの書かれる歌詞は全体的にモヤモヤした状態、未来への不安感を滲ませるものでもありますよね。それは言わば、「曖昧な状態を鮮明に書いている」ということだと思うんですよね。「頑張れ!」みたいなことをハッキリという歌詞ではない。

もちこ:そうですね……。なにかを強烈に指摘してみたところで、共感はされないというか、「だからなんだよ?」で終わってしまうんじゃないかと思うから。それよりも、ヌルっとしていること……自分がなにを不安に感じていて、なにをイヤだと思っているのか? ということを、曲を作るなかで明確にしたいんです。

たとえば2曲目の“アフターオール”は、夏の終わりに書いた曲なんですけど、季節的にじめじめして、すごく不快な時期だったんですよね。私は、そういうことを鮮明に描きたいんです。

あと、4曲目の弾き語りの“マフラー”は、物事の流れが淡々としている感じを出したいなと思っていて。友達と会っても挨拶だけして通り過ぎていく感じとか、儀式のようにSNSを上げていく感じとか……すごく淡々としているなって思うんですよね。

もちこ
もちこ

—なるほど。「生きる」ということに対して、すごく鮮明な態度であり、表現だと思います。最後を暗い質問で締めるようですけど、いま、もちこさんにとっての「不安」って、どういう部分にあるんだと思います?

もちこ:不安ですか……漠然とした未来に対する不安、みたいなものはそんなにないと思います。それよりも、「明日」とか「1時間後」とか、そういうすごく具体的で近いところに対する不安が大きいです。「いま、自分がこれをこう動かしたら、次にどういう影響が出るんだろう?」みたいな不安を、よく感じていますね。

左から:間下隆太、ヨネクボ隼介、もちこ、理子
左から:間下隆太、ヨネクボ隼介、もちこ、理子
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アプリ情報

『Eggs』
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料金:無料

リリース情報

マッシュとアネモネ『羊の飼い方』
マッシュとアネモネ
『羊の飼い方』(CD)

2019年3月13日(水)
価格:1,620円(税込)
EGGS-038

1. ユートピア
2. アフターオール
3. フィッシュレディ
4. マフラー
5. シープマン

イベント情報

『インストアイベント』

2019年3月21日(木・祝)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店5F イベントスペース

『『羊の飼い方』リリースツアー』

2019年3月27日(水)
会場:大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
出演:
マッシュとアネモネ
TRANS LUCENT LADY
i am you are
FEEDWIT
フラスコテーション
PLUE

2019年3月28日(木)
会場:大阪府 心斎橋 Live House Pangea
出演:
マッシュとアネモネ
TRANS LUCENT LADY
Blondy
Milopensas
知らないひと

プロフィール

マッシュとアネモネ
マッシュとアネモネ(まっしゅとあねもね)

2016年Vo. もちこが前メンバーと結成。2018年5月Vo. もちこと前サポートメンバーであったGt. 間下隆太を中心にメンバーチェンジを経て、再始動。ユートピアを目指し日々歩く。メンバーは、もちこ(Vo, Gt)、間下隆太(Gt, Cho)、理子(Ba, Cho)、ヨネクボ隼介(Dr, Cho)。

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